2017年6月30日金曜日

一帯一路の真実と中国の野望!:

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●一帯一路の真実と中国の野望!どうする日本?
甘いムーディーズのAaaの格付け!【津上俊哉×柯隆】
Published on Jun 29, 2017

「柯隆」氏は、一帯一路は協定にサインしなければならない自由貿易協定TPPとは違い、中国がイニシアティブというかリーダーシップをとってインフラは整備するが、合意せずに参加できないというものではなくハードルが低く、往々にして対立させようとする議論があるがこの2つが性質の全く違い二者択一でないという所に注意しなければならないと思うと語った。
「津上俊哉」氏は、交通、物流のインフラを中国主導で整備していこうという経済援助に似たような構想だが、初めて聞かされた当初はみんな腰を抜かすような本気かという話が、この3年間の間にだいぶ大風呂敷を畳んで現実的な地に足が着いた話が中心になってきたという所があり、世界の受け止めも期待したほどでもないというガックリ感もあるかもしれないが、一方で凄く警戒していたアメリカも警戒感が薄れ、この3年間の間に随分変わってきた所もあるが、日本国内では3年前に聞いたあのイメージのままだという所は気を付けなくてはいけないと討論が始まった。

「津上俊哉」氏は、AIIB(アジアインフン投資銀行)には直ぐに加盟や申請まで踏み込む必要はなく、寧ろWB(世界銀行)やADB(アジア投資銀行)は案件ごとに協力関係を結んでおり、日本にもJBIC(国際協力銀行)やJICA(独立行政法人国際協力機構)という援助機関に官邸からAIIBにコラボしてこいという指示を出すというお友達からという始め方もあり、現場同士で机を並べて仕事をすればAIIBの行く先や中の雰囲気が生々しく情報も入り、そこら辺の情報を踏まえて加盟するかしないかもう少し時間をかけて考えても良く、そういう形で個別案件の強力であれば直ぐにでも始められ、そういう所から始めればよいの手はないかと思うと語った。
「柯隆」氏は、一帯一路サミットにはプーチン大統領も参加していたが、ロシアは意外に乗り気ではなく、ロシアの庭である中央アジアに中国にズタズタと入ってこられる事に不快感があり警戒しており、インフラを整備してくれるのはいいが運用に入ってしまうとロシアの存在感が脅かされる可能性に、プーチン大統領が警戒しながら見守っていると語った。

ソース:報道ライブInsideOUT(2017年6月29日) 別所哲也(ラジオパーソナリティ) 八塩圭子(フリーアナウンサー、元テレビ東京アナウンサー)  津上俊哉(現代中国研究家、津上工作室代表)  柯隆(富士通総研経済研究所主席研究員)


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2017年6月29日木曜日

「いずも」の派遣(4):空母巡行合戦、遼寧といずも

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 日本と中国がアジアで空母巡行合戦を繰り広げている。
 いずもと遼寧、これはハード合戦ではあるが、問題は空母を使ってソフト的に周辺諸国にどう対応できるかである。
 そのあたりでは、日本の方が一枚役者が上ということになるかもしれない。
 遼寧に各国のオエライさんを招待して、戦闘機の離着・発着の様子を見学させることは結構なパフォーマンスになると思うが、果たして中国にそれができるか。
 そんな中で事故でも起こしたらメンツ丸つぶれということにもなる。
 そこまでのレベル能力はもっていないようである。
 難しい判断である。
 「いずも」はヘリ空母であるが、早晩「F35B」を離発着させることになるだろう。
 そのあたりを見据えての日本政府の周辺諸国への巡行ということであろう。
 

JB Press 2017.6.29(木)  北村 淳
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50363

FONOP参加よりはるかに効果的な「いずも」の活躍
ASEAN各国の士官を招待して南シナ海を航行


●海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」(写真:防衛省)

 南シナ海、そしてインド洋方面に長期にわたって展開中の海上自衛隊のヘリコプター空母「いずも」が、先週、ASEAN諸国の若手将校を乗艦させて南シナ海を航海した。

 中国が一方的に「主権的海域」と主張している九段線内海域へは乗り入れなかったようではあるが、中国による軍事的コントロール態勢が強化されつつある南シナ海情勢を睨んで、日本とASEAN諸国との協力関係を少しでも促進するための努力として大いに評価されるべき軍艦の運用であった。


●南シナ海に中国が設定している九段線(太い点線)

■揺れ動くトランプ大統領の対中姿勢

 中国による南シナ海の覇権確保政策に対して、これまでアメリカは軍事的威嚇を含んだ強圧的な対抗策を実施してこなかった。
 本コラムでも繰り返し触れてきたように、中国に対して融和的であったオバマ政権時代に中国による南シナ海支配態勢は飛躍的に進展し、もはや戦争以外に突き崩すことができない状態に立ち至っている(公に口にされることはないが、国際常識になっていると言ってよい)。
 トランプ大統領は、大統領選挙期間中から政権発足後しばらくの期間は、南シナ海問題を含めて中国に対して強硬な姿勢を示していた。
 しかし、北朝鮮問題が急浮上したため、習近平政権に対して融和的な姿勢を示さなければならなくなってしまった。
 マティス国防長官やティラーソン国務長官は、中国の南シナ海での拡張主義的行動に対して警鐘を鳴らしてはいるものの、オバマ政権後期の対中牽制的ポーズと五十歩百歩といったレベルに留まっている。

 ただし中国は、トランプ政権が期待していたような効果的圧力を北朝鮮にかけていない。
 そのことに対してアメリカ側ではいらだちが募っており、ある程度は中国に対して強硬な立場を取らないと、北朝鮮に対する圧力も反故にされかねないとの懸念も高まってきている。
 そこで、米国はようやく南シナ海でのFONOP(公海航行自由原則維持のための作戦)を再開し、FONOP以外にも軍艦や偵察機なども派遣するようになったのである。

■FONOPしか手がないアメリカ

 しかし、たとえトランプ大統領が再び中国に対して強硬な姿勢を取るようになったとしても、南シナ海(それに東シナ海)を巡ってのアメリカによる対中牽制行動は、現在のレベルから飛躍的に強硬になることは考えにくい。
 なぜならば、アメリカには「第三国間の領有権紛争には直接関与しない」という外交原則が伝統的に存在しているからだ。

 そのため、これまで実施された南シナ海でのFONOPも、対象国が関与している領域紛争に介入したり、領有権の主張を真っ向から否定することは決してない。
 あくまでも「国際海洋法の重要な原則の1つである『公海での航行自由原則』を侵害している(あるいは脅かす恐れがある)国家に対して、航行自由原則を尊重させる」ために軍艦や軍用機を派遣して示威活動を行っているのである。

 実際に南シナ海でのFONOPでは、中国が人工島化したり武装を固めつつある島嶼環礁の周辺海域に軍艦を派遣してはいるものの、それらの海域での中国、フィリピン、ベトナムなどによる領域紛争に関して触れることはない。

■外交方針を転換しても効果は見込めない

 今後、もしもトランプ政権がアメリカ外交の伝統を打ち破って、「アメリカの国益を守るために第三国間の領域紛争にも関与する」という立場へ方針転換するならば、中国が建設した7つの人工島などでの中国領有権を否定することができるようになる。

 しかし、南沙諸島は中国とフィリピン、あるいは中国とベトナムといったように2カ国間での領有権紛争ではない。
 いずれの島嶼環礁も、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾、そしてブルネイによる多国間で領有権紛争が続いているため、アメリカが中国の領有権を認めないといっても紛争が収束するわけではない。

 さらに、南沙諸島に軍事拠点を築いているのは中国だけではなく、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシアも拠点を確保している(規模の大小は様々であり、いずれも中国の足下にもおよばないが)。
 したがって、アメリカが南沙諸島での中国だけの領有権を否定するということは、国際法的には全く説明がつかない対中国挑発行動に過ぎなくなる。

 このように、アメリカが中国に対して融和的姿勢を取るにせよ、強硬姿勢を取るにせよ、中国の南シナ海政策に対して取り得る牽制行動は、結局のところこれまでどおりにFONOPの域を出ないということになってしまうのだ。

■海自の予算増加は必然

 かねてよりアメリカ政府は、南シナ海でのFONOPに、日本の海上自衛隊やオーストラリア海軍などを参加させたい意向を表明してきた。
 しかし、すでに中国が南沙諸島に7つもの人工島を建設してしまい、それらの人工島や西沙諸島などでの防衛態勢を強化しつつある状況では、アメリカ海軍によるFONOPの効果はゼロに等しい。
 ただ単に「アメリカは南シナ海問題に関心を持っている」というポーズを示しているだけの状態と言っても過言ではない。
 そのような効果が見込めないFONOPに海上自衛隊艦艇を参加させるのは、日本国民の血税の無駄使いにもなりかねない。

 とはいえ、南シナ海はアメリカ以上に日本にとって「生命線」とも言える重要な海上航路帯が横たわっている海域だ。
 中国の横暴に対して、アメリカだけに牽制行動を任せておくわけにはいかないのは当然である。

 そこで、今回の「いずも」の“ASEAN取り込み作戦”が大きな意味を持つ。
 日本の外交的協力関係を南シナ海周辺諸国へ拡大強化していくこうした努力は、効果がほとんど見込めないFONOPへの参加よりも、はるかに賢い軍艦の運用法であると言えよう。


●「いずも」と同行した護衛艦「さざなみ」(写真:防衛省)

 ただし、このように軍艦を南シナ海など外洋に派遣するには、当然のことながら燃料をはじめとして莫大な費用がかかる。

 日本の国民経済にとって生命線ともいえる南シナ海での日本の国益を維持するためには、今後ますます海上自衛隊艦艇や航空機を南シナ海やインド洋などに展開させる機会が増加するのは必至だ。
 そのためには、国防費(とりわけ海上自衛隊)を飛躍的に増加させなければ、日本周辺警備や基本的訓練などに関連する費用などを削減せざるを得なくなり、自衛隊自身が弱体化してしまうという本末転倒の結果となりかねない。



Record china配信日時:2017年6月27日(火) 6時10分
http://www.recordchina.co.jp/b182400-s0-c10.html

中国空母「遼寧」香港寄港へ、
台湾警戒「台湾東部南下なら挑発行為」―中国メディア


●25日、中国軍初の空母「遼寧」が母港の山東省青島を出港した。7月1日の香港返還20周年記念行事の一環として香港に寄港するとみられ、台湾ではその針路に注目が集まっている。写真は空母「遼寧」。

 2017年6月25日、中国軍初の空母「遼寧」が母港の山東省青島を出港した。
 7月1日の香港返還20周年記念行事の一環として香港に寄港するとみられ、台湾ではその針路に注目が集まっている。
 中国台湾網が伝えた。

 23日付の香港・星島日報によると、台湾国防部は「周辺での中国軍の動向の把握を継続し、規定に従い対応処理する」と表明し警戒を強めている。
 台湾の軍当局者は、遼寧が香港へ向かう針路は2通りあるとし、「台湾海峡を通過するなら台湾への影響は少ない。
 だが(昨年12月の)訓練のように、(沖縄本島と宮古島の間の)宮古海峡を通過し、台湾東部を経由し、(台湾とフィリピンの間の)バシー海峡から香港へ向かうなら、それはわれわれに対する挑発行為だ」と述べた。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は23日、専門家の話を引用し
 「遼寧が香港に寄港する可能性は非常に大きい」
と伝えている。



Record china配信日時:2017年6月29日(木) 9時0分
http://www.recordchina.co.jp/b179908-s0-c10.html

日本の専門家の「『いずも』は30分で中国の『遼寧号』を撃沈できる」
に中国専門家が反論―中国メディア

  中国国防部の公式サイトによると、中国の空母「遼寧号」は毎年恒例の訓練を行うため25日に青島から出港した。
 現在南シナ海では日本の海上自衛隊最大級の護衛艦「いずも」が長期派遣中で、これに関連して中国メディア・環球時報は「いずも」に関する中国専門家の見解を紹介した。

 「遼寧号」の動向について台湾メディア・中時電子報は
 「『遼寧号』は7月に香港に寄港し、香港返還20周年を祝うと思われる。
 艦艇を開放し市民に見学させる予定で、中国海軍に実力を示すのだが、日本の軍事専門家は30分もあれば『いずも』を沈められると語っている」
とする記事を掲載した。

 記事では日本の専門家に関する説明はなく、
 「『いずも』はF35B戦闘機を搭載することができ、中国海軍のレーダーは同機をキャッチできない。
 加えて対艦艇で高い戦闘力を持つため遼寧号を撃沈できる可能性が高い」
との意見を日本の専門の見解として紹介した。

 この報道を受け中国の海軍専門家である李傑(リー・ジエ)氏は25日に取材に応え、「誇張している」と反論した。
 李氏は、
 「日本がF35Bを導入する動きはない。
 仮にF35Bを導入するとしても、巨額の費用や『いずも』の甲板の改造など問題は多い。
 さらに、対艦ミサイルは大きく、機体内に収納することはできない。
 外付けした場合ステルス効果は下がるためレーダーに捕まりやすい。
 確かにF35Bは中国の戦闘機に比べ優れた点を持っているのは事実だが、自国の力を誇張し日本の優勢を他国に示すやり方は日本の専門家の常とう手段だ」
と述べた



Record china配信日時:2017年7月1日(土) 8時0分
http://www.recordchina.co.jp/b182936-s0-c10.html

南シナ海で日中両国の駆け引きが活発化、
日本は「いずも」長期派遣し中国けん制、
フィリピン支援でも競争

 2017年7月1日、中国が軍事拠点化を進める南シナ海で、日本と中国の駆け引きが活発になっている。
 日本は海上自衛隊のヘリコプター搭載型で最大級の護衛艦「いずも」を付近の海域に長期派遣して中国をけん制。
 フィリピンへのインフラ建設などの支援をめぐっても日中両国が競争を繰り広げている。

 「いずも」は5月初めに日本を出港。同月中旬にシンガポールで国際観閲式に参加後、フィリピンのスービック湾に寄港してドゥテルテ大統領を艦上に招待した。
 さらに米原子力空母「ロナルド・レーガン」との共同訓練をこなし、シンガポールへ戻って6月19日から23日まで報道陣と東南アジア諸国連合(ASEAN)10 カ国の士官を乗せ、南沙(スプラトリー)諸島近くを航行した。

 ロイター通信によると、中国が南シナ海で広範な領有権の根拠とする「九段線」付近に差し掛かったところで、レーダーが同国軍のものらしき機影をとらえる場面があった。
 艦内のスピーカーからは「レーダー探知」の声が流れ、緊張が走ったという。

 「いずも」について、台湾メディアは「中国の空母『遼寧』を30分で撃沈できる可能性が高い」との日本の軍事専門家の見解を紹介。
 その理由としては「米国製のF35B戦闘機を搭載することができ、中国海軍のレーダーは同機をキャッチできない。
 加えて対艦艇で高い戦闘力を持つ」などを挙げている。

 中国メディアによると、この見解に中国の海軍専門家は「誇張している」と反論。
 「日本がF35Bを導入する動きはない。
 仮にF35Bを導入するとしても、巨額の費用や『いずも』の甲板の改造など問題は多い。
 さらに、対艦ミサイルは大きく、機体内に収納することはできない。
 外付けした場合ステルス効果は下がるためレーダーに捕まりやすい」
などと指摘している。

 南シナ海問題の当事国であるフィリピンの抱き込みでも日中両国はしのぎを削っている。
 日本は国際協力機構(JICA)を通じて44億ドル(約4926億円)を投じ、マニラ首都圏中心部を走るフィリピン初の地下鉄網「メガマニラサブウェー」を整備する。
 ドゥテルテ大統領の中国傾斜を止める狙いとされ、11月に安倍晋三首相と同大統領が覚書を締結する予定だ。

 日中両国の支援競争に関して、台湾の中国時報電子版は北京大学国際関係学院の梁雲祥教授が「日本に勝ち目はない」と論じたと伝えた。
 この中で同教授は
 「日本は政治的に際限なくお金を費やして中国と戦略的な競争を進めるのは不可能」
と指摘。
 「日本企業のための経済的な争いという点から見ても、中国ほど多くの資金を持っていない上に、中国が提示している条件が非常に良いものであることから中国に勝つのは難しい」
と説明している。



Record china配信日時:2017年7月3日(月) 18時20分
http://www.recordchina.co.jp/b183274-s0-c10.html

