2017年1月14日土曜日

中国(1):株・不動産バブル崩壊から通貨危機へ、てんやわんやの大揺れ金融市場

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Bloomberg 1/16(月) 12:26配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170116-45371815-bloom_st-bus_all

中国人民元の下落続く公算大-予測1位のダンスケ銀ストラテジスト

   中国人民元の相場予想で最も正確なダンスケ銀行のストラテジスト、アラン・フォンメーレン氏は、中国経済の減速に伴い元安圧力が続くとみている。
 ブルームバーグ集計の元予想ランキングで1位の同氏は、人民元が9月末までに1ドル=7.26元に下落すると見込んでいる。
 現行水準より5%下落することを示唆しており、別の調査での予想中央値(7.15元)より元に対し弱気な見方だ。

 フォンメーレン氏はインタビューで、
 「中国経済に対し私は市場よりも弱気だ。
 人民元は構造的な下振れトレンドには入っていると思う。
 構造的逆風が理由だ。
 人民元に対するファンダメンタルな圧力は強く続いている」
と述べた。

 同氏は中国人民銀行(中央銀行)がオフショア人民元を投機家に警告を送るための手段として利用していると分析。
 大半の資金調達は本土内で行われており、オフショア人民元の相場が中国経済を損ねることはないためだと説明した。

 16日の人民元は上海市場で現地時間午前9時56分(日本時間同10時56分)現在、0.1%高の「1ドル=6.8934元」

原題:Yuan Top Forecaster Sees No End to Losses as China Economy Slows(抜粋)
Lillian Chen



BLOGOS 新潮社フォーサイト2017年01月06日 11:57 青柳尚志
http://blogos.com/article/204717/

中国経済の「アキレス腱」を照らすマネー市場の「反乱」

 中国の金融市場がおかしい。
 国外への資本流出が加速している。
 国内の債券市場は売りの嵐に見舞われている。
 米国株の上昇をしり目に中国株は元気がない。
 仮想通貨ビットコインの相場が急騰し、取引高も膨らんでいるが、その9割は中国勢といわれる。
 トランプ次期米大統領の登場で、米中は冷たい競合関係に入った。
 時ならぬマネー市場の乱は、中国側のアキレス腱をくっきりと照射している。

■てんやわんやの中国金融市場

 10年物国債の利回りでみた中国の長期金利は、昨年末には3.4%近辺。
 2016年8月には2.6%程度だったから、長期金利は約0.8%上昇した。
 その間、米国の10年物国債の利回りも同じくらい上昇しているので、米国に引っ張られた金利上昇であることが分かる。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が2016年12月に1年ぶりに政策金利を引き上げたので、米国の債券が売られ利回りが上昇したのは自然な動きである。
 対する中国は金融の引き締めなどしていない。

 それなのに中国の国債が売られ、利回りがハネ上がった原因は、いうまでもない。
 中国からの資本流出が加速し、国内がマネーの貧血状態になっているからだ。
 今や月間の資本流出額は1000億ドル、日本円で「10兆円」を超える。
 この資本流出に伴って、人民元を売って外貨を購入する取引が発生する。
 この外貨の需要に対して、誰かが外貨を渡さなくてはならない。
 当局が外貨を一元的に管理する中国の場合、外貨準備を取り崩して、民間に外貨を手渡すことになる。

 中国の場合、外貨準備を保有しているのは、中国人民銀行(中央銀行)である。
 外貨準備を取り崩すということは、中央銀行である人民銀の資産が減少する結果となる。
 中央銀行の資産の減少とは、金融の量的緩和(QE)ならぬ量的引き締め(QT=Quantitative Tightening)となる。
 その結果、マネーが逼迫し、お金の値段である金利が上昇してしまうのだ。

 2016月11月の米大統領選でトランプ候補が勝利し、ナヴァロ・カリフォルニア大教授ら対中強硬派が闊歩しているとはいえ、2016年12月の時点ではまだ新政権が始動している訳ではない。
 にもかかわらず、中国の金融市場はてんやわんやの大揺れなのだ。
 実際に新政権が始動したら、何が起こることやら。
 その話に入る前に、2013年3月14日に習近平国家主席が現在の職に就いて以降の、米中マネーの角逐を振り返っておこう。

■オバマをなめ切った習近平

★.2013年3月末の中国の外貨準備は3兆4426億ドル。
 中国による米国債の保有額は1兆2703億ドルだった。
 外貨準備の約37%を米国債で運用していた勘定となる。
 証券保管機関のユーロクリア(所在地はベルギー)を通じて保有する米国債もあるから、多少の幅を持ってみる必要はあるが、それにしても外貨準備の3分の1余りは、米国債だったことになる。

 その後も中国は経常黒字を伸ばし、2014年6月末には外貨準備は3兆9932億ドルまで拡大した。
 1年半で外貨準備は5506億ドル増加し、4兆ドルに乗せるかと思われた。
 あたかも、日本のバブルの頂点だった1989年末に日経平均株価が3万8915円の最高値をつけ、4万円に乗せるかと思われたように。

 ならば、その2014年6月末の時点の米国債の保有額はといえば1兆2684億ドル。
 習近平が国家主席に就任して以来、1年半の間に中国の米国債保有は増加するどころか、わずかながらも減少しているのだ。
 その結果、外貨準備に占める米国債の比率は約32%まで減少した。
 2013年から14年半ばにかけては、オバマ米大統領が「中国の平和的台頭」を語り、米中でグローバルな問題を仕切ろうかと考えていた時期である。

 そんな相手なら与しやすし。習主席はそうなめ切って、米国に対する挑戦を試みた。
 南シナ海の「9段線」内の島嶼部に対するサラミを切るような侵食であり、東シナ海での空の縄張り(防空識別圏)の設定などだが、オバマ政権はことごとく後手に回り、足元を見透かされた。

 経済面ではアジアやアフリカの小国を国ごと買収してしまうような、露骨な人民元外交を展開した。
 その元手となったのが、あり余る外貨準備だった。
 韓国石油公社の内部報告書によると、中国は2012年から15年2月までCNPC(中国石油天然ガスグループ)、CNOOC(中国海洋石油)などの国営企業を通じて、27カ所の外国石油開発会社と油田の株式を取得した(韓国紙『中央日報』)。

■株も不動産もバブル崩壊

 そうした人民元外交を展開する一方で、習政権は外貨準備で米国債を購入するのをやめた。
 要するに、露骨な「ドル離れ」を始めたのである。
 カネの切れ目は縁の切れ目。
 同じ民主党政権でも、ビル・クリントン政権ならこの辺りで習政権の意図を嗅ぎ取り、牽制を加えただろう。
 あたかも、1996年6月に橋本龍太郎首相(当時)がコロンビア大学の講演で「米国債を売りたい衝動に駆られたことがある」と発言したことを決して許さなかったように。
 そして1997年7月のアジア通貨危機に対処するために、榊原英資財務官がアジア通貨基金(AMF)構想を打ち出した途端、ドル基軸通貨体制への挑戦とみて、政権を挙げて潰しにかかったように。

 ところが、オバマ政権は習政権のドル離れと人民元外交に対し、見て見ぬフリをした。
 その結果が、2015年に発足した中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)なのだから、お笑い草である。
 米国主導の国際通貨体制は黄昏時を迎えた。
 そんな論評がメディアを支配したのも当然である。

 だが、得意の絶頂と思われるときに、舞台は静かに転換しているもの
★.実は中国の外貨準備は、2014年6月末をピークに減少に向かいだす。
 中国経済の過剰設備(過剰供給力)とその裏側にある過剰債務の問題が、いよいよ表面化してきたのである。
 国内に投資対象が見当たらないとみたマネーは、海外への逃避を始める。
 経常黒字を上回る、民間資本の流出である。

 窮状に追い打ちをかけたのが、共産党自身が煽った株式バブルの崩壊(2015年6月)である。
 当局は株式から都市部の不動産にバブルをバトンタッチさせることで、事態を糊塗しようとしたものの、不動産の価格も高くなりすぎた。
 東京の物件より手狭なマンションの一室が、日本の数倍で取引されるような不動産バブルに持続可能性があるとは思えない。
 その危うさを誰よりも知っているのが、当の中国人たちである。
 だから、ますます資本流出に拍車がかかる。