中国本土で一般公開されていない空母「遼寧」、
香港で2000人に公開へ―米華字メディア

 2017年7月3日、米華字メディアの多維新聞によると、中国本土で一般公開されていない空母「遼寧」が、香港で8、9日の両日、計2000人に公開される。

 中国海軍の報道官は2日、遼寧が7日から11日までの5日間、香港の昂船洲軍港に寄港すると発表した。
 中国人民解放軍の香港進駐20年を記念する行事の一環として、8、9日の2日間、香港永住権の保有者計2000人に一般公開される。
 艦上の戦闘機J15(殲15)やヘリコプターなども同時公開される。

 遼寧は2011年に黄海での試験航行に成功し、12年9月25日の正式就役と同時に「遼寧」と命名された。
 13年と16年に2回、南シナ海で遠洋訓練を実施し、中国軍は16年末、遼寧を中心に形成される艦隊が作戦能力を有するようになったと発表した。

 遼寧はこれまで、中国本土で一般公開されていない。
 香港メディアは、遼寧の香港寄港について、消息筋の話として、習近平(シー・ジンピン)国家主席の直接の指示によるものであり、その目的は香港市民の「民族一体感」を高めることにあると伝えている。
 また香港に到着する7日は盧溝橋事件80周年に当たることから「国辱を忘れないため」との特別の意味合いがあるとの分析も出ている。






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北朝鮮ミサイル 次から次へ(7):ステルス戦闘機F35に北朝鮮攻撃用のミサイル搭載を検討

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 北朝鮮の「日本焦土化宣言」が出ている現状では、防衛手段の選択に深く突っ込んでいくことはやむ得ない、ということになる。
 防衛機能を強化したい政府としては、北朝鮮のこの宣言は「待ってました」ということであろう。
 国内でミサイル避難訓練が行われはじめていることから、国民もただ指をくわえてみていることには納得しないだろう。
 「政府はどうにかしろ」ということになる。
 強い反発がしにくいことになってしまって’いる。


Record china配信日時:2017年6月29日(木) 6時40分
http://www.recordchina.co.jp/b182706-s0-c10.html

日本がステルス戦闘機F35に北朝鮮攻撃用のミサイル搭載を検討、
韓国から懸念も
=「日本の動きに警戒を」「そのミサイルがまさか韓国に…」

 2017年6月26日、韓国日報は、日本政府が最新鋭ステルス戦闘機「F35」に敵基地攻撃が可能なミサイル搭載を検討していること伝え、
 「敵として北朝鮮を想定し、潜在的な中国の勢力拡大に備えたものと思われる」
と分析した。

 記事は、日本メディアが複数の政府関係者の話として、安倍晋三政権が2018年度予算に戦闘機に装着する空対地ミサイル関連費用を盛り込む案を検討中であり、ノルウェー主体で開発中の「ジョイント・ストライク・ミサイル(JSM)」を念頭に置いていることを紹介した。

 自衛隊は、F4戦闘機の後継としてF35計42機を今年度末から青森・三沢基地に順次配備する計画。
 JSMの射程距離は300キロとされ、海上の艦艇を攻撃する空対艦能力だけでなく、現在、自衛隊が保有していない空対地能力を有する。

 韓国日報はこうした状況について
 「敵基地攻撃能力(確保)の推進は平和憲法の『専守防衛』の原則に反している上、
 米国の譲歩が必要であり中韓の反発が予想されるなど、少なからず波紋を起こす可能性のある事案だ」
と指摘した。

 この報道を受け、韓国のネットユーザーからは
 「そのミサイルがまさか韓国に向かうことはないだろうな?」
 「北には北朝鮮、南には日本。韓国は自主防衛しかない」
 「日本は、国内的に問題を抱えたら戦争まで起こした歴史がある国だ。日本の動きには警戒しなければならない」
 「日本は北朝鮮を口実に軍事大国化を目指している」
など、日本の動きを警戒する声が多く寄せられた。

 また、
 「日本は北朝鮮の脅威に備えているけど、当の北朝鮮は日本に関心があるのか?」
と、北朝鮮側の真意についていぶかる意見や、
 「韓国は北朝鮮と対峙(たいじ)しているのに、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反対し、平昌(ピョンチャン)五輪の南北単一チームを提案するなど、北朝鮮との交流拡大を目指している」
と、日本とは対照的に北朝鮮への警戒心が薄い韓国の現状を指摘する声もみられた。









スマホに溺れる人々:

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Record china配信日時:2017年6月28日(水) 23時30分
http://www.recordchina.co.jp/b182581-s0-c30.html

中国人は世界で2番目に「スマホに溺れている」―中国メディア

 2017年6月26日、中国日報によると、中国人は1日平均3時間スマホを使っており、世界で2番目に「スマホに溺れている」ことが分かった。

 ドイツのデータ解析会社、Statistaによると、世界の多くの国でスマホの使用時間は2012年以降増加している。
 昨年の調査では、
1].ブラジル人の1日の平均使用時間は4時間48分に上り、
2].2位は中国の3時間3分だ。
 2時間以上使用している国は、
3].米国(2時間37分)、
4].イタリア(2時間34分)、
5].スペイン(2時間11分)、

6].韓国とカナダ(2時間10分)、
8].英国(2時間9分)で、
9].ドイツとフランスは約1時間30分
となっている。

 生活に欠かせないツールとなったスマホ。
 だが便利さの一方で、コミュニケーション能力の低下やスマホの見過ぎによる頸椎(けいつい)の椎間板ヘルニアなどマイナスの影響も指摘されている。

 イタリアのレストランでは、客に食事本来の目的を取り戻してもらうため、食事前にスマホを預かる所も増えているという。
 韓国ではネット依存の青少年を対象にした断ネットキャンプ「レスキュースクール」が開催されている。
 フランスではスマホを通話とSMSに特化した旧来型の携帯電話に替える人も増えている。








2017年6月28日水曜日

中国 高齢者問題:手の打ちようのない状況に

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【禁聞】20170320
https://www.youtube.com/watch?v=dUywEhIVkvY


中国の高齢者、2020年に2億5千万人に

【新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV】http://jp.ntdtv.com/
 高齢化が進む中国では、2020年には60歳以上の人口が2億5500万人に達すると予測されています。
 政府は人口構成の不均衡を是正するため、子供を2人まで出産できる政策に昨年から切り替えましたが、就職難の若者の半数以上が出産を望んでいないのに加え、年金の不足額も増加しており、現行の年金システムで2億の高齢者を支えられるか心配する声が上がっています。

 長い間の懸念である高齢化問題が、今年の全人代と政治協商会議でも議題に上りました。
 年に一度の「両会」が開催されるのを前に、国務院は「第十三次五か年計画国家高齢者事業発展と高齢者福祉システムの建設計画」を発表し、2020年までに60歳以上の高齢者は人口の17.8%に相当する2億5500万人に達し、従属人口指数は28%に上ると予測しました。
 現在中国では高齢化問題が注目を集めています。
 高齢化が進むにつれて社会保険費の不足や、一人暮らしの高齢者の急増など、高齢者をとりまく状況は厳しくなる一方です。

 中国金融シンクタンク研究員 鞏勝利氏:「中国財政部長(財務大臣に相当)は、一部の省では退職金の支払いに支障を来していると言っています。
 国が支給するこれらの金は地方政府によって別の用途に使用されているとも話しています。」
 年金が不足している省はますます多くなっています。
 政府の統計によると、2014年の不足額は1563億元で、2015年はその倍の3115億3300万元で、20年後には11兆ドルになる計算です。
 計画書はまた、都市部や農村部など地域によって高齢者福祉が異なるため地域の不均衡を招き、さらに福祉サービスが供給不足に陥るなどの問題についても取り上げています。

 元山東大学教授 孫文広氏:
 「農村の高齢者は年金がないため老後の経済状況は非常に厳しい。
 そこで政府は近年、年金を給付していますが、月にいくらだと思いますか。
 つい最近、済南省や山東省の知人に聞いた話によると、当地の高齢者が受け取る年金は月に50元だそうです。
 10ドルにも満たないお金でどうやって暮らせばよいのでしょうか。
 都市部では少し高いでしょうが、中国の高齢者は子供に頼らなければ生きていかれず、非常にみじめな暮らしを送っているのです。」

 中国では高齢化問題のほか、若者の就職難も大きな問題となっています。
 イギリス連邦が発表した2016年度の世界青少年開発指数によると、中国は183カ国中118番目で、世界の平均値よりも低く、中国の若者が発展しにくい状況に置かれていることが示されました。

 中国金融シンクタンク研究員の鞏勝利(きょう しょうり)氏は、政府が1979年に実施を始めた一人っ子政策が、現在のいびつな人口構成を招き、高齢化が若者にさらなる圧力を与えていると考えます。

 中国金融シンクタンク研究員 鞏勝利氏:
 「中国は人口が二極化する時代を迎えています。
 1949年以降、無制限に出産した結果、人口激増を危惧した政府は1970年になって今度は一人っ子政策に転換しました。
 これは文化大革命がもたらした災難よりもさらにひどい結果をもたらしたと言えるでしょう。
 強盗の理屈と同じです。
 すべての家庭が一人っ子政策に従ったらどうなるか。親2人が子1人生み、また親2人が子1人生む。
 三代目以降、子を生める親がいなくなるのは必然のことです。」

 元山東大学教授 孫文広氏:
 「40年近くに亘って一人っ子政策を実施してきた結果、子供は少なくなり、年寄りが多くなったのです。」

 政府は2015年、一人っ子政策を中止しましたが、中国のいびつな人口構成はすでに是正が難しい状況になっています。

 米国在住時事評論家 横河氏:
 「もう手遅れです。
 2人どころか3人、4人の出産を許可したとしても、もう遅すぎます。
 これは中国政府の制度的欠陥によって生じた問題であり、政府には問題を解決する能力がありません。
 そもそも問題に気付いた時にはすでに手遅れでした。
 一人っ子政策から2人目出産奨励に政策を変更して1年足らずですが、2人目の出産ブームは一向に起きていません。
 政府の体制が根本的な原因であるのは明らかです。」

 国連と中国高齢化問題研究センターの予測によれば、
 2050年までに中国では65歳以上の人口は全体の約27%に達し、
10%の大幅増加を記録した2015年よりも17%も増加する見込みです。
 とくに一人っ子政策と数十年来続いている都市部への出稼ぎと二重の影響を受けている農村部は、大変厳しい状況にさらされています。




●中国の高齢者も激増、日本より悲惨な中国の高齢化、有本香、福島香織が解説
Published on Oct 21, 2016




●富坂聰★中国の高齢化問題は日本の比では無い! #富坂聰
Published on Oct 18, 2016




●【福島香織】衝撃!中国の少子高齢化の原因と経済影響解説!2016年11月
Published on Dec 27, 2016





●中国崩壊!高齢化社会の現実がヤバイ!一人っ子政策の弊害と問題点とは?日本と比較した結果・・・
Published on Jul 19, 2015

2017年6月27日火曜日

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●文在寅の賃金公約で『3年以内の経済破綻が確定する』凄まじい展開に
Published on Jun 26, 2017




●【韓国崩壊2017年6月27日】文在寅が「3年以内の経済破綻が確定する」賃金公約をする破滅的な展開に
Published on Jun 26, 2017








「ハリボテ空母」写真への怒り:メンツをつぶされた習近平の怒りか

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6/27(火) 7:00配信 NEWS ポストセブン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170627-00000004-pseven-cn

中国の日本人拘束 
背景に「ハリボテ空母」写真への怒りも


●ジャンプ台のような船首部が特徴(写真:共同通信社)

 「違法な活動をした疑いで日本人6人を調べている」──5月22日、中国外務省は、今年3月下旬に千葉県内の地質調査会社社員など、計6人の日本人を中国当局が拘束したと発表した。
 彼らは全員、中国企業から依頼を受けて温泉探査のため訪中した“一般人”だった。

 中国は2014年に反スパイ法を制定して取り締まりを強化。
 2015年以降、「スパイ行為に関与した」として中国側が逮捕した日本人は計5人いるが、今回の拘束がこれまでと違うのは、容疑が明らかにされていないことだ。
 『習近平の「反日」作戦』の著者でジャーナリストの相馬勝氏が言う。

 「この6人は明らかにスパイではない一般人と考えられます。
 彼らが拘束されたのは中国の山東省や海南省で、両省には中国海軍所属の潜水艦や空母が拠点とする軍港などがある。
 実はこの近辺は今年に入り、警備が強化されていました。
 その理由は、日本のマスコミによる報道でした」

 昨年12月10日、大手通信社の共同通信が〈中国が遼寧省大連で建造している初の国産空母の船体と艦橋(ブリッジ)がほぼ完成〉していると報じた。
 記事とともに同社が入手したとされる建造中の空母の写真も加盟社に配信、産経新聞などが掲載したが、これが“虎の尾”を踏んだというのだ。
 写真は計5枚で、仕上げの塗装工程に入った船体部や空母の全貌を捉えたものもあった。
 いずれも高精細のデジタル画像で、秘密のベールに包まれてきた中国の国産空母を白日の下に晒したという意味ではスクープ写真といっていいだろう。

 これに過敏に反応したのが中国メディアだった。
 中国の最大手ニュースサイト「新浪」は、その3日後に〈日本人は軍事スパイだ〉のタイトルで記事を配信。
 その中で〈共同通信による写真盗撮行為は、中国の海軍力増強に対する日本の不安の裏返しだ〉と非難した。

 12月28日には、中国人民解放軍・総政治部傘下の『中国国防報』が一面で追撃。
 〈中国空母の鮮明な画像が日本から流出〉との見出しのもと〈空母の外観はもちろん構造や艦橋、配備されている武器まで写っていた。
 (中略)空母とは国家の要である。
 中国で空母を違法に撮影することは厳しく禁じられている〉と強く批判した。

 前出の相馬氏が言う。
 「共同通信の記事配信後、海軍基地のある中国各地で当局による監視体制が強化されました。
 この“戒厳令”によって、6人の無関係な一般人が拘束に繋がった可能性は高い。
 もちろんこれは習近平主席の厳命によるものでしょう。
 それほど、写真は中国にとって痛手だったということです」

◆スキージャンプ式

 すでに中国は初の空母となる『遼寧』を2012年に就役させている。
 現在、建造中の国産空母は習近平が国策に掲げる「海洋強国」建設に向け、機動力を確保する点から重要なオプションと見られている。
 2020年頃の就役を目指しているが、詳細な情報は公表されていなかった。

 判明しているのは、排水量約5万トン(『遼寧』は約6万7000トン)。
 最高速度は遼寧より10ノット速い31ノットとされる。
 最大の特徴は船首部に傾斜がついたスキージャンプ式の甲板である。
 実はこの甲板に怒りの導火線が隠されていたのだ。

 中国問題に精通するジャーナリスト・富坂聰氏の解説だ。
 「建造中の国産空母は甲板で高圧蒸気やリニアモーターなどにより艦載機を発進させるカタパルト(射出機)を備えておらず、そのためスキージャンプ式にして艦載機を離陸させる設計になっています。
 カタパルトは現代空母の最新装備といえるもので、米国やフランスなどの海軍が装備しています。
 つまり、中国が今作ろうとしているのは、米空母と比べるとはるかに見劣りのする旧式型なのです」

 中国の過敏ともいえる反応は、最新の軍事技術が漏れるのを恐れたというより、「時代遅れのハリボテ」である事実を、日本メディアにいち早く公にされたことに対する怒りだったようだ。
 ただし中国側の剣幕に外務省は大慌てだったという。

 「今年1月、共同通信記事に対する中国側の怒りを岸田外相に報告した。
 それを受けて大臣は、中国国内の在留邦人に向けて注意情報を出すように指示したが、実際に伝達されたのは公安当局の関係部署までで、一般の在留邦人には情報が届かなかったようだ」(外務省関係者)
 この間、国産空母の写真はネット上で拡散し続け、中国側はますます態度を硬化――ついに3月の邦人拘束に至ったと考えられる。
 外務省に、一連の日中の報道合戦による影響や拘束された6人の状況などを訊ねると、こう回答した。
 「報道については承知しているが、日中の外交ルートでは様々なやり取りが行なわれている。その一々について申し上げることは差し控える。
 (6人は)邦人保護の観点から適切に支援している」(報道課)

 前出の富坂氏が言う。
 「米国と肩を並べる最新鋭空母は建造できなくても、国産空母が就役するだけで周辺のアジア諸国に威圧と牽制を加えることができる。
 今後、中国が海洋進出を進めるなかで日本をはじめ周辺国との摩擦が増える可能性は高い」

 メンツを潰されただけで民間人を拘束する。
 短気な隣人との付き合い方は相変わらず難しい。

※週刊ポスト2017年7月7日号







2017年6月26日月曜日

低欲望社会へ:成長経済は日本では遺跡に過ぎなくなりつつある

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 日本が経済成長に背を向けてから20年が経つ。
 これを「失われた20年」と人は呼ぶ。
 ところが、日本の経済はまるで衰えていない。
 一部の経済学者は日本では成長経済学は終わり、定常経済の時代へ入っているという。
 人間側からみると、欲しいものはとりたててない。
 「車、軽で十分」「衣料、ユニクロでいい」「日常品、100円ショップで満足」
 日本は低欲望社会に入ったという。
 欲しいものがないほどに豊かな社会が実現されてしまった
ということになる。 


Record china配信日時:2017年6月26日(月) 14時50分
http://www.recordchina.co.jp/b182369-s0-c30.html

日本は低欲望社会へ突入!?
「中国の庶民は、欲望はあるがお金がない」―中国ネット

 2017年6月26日、中国メディア・新財富雑誌が日本は低欲望社会へと突入するとする記事を掲載した。

 「低欲望社会」とは、
 物価がいくら下がっても消費が刺激されず、
 経済が明らかに成長していても銀行の利率は低いままで、
 30歳までにマイホームを購入する人の割合が下がり続け、
 若者は自家用車の購入に興味がなく、
 ぜいたくをするとあざ笑われてしまい、
 オタク文化が流行し、
 三食を簡単に済ます
ような社会のことを指すという。

 日本が低欲望社会となっている理由について、
★.社会が急速に発展した後の成熟した段階に入ったこと、
★.日本の税収政策、
★.日本社会独特の伝統文化
などがあると分析した。

 これに対し、中国のネットユーザーからは
 「ある程度物質的に豊かになると無欲になるものだ」
 「これってわが共産党が言っている共産主義社会のことじゃないのか」
などのコメントが寄せられた。

 また、
 「中国の庶民は、欲望はあるがお金がない」
 「中国人の苦痛の原因は欲望だ。
 そして欲望はメンツと虚栄心からきている」
というコメントもあり、どうやら今のところ中国人は低欲望とは無縁のようである。

 しかし、
 「なんだか中国も将来はこうなるような気がする」
という意見や、
 「食べ物がさっぱりし過ぎているからじゃないのか?」
 「生活がゆったりし過ぎているんだよ」
などの理由を挙げるユーザーもいた。

時速400キロ:大丈夫? 振動疲労を甘く見てはいないだろうか

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Record china配信日時:2017年6月26日(月) 14時17分
http://www.recordchina.co.jp/b182348-s0-c20.html

新たな高速鉄道車両がお目見え、復興号と命名=最高時速は400キロ―中国



 2017年6月25日、央視新聞によると、中国の新たな高速鉄道車両は「復興号」と命名された。

 中国鉄路総公司が主導して開発し中国が完全に知的所有権を保有、世界最先端レベルの技術を持つ高速鉄道車両が完成した。
 25日、車両は復興号と命名され、最高時速400キロ、運行時速350キロという性能がある。

 同車両はまず北京・上海間高速鉄道に投入される。
 今後はさらに多くの路線に投入される見通しで、旅客に新たな選択肢を提供するものとなる。
 また、中国鉄路総公司は今後、マーケットのニーズに応じて、より運行時速の低い車両の開発を進めるという。



環球網配信日時:2017年6月26日(月) 20時20分
http://www.recordchina.co.jp/b182457-s12-c30.html

最新版の中国高速鉄道車両「復興号」、
北京−上海間でついに運行開始―中国メディア

 中国が完全に自主性を持つ知的財産権を用いて開発された中国基準の高速鉄道車両「復興号」が26日、北京と上海をつなぐ高速鉄道で正式に運行を始めた。
 中国新聞網が伝えた。

▼「復興号」の実力は?―完全な知的財産、中国の基準が84% 

 中国鉄路総公司が先頭に立って開発し、完全な知的財産権を持つ、世界の先進レベルの「中国基準」高速鉄道車両が25日、「復興号」と命名された。
 26日、「復興号」は北京―上海間の高速鉄道の両端である北京南駅と上海虹橋駅から出発した。それぞれの番号は「G123」「G124」である。

 「最新版の中国高速鉄道車両」と呼ばれる「復興号」は2012年から開発を始め、2014年に設計が完成、2015年運行試験が行われ、今年、正式に披露された。

 中国の国家基準と業界基準、中国鉄路総公司の基準が大量に使用されていることが「復興号」の最大の特徴だと言われている。
 254に上る重要な基準の中で、中国の国家基準が84%を占めている。
 さらに、全体設計や車体、ステアリング、けん引、ブレーキ、ネットワークなどのコア技術は中国で開発され、完全な知的財産権を持つ。

▼「顔面偏差値」は?―2種類の車両、より優雅なデザインに 

 「復興号」は「CR400AF」と「CR400BF」という二つのタイプを持っている。
 よく知られている「和諧号」に比べ、「復興号」は新しい低抵抗流線型の先頭と滑らかな車体デザインを使い、より優雅な見た目となった。
 そのほか、「復興号」は「CRH380」シリーズの列車より空気抵抗が7.5%〜12.3%下がり、時速350キロの場合は、100キロメートル当たりのエネルギー消費量が17%前後減少し、より「省エネ」なシステムになった。

▼スピードは?―実験時の時速は400キロ以上 

 「CR」は中国鉄路総公司の英語名の略称であり、新型の高速鉄道車両の規格はいずれも「CR」を使う。
 上述の「CR400AF」と「CR400BF」の中の「400」は速度を示すコードであり、該当列車の実験時速が400キロ以上に達することができることを意味している。
 持続的な運行でも350キロを出すことができる。

▼安全性は?―約2500個の観測スポットが全方位で即時に観測 

 スピードが速いのは明らかだ。
 では、安全性はどのように保障するのだろうか?
 報道によると、安全を確保するために、「復興号」には2500個の観測点が備わっている。
 ベアリングの温度、冷却システムの温度、ブレーキシステムの状態および客室の環境を全方位で観測することができ、異常があれば、自動で警報を鳴らしたり、減速や停車などの措置を取ることができる。
 特筆すべきは遠隔データを通して車両の状態を即時に把握し、観測、遠隔メンテナンスを実施することができる点だ。
 車両先端と接続部には特別な装置が増設され、低速運行中に衝突が起きた場合に車両の防護能力を高めることができるのだ。

▼「和諧号」からの変化は?
 ―設計寿命がより長く、車内に無料WiFiと充電設備を完備 

 上述したような外見上の違いの他に、「復興号」は設計寿命、車内空間と快適性の面でも大いに向上している。
 報道によると、中国の広大な国土面積、プラスマイナス40度の気温、長距離運転、高強度運転の需要を満たすために、「復興号」は60万キロメートル(ヨーロッパ基準より20万キロ長い)の試験走行を行った。
 その結果、車両の性能指標は大いに高められ
 設計寿命も「和諧号」の20年よりも10年間延び、30年に達した。
 また、「復興号」は車両高度が4050ミリまで高くなり、車内空間は広くなり、車内はより静かに、座席幅も広くなった。
 注目されていた充電とWiFi問題についても改善された。
 報道によると、乗客はいつでも車内で充電コードやWiFiに接続することができるほか、照明制御モードを通して光の明るさをコントロールでき、またトンネルを通過する際の耳への影響も大いに減少した。

▼「復興号」未来の発展は?―中国高速鉄道の海外進出の促進へ 

 中国鉄路本社の担当者はメディアの取材に対し、「復興号」が北京―上海間高速鉄道で先行して運行開始されるのは高速鉄道運営の品質のさらなる向上および中国高速鉄道の国際ブランドの構築に重要な模範的効果を及ぼすためだと答えた。
 次のスデップは、旅客需要に基づき、北京―上海間高速鉄道の輸送潜在力をさらに発揮し、「復興号」の優秀な性能を示し、乗客にさらなる快適な旅行体験を提供することだと語った。

 中国鉄路総公司総エンジニア長であり、中国プログラミング学会員の何華武氏はメディアに対し、完全に自主的な知的財産権を持っている一連の中国標準の高速鉄道はインドネシアの高速鉄道プロジェクトに利用され、「復興号」が中国高速鉄道の海外進出の主力となることを明らかにした。

(提供/環球網・編集/インナ、黄テイ)
※本記事はニュース提供社の記事です。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



Record china配信日時:2017年6月28日(水) 15時40分
http://www.recordchina.co.jp/b182783-s0-c20.html

中国高速鉄道「復興号」
いきなり大失態?
デビュー翌日に「49分遅れ」―中国メディア

  2017年6月28日、中国で26日に運行を始めた高速鉄道の新型車両「復興号」。
 習近平(シー・ジンピン)国家主席が掲げているスローガン「中華民族の偉大な復興」から命名され、中国が完全に知的財産権を持ち、最高時速350キロで北京と上海を結ぶこの期待の新型車両で、デビュー翌日に49分間の遅れが生じたと報じられている。

 中国メディアの封面新聞によると、27日、北京南駅発のG123列車が49分遅れて上海虹橋駅に到着した。
 上海鉄路局によると、北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道ではこの日、複数の便で最大59分の遅れが生じていたという。

 G123の遅延は、天津から福州に向かっていたG329の遅延の影響を受けたものだ。
 関係者は
 「高速鉄道で遅延が発生するのは普通のこと。
 G123の遅延は明らかにとばっちりだ」
と説明している。







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中国のJ−10B戦闘機:「国際アーミーゲームズ2017」へ参加

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人民網日本語版配信日時:2017年6月26日(月) 1時0分
http://www.recordchina.co.jp/b182197-s10-c10.html

中国のJ−10B戦闘機、世界の先端戦闘機と技を競う―中国メディア


 空軍の申進科報道官は21日、「国際アーミーゲームズ2017」の種目「航空ダーツ」の見所の1つとして、中国の殲10(J−10)B戦闘機が初参戦し、世界の先端戦闘機と技を競うことを明らかにした。
 新華社が伝えた。

 殲10Bは公開されることが少ないものの、広く知られている。
 中国空軍八一アクロバット飛行隊が国際的な舞台に頻繁に登場するにともない、パフォーマンス機である殲10Bもまばゆい「中国の名刺」となった。

 2016年11月の中国珠海国際航空ショーで展示された殲10Bは、メディアの焦点となった。
 殲10Bは殲10より性能が大幅に向上しており、第4世代戦闘機による中国領空防衛の主力になるというのがメディアの一致した見方だ。

 中国空軍が公表した情報によると、殲10Bは中国が独自開発した全天候型・超音速多用途戦闘機であり、制空権奪取、近距離空中火力支援、対地・対艦精密攻撃などの任務を主に担う。
 また、殲10Bは各種中近距離空対空ミサイル、空対地ミサイル、レーザー誘導爆弾、各種航空爆弾、ロケット弾などを搭載でき、離着陸能力と機動能力に優れ、全天候条件下の空対空戦闘、ミサイル攻撃能力を備える。

(提供/人民網日本語版・編集NA)
※本記事はニュース提供社の記事です。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。







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2017年6月25日日曜日

過剰人口と高齢化(2):都市化の嵐

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人民網日本語版配信日時:2017年6月24日(土) 21時50分
http://www.recordchina.co.jp/b181841-s10-c30.html

東京、ニューヨーク、北京…、
人はなぜ都市に集まるか―中国メディア

 大勢の人が比較的狭い地理的空間に集まり、一定基準の人口密度を上回ると、そこは「都市」と呼ばれるようになる。
 目を見開いてじっくり眺めると、こうした変化の動きは世界のどこでもいまなお増えることはあっても減ることはなく、都市化の大きな流れをくい止めることはできない。新華社が伝えた。
 (文:周其仁・北京大学国家発展研究院教授)

 世界のどこでも、人々が都市に集まりたがるのはなぜかと質問されたとしよう。
 文化や文明に関する理由はよくわからないが、経済面での原動力ははっきりと見て取れる。
 都市はより多くの収入を生み出すから、という理由だ。

 2010年に東京を訪れたことがある。大都市東京の人口密度はかねてより印象深いもので、日本の国土面積のわずか4%に人口の25%が集まっていた。
 だがこの世界トップクラスの大都市は経済の集積度がより高く、この都市の東京の一人あたり平均GDP(国内総生産)は7万2000ドル(1ドルは約111.5円)に達し、日本の全国平均を67.4%上回った。
 計算すると、大都市東京だけで日本の生産額の40%を生み出したことになる。

 他の大都市は東京のようにはならないのだろうか。
 04年の統計では、大阪は日本の人口の1.6%を占め、経済(GDP)は4.1%を占める。
 ロンドンは11.8%の人口に13.3%の経済、
 ニューヨークは2.3%の人口に3.5%の経済
が集まる。
 世界銀行のロバート・ゼーリック元総裁は、
 「エジプトの人口の35.7%が国土面積の0.5%しかない首都カイロに集中するが、生み出すGDPは全国の半分以上になる」
という極端なケースを紹介する。

 ほぼ一世代にわたる研究の成果によると、「よりバランスのとれた成長」を志向する人がどれくらいいるかに関わらず、世界のあちらこちらの事例から、
 人々の経済活動に内容された論理とは流動の中で集まり、また流動し、また集まり、人口、経済、冨が地理的には面積の相対的に小さな各地域に集中していく
というものであることがわかる。

 「都市化」とはこういうことだ。
 都市はいつも人口密度で定義されるが、人々が好むと好まざると同じく都市に集中するのはなぜかといえば、経済の集積度が人口の集積度を上回るからだ。
 このように考えてみよう。
 初めは安全性やそれに付随する理由が人口の集積を促したかもしれないが、人々は人口の集積が経済成長にプラスになり、人が集まって一カ所に固まると収入増加にプラスになり、集積と最集積という経済成長のエンジンが動き出すことに気づいた。

■▽経済集積度と人口密集度の関係

 経済の集積度が人口の密集度を上回ると、超えられないカベでもない限り、さらに多くの人口が集まることは確実だ。
 東京の場合、現地の関係者に聞くと、すでに30年前に、この日本一の大都会は人口が多すぎる、土地が狭すぎる、負荷が受け入れ能力を超えていると嘆く人々が大勢いた。
 関連の法律や政策が施行され、長年にわたって「東京の分散化」や「よりバランスのとれた成長」という構想が推進された。
 だが数十年後の今、集積度は引き続き上昇している。
 分散しては東京の最大の魅力が発揮されないからで、「東京への集中プロセス」の流れはもはやくい止めようがない。

 その道理はシンプルだ。
 拡散・バランス政策によるはたらきかけをしても、東京の経済密度は引き続き人口密度より高く、一人あたり平均GDPは全国平均を70%近くも上回るからだ。
 つまり、東京に引っ越せば、所得水準も上がるということだ。
 人は高いところを目指すものであり、これをくい止めることはできない。
 東京の高い密度が生活コストと生産コストを引き上げていることは確かだが、利害得失を考え、軽重をはかり、当事者たちは何がいいのかはっきりわかっている。

 東京都の各レベル政府と都市計画の専門家たちもこうした現象を認めており、人々を低い方へ押しやることはできない。
 経済の規律が促せば、人々は喜んで集まり、よりよい集積環境を生み出すのは当然のことだ。
 10年10月に東京で会議に出席した際、主催者が企画した空中観光に参加した。
 ヘリコプターで中心部にあるビルの屋上を飛び立ち、空から東京の様子を眺めた。
 いくつもの高層ビルの屋上で工事が行われており、たくさんの工作機械が忙しそうに立ち働いていた。
 たずねたところ、「空中都市庭園」を作っているという答えが返ってきた。
 大都会の密度がさらに高まり、近代都市計画の祖と呼ばれる英国のエベネザー・ハワードが提唱した「田園都市」の理想がこんなに高い場所で実現することになるのだ。

 人口の集積は経済の集積を押し進め、人口のさらなる集積を促すというのが、都市化の動態プロセスだ。
 ここからわかることは、北京、上海、広州が経済面で引き続き絶対的な上位にあれば、人口の集積が長期的にわたって続き、他の都市も経済成長によってより多くの人材を誘致すれば、将来はこうした相互に推進し合う関係が都市間の経済発展をよりバランスのとれたものにしていくということだ。

(提供/人民網日本語版・編集KS)

※本記事はニュース提供社の記事です。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

2017年6月24日土曜日

日本「民泊」解禁:でホテル不足緩和へ

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ニューズウイーク 2017年6月23日(金)19時21分 長嶺超輝(ライター)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/post-7855.php

民泊新法の目的は、東京五輪対策ではなく地方活性化!?