■拍車がかかった外貨準備の減少

★.中国の外貨準備は2016年11月末時点で3兆516億ドルと、3兆ドルの大台割れ寸前。
 2014年6月末に比べると1兆ドル近く減少している。
 ならば米国債の保有額はといえば、2016年10月末で1兆1157億ドル。
 外貨準備が2016年6月末時点の保有額は1兆2408億ドルだったから、夏場以降の急速な資本流出で資金繰りが二進も三進も行かなくなっていることがうかがえる。
 論より証拠。その間の中国の外貨準備と米国債保有額の実数を示しておこう(単位=億ドル)。

2016年    外貨準備  米国債保有額
---------------------------------------------------------------------------
6月末     32,052     12,408
7月末     32,011   12,188
8月末     31,852   11,851
9月末     31,664   11,570
10月末     31,207   11,157
11月末     30,516    ―

 11月の外貨準備の減少に拍車がかかったのはいうまでもない。
 11月8日の米大統領選でトランプ候補が当選し、大型減税やインフラ投資、規制緩和に期待した「トランプ・ラリー」が始まったからである。
 債券から株式へ資金移動(ポートフォリオ・リバランス)が起き、新興国から米国への資本還流が起きた。
 新興国では米国に引っ張られて長期金利が上昇し、為替市場ではドルが独歩高となるなかで、新興国通貨は軒並み下落した。

■FRB議長の胸の内

 こうした流れに拍車をかけたのは、FRBによる1年ぶりの利上げである。
 赤穂浪士の討ち入りよろしく、イエレン議長の率いるFRBは2016年12月14日に0.25%の利上げを実施した。
 それだけなら織り込み済みだったものを、2017年の政策金利引き上げについて、イエレン議長は思いのほかタカ派の姿勢を示した。
 市場が予想していた2017年の利上げは2回。
 なのに3回という見通しを打ち出したのだ。

 米国の失業率は4.6%と完全雇用に近い。
 そんななかで、トランプ次期政権が積極財政のエンジンを吹かせば、米経済は望ましくないインフレに陥ってしまう。
 ならば、財政が積極化する分、金融はきつめにする必要がある。
 イエレン議長のそんな判断は、経済政策の運営としては理にかなっている。
 とはいえ、大統領選のさなかに、トランプ候補からいわれない非難攻撃を受けてきたことを、イエレン議長が快く思っていないのも確かだろう。

「低金利政策でオバマ政権を助けているですって。
 ならば、トランプ政権の下では政策の筋を通してあげましょう」。
 その辺がイエレン議長の胸の内だろう。
 あるいは「2018年の任期が到来したら、再任しないと明言しているけど、任期いっぱいはやらせてもらうわよ」と腹をくくったのかもしれない。
 本来は金融緩和志向の強いハト派のFRB議長は、かくして心持ちタカ派に傾斜しつつある。

■中国「通貨危機」の事態も

 これはあくまで新大統領とFRB議長の痴話げんかのようなものだが、金融市場はその辺の心象風景を読み、米長期金利は上昇し、ドル相場も一段高となった。
 迷惑を被ったのは新興国だが、皮肉なことに、米国と肩を並べると意気込んでいた中国も、世界第2の経済大国であるより前に、図体の大きな新興国であることがハッキリしたのである。
 為替市場で人民元が1ドル=7元の大台近くまで売り込まれているのは、その象徴だろう。

 経済運営が振るわない中国としては、
★.この人民元安に乗って輸出を伸ばし、外需による景気立て直しを図れれば良いのだが、
 そうは問屋が卸してくれそうもない。
★.1つは、元安が一段の資本流出を招き、資本流出に伴う外貨準備の減少が、意図せざる金融の引き締めをもたらす「負のスパイラル」の存在。
 外貨準備が3兆ドルの大台を割り込むと、銀行への資本注入や海外での資源開発投資など、外貨準備を流用した不稼働資産を隠しおおせなくなる。
 外貨準備の相当部分が「張り子のトラ」であることが発覚すれば、通貨危機に見舞われたアジア諸国のような事態に襲われかねない。

 その一方で、米中の貿易不均衡に神経を尖らす大統領が登場しようという局面で、人民元の下落が加速するようだと、トランプ政権の対中強硬論の火に油を注ぐことになりかねない。
 米国による為替操作国の指定はともかくとして、鉄鋼など中国の輸出品に対しては次々と高率関税をかけてくるだろう。
 新設する国家通商会議のトップに指名されたカリフォルニア大のナヴァロ教授は、今から手ぐすねを引いているに違いない。