<2020年の五輪開催を控え、宿泊施設不足が深刻な東京。
このたび民泊の規制緩和を可能にする新法が成立したが、その目的は五輪と関係ないところにありそうだ>

 6月9日、住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立した。
 これは一体、何を目的とした法律なのか。
 そして日本の民泊はこの新法でどう変わるのだろうか。

くだんの新法は、冒頭でその「目的」を語っている。

>>>>>>>>
◆住宅宿泊事業法 第1条(目的)
この法律は、我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況に鑑み、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制度並びに住宅宿泊管理業を営む者及び住宅宿泊仲介業を営む者に係る登録制度を設ける等の措置を講ずることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。
<<<<<<<<<

 このタイミングでできた法律であるのだから、やはり東京五輪の開催に伴い、首都圏で高まる「宿泊に対する需要」に応えたいのだろうか。
「観光立国」を目指す日本は、東京五輪が行われる2020年までに年間4000万人の外国人観光客の誘致を目指している。
 実際、2012年まで年間数百万人単位で推移してきた訪日観光客数が、2016年には2400万人以上に跳ね上がっており、目標達成も現実味を帯びてきている。
 このような外国人観光客の急増を「第二の開国」と呼ぶのも、あながち大げさな表現ではなさそうだ。

【参考記事】東京は泊まりやすい? 一番の不満は「値段」じゃなかった
【参考記事】日本「民泊」新時代の幕開け、でも儲かるのは中国企業だけ?

 そこで懸念されるのが、宿泊先の不足である。
 3年後に五輪開催を控える都内では特に、高級ホテルからビジネスホテルまで建設が急ピッチで進められているが、より多様な客層を取り込むべく、リーズナブルな料金で泊まれる施設も確保しておかなければならない。
 
 そうした事情を背景に、自分の所有・管理している部屋を有償で貸し出す「民泊」への注目が高まっているわけだが、
★.今までは民泊を行う場合、東京都大田区などの民泊特区でない限り、旅館業法の「簡易宿所」として都道府県知事の許可を得る必要があった。

 簡易宿所はホテルに準ずる位置づけなので、フロントを設置する義務が課されている。
 普通のマンションの一室を貸し出すような民泊では、物理的にも人手の面でもフロントを置くのはハードルが高く、現実的ではないとされていた。
 そこで、国は昨年、簡易宿所のフロント設置義務を原則的に廃止
 実上の民泊規制の緩和であり、このたびの民泊新法の布石でもあった。

 新法成立により、今までは特区でしか認められなかった民泊事業が、来年から全国で解禁される。
 ワンルームマンションや少人数向けで人気のAirbnbや、一軒家や別荘、多人数向けに強みがあるHomeAwayなど、民泊仲介事業も本格的に加速していくことになる。

【参考記事】東京五輪まであと4年、「民泊」ルールはどうする?

■「年間180日」上限と自治体ごとのルールの違いがネックに

 ただ、これで東京五輪対策が盤石かというと、そうとも言い切れない。
 民泊新法によって、自分が所有する部屋を民泊として貸し出せるのは「年間180日」という上限が設けられた。
 既存のホテル業界との兼ね合いで、民泊事業が外国人観光客を奪いすぎないよう、全体のバランスを取る趣旨である。
 もし年間180日を超える民泊を行えば、旅館業法違反として処罰の対象となる。
 出張などで不在にすることが多い部屋を民泊用に他人に貸し出すぶんには、年間180日もあれば十分だが、民泊事業を割の良い不動産賃貸として投資目的で利用しているオーナーは、撤退を余儀なくされるかもしれない。

 たとえば、家賃10万円の部屋を1泊5000円で民泊に提供すれば、30日間フル回転できたとして月5万円の粗利が生まれる。
 ただ、年間の半分以下しか民泊に提供できないのなら、宿泊料を相当引き上げない限り、事業として成り立たなくなってしまうからだ。
 もちろん、宿泊料を上げれば集客に苦しむリスクも伴う。
 もともと、どのような人が地域に出入りするのかを読み切れない民泊への抵抗感が根強い自治体も各地にある。
 「おもてなし」という建前と、「漠然とした不安」という本音が交錯しているのであろう。

 実際、国が昨年、簡易宿所のフロント設置義務を撤廃した後も、東京都台東区など、依然として条例でフロント設置義務を課している自治体は少なくないし、長野県軽井沢町に至っては、町内全域で民泊施設の設置を認めないと明言している。

 国の方針とは別に、地域の情勢を加味して、それぞれの自治体が独自にルールを作れることは、地方自治の核心であり、それ自体に問題はない。
 ただ、東京都心における民泊への賛否の濃淡が自治体によってまちまちであれば、民泊事業者はルールを把握して遵守することを敬遠するだろうし、国の設定した「180日ルール」を守っていれば、民泊専用の投資物件は経営的に厳しくなる。
 結果として、今後も「違法民泊」を黙認しない限り、外国人観光客の宿泊需要に対応しきれない事態にもなりかねない。

■地方には民泊に活用できる空き家・空き別荘がたくさんある

 だとすれば、民泊新法は東京五輪対策というより、むしろ、空き家や空き別荘が休眠している地方を活性化させる目的で作られたものと考えるべきではないか。
 ニッセイ基礎研究所のレポートによれば、空き家は数としては大都市圏が多いものの、2008~2013年の増加率をみると地方でも高い県がみられる。
 地方では特に一戸建ての空き家の増加傾向が顕著で、中部や中国、九州などでその傾向が強いようだ。

 2013年現在、日本の空き家数は約820万戸で、家屋全体の13.5%を占め、過去最大の割合となった。
 各地では「空き家対策条例」が制定されている。持ち主各自で空き家を責任をもって維持管理するよう義務づけ、もし倒壊などの危害が生じるおそれがあれば、自治体が勧告や措置命令を出せる。
 おおむねそういった内容だ。

 ただ、持ち主が不明、あるいは曖昧なまま放置されていて、倒壊の危険だけでなく、不気味な外観となったり異臭を放ったりする空き家も少なくない。
 かといって憲法で私有財産制が保障されている国である以上、役所が空き家を撤去する場合には、行政代執行で極めて慎重に実行しなければならない。

 大半の地方コミュニティが頭を抱えている、厄介な課題。
 それが空き家である。
 もしも、固定資産税を支払うだけのお荷物になっている空き家を、民泊に活用できるのであれば、地方へ足を延ばす観光客の増加に寄与し、彼らの目を通して魅力的に映る観光資源が各地で次々と掘り起こされるという期待も生じる。

 羽田や成田に降り立って来日した外国人たちに、「東京だけ見て帰ってはもったいない」と思わせるに足りる観光地が日本各地にある。
 つまり、地方の観光を盛り上げるのに、民泊事業はひとつの鍵を握っているのではないか。
 LCC(格安航空会社)や高速バスなどとも連携できる。

 欧米を中心に「自然を克服する文明」を背景に持つ人々にとって、
 日本のような「自然と共存する文明」は、きっと新鮮に映るだろう。
 富士山が世界自然遺産でなく世界文化遺産として登録されていることも象徴的だ。
 むしろ、日本という唯一無二の文化圏の個性は、日本人よりも外国人のほうが気づきやすいに違いない。
 素朴な民泊ホストが、日本家屋で温かく出迎えて、日本人と外国人がお互いに敬意を持って交流し合い、民泊と旅館業が共存共栄していく未来は、きっと21世紀にふさわしい美しさを放つはずだ。

[筆者]
長嶺超輝(ながみね・まさき)
ライター。法律や裁判などについてわかりやすく書くことを得意とする。1975年、長崎生まれ。3歳から熊本で育つ。九州大学法学部卒業後、弁護士を目指すも、司法試験に7年連続で不合格を喫した。2007年に刊行し、30万部超のベストセラーとなった『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の他、著書11冊。最新刊に『東京ガールズ選挙(エレクション)――こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』(ユーキャン・自由国民社)。ブログ「Theみねラル!」



人民網日本語版配信日時:2017年6月23日(金) 23時0分
http://www.recordchina.co.jp/b182162-s10-c20.html

日本が「民泊」解禁
ホテル不足緩和へ、カギは信頼感―中国紙

 ラグビーワールドカップ2019年と2020年夏季オリンピックという2大イベントの開催を控え、日本政府はこのほど住宅の空き部屋に旅行者を有料で宿泊させる民泊を規範化する「住宅宿泊事業法案」(民泊新法案)を正式に可決した。
 これは数多くの民泊プラットフォームを事実上「解禁」するもので、民泊が合法化されたことになる。
 日本政策投資銀行の試算では、2020年までに日本を訪れる外国人観光客は4000万人に達する。
 ホテルなどの宿泊施設が深刻な供給不足にある中、民泊が危機状態を緩和する重要なパワーになる可能性がある。人民日報が伝えた。

 2年前、調査会社ニールセンが60カ国のネットユーザー30万人以上を対象に調査を行ったところ、アジア・太平洋諸国の回答者の78%がシェアリングエコノミーに強い意欲を示した。
 実際、過去12カ月間に、観光客で管理のグレーゾーンにある民泊サイト・エアビーアンドビーを通じて日本での宿泊先を予約した人はのべ500万人に上った。
 日本メディアの予想では、今回の法案可決は性急な感があるのは否めないが、法律の保護と指導があれば、民泊への信頼感が向上し、民泊事業はこれからより大きな発展を迎えるという。

 米経済誌「フォーブス」の指摘によると、「シェアリングエコノミー(共有経済)の未来は信頼感がカギになり、信頼感はこの急成長する経済モデルの潤滑油だ。
 今の人気ぶりに比べ、シェアリングエコノミーが登場したばかりの頃は評価する人は少なかった」という。
 米誌「ニューヨークマガジン」は、
 「シェアリングエコノミーの成功は別の選択肢がないから、実体経済がずっと低迷しているからといった理由が大きく、人々はお金を節約し稼ぐためにシェアリングエコノミーの行列に加わる。
 これは信頼感とは関係ない」
との見方を示す。
 米国の作家の故E.L.ドクトロウ氏はかつてシェアリングエコノミーの隆盛を、
 「インターネットの信頼システムの偉大さによるものではなく、多くの人が詐欺師でないことによるもの」
と皮肉った。

 だが人類の自覚と物品のコストパフォーマンスだけでシェアリングエコノミーの成功拡大を説明することはできない。
 実際、配車サービスのウーバーを通じて見知らぬ人の車に乗るようになり、エアビーアンドビーで初対面の人の家に泊まるようになると、かつてのような情報不足による他人への恐れといった感覚が目立って薄れていった。
 「人々がリスクを引き受けるつもりで新しい事を試そうとしたり古いやり方を変えようとしたりする」時、「信頼感の飛躍」が起こり、ネット通販からシェアリングエコノミーまで、人々は信頼感の「ホップ・ステップ・ジャンプ」を達成することになる。

 英国生まれの作家レイチェル・ボッツマン氏は著作「シェア−<共有>からビジネスを生み出す新戦略」の中で、
 「人類社会の信頼感の発展は3つの段階を経ている。
 小さい範囲での信頼感、
 機関に対する信頼感、
 今起きている分布式の信頼感だ」
と記した。
 わかりやすくいうと、原始社会の集落やその後に生まれた村落では、人々が相互に抱く信頼感は小さい範囲のもので、よく知った人同士がこれまでの交流経験から相手を信頼できるかどうかを判断していた。
 都市化が一層発展すると、人々はお金を大手銀行に預け入れ、大規模チェーン店で買い物し、権威あるメディアが発行する新聞を買うようになり、いずれも評判が高くこれまでに問題がなかった機関を信頼する行為といえる。
 インターネット時代の訪れにより、信頼感は上から下に向かうものではなくなり、不透明で一時的なものではなくなった。
 「脱中間」と「双方向性」が、信用を基礎として発展を続ける信頼感モデルの目立った特徴となっている。

 実際、多くの通販プラットフォームとシェアリングエコノミープラットフォームがこうした役割を果たしており、売買双方のために信用システムを構築し、見知らぬ人同士で取引や共有ができるようにする必要に迫られている。
 ウーバーのGPSを利用した追跡やクレジットカードの関連づけから、エアビーアンドビーの身元確認やソーシャルメディアアカウントとの関連づけなど一連の利用者データの追跡まで、信用システムは強化を続け、人々の信頼感のレベルもこれにともなって実際に上昇している。
 また仮想通貨ビットコインのブロックチェーンモデルの模索や導入、第三者信用プラットフォームの誕生発展、インターネットのセキュリティのさらなる向上に対し、各国は関連の法律による保障措置を相次いで打ち出し、社会信用システムと全体的な信頼度の向上を大きく促進する役割を果たしている。

 シェアリングエコノミーはまだ生まれたばかりで、優れたところが目立つと同時に欠点もはっきりしており、よいところを伸ばし、悪いところを補えば、社会全体に真の利益をもたらすことになる。

(提供/人民網日本語版・編集KS)
※本記事はニュース提供社の記事です。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

2017年6月23日金曜日

中国の権力闘争(2):最後の皇帝か? 習近平

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JB Press 2017.6.22(木)  川島 博之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50278

皇帝・習近平の野望とは?
中華思想が甦る中国
2017年は、習近平独裁体制が確立される歴史的な年に

 1週間にわたり中国各地を訪問して、多くの人々から話を聞くチャンスに恵まれた。
 そこで得た感触を一言で言い表せば、
★「皇帝・習近平の出現」
と要約できよう。
 1978年に鄧小平が始めた
★.改革開放路線の転換
と言ってもよい。

 毛沢東の死後、鄧小平はカリスマとして大きな指導力を発揮したが、自らが国家主席や共産党主席に就任することはなかった。
 彼の子分が党や国家の要職につき権力を分掌した。
 また、改革開放路線を押し進めた。西欧や日本と積極的に交流して技術を導入した。
 そして、貿易によって国内経済を発展させた。
 その路線によって、文革が終わった時点では数ある開発途上国の1つに過ぎなかった中国が、「G2」と称して米国と並び称される地位にまで上り詰めることができた。

■いよいよ確立される習近平独裁体制

 2017年は、改革開放路線に舵を切った1978年と共に歴史に記憶される年になるだろう。
 この秋に共産党大会が開かれて、習近平独裁体制が確立されるからである。
 それは改革開放路線の終焉を意味する。

 李克強は首相を外れて“上がり”ポストである全国人民代表大会常務委員長に就くとされる。
 また、中国共産党中央規律検査委員会書記だった王岐山も定年を理由に政治局常務委員を退く可能性が高い。

 李克強は胡錦濤をバックに共産党青年団を代表する立場にあったが、習近平との政争に敗れた。
 現在、その政治力はほぼゼロに近い。
 また、王岐山は習近平の右腕として汚職撲滅運動の先頭に立ってきたが、習近平がヘゲモニー(覇権)を確立したために、その役割を終えたと言える。
 王岐山は習近平が下方された時代に兄貴とした慕った人物であり、習近平が強い信頼を寄せる人物であるが、兄貴分であるだけに、ちっと目障りな存在でもある。
 覇権が確立された今日、定年を理由に引退していただくことが、もっとも妥当な線と言えよう。

 次の政治常務委員が誰になるか、現在時点でその名を言い当てることは難しい。
 ただ一つハッキリしていることがある。それは習近平に忠誠を誓う人物でなければ、要職に登用されないと言うことである。
 習近平が主席に就任した2012年からこの5年間、習近平派と胡錦濤率いる共産党青年団、そして江沢民に連なる上海閥が暗闘を繰り返してきたが、習近平はヘゲモニーを確立することに成功した。
 この秋の党大会は、その事実を広く世界に知らしめるものになろう。

■ますます強まる鎖国ムード

 新しく皇帝となった習近平は毛沢東を理想としているとも伝えられるが、そう考えるよりも「明」や「清」の隆盛期を再現したいと思っているとした方が的確だろう。

その外交方針の基本は、周辺国に朝貢を求めるものになる。
 一方、広く世界から新たな技術や情報を求めることはない。
★.一言で言えば中華思想であるが、中華思想は孤立主義でもある。
 冷静に考えれば、一帯一路やAIIBも、広く世界に影響力を及ぼそうとするものではない。
 せいぜい、その周辺に影響力を及ぼそうとしているだけである。

 習近平は口では一帯一路やAIIBによって国際的なプレゼンスを増すようなことを言っているが、今年に入って、通貨である“元”の国際化に関して極めて消極的な姿勢に転じている。
 国内で不動産バブルが深刻化していることから、外国と交流してリスクを高めるよりも、国を閉じた方がリスクが低くなると思っているようだ。
 しかし、そんな根性ではとても世界に冠たる帝国を築くことはできない。

 中国が鎖国ムードに転じる兆候は、ネット空間上において一層鮮明である。
 中国ではグーグルだけでなく、近年、海外のサイトにアクセスすることが難しくなっている。
 2~3年前までと比べても、海外のサイトへのアクセスは難くなっている。
 中国のネットは国内だけを繋ぐものに成り下がってしまった。
 そして、そこには当局の監視の目が光っている。

 また、温泉探査を行っていた日本人技術者がスパイ容疑で拘束されたように、「国家の安全を脅かした罪」という抽象的な要件で外国人を拘束、逮捕する事例が増えている。
 その対象は日本人だけでない。

 このようなことが続けば、外国人は怖くなって中国を訪問しなくなる。
 観光旅行も控えるだろう。日本は国をあげて観光立国に取り組んでいるが、中国はその逆の方向に向かって走り始めた。

■日本への関心は薄れていく?

 この秋に習近平による独裁体制が名実共に確立されると、この傾向は一層強くなろう。
 中国は、再び明や清のような東洋的大国に立ち戻ろうとしているが、それは“中華思想”がなせる業である。
 自分が偉いのだから、外国に学ぶ必要はない。
 そして“地大物博人多”だから、海外と交易する必要もない。

 明や清に類する帝国が出現したために、周辺国はその対応に追われることになった。
 特に韓国がつらい立場に立たされている。
 現在はミサイル防衛問題でいじめられているが、米国との関係を完全に断ち切らない限り、ミサイル問題が解決しても中国から新たな難題を押し付けられることになろう。
 それは、韓国が中国に朝貢しなければいけない国であるためだ。

歴史的に朝貢体制の中にいなかったために、日本の立場は微妙である。
 習近平独裁体制における日中関係を予測することは大変難しいが、明や清の歴史を振り返ると、中国の日本への関心は薄れていくのではないだろうか。
 このこところ、中国が名指しで日本を非難することが減っている。

 いずれにしろ、この秋の共産党大会は、中国の歴史において極めて重要な会議になる。皇帝習近平の出現、その行方を注視したい。



2017.6.23(金)  The Economist (英エコノミスト誌 2017年6月17日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50324

中国の歴史:言われているほどでもなかった黄金時代

 中国は共産党が考えている以上に長い間、欧州より貧しかった。
 これは習主席の「中国の夢」にどんな影響を及ぼすのか。

 中国の習近平国家主席は、自分自身の「中国の夢」について語るのが好きだ。何でも、「中華民族の偉大な復興」を夢見ているという。

 習氏にとっては、これは中国が共産党の指揮下で「屈辱の100年」――第1次アヘン戦争(1839~42)後の100年間に中国が見舞われた経済的惨事と外国による領土奪取のこと――以前と同じように世界で最も裕福で最も強い国に返り咲くことを意味する。

 その延長線上で考えるなら、共産党の正統性はこの復興次第ということになる。
 しかし、1839年以前の中国が世界で最も裕福な国でなかったらどうなるだろうか。
 中国が欧州より貧しかった時期が175年間ではなく675年間だったらどうか。
 それでも習主席の「中国の夢」はこれほど大きな魅力を持つだろうか。

 オックスフォード大学のスティーブン・ブロードベリー、北京大学の菅漢暉(グアン・ハンフェイ)、清華大学の李稻葵(デビッド・ダオクイ・リー)の3氏が新たにまとめた研究は、中国は実際、数世紀にわたって欧州の後塵を拝していたと論じている。

 中国、イングランド、オランダ、イタリア、日本の5カ国について、西暦1000年前後以降の1人当たり国内総生産(GDP)を推計して比較したところ、中国がほかの4カ国よりも裕福だったのは11世紀の間だけだったという。
 この頃までに中国は火薬、羅針盤、可動活字、紙幣、溶鉱炉を発明していた。

 だが、ブロードベリー氏と2人の共同執筆者によれば、イタリアは1300年よりも前に中国に追いついており、オランダとイングランドも1400年までには追いついていた。
 1800年前後には日本が中国を抜き、アジアで最も裕福な国になっていた。

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2017年6月22日木曜日

自衛隊この不思議な存在(3):「9条の2」、「わが国を防衛するための必要最小限度の実力組織」

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   これまで「解決先送り法」で辻褄を合わせてきた自衛隊だが、中国での2012年の反日デモでそれができなくなってしまった。
 解決先送り法でこのところ有名なのはオバマの北朝鮮に対する「戦略的忍耐」であろう。
 だがその結果は惨めなものであった。
 逆に日本はオバマの結果をうまく利用して、解決先送りを解消してしまおうともくろんでいる。
 北朝鮮は日本にとって「いま、そこにある危機」としてアピールしやすい。
 絶好のチャンスをつかんでいる、ということであろう。
 もし、金正恩がなんらかの形で排除されるようなことがあったら、千載一遇のチャンスを逃すことになる。
 金正恩が権力を把握しているあいだに一歩踏み出しておきたい、というのが政府の意図であろう。


ロイター 2017年 06月 22日 02:00 JST
http://jp.reuters.com/article/idJP2017062101001688

自衛隊「防衛の実力組織」

 自民党の憲法改正推進本部が、憲法9条に自衛隊の存在を明記する安倍晋三首相(党総裁)提案を踏まえ、今後の議論のたたき台とする条文案が21日、判明した。
 現行9条と別立ての「9条の2」を新設し、自衛隊について
 「わが国を防衛するための必要最小限度の実力組織」
と規定。
 戦力不保持などを定めた現行9条2項を受ける形で「自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない」と明示した。
 首相が自衛隊の指揮監督権を持つことも盛り込んだ。
 党関係者が明らかにした。

 自民党は年内の改憲案策定を目指しており、早ければ秋にも具体的な条文案を巡って公明党との調整に着手したい意向。



6/24(土) 14:47配信 時事通信
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017062400384&g=pol

安倍首相、年内に自民改憲案提出
=「歴史的一歩」に決意

 安倍晋三首相(自民党総裁)は24日、神戸市内で講演し、憲法改正について
  「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に自民党案を提出したい」
と述べ、年内提出を目指す方針を明らかにした。

 首相は9条を改正して2020年の施行を目指す意向を示しているが、今秋に想定する臨時国会への提出に言及したのは初めて。

 自民党の憲法改正推進本部は首相の指示を受け、年内をめどに改憲原案を取りまとめる方針だが、衆参憲法審への年内提出までは明言していなかった。
 首相は既に、内閣改造・党役員人事を8月上旬にも前倒しする方向で調整。
 改憲の国民投票と衆院解散・総選挙の同時実施も視野に置いているとみられ、改憲案の策定を急いで解散時期の選択肢を広げる狙いもありそうだ。

 首相は講演で
 「憲法施行70年の節目である本年中に、わが党が先頭に立って歴史的一歩を踏み出す決意だ」
と表明。
 教育も「避けて通れない重要なテーマ」との認識を示し、「人づくり、教育の重要性をもう一度確認すべき時だ」と指摘した。
 教育無償化の改憲案への明記が念頭にある。



Record china配信日時:2017年6月24日(土) 18時10分
http://www.recordchina.co.jp/b182080-s0-c10.html

支持率に陰りの安倍首相、
「応援団」は中国と北朝鮮、
日本への「風圧」が政権の求心力下支え、韓国も仲間入り?

 2017年6月23日、加計学園問題などを抱え、最新の各種世論調査で支持率に陰りものぞく安倍晋三首相。
  そんな安倍政権の「応援団」は皮肉にも中国と北朝鮮だ。
 日本への「風圧」が政権の求心力を下支えしている。
 文在寅政権の誕生で慰安婦問題が再燃している韓国も応援団に仲間入りしそうな雲行きだ。

 まず中国。
 東シナ海の沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺では中国公船による領海侵入が常態化している。
 広範な領有権を主張する南シナ海でも軍事拠点化を緩める気配はない。
 防衛省によると、昨年4月〜12月末までの間に航空自衛隊が領空侵犯に備えて緊急発進(スクランブル)した回数は838回で、前年同時期と比べて316回増えて過去最多となった。
 国別では中国機に対する発進が644回と、前年同時期から271回も増えた。

 日本人を標的にした攻勢も目立つ。
 「スパイ活動」の疑いで、この2年間に中国で拘束された日本人は12人にも上る。
 中国当局が詳細を明らかにしていないため、事の真偽は不明だが、中国網は「12人はどんな活動をしていたのか」との記事を掲載。
 「日本は最近、海外情報に力を入れるため、政府内に新たな機関を設置。スパイ活動を行うチームを拡充させている」などと敵対視している。

 核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮から吹く風はさらに強烈だ。
 今年なってからも、日本海に向けて弾道ミサイル発射を繰り返し、一部は日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾した。
 核攻撃をちらつかせながら、「有事には米国より先に日本列島が丸ごと焦土になり得る」「米軍の兵たん、発進、出撃基地になっている日本が真っ先に(核爆発による)放射能雲で覆われる」などとも威嚇している。

 安倍首相は日本を取り巻く安全保障環境の変化を理由として野党の反対を押し切り、一定の条件下で集団的自衛権の行使は認められるという14年7月の憲法解釈変更の閣議決定や、15年9月の「平和安全法制」の制定などを積み重ねてきた。
 日本に圧力を強める中朝両国の動向を目の当たりにすると一連の取り組みは説得力を持ち、日本国内のナショナリズムとも相まって政権を少なからずアシストしている。

 一方、韓国の文大統領は米紙とのインタビューで、15年末に日本との間で「不可逆的に解決」したはずの慰安婦問題について「日本政府の公式謝罪」に言及した。
 「ゴールポスト」が動く事態になれば日本国内の反発を招き、韓国に譲らない態度を取る安倍政権の追い風になりそうだ。

 安倍首相の応援団は国内にもいる。
 民進党だ。
 共同通信社が17,18両日に実施した世論調査によると、内閣支持率は加計学園問題などが響き、44.9%と前回5月から10.5ポイントも急落。
 不支持率は8.8ポイント増の43.1%になったが、支持する理由は「ほかに適当な人がいない」が46.1%と最多だった。
 NHKの6月の世論調査でも「他の内閣より良さそうだから」が50%を占めた。
 迷走を続けた旧民主党政権3年間のツケは大きい。

中国は今(5):外資撤退がもたらす「失業の嵐」そこにメリットはあるのか

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サーチナニュース 2017-06-22 07:12
http://news.searchina.net/id/1638262?page=1

外資撤退がもたらす「失業の嵐」
・・・そこにメリットはあるのか=中国

 世界の工場として、世界中のメーカーが進出していた中国だが、近年は人件費の高騰などを背景に、中国から工場を東南アジアなどに移転する動きが進んだ。
 外資メーカーの工場は中国にとって雇用の受け皿となってきたため、撤退は雇用の喪失につながると懸念が高まっている。
 
 中国メディアの今日頭条はこのほど、中国から外資企業が相次いで撤退していることについて、
 「中国で失業の嵐がかつてないほど吹き荒れている」
と伝える一方、長期的に見れば外資の撤退は中国にとって悪いことではないと主張する記事を掲載した。
 
 記事は、中国でも広く知られた日本企業が相次いで撤退したり、欧米のメーカーが中国国内の工場を閉鎖したりする動きが見られると紹介し、中国国内では外資撤退に対して懸念が高まっていると指摘。
 
 さらに、中国経済の成長率が鈍化し、中小企業が不景気に喘ぐなか、外資撤退は確かに中国経済にマイナスの影響を及ぼすものであり、ただでさえ税収の伸びが鈍化しているのに、外資が撤退すれば地方政府の税収はさらに減少することになると論じた。
 
 一方で、外資撤退は必ずしも悪いことばかりではないとし、各メーカーは今後、中国で製品を販売するためには輸送費をかけて中国に製品を持ち込まねばならず、コスト競争で不利になるため中国国内における中国製品の競争力が相対的に向上すると指摘。
 また、外資企業で働いていた優秀な人材が中国企業に流れることになるため、中国企業の経営力も向上することになると主張した。
 
 また、外資が中国から撤退するのは、
 中国の人件費や物価、不動産価格の高騰や環境汚染といった問題が背後にあるのは事実であり、
 外資撤退は中国政府に対策を取るよう促すことにもつながると指摘。
 中国が今後、ハイテク企業を誘致するためには、
 投資環境をめぐる諸問題を解決する必要があると指摘し、
 外資撤退は現在の中国に「失業の嵐」という問題をもたらしているが、長期的に見ればメリットも多いと指摘している

 「落ち目のいいわけ」というか「やせ我慢のつっぱり」というか、そんな風にみえる。


6/25(日) 6:07配信 朝鮮日報日本語版
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170623-00001578-chosun-kr

【コラム】中国の最低賃金引き上げに見る価格統制の問題点

 2012年夏、中国・吉林省にある韓国系の中小企業を訪れた。
 当時中国では最低賃金引き上げの動きが盛んだった。
 大都市の住宅賃貸料と物価上昇で都市に移住した農村労働者の生活環境が悪化すると、2010年から官営メディアは「最低賃金を大幅に引き上げるべきだ」という報道を展開した。
 これを「党中央」の方針と受け止めた地方政府は毎年最低賃金の引き上げ競争を展開した。
 1年で30%以上引き上げた地方もあった。

 この中小企業の社長に「人件費のせいで苦しくないか」と話しかけたのだが、答えは意外なものだった。
 「全然心配していない」というのだ。
 この企業が位置する都市の市長と投資誘致局長が外資系企業の代表と会うたびに、
 「上の方針なので最低賃金を引き上げているが、違反しても取り締まらない。雇用を減らさないでほしい」
と懇願されたという。

 中国の大都市における勤労者の賃金は、2004年から毎年上昇している。
 10年からはペースが急になった。
 1980年に始まった一人っ子政策で労働市場に流入する若者が増えなくなったことが一因だった。
 内陸への投資が活発化し、農村労働者があえて沿海部の工業地帯まで出てこなくても、故郷の近くで働き口が見つかることになった点も重要な理由だった。
 人材需要はあるが労働力の供給は足りないので、都市労働者の賃金は自然に上昇した
 中国政府の最低賃金引き上げはそうした流れに乗った側面がある。

 毎年上昇する最低賃金には副作用が少なくない。
 最低賃金を守らない企業が続出したほか、名目上の最低賃金を支給し、巧妙に労働時間を増やす脱法もはびこった。
 地方政府にはそれを取り締まる意思も余力もなかった。
 雇用規模が大きい沿海部の大企業は、雇用を減らし、ロボット導入で生産を自動化する方向へと向かった。

 見かねた中国社会科学院は15年の報告書で、「最低賃金は低賃金勤労者を保護するための制度であって、所得分配の手段ではない」とし、最低賃金引き上げには慎重になるべきだと政府に勧告した。
 政府は賃金の下限を定めたり、生活必需品の価格に上限を定めたりすることを価格統制という。
 政府にとっては価格統制は常に魅力的なカードだ。
 統制で恩恵を受ける大衆は歓呼し、当面は問題が解決されたように見える。
 しかし、市場の流れに逆行する価格統制は持続不能で、逆効果を生みかねない。
 代表的な例がフランス革命当時のジャコバン派を率いたロベスピエールによる牛乳価格の統制だった。

 ロベスピエールは牛乳が高騰しているという市民の不満を受け、牛乳価格に上限を設けた。
 貧しい親も子どもたちに牛乳を飲ませることができるようにする趣旨だった。
 いったんは価格が下落し、市民が歓呼したが、その後は市場に出回る牛乳が激減した。
 乳牛農家がコスト割れで牛乳を生産した結果、乳牛を肉牛として売り払ったり、牛乳の代わりにバターやチーズを生産したりしたからだ。
 それまでは高くても牛乳を買うことができたが、カネがあっても牛乳を買えない状況になってしまった。