■勝者のない共倒れの可能性

◆米中の冷たい競合関係の根っこにあるのは、
 自分の背中が見えてきた2番を徹底的にたたく、米国という国の体質
がある。
 1980年代のソ連はレーガン政権の仕掛けた宇宙軍拡(スター・ウォーズ計画)に付いていけず音を上げて、冷戦に敗北した。 
 経済大国日本はソ連亡き後、クリントン政権の仕掛けた経済冷戦に沈んだ。
 そして今、中国が新たな冷戦の標的になろうとしている。
 かつてのソ連や日本と違い、中国は経済的にも軍事的にも米国とがっぷり4つに組むだろう。

 米国自身もアフガン、イラク戦争とリーマン・ショックで体力を低下させ、かつての米国ではない。
 米中の「新冷戦」は勝者のない共倒れになる可能性だってある。
 トランプ・ラリーにはしゃぐ米国市場もその時は「こんなはずじゃなかった」と臍を噛むかもしれないし、中国は習体制や共産党支配にヒビが入っているかもしれない。
 日本も共倒れの渦に飲み込まれてしまいかねない。
 最後に高笑いするのがIS(イスラム国)や北朝鮮やロシアなのだとしたら……。



ダイヤモンドオンライン 姫田小夏 [ジャーナリスト] 2017年1月13日
http://diamond.jp/articles/-/114032

「人民元保有は危ない」海外ホテル投資に走る中国人富裕層

●2015年に、中国フォースン・グループ傘下の上海豫園旅游商城に買収された「星野リゾート・トマム」(北海道)

 近年、中国資本による海外のホテル投資が活況を呈している。
 記憶に新しいのは2014年、安邦保険集団(アンバン・インシュランス・グループ)によるアメリカの名門ホテル「ウォルドルフ・アストリア」の買収だ。
 2015年には上海錦江国際酒店が欧州第2位のホテルグループ「仏ルーブル・ホテルズ・グループ」を、復星国際(フォースン・グループ)が「クラブメッド」をそれぞれ買収し、世間を騒がせた。

 背景にあるのは、中国人の海外旅行ブームである。
 香港上海銀行は「2024年には中国の年間の海外渡航者は、現在の1億人から2億人を上回る」と予測し、香港のシンクタンクであるフォン・ビジネス・インテリジェンスは「2020年に中国人の観光消費は4220億ドルになる」と予測。
 海外旅行する中国人の数と消費額が新たな市場を創設するだろうと見込まれている。

 また、中国の経済誌「中国不動産金融」は「2016年1−5月の中国の投資家による海外不動産投資額は170億ドル、中でもホテルへの投資は71億元と42%を占めた」と報じる。
 ホテル投資は不動産の中でもダントツの投資額となった。

 この勢いは日本にも上陸した。
 2015年はフォースン・グループ傘下の上海豫園旅游商城による星野リゾート・トマムの買収や、春秋航空によるホテルチェーンの参入(チェーン名:スプリング・サニー)が象徴的だったが、2016年も日本のホテル市場には中国の投資家たちの熱い視線が注がれた。
 ホテルのみならず、保養所や旅館の購入、民泊のための住居の購入など、宿泊施設への参入が一段と加速した。

■日本でホテルを持つことは
中国人富裕層のステイタス

 唐輝氏(仮名)は、インバウンド業界におけるホテル経営のパイオニアといわれる人物だが、「日本にホテルを持つことは、いまや中国人富裕層のステイタスになっている」と話す。

 海外の市場で有名ホテルが次々と中国資本に買収されている状況の中、隣国の日本では、2020年の東京五輪の開催とそれに伴う客室需要増が見込まれている。
 こうしたことから、日本のホテルをはじめとする宿泊施設は“中国人富裕層必見の投資先”となっているというのだ。
「例えば、富士山の山麓には利用されなくなった保養所や古びたホテルなどがたくさんありますが、こうした人里離れた山道に、たびたび中国人を載せた車が行き交うのも、投資先を探す中国人が増えているためです」
と唐輝氏は語る。