 文在寅(ムン・ジェイン)新政権が雇用創出、二極化解消を名分に発表するさまざまな政策は価格統制と関連しており、利害当事者が強く反発している。
 「何かをする」ということと同じくらい大切なことが「どのようにやるか」だ。
 現実に見合ったアクションプラン不在で無理に推し進めれば、ロベスピエールの牛乳騒動が繰り返されかねない。



Record china配信日時:2017年6月25日(日) 6時40分
http://www.recordchina.co.jp/b181231-s0-c30.html

日本は低コストで大きな発展を遂げた国、
ただ、中国が参考にできない理由がある―中国メディア

 2017年6月22日、中華網は
 「中国はなぜ日本の経験を参考にしてはいけないのか?」
と題し、中国の発展において日本を参考にできない理由について中国の経済学者・温鉄軍(ウェン・ティエジュン)氏の見解を紹介した。

 日本の1991年以降は「失われた20年」と表現されるなど、低迷のイメージが強いが、
★.失業率の異常な上昇や社会的な動乱もなかった安定期
ともいえる。
 日本は20年間ゼロ成長にもかかわらず社会的な動乱が起きなかった珍しい国である。
 政治も、首相がころころ代わったものの、比較的安定していると言える。
 日本の政治や経済、社会など中国は研究を進める必要がある点が多い。
 ただ、研究しても参考にできるとは限らない。

 日本は明治維新以降、西欧文化を取り入れ発展を続けたが、西欧のやり方をまねるだけではいけないと感じ、植民地を広げ世界に進出した。
 日本の対外進出によって成し遂げられた工業化は、アジアの「内向的で蓄積型」の典型的な工業モデルとは大きく異なる。
 周知のとおり日本はその後戦争に負けるのだが、ここで日本は欧米に依存した発展モデルに転換する。

 「完全な主権」を犠牲に、欧米から軍事的な援助を受け、政治的、軍事的な労力を大きく省くことに成功した。
 欧米は植民地を広げることで資源や市場を占有してきたが、こうした場合、植民地での反発が予想され、戦争や大きな衝突が起きる。
 だが、日本は欧米の支援があるため反発も少なく、世界でのイメージも悪くならない。
 日本は低コストで大きな発展を遂げたといえるのだ。

 ではなぜ日本の経験は参考にできないのか。
 それは日本のように世界第2位の座に座り続ける限り、1位のボスに相応の対価を支払う必要があるからだ。
 米国はアジアで中ロをけん制するため日本の存在を利用しているため、日本が世界2位の座に座ったとしてもたたくことはない。
 しかし、中国となると状況は違ってくる。
 中国は日本に比べ比較的主権が整っている国で、中国の発展は世界のボスにとって敵とみなされる。
 中国は今や日本を抜き世界2位の強国にまで成長したが、こうした違いから日本の発展モデルは参考にできないのだ。







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2017年6月20日火曜日

アメリカと中国の関係:中国はどう見ているのか?

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ダイヤモンドオンライン 2017.6.20 加藤嘉一
http://diamond.jp/articles/-/132345

中国が「対米関係の悪化」を本音では望んでいない理由

■中国共産党指導部にとって
米国との関係とは

 前回コラムでは、李克強首相の欧州歴訪をケーススタディーに、中国共産党指導部が、激動の時代を迎えているかに見える国際政治経済情勢において、
★.欧州が米国とは異なるプレイヤーとして君臨するのを望んでいること、
★.トランプ政権の米国が“内向き”姿勢を見せる中、中国が新たな一角として世界的リーダーシップを果たしたいと考え動いていること、
★.その過程で共産党一党支配体制を確固たるものにしたいと考えていること
などをレビューした。

 掲載後、複数の読者から
 「中国にとって対米関係はどうなっていくのか?」、
 「トランプ大統領の言動が読めないというリスクへのヘッジとしての欧州接近なのか?」、
 「中国は対外協力の軸を米国から欧州へ切り替えようとしているのか?」
といった類の問題提起をいただいた。
 いずれも、中国の対外関係を考える上でのリアリティーとして直視すべき、あるいは想像力を膨らまして思考すべきテーマであると感じた。

 まず、私の現段階における観察に基づく結論から述べる。

 《中国共産党指導部にとって米国との関係は、
 依然として対外関係のなかで核心的であり、
 最も切実に、象徴的な領域も実質的な分野も含めて安定させたいと考える2ヵ国間関係であり、
 依然としてその安定化を通じて、自国民および国際社会に対して共産党一党支配下における統治力と権威性を示していきたいと党指導部に考えさせる戦略的関係である。》

 2点付け加えたい。
★.一つ目は、共産党指導部が、
 米国という中国にとって最も重要でかつライバルとしての関係を形成する大国との関係を安定させられない状況を、「人民からの信頼を失墜させる事態」と捉えていることだ。
 対米関係が共産党の正統性という文脈における、内政的性格を擁している
ということである。
★.二つ目は、本連載でも検証してきたように、中国は、習近平政権が一つの節目を迎えようとしている現在に至っても、
 第二次世界大戦後、米国が主導してきた既存の国際政治経済秩序に真っ向から挑戦し、
新たな秩序を“創造”しようと考えているわけではないことである。

 この点は、表面的には野心に富んでおり、拡張的な動きを見せているかに見える対外姿勢の背後で、
 中国が依然として自らのイデオロギーや発展モデルがどこまで国際社会で“通用”するのかに確信を持てないでいる現状を示しているように私には思える。

■中国商務部が発表した
「中米経済貿易関係に関する研究報告」

 5月25日、中国商務部が「中米経済貿易関係に関する研究報告」なるものを中国語と英語で同時公表した。
 中国語で計74頁に及ぶ。
 中国が昨今の対米経済貿易関係をどのように整理し、マネージしようとしているのかがよく分かる報告書であると同時に、前出にもあるように、激動の時代を迎えているかに見える昨今の国際政治経済情勢下において、
 中国が対外関係において米国との関係をどのように位置づけようとしているのかを私たちに示唆してくれる報告書でもある。

 本稿ではこの報告書の第一部(全四部。中国語と英語版を添付するので興味ある方は以下リンクを参照されたい:中国語:http://images.mofcom.gov.cn/www/201706/20170607082811425.pdf;英語:http://images.mofcom.gov.cn/www/201706/20170607082826423.pdf)「中米経済貿易関係をめぐる時代背景」をレビューすることで、その示唆を整理したい。

 報告書は「中米経済貿易関係は世界最大の途上国と世界最大の先進国の間の経済貿易関係である」と定義する。
 この定義に沿って、両国間における三つの違いを指摘する。

 《一つ目が国情の違いである。》

 「米国の一人あたりGDPは5万7700米ドル(2016年)で世界5位、中国のそれは8141米ドル(2015年)で世界74位、米国のエンゲル係数は10%以下で、中国のそれはいまだに30%前後あり、まだまだ内需市場を育んでいく必要がある。
 中国の都市化率は現在57%で先進国の平均70%よりも低い。
 2015年、中国の大学進学率は40%だ」(報告書)

 《二つ目が市場経済の発展段階を巡る違いである。》

 「米国は市場経済の先駆者であり、その経済体制・メカニズムは比較的成熟している。
 米国は世界に先駆けて独占禁止法、知的財産権の保護、外資によるM&Aに対する安全審査、金融監視監督制度などを確立した…
 一方の中国は1992年に社会主義市場経済体制を確立した。
 過去の20余年で大きな進歩を遂げたが、中国の国情に符合する社会主義市場経済体制をどのように構築するかという点において、模索しながら進んでいるのが現状である。
 各制度は改善しなければならず、管理水準も向上させなければならない」(報告書)

 《三つ目が“敏感な経済領域”の違いである。》

 「米国はグローバルバリューチェーンのハイエンドにおり、技術レベルも先を行っている。
 攻める利益は守る利益よりも多い。
 経済分野の関心は
 製造業分野における雇用機会の流失や
 米国の知的成果の保護、そして
 “知識経済”、“数字経済”という大きな流れの中で米国の利益に符合するグローバルなルールを打ち立てること、
 貿易パートナーに米国の商品、サービス、投資に対して自国市場を開放させること
などにある。

 一方の中国は国際バリューチェーン、産業チェーンのミッド・ローエンドにあり、イノベーションの推進が直面している外部環境は米国には及ばない。
 経済安全保障、産業安全保障という点において米国よりも大きな圧力に面している。
 中国の関心は、
 経済の持続可能な発展の保証、
 経済構造の転換とアップグレード、
 イノベーションによる発展の促進、
 経済安全や産業チェーンの安全の保障、
 中国の商品や投資が海外市場で遭遇する摩擦の解消
などに集中している」(報告書)

■対米関係に見られる
フラストレーションが存在する!?

 この三つの違いを提起する動機には、国内状況の改善や構造改革の促進にまだまだ長い時間を要するにもかかわらず、特に対米関係という文脈において、国際社会・市場・世論から多くを求められる現状に対するフラストレーションが存在しているように私には思われる。
 人民元為替レート、過剰生産能力・設備、国有企業改革、国内市場の開放(対米関係でいえば2ヵ国間投資協定におけるネガティブリスト問題が典型的)といった問題が代表的な対象になろう。

《「中米経済貿易関係を発展させる基礎は経済グローバリゼーションにある」》

 報告書が最も強調したい部分の一つであるように思われるこの記述は、昨今の習近平政権の世界観、そして対米戦略を体現している。
 「昨今、国際経済情勢は複雑に変化している。
 世界経済の成長インセンティブが不足し、貿易投資は低迷し、貿易保護主義が台頭している。
 しかし、これは各経済体間の相互融合・依存の趨勢を根本的に変えてはいない。
 経済グローバリゼーションは前進する中で調整し、均衡する中で深化するのだ」(報告書)
 グローバリゼーションの本質は各国間の相互依存であり、
 米中共にその受益者であると指摘するこの報告書の論調からは、習近平政権として、昨今のトランプ政権の動向を注視し、貿易保護主義にNOを掲げつつ、グローバリゼーションを死守する姿勢を誇示し続けることで国際的影響力・発言権を向上させたいのだろう。そんな戦略的思考が垣間見えてくる。

 《「中米経済貿易関係の法律的保障はWTOのルールや多国間協定にある」》

 報告書は
 「WTOは昨今の各国間貿易関係を処理するための唯一のグローバルな国際機構であり、中米両国を含めた各方面の経済貿易関係の発展に安定的で強靭な制度的保障を提供している。
 中米経済貿易関係とはWTOの枠組みの中における2ヵ国間関係に他ならない」、
 また、
 「WTOを主体とする多国間貿易体制は歴史の選択であり、グローバルな貿易投資問題を解決するためのメインチャネルである地位は変わらない。
 仮にあるメンバーがWTOのルールを放棄した上で2ヵ国間貿易を語ろうとするのならば、それはグローバル経済を“ゼロサム”的な危険な境地に陥れるであろう」
と指摘する。

 この部分には、昨今、“内向き”志向が比較的顕著なトランプ政権の経済貿易政策に対する警戒心がにじみ出ているという以外に、中国として米国との貿易摩擦や経済交渉においてWTOというプラットフォームを最大限に活用したいこと、2ヵ国間のゼロサム的な“貿易戦争”を避けたいと思っている心境が窺える。

■中国と米国
それぞれのアドバンテージ

 第一部の最終部分は米中経済貿易関係とは各自のアドバンテージを相互に生かした関係であることを主張している。
 中国側のアドバンテージとして、
 「世界の25%以上を占める製造業の比重」、
 「500品目ほどある主要工業商品の中で、中国は220以上におよぶ品目の生産量で世界一」
 「世界最大規模、かつ総合的に素質が高く、比較的安価な労働力」(2015年、15?64歳の労働人口は10.03億人で、この数字は欧米先進国の労働総人口7.3億人を超える;また米国の総合賃金は中国の約7?10倍などと指摘)、
 「インフラ建設の後発的優勢」
等を挙げている。

 「中国のサプライチェーンとパッケージングのアドバンテージが明らかである」というケースとして、
 深セン地区が世界最大のコスト競争力と最大規模の電子産業サプライチェーンを擁していること、
 米アップル社の携帯電話・パソコン商品が全世界で持つ700以上のサプライヤーのうち、半分近くが中国にあること
を挙げている。

 米国側のアドバンテージとしては、その科学技術と研究開発能力を挙げる。
 「米国の一部生産要素は比較的安価であり、電力、土地、物流、原材料、融資、税収などの分野において米国はコスト的アドバンテージを持つ」
と指摘するのは興味深い。
 例として、
 「米国の土地平均価格は中国の二級・三級都市相当」、
 「米国の工業用電力価格は中国の半分、
 ガソリン価格は中国の3分の2。
 総合物流のそれは中国の半分でしかない」
などを挙げている。
 中国企業はこれから米国を“世界の市場”としてだけではなく、“世界の工場”的な視点から眺め、本格的に戦略を練っていくに違いない。
 中国政府は、自国企業が米国に工場を作り、米国民を雇い、米国に税金を納めることを後押しすることを通じて、“アメリカファースト”を掲げるトランプ大統領に恩を売ろうとするに違いない。

 「サービス業が米国経済に占める割合」も米国側のアドバンテージとして挙げている。 
 2016年、サービス業が米国GDPに占める割合は79.5%(同期中国は50.7%)であること、2016年、米国のサービス貿易は2494億ドルの輸出超過であり、同期、中国のそれは2409億ドルの輸入超過である点も挙げた。
 “中国の対米貿易大幅黒字”に注目が集まり、トランプ大統領もそれに留意した貿易政策を取ろうとしている中、米中間貿易は一枚岩ではなく、“中国側にも損をしている部分はある”と言いたいのだろう。

 以上を基に、報告書は「中米両国が経済貿易協力を展開することは、グローバリゼーションという背景の下、国際産業の適材適所、資源配置の最適化を図った上での必然的結果である」と主張する。

■“違い”をクローズアップさせつつも
ポジティブ感で統一

 報告書はここから
 第二部「中米経済貿易関係が互恵的でウィンウィンであるという本質」、
 第三部「双方が重点的に関心を持つ経済貿易分野」、
 第四部「中米経済貿易協力の発展を不断に推進する」
と続くが、“違い”をクローズアップさせつつもポジティブ感で統一されたこのような報告書を中英2ヵ国語で同時公表すること自体、
 習近平国家主席率いる中国共産党指導部が、米国との関係を安定化させることに巨大な政治的需要を見出している現状を物語っているように、私には思えるのである。

 最後に、言葉遊びなどでは決してなく、中国政治・経済社会の切実な思いを理解する上で、情報量に溢れているように私には聴こえる第一部のクロージングワードを引用しつつ、本稿を終えることにしたい。

 「中米経済貿易関係の発展はポテンシャルで満ちている。
 中国経済の転換は、米国を含めた世界各国にこれまでよりも広大な市場、これまでよりも豊富な資本、これまでよりも充実した商品、これまでよりも貴重なビジネスチャンスを提供するだろう。
 そして、中国企業は米国の大規模なインフラ建設と製造業の復興に参入したいと思っている。
 中米経済貿易関係は中米間における経済社会の発展だけでなく、グローバル経済・投資など各方面に影響を与えずにはおかない。
 マクロ経済をめぐる政策協調、世界金融システムの安定、エネルギー資源、気候変動、グローバルバリューチェーン、eコマース、サイバーセキュリティ、流行性疫病といった世界経済の行方を左右する重大な問題を解決するためには、中米両国の協調と連携的対応が益々必要になってくるはずだ」



Record china配信日時:2017年6月29日(木) 6時10分
http://www.recordchina.co.jp/b161640-s0-c10.html

トランプ米大統領、対中政策で挫折感募らせる
=蜜月は早晩に終わる?―米メディア

 2017年6月27日、米華字ニュースサイト多維新聞によると、米政府の複数の高官はこのほど、トランプ米大統領が対中政策で大きな挫折感を感じていることを明らかにした。

 北朝鮮問題はこう着状態が続き、中国の努力も効果が見えない。
 トランプ大統領の挫折感は募っている。
 貿易問題で中国に対する忍耐強い態度にも変化が出始めている。
 ロイター通信によると、米政府高官3人がこのほど、中国が北朝鮮問題で大きな動きを見せないこと、米中貿易をめぐる話し合いがかみ合わないことに、トランプ大統領は日に日に大きな挫折感を感じている。
 中国に対し、貿易制裁措置をとることも検討しているという。