 中国資本によるホテル経営の増加とその賛否については、以前から日本でも話題となるところだが、今回取り上げるのはもうひとつの新たな傾向だ。
 ここにきて、中国資本によるホテル投資の動機は「インバウンド狙いではなくなった」というのだ。

■1億円の物件を10億で…
盛られた価格に手を出す理由

 「一人5000万円、投資家を5人集めて出資させれば、2億5000万円のホテルが購入できる」
と唐輝氏は前置きし、会社の株主がそれぞれ出資するプロジェクトとしての投資が増えていることを示唆する。
 取引事例の中には転売も見られ、金額は高額化する傾向もある。

 「1億円で売り出された富士山麓の物件を中国資本が3億円で購入し、さらにそれを10億円で転売する。
 今はそれでも買い手がつく状況なのです」(同)

 言い値で購入というのは尋常ではない。
 中国人の不動産投資といえば「言い値で買わない」どころか、「半値以下にまで買い叩く」などのハードネゴに徹するケースが多いからだ。

 「10億円」だと吹っ掛けられても、それでも中国の主要都市に比べて安いためでもあるだろう。
 あるいは、それが2つとない希少物件なのかもしれない。
 「10億円でも構わない」と思わせるほど、中国人の間でホテル投資は最高潮に達していると解釈することもできる。

 だが、「彼らの購入動機はもはや『儲け狙い』ではない」と唐輝氏が示唆するように
 投資家の心理にあるのは「とにかく人民元を海外に移転させたい」という一念だ。

今、中国人投資家の頭には、手持ちの人民元を海外に移すことしかない。
 彼らもまた日本の観光資源に魅了された人たちでもあるが、それ以上に切実なのは「人民元の価値の目減り」だ。
 ホテル投資の中には、資金の海外移転のためにわざわざ仕立て上げたプロジェクトもある。

 「人民元を持っていると危ない」
――上海から聞こえてくる富裕層たちのささやき声だ。
 「最悪とはいえないこの時期だからこそ、一気に海外移転を成功させたい」(上海在住の富裕層)、
そんな思いが強まっている。

■ホテル投資は早くも幕引きか?
中国当局が外貨持ち出し規制を強化

 その一方で、中国資本によるホテル投資もそろそろ幕引きか、という憶測が飛ぶ。
 中国外貨管理局がさらなる外貨持ち出しの規制強化に乗り出したからだ。
 中国からの資金流出は一向に歯止めがかからず、2014年に4兆ドルに迫った外貨準備高は、2016年末には3兆ドルを割りこむ寸前にまで陥った。

 中国では「年間一人当たり5万ドル」までできた個人の人民元の外貨両替も困難になっている。
 当局は今年1月から、銀行での申請書に送金金額の用途や利用の期限までをも記入させるようになったのだ。

 また、銀聯カードでの海外ATMを利用した外貨引き出しも不便さを増している。
 2016年初から引き出し額に年間10万元(約190万円)の上限が設けられた上、従来は一度に1万元を限度に引き出せた外貨も、最近はそれができなくなった。
 「偽造された銀聯カードによる不正引き出しがあったため」(銀聯国際)
というが、これもまた「外貨持ち出し」を規制したい中国政府の思惑と無関係ではないだろう。

 注目したいのが、2016年12月6日に行われた、発展改革委員会、商務部、人民銀行、外貨管理局の4部門合同の記者会見だ。
 ここで焦点となったのは「対外投資に対する当局の管理強化」だ。
 この会見で当局は「不動産、ホテル、映画、娯楽、スポーツクラブなどの領域において非理性的な対外投資の傾向がある」と指摘。
 中国の専門家の間では「この5業種の投資プロジェクトの海外投資については、今後厳しい審査が設けられる可能性がある」とする懸念が高まっている。
 奇しくもこの日、北京では日本貿易振興機構(ジェトロ)による「訪日ビジネスフォーラム」が開催され、中国の投資家に向けて日本のホテル投資の魅力が呼び掛けられていた。
 経済産業省所管の独立行政法人であるジェトロが先頭に立って中国資本を誘致する背景には、赤字経営の宿泊施設の救済、ひいては日本の地方経済の救済があるだろうが、今後はこうした活動にも影響が出る可能性がある。

 一方、当の中国にとっても大きなジレンマとなる。
 中国政府が2000年代から奨励してきた「走出去」(中国企業の対外投資)だが、資金流出の増加の懸念からブレーキを踏まざるを得ないからだ。
 中国人が大好きな“モノポリーゲーム”もここで「一回休み」となりそうな気配だ。