 米紙ニューヨーク・タイムズは最近、習近平(シー・ジンピン)国家主席とトランプ大統領の「蜜月は早晩に終わる」と予測。
 トランプ大統領は貿易、通貨、南シナ海問題などを棚上げし、北朝鮮問題で中国に協力をあおいだ。
 しかし、中国の北朝鮮に対する圧力は不十分で、効果は限られており、米国はさらなる圧力のため強硬姿勢を取る可能性がある。

 韓国の延世大学の中国・朝鮮半島問題専門家のジョン・デルリー氏は、トランプ大統領が
 「北朝鮮問題で中国を助ける必要はないとの姿勢を示した後、貿易問題の協議に着手する可能性がある」
と予測している。


2017年6月17日土曜日

北朝鮮ミサイル 次から次へ(6):「米軍は北朝鮮を攻撃しない」 ソウルにおけるメガシティ戦闘で泥沼化の恐れ

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JB Press 2017.6.16(金)  部谷 直亮
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50274

米軍準機関紙が断言「米軍は北朝鮮を攻撃しない」
ソウルにおけるメガシティ戦闘で泥沼化の恐れ

 今年の春、米軍の北朝鮮への先制攻撃の可能性を報じたメディアやジャーナリストは今やすっかり口を閉ざしてしまった。
 中にはいまだにそうした見解を述べる論者も散見されるが、現実的にはその可能性はきわめて薄い。

 5月21日、米軍の準機関紙「military times」は、北朝鮮への先制攻撃はリスクが高く、トランプ政権は攻撃を考えていないとする記事を掲載した。記事の概要は以下のとおりである。

*  *  *

 トランプ政権は、北朝鮮への軍事的選択肢はないと考えている。

 確かに北朝鮮の現政権によるミサイル実験は頻繁さを増し、金正恩は米西海岸への核攻撃能力獲得に近づいている。
 だが、米国の軍高官は、先制攻撃が大惨事を招き、最悪の場合、10万人の民間人を含む大量の死者を生み出すと懸念している。

 まず、国境地帯の花崗岩の山岳地帯に秘匿された北朝鮮の砲兵部隊は、砲撃から数分で山中に秘匿できる。
 また、韓国のソウルは非武装地帯から約56キロメートルにある人口2500万人の大都市である。
 シンクタンクの分析では、170ミリ自走砲、240ミリおよび300ミリの多連装ロケットシステムがソウルを攻撃できる。
 特に300ミリロケットがソウルに向けられた場合、都市火災が発生する。
 数百万人の民間人がソウルから南下して鉄道・航空・道路における大混乱をもたらし、大規模な人道危機を引き起こす。

 元航空戦闘軍団司令官のハーバート・カーライル元空軍大将は、
 「米韓連合軍が北朝鮮を倒すのは間違いないが、
 韓国の民間人犠牲者を減らすのに十分な迅速さで北朝鮮軍を機能停止に追い込めるかが最大の問題だ」
と警鐘を鳴らす。
 専門家たちも、ひとたび通常戦争が始まれば戦いは数カ月以上続くとみている

米軍が特に懸念しているのが、ソウルの一角に北朝鮮軍が侵入する事態である。
 北朝鮮軍は非武装地帯に多数掘削した秘密トンネルから1時間に2万人を侵入させることができる。
 これは「恐るべきメガシティ戦闘」を引き起こす可能性がある。
 カーライル元空軍大将は
 「ソウルのどこかに北朝鮮軍が侵入すれば、航空戦力の優位性は相対化される。
 メガシティ戦闘では航空戦力は極めて限定的な役割しか発揮できない」
と指摘する。

 米海兵隊の活動も困難である。
 第1の理由は、海兵隊は朝鮮戦争以来、大規模な強襲揚陸作戦を行っていないこと。
 第2は、現在西太平洋に展開中の5~6隻の水陸両用艦艇では、上陸作戦に必要な1~1.7万人の戦力を運べないこと。
 第3は、北朝鮮の沿岸防衛能力は1950年とは比較にならないほど向上し、何百マイル先の艦艇や舟艇を破壊できることだ。

 しかも、開戦となれば、米軍の地上基地が打撃を受ける可能性があるため、利用可能なすべての米空母がこの地域に吸引されることになる。
 陸空軍なども同様で、全世界における米軍の即応能力を低下させるリスクがある。
 また、ヘリテージ財団研究員のトム・スポウラー元陸軍中将は
 「戦争が始まると米陸軍は旅団戦闘団を新たに編成しなければならない。
 だが、イラクにおける経験で言えば2年間は必要だ」
と指摘する。

*  *  *

■考えれば考えるほどリスクが高い先制攻撃

 以上の記事から分かるのは、元軍人たちは我々が考える以上にリスクを重く見ているということだ。
 元米軍人たちの指摘は、
(1):海兵隊の脆弱性に伴う上陸作戦の困難性、
(2):頑丈な花崗岩と複雑な地形を利用した砲兵陣地の強靭さと威力、
(3):メガシティ戦闘、
(4):戦力の枯渇、
に集約できる。
 海兵隊の脆弱性は言うまでもないが、(2)(3)(4)については改めて説明が必要だろう。
 まず(2)についてだが、地形・地質の有効な活用は沖縄戦における日本軍の粘り強さを振り返れば、その効果がよく分かる。
 沖縄戦闘時の日本軍は、沖縄の硬い珊瑚岩と起伏の激しい地形を利用して砲兵陣地(いわゆる反斜面陣地)を形成して、航空・火砲の圧倒的な劣勢下でも米軍を苦しめた。

(3)の「メガシティ戦闘」は、2014年頃から米陸軍が強調している概念である。
 米陸軍は、2030年には全世界人口の6割がメガシティ(人口1000万以上の大都市圏で、世界に27か所存在)に居住する時代になるとして、メガシティ戦闘に必要な将来の米陸軍の戦力構成やドクトリンの検討を続けている。

 米陸軍は、メガシティでは民間人への配慮や戦力の分散が余儀なくされるため、作戦が極めて複雑になる他、敵戦力が建物や住民に紛れ込むことで航空戦力が活用できず、相手の情報も手に入らないため、大苦戦が予想されるとしている。
 イラク戦争時のファルージャ攻防戦や近年のイスラム国との各都市における死闘を思えば、元軍人たちがソウルに北朝鮮軍の部隊が侵入すればやっかいなことになると考えるのも当然だろう。

(4)については、要するに北朝鮮問題以外にも米国の抱える脅威はたくさんあるということだ。
 米国は既にイスラム国との戦い、アフガンでの戦い、テロとの戦い、サウジアラビアとイランの覇権争いに巻き込まれている。
 米国としては、すでに炎上しているそちらの「戦線」にこそ、まず戦力を割く必要がある。
 特にイスラム国打倒はトランプ政権の主要公約であり、これを成し遂げねば北朝鮮どころではない。

 実際、トランプ政権のシリアへの肩入れはさらに深まっている。
 6月13日、米軍はついに「南シリア」に初めて長距離砲兵部隊を展開させた。
 しかも、国防総省のスポークスマンたるライアン・ディロン大佐は、記者たちに対して「これは親アサド勢力の脅威に備えるためである。今後もそのために米軍の現地におけるプレゼンスを拡大していく」と述べた。
 親アサド勢力とは、イランが支援する武装勢力のことであり、これは単にシリアへの深入りだけではなく、イランの代理勢力と米軍の戦闘すら秒読みに入ったことを意味する。
 要するに、米イラン関係の悪化の第一歩になりかねないということだ。

 このように、考えれば考えるほど、北朝鮮への先制攻撃は軍事的リスクが高く、それは外交的・政治的リスクに直結しているのである。
 もちろん、政治的に「詰み」に近づきつつあるトランプ大統領が北朝鮮攻撃を決断するといった可能性もあるが、その場合でも、現時点では中東でさらなる軍事行動の方がはるかに安易かつ安全なのは言うまでもない。
 やはり、北朝鮮への先制攻撃の可能性は「現時点」では低いだろう。



フジテレビ系(FNN) 6/23(金) 19:35配信
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=834615176734946573#allposts/postNum=0

日米開発の迎撃ミサイル 試験失敗



 日米の弾道ミサイル迎撃試験が失敗した。
 アメリカのミサイル防衛局によると、日本とアメリカは21日、共同開発している海上配備型迎撃ミサイル「SM-3ブロック2A」による迎撃試験をハワイ沖で行ったが、失敗した。
 試験は、イージス艦からミサイルを発射し、上空を飛ぶ標的を撃ち落とすというもので、2017年2月に行った試験では成功していた。

 一方、北朝鮮は21日、弾道ミサイルのエンジン燃焼実験を行った。
 アメリカのメディアが22日に伝えたもので、このエンジンの技術は、将来、ICBM(大陸間弾道ミサイル)に使われる可能性があるという。
 北朝鮮は、2017年3月にも高出力ロケットエンジンの燃焼実験を行っていて、アメリカなどが警戒を強めている。







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2017年6月15日木曜日

中国とインドと二大文明の衝突 地政学とイデオロギーがからむ新興大国の争い

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2017.6.15(木)  Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年6月6日付)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50267

中国とインドと二大文明の衝突
地政学とイデオロギーがからむ新興大国の争い


●インド・ニューデリーの渋滞する道路(2016年8月1日撮影)。(c)AFP/Prakash SINGH 〔AFPBB News〕

 中国はこの10年間、数々の指標で1位の座を獲得してきた。
 世界最大の製造業大国になり、
 世界最大の輸出国になり、
 世界最大の外貨準備と
 世界最大の自動車市場を持つ
に至った。
 2014年には国際通貨基金(IMF)が、購買力平価ベースで見るなら経済規模が世界最大の国は中国だという報告まで行った。

 だが、中国が失ってしまったかもしれない「世界最大」の称号が1つある。
 新しい人口統計調査によれば、世界最大の人口を擁する国は中国ではなく、インドかもしれない。
 非公式な推計ながら中国の人口はこれまで言われていたよりも少ない13億人弱で、インドの人口は13億3000万人だというのだ。

 インドでは、過去30年間における世界最大の話題は中国の台頭だったが、今後30年間はインドが輝く時代になるとの認識が強まっており、このニュースはその傾向に拍車をかけることになるかもしれない。
 確かに、長期の経済成長の観点から見るなら、人口トレンドは中国よりもインドの方が好ましく見える。
 インドの人口は中国を上回った可能性があり、今後はインドの方が成長率も高くなるかもしれないというだけではない。
 それ以上に重要なのは、
 インドの人口が中国のそれよりも大幅に若いこと
 つまり生産年齢人口が中国より多くなる一方で、支える必要がある高齢者は中国よりも少なくなるということだ。
 近年の日本が示しているように、人口の減少と高齢化は経済成長を力強く押し下げる方向に作用する。

 このような人口動態による力は、経済成長率に影響している可能性がある。
 インドはこれまでなかなか成長できず、「ヒンズー成長率」などと揶揄されても我慢しなければならない時代が長かったが、今日では中国を上回るペースで伸びている。
 今年の経済成長率は7%を超えると見込まれており、中国の公式予想である6.5%より高くなっている。
 しかし、インドは中国に追いつき追い越す態勢が整っているとの見方には、厳しい留保条件もいくつか付いている。
★.第1に、中国経済はすでに実質ベースでインド経済の5倍の規模を誇る。
 従って、現在はインドが中国をわずかに上回るペースで成長しているとしても、両国の経済規模の差は縮まるどころか拡大していることになる。

★.第2に、人口動態の面ではインドが有利ではあるものの、ほかの重要な点では中国の方が優位にある。
 インドでは、読み書きのできない人が国民の30%を占める一方、中国ではこの割合が5%を下回る。
 道路や鉄道、基本的な公衆衛生に反映されているように、インフラでも中国はインドを凌駕している。
 実際、インドでは国民の半分がまだ基本的なトイレを利用できずにいる。

 こうした比較はただのクイズのように見えるかもしれないが、実は非常に重要だ。
 中国とインドは21世紀に台頭してきた超大国だからだ。
 両国は目立たないところで地政学やイデオロギーのからんだ戦いをすでに始めている。
 アジア中のインフラを接続するという中国の野心的な計画に対し、インドは警戒心を示している。
 中国の勢力圏が作られてインドを取り囲んでしまうのではないか、と恐れているのだ。

 中国が先月、ユーラシア大陸中のインフラの接続に巨額の資金を投じる計画を促進するために北京で「一帯一路」のフォーラムを開催した際、100を超える国々が正式な代表団を派遣したが、インドは見送った。
 インドは、中国はかつての朝貢制度を復活させようとしている、
 「すべての道は北京に通ず」式の経済システムにアジア諸国をからめ取ろうとしている、と恐れている。
 これらのインフラ開発には、戦略的な意味や経済的な意味も隠されている。
 中国の海軍が急拡大を遂げているときに、スリランカやパキスタンで中国の資金援助によって建設された港にインド政府は特別な疑念を抱く。
 パキスタンと中国のつながりが深まれば、パキスタンと4度の戦争を戦ったことがあるインドは心中穏やかではいられない。
 また、中国とインドの間にも、1962年の戦争に端を発する未解決の国境紛争案件がある。
 インドのアルナチャル・プラデシュ州には中国も領有権を主張しており、その圧力が強まることをインドは懸念をしている。

 中国とインドはともに軍事予算を急増させている。
 中国は2隻目の空母を先日完成させ、現在は3隻目の建造に取り組んでいる。
 片やインドは、サウジアラビアに次ぐ世界第2位の武器輸入国となり、米国や日本――どちらも中国に戦略的な敵国と見なされている――との軍事演習のレベルを段階的に引き上げている。

 英王立統合防衛安全保障研究所(RUSI)のシャシャンク・ジョシ氏によれば、戦略的な緊張が高まる中、中印関係は「十数年ぶりの悪い状態」にある。
 中国は、目の敵にしているチベットの精神的指導者ダライ・ラマ14世がインドを拠点にし続けていることに不満を持っている。
 従って、インドと中国のライバル関係には思想がらみの側面もあることになる。

 中国側のアナリストは、中国の開発モデルの成功とインドの「カオスのような」民主主義による低成長を比較して論じることが多い。
 するとインド側は、インドの民主的なシステムの方が中国の一党独裁よりも安定していることがいずれ証明されるだろうと反論したがる。
 この論争には、道徳にかかわる側面もある。
 インド側は言論の自由と司法の独立があることを誇りにしている。
 片や中国側は、中国の普通の市民は平均的なインド国民よりも快適で品のある暮らしをしていると主張しているのだ。

 こうした論争は、中国とインドが大国としてライバル関係にあるというだけでなく、政治制度やイデオロギーのライバルであり、文明のライバルでもあるという事実を反映している。

 西側の政治アナリストは、米国の中国の間で始まった権力闘争のことで頭がいっぱいだ。
 だが、経済と政治のパワーがアジアにシフトしていく中、21世紀を最終的に形作るのは中国とインドの争いなのかもしれない。

By Gideon Rachman
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共謀罪:テロ等準備罪新設へ 論点整理Q&A

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毎日新聞2017年6月15日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20170615/ddm/010/010/013000c

共謀罪:テロ等準備罪新設へ 論点整理Q&A

■刑事法、大きく変容

 「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が成立することで、日本の刑事法のかたちが大きく変わる可能性がある。
 改めて法律の内容と論点を紹介する。

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について政府は「国際組織犯罪防止条約」を締結するために必要と主張する。

 Q 条約の内容は。

 A 国境を越える薬物や銃器の不正取引などに対処するため、締結国に重大犯罪の合意(共謀)やマネーロンダリング(資金洗浄)を犯罪化するよう義務付けています。
 2000年に国連総会で採択され、日本の国会では03年、民主党(当時)や共産党も賛成して条約が承認されましたが、現在も締結されていません。

 Q 各国の締結状況は。

 A 187の国・地域が締結済みで、まだなのは日本やイランなど11カ国です。政府は20年東京五輪・パラリンピックを控えたテロ対策を前面に出し、締結の必要性を訴えています。

 Q テロ対策が条約の目的か。

 A 民進、共産両党は、マフィアなどによる経済的利益を得るための犯罪を防ぐのが目的で、政府は国民に誤った印象を与えていると批判しています。
 政府は条約の起草段階からテロと関連付けて議論されてきたと反論しました。

 Q 共謀罪がないと締結できないか。

 A 条約は共謀罪か組織犯罪集団への「参加罪」のうち、少なくとも一方を犯罪化するよう求めています。
 政府は特定の犯罪と結び付かない行為を処罰する参加罪は法制度になじまないと判断する一方、現在でも一部の犯罪には似たような規定があるため、共謀罪を選択しました。

 民進党などは、必要な犯罪ごとに実行着手前の行為(凶器の準備など)を罰する「予備罪」の規定を設ければ締結できると主張。
 政府はそれでは合意を犯罪化したことにならないため「条約の義務を履行できない」としています。

 Q 他国の対応は。

 A 経済協力開発機構(OECD)に加盟する35カ国のうち、
 共謀罪や参加罪を新たに作ったのはノルウェー、オーストリア、カナダ、ニュージーランドの4カ国です
 日本を除く他の30カ国は既に国内法で両方またはいずれかの罪が規定されていたので、新たな法整備はしていません。

 Q 条約にメリットは?

 A 個別に条約を結んでいない国と外交ルートを通さずに捜査協力ができるようになります。
 犯罪人引き渡しについても実効性が高まると期待されています。

対象犯罪は277

 Q 対象犯罪は、当初の政府案から半分以下に絞られた。
 何を基に決めたのか。

 A 政府が締結を目指す国際組織犯罪防止条約は、4年以上の懲役・禁錮を定めた「重大犯罪」の合意(共謀)を犯罪とするよう求めています。
 政府は日本の法律に当てはめて当初676としていましたが、今国会に提出された法案では過失犯などが除かれ、277に削減しました。

 Q なぜ。

 A 公明党から「対象が広すぎる」と指摘されたためです。

 Q 政府は過去に対象犯罪は削減できないと主張していた。

 A 条約の規定を理由に「犯罪の内容に応じて選別できない」とした答弁書を05年に閣議決定しています。
 しかし、過去の法案が「団体」としていた適用対象を今回の法案は「組織的犯罪集団」に変更しました。
 その結果、そうした集団が計画することが現実的に想定される犯罪に限定することができたというのが政府の論理です。

 Q 残ったのはどのような犯罪か。

 A 政府は
 (1)現住建造物等放火といった直接テロの手段になり得る犯罪
 (2)薬物関連
 (3)人身に関する搾取(児童買春あっせんなど)
 (4)その他資金源(組織的詐欺など)
 (5)司法妨害
--の五つに分類しています。

 Q 公職選挙法や政治資金規正法は対象外になっている。

 A 政府は「組織的犯罪集団が関与することは現実的に想定しがたい」としていますが、野党は「マフィアなどが政治家らと深く結び付いて経済的利益を得るのは常識だ」と指摘しました。

■「通信傍受」を懸念

 Q 「テロ等準備罪」が新設されれば、捜査権限は大幅に拡大される。
 警察や検察の受け止めは。

 A 適用要件が厳しいとして、暴力団捜査などに限って有効との見方がある一方、摘発できなかった犯罪捜査に活用できるとの声も出ています。

 Q 捜査はどの段階で始まるのか。

 A 構成要件の一つである犯罪実行の「準備行為」がないと、逮捕や家宅捜索などの強制捜査はできないと政府は説明しています。
 一方、裁判所の令状が必要ない任意捜査は必要性や手段の相当性が認められる範囲で、準備行為より前の段階で実施できるとしています。
 ただ、任意であっても具体的な容疑がないのに捜査することは許されないとも答弁しています。

 Q 任意捜査とは。

 A 民進党は国会質問で、クレジットカードや出入国、銀行口座の履歴照会などを例として挙げました。
 警察庁幹部は任意捜査として「あり得る」と答えました。

 Q 「一般人」は捜査の対象にならないと政府は強調しているが。

 A 通常の社会生活を送っている人は組織的犯罪集団に関与することは考えられず、捜査の対象にはならないというのが政府の説明です。
 民進党は関与しているかどうかは捜査してみないと分からないので、捜査対象になるのではと指摘しました。

 Q 捜査は簡単ではなさそうだ。

 A 合意(共謀)を立証する材料を集めるのは困難です。
 そのため警察内部では、捜査で電話やメールを傍受できる対象に「共謀罪」を加える法改正に期待する声もあります。

 Q 昨年12月に改正通信傍受法が施行され、対象犯罪が拡大されたばかりだ。

 A 傍受にはプライバシー侵害との懸念が付きまとうため、政府は「テロ等準備罪」に伴って、新たな捜査手法を導入する予定はないと繰り返しています。
 ただ、警察当局は、暴力団事務所などの犯罪拠点に機器を設置する「会話傍受」の導入も検討課題としています。
 野党は捜査権限が大幅に強化され、監視社会につながると懸念を表明しています。

■計画段階で処罰

 Q 成立で、多くの犯罪を計画段階で処罰することが可能になる。
 適用対象は。

 A 「組織的犯罪集団」と規定されています。
 テロリズム集団が例示され、政府は暴力団や振り込め詐欺集団なども挙げています。

 Q 何をすれば処罰されるか。

  A 組織的犯罪集団の構成員らが2人以上で犯罪を計画し、少なくとも1人が実行のための「準備行為」をしたとき、計画に合意した全員が処罰されます。

 Q 同僚と酒を飲みながら「あいつを殴ってやろう」と話せば、計画したことになるか。

 A 政府は「具体的かつ現実的」な計画であることが必要で、そうした行為は当たらないと説明しています。

 Q 準備行為とは。

 A 「資金または物品の手配」と「関係場所の下見」を例示。
 犯行手順の訓練や標的の行動監視も含まれ、それ自体が危険な行為である必要はありません。

 Q 日常生活の一場面なのか準備行為なのか区別できるか。

 A 野党からは「判断するには内心に踏み込まざるを得ない」との指摘が出ています。
 政府は「携帯品などの外形的な事情から区別され得る」と答弁しています。

 Q 過去に3度廃案になった法案との違いは。

 A 過去の法案は適用対象を「団体」とし、準備行為の要件もなかったため、一般市民が話し合っただけで処罰されるとの批判を受けました。
 政府は、かつても解釈では組織的犯罪集団が適用対象だったが、今回は法律に明記し、対象がより明確になったと説明しています。

 Q 拡大解釈の恐れは。

 A 組織的犯罪集団と認定するには、メンバーが犯罪の実行を目的に結び付いている必要があります。
 政府は裁判所のチェック機能もあり、一般の会社や市民団体、労働組合などは対象にならないとしています。
 民進党などは、正当な団体でも捜査機関の恣意(しい)的な判断で組織的犯罪集団に認定され得るとしています。

 Q 犯罪実行前に自首した場合は刑を減免する規定もある。

 A 「密告を奨励する」との批判が出ました。
 政府は
 「犯罪の甚大な被害を防ぐために設けている。
 国民の一般的な社会生活とは無関係」
と反論しました。



ダイヤモンドオンライン 2017.6.20 上久保誠人:立命館大学地域情報研究所所長
http://diamond.jp/articles/-/132343

“共謀罪”を無修正で通した野党の国会対応は「0点」だ

 「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が、参議院本会議で採決され、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。
 2015年の「安保法制」の成立に続き(本連載2015.9.19付)、民進党・社民党・共産党などの野党は、法案の「廃案」を求めて、国会で徹底的に抗戦した。
 また、国会の周辺では、反対を訴えている人たちが、「強行採決絶対反対」と抗議の意思を示していた。
 しかし、「安保法制」に続いて、法案は事実上「無修正」で国会を通過してしまった。

 本稿は、今国会における野党の対応を「0点」と厳しく批判せざるを得ない。
 「テロ等準備罪」を新設する法案が、問題の多いものだということは言うまでもない。
 277ある処罰対象の罪のうち、テロに関連するものは110しかない。
 国民の大多数が、不安に思っているのは明らかだろう(2017.4.11付)。
 しかし、それらは1つも削られることなく、無修正で国会通過し、法律として成立してしまったのだ。
 この責任は、野党の側にある。

 安倍政権は、国政選挙で4連勝し、衆参両院で圧倒的多数の議席を獲得している(2016.7.19付)。
 政府提出の法案は、国会で可決するのが当然であり、また民主的な正当性もあるのだ。
 野党が廃案を求めるのは、非現実的である。
 野党は、法律の成立は仕方ないものとして、国民の不安をできる限り払拭するため、与党と協議に臨み、法案の修正を全力で求めていくべきではなかったか。
 さらに言えば、法律の成立を前提として、その法律の運用を厳しくチェックするための「対案」を提示する「第3の道」があったのではないかと考える。

■フランス式でもイギリス流でも
テロは防ぎきれなかった

 フランス、ベルギー、そして英国でテロが連続して起こっている現実が示すことは、この連載が紹介した、「テロ対策は英国流かフランス流か」(2017.5.23付)ということを論じる次元を超えてしまったということではないだろうか。
 まず、「目に見える形での治安維持の強化」によってテロを抑止するという方法は無力だといえる。
 自動小銃をもって武装した憲兵や警察を主要駅や街頭に立たせて警戒しても、それだけではテロは防げない。
 それは、ISのテロの最大の攻撃目標となっているフランスを見れば明らかだ。

 2015年1月に起きた風刺週刊誌シャルリー・エブド襲撃事件を契機にして、頻発するテロに対抗するため、既存の軍隊、警察組織に次ぐ新たな治安維持組織として「National Guard(国家警備隊)」を新設するなど、徹底的なテロ対策をとった。
 しかし、2015年以降、238人がテロの犠牲者になっている。
 要するに、自動小銃を持った警官を街に並べても、テロ組織が事前に集会を開き、同時多発テロを実行したら手も足も出ないのだ。
 それでは、事前にテロを察知する体制を構築したらどうか。

 英国内には約420万台の監視テレビ(CCTV)が設置されている。
 ロンドン市民が普通に生活していると、1日に約300回監視テレビに捉えられる。
 携帯電話やPC、ラジオ、電子切符「オイスター」などから得られる様々なデジタル情報を組み合わせて、特定の人物の所在を高精度に追跡できるデータベースも構築している。
 犯罪人データベースには、約400万人分のDNAサンプルを所持している
 地方自治体、刑務所、保護観察、福祉部門の職員、学校や大学の教員、NHS(国家医療制度)の医師、看護士は、過激化の兆候を見つけたら当局に報告することが義務付けられており、情報機関と警察の間の情報交換も綿密に行われている。
 英国はこのような「監視社会」を築いて、過去4年間で13件の大規模テロを未然に防ぎ、常に500件を調査対象としているという。
 要注意リストには約3000人が掲載され、別の300人を監視下に置いている。

■テロを完全に防ぎたければもはや
「内心の自由」を制限するしかない

 これだけの厳重な監視体制を築けば、フランスのような自動小銃を乱射する同時多発テロが起きることはない。
 だが、それでもテロは起きてしまった。
 ロンドンやマンチェスターのテロを起こした犯人については、自爆テロを賛美するなど「過激な言動」を繰り返していたという情報が、英情報局保安部(MI5)など治安当局に何度も提供されていたのだという。

 しかし、いくら過激な言動があったとしても、それだけで不審な人物を逮捕はできなかった。
 その人物が仲間と集まって集会を開いたりする「組織的な動き」を見せることがなく、銃器などの武器を購入したりすることもなければ、警察は動きようがないのだ。
 そして、自宅元々あるナイフをもって暴れたり、自家用車に乗って、突如群衆の中に突っ込んだり、自宅で作った手動爆弾で自爆したりされると、対応のしようがなかったのである。
 要するに、欧州の事例が明らかにすることは、
★.テロを完全に防ぎたければ、
 過激な言動があったと警察に通報があった時点で、即座に拘束・取り調べができるようにするしかない
ということだ。
 つまり、「内心の自由」という人権を制限するしか、テロを防げないということなのだ。
 実際、英国のテリーザ・メイ首相は、「人権保護規定を修正してでも過激派の摘発を強化する」と表明した。
 テロ対策と人権保護の関係は、あらためて考え直してみる時期にきているのだ。

■テロを完全に防ぎたい日本人には
「内心の自由の制限」論議が必要だった

 日本の国会で「テロ等準備罪」を審議する際、本当に重要だったのは、この「欧州の現実」を直視することだったのではないだろうか。
 現在のところ、日本は国際テロリストの関心の対象にはなっていないかもしれない。
 また、テロが起きるとすれば、それは安倍晋三首相の「好戦的」な態度のせいであり、首相が退陣すれば、日本は元の「平和国家」に戻り、テロは起きないという主張もあるかもしれない。
 しかし、これらはなにも根拠がない、ただの希望的観測に基づいた考えに過ぎない。
 今後、日本はラグビーW杯、東京五輪、そして万博の誘致など、国際的大イベントが次々と控えている。
 「カネが切れれば、またカネがいる」のバラマキを繰り返すアベノミクスをずっと続けるならば、国際イベントを次々と獲得し続けなければならなくなる。
 そして、国際イベントが続けば、テロリストに日本が関心を持たれるようになり、テロの標的になるかもしれない。
 少なくとも、テロの標的となっている国の人たちが、多く日本にやってくることになる。
 今後、日本がテロと無縁だと、なにを根拠に言えるだろうか。

 このような状況で、日本人の大多数が、完全なテロ対策を求めているのはいうまでもないだろう。
 例えば、フランス人のような、人権意識、民主主義についての意識が高い人たちならば、「内心の自由」を死守するために、結果としてテロが起きても、潔く受け止めるのかもしれない。
 なにせテロが起きた直後に、メディアがテロの原因となった「風刺画」を堂々と掲載し、果ては風刺画のコンテストまでやってしまうような国だ。

 しかし、日本人の感覚はフランス人とは違う。
 日本人は「テロは2万%防いでほしい」と願っているといっても、決して大げさではない。
 「民主主義という価値を守るために、テロが防げなくても受け入れる」というのは、リベラル系の「プロ市民」のような人を除いては、日本にはいない。
 多くの日本人は「お上意識」が強い。
 「民主主義」か「安全」か、どちらかを選べといわれたら、ためらいなく安全を選ぶ。
 「お上」から徹底して独立した個人になるよりも、
 「お上」に守ってもらいたいという意識が強い。

 国民が完全なテロ対策を求めるならば、欧州の事例に倣えば、「内心の自由」という人権を制限してでも、テロを防ぐことに、踏み込まざるを得ないのかどうか、国会で真剣に検討する必要があったのではないだろうか。

■人権に踏み込むなら人権侵害を防ぐ
チェック・アンド・バランスが必要不可欠だ

 権力が「内心の自由」という人権に踏み込むと、なし崩し的に人権侵害が拡大し、戦前の治安維持法のような悪夢が再び起こるという主張がある(2013.12.6付)。
 しかし、それを防ぐ方策がとられている事例が世界にはある。
 英国は「監視社会」が構築されているのだが、政府や警察が市民の人権を簡単に制限できるわけではない。
 英国には、1998年制定の「データ保護法」で規定された「情報コミッショナーオフィス」という個人情報保護の監督機関と、2012年の「自由保護法」に基づいて設置された「監視カメラコミッショナー」という監視カメラの監督機関の、2つの監督機関がある、
 いずれも、政府や警察、諜報機関が市民の人権を侵害することがないよう、政府から独立して監視する「第三者機関」である。
 これらは、公共空間において犯罪と無関係な一般市民を常時撮影することに強く反対する市民団体の動きに、政府が対応して設置されたものである。
 日本でも、人権侵害を防ぐために、「テロ等準備罪」の廃案をひたすら求め続けるのではなく、「第三者機関」の設置により人権を守るという提案が、野党側と市民運動からあってもよかったのではないかと思う。

 本稿も、「テロ等準備罪」のようなものは、できればないほうがいいと考えている。
 しかし前述の通り、テロの恐怖は日本に迫っていないと言い切ることはできない。
 テロ対策は現行法を基に、現行の体制で十分という主張は、全く説得力がないと思う。
 現代社会は、人権を守るために、権力が市民を監視するようなことを一切許さないというような、理想的な状況にはない。
 人権侵害が起きる懸念があるような、厳しい安全対策を取り、一方で人権侵害を厳しく監視するというような、チェック・アンド・バランスをどう社会の中で機能させるかを考えることが重要ではないだろうか。

 米国にドナルド・トランプ政権が誕生した時、大統領が公約通りにすべてを実行したらどんなことになるかと世界中が恐れた。
 しかし実際は、米国の厳格な三権分立が効果を発揮し、大統領の公約は、議会や司法の高い壁に阻まれている(2017.1.24付)。

 日本でも、ただひたすら理想論を訴えるだけではなく、どのように権力に実質的な歯止めをかけられるか、それにはどのような政治・行政の制度設計をするか、現実的に考える時にきているのではないだろうか。







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