サーチナニュース 2017-01-23 10:12
http://news.searchina.net/id/1627639?page=1

中国で「資産価格が急落」する恐怖の瞬間は訪れるのか=中国報道

 信用によって膨張した資産価格が急落する瞬間を「ミンスキー・モーメント」と呼ぶが、サブプライムローン問題に端を発したリーマンショック、および、世界金融危機の際にも「ミンスキー・モーメント」は到来していた。

 中国では不動産バブルが生じていると言われて久しいが、中国経済にも「ミンスキー・モーメント」は訪れることになるのだろうか。
 中国メディアのBWCHINESEはこのほど、中国にミンスキー・モーメントが訪れる可能性について考察する記事を掲載した。

 記事は、2012年から16年にかけての中国の資産価格の伸びは目を見張るものがあったとしたほか、マネーサプライも急激に伸びていると指摘。
 また、
★:国内総生産に占める金融業の割合は12年の6%から8%に上昇する一方、
★:製造業が占める割合は33%から30%に低下している
と指摘した。

 さらに、中国の通貨である人民元は14年以降に対ドルベースで下落を続けており、
★:16年だけでも6%以上も下落したと紹介。
 16年12月には株価、国債、為替がいずれも急落するという異常な事態が生じたと伝え、
 「これは中国経済にミンスキー・モーメントが近づいていることを示す予兆なのだろうか」と警戒感を示した。
 続けて記事は、中国社会科学院経済学教授の見解として、16年に中国の金融市場で生じた数々の異変は金融市場の自由化を過度に進めたことが原因であるとし、12年から16年にかけて中国の信用は急激に膨張していると指摘。
 中国は世界金融危機を受け、
 4兆元(約67兆円)もの景気対策を打ち出したが、この資金は不動産業や生産性の低い国有企業へと注入され、
 これに金融市場の自由化が重なり、
 結果として中国では不動産価格の制御が難しくなり、
 人民元の下落圧力が生じるなど、市場の歪みにつながっている
と指摘した。

 一方、中国政府は16年7月26日に開いた政治局会議で「金融リスクの制御」に全力を挙げる方針を固めたと伝え、
 リスク制御に失敗すれば「ミンスキー・モーメント」が到来する可能性が高まるものの、
 元安をはじめとする各種リスクを上手に制御できれば、中国経済のハードランディングの可能性は低減できるはずだと主張した。



中央日報日本語版 2/17(金) 13:17配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170217-00000027-cnippou-kr

韓経:中国経済、ハードランディング懸念は弱まったが…

 今年に入って中国経済のハードランディング懸念は弱まったが、まだ安心するのは早いと、グローバル投資銀行(IB)のゴールドマンサックスが警告した。
 負債の急増を防ぐための中国政府の流動性抑制政策が成長率の急落を招くこともあるという理由でだ。

 16日のブルームバーグ通信によると、ゴールドマンサックスは最近発表した報告書で、急激な負債膨張と過度な財政支出拡大を中国経済が直面している「深刻なリスク要因」に挙げた。
 ゴールドマンサックスは今年の中国の経済成長率が前年比で急激に低下するより緩やかに下降すると予想した。
 しかし潜在的リスク要因が現実化する場合、中国経済はもちろん中国経済に依存度が高いアジア国家も打撃を受けるという見方を示した。

 人民銀行によると、中国の1月の新規人民元貸出は2兆300億元と、前年1月以来1年ぶりの最高水準となった。
 これを受け人民銀行は今年に入ってリバースレポ金利を引き上げるなど流動性の供給を減らしている。

 ゴールドマンサックスは
 「中国政府の目標は実体経済の冷え込みを誘発せずに負債の膨張を効果的に抑制することだが、こうした政策目標を達成しにくい場合もある」
と指摘した。
 流動性に敏感な不動産市場が急激に冷え込み、中国の実物景気に衝撃を与える可能性があるということだ。

※本記事の原文著作権は「韓国経済新聞社」にあり、中央日報日本語版で翻訳しサービスします。



【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】





●中国経済危機の実態
2016/02/13 に公開
みんなのニュース 20160122 0 0 0


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