2017年6月27日火曜日

「ハリボテ空母」写真への怒り:メンツをつぶされた習近平の怒りか

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6/27(火) 7:00配信 NEWS ポストセブン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170627-00000004-pseven-cn

中国の日本人拘束 
背景に「ハリボテ空母」写真への怒りも


●ジャンプ台のような船首部が特徴(写真:共同通信社)

 「違法な活動をした疑いで日本人6人を調べている」──5月22日、中国外務省は、今年3月下旬に千葉県内の地質調査会社社員など、計6人の日本人を中国当局が拘束したと発表した。
 彼らは全員、中国企業から依頼を受けて温泉探査のため訪中した“一般人”だった。

 中国は2014年に反スパイ法を制定して取り締まりを強化。
 2015年以降、「スパイ行為に関与した」として中国側が逮捕した日本人は計5人いるが、今回の拘束がこれまでと違うのは、容疑が明らかにされていないことだ。
 『習近平の「反日」作戦』の著者でジャーナリストの相馬勝氏が言う。

 「この6人は明らかにスパイではない一般人と考えられます。
 彼らが拘束されたのは中国の山東省や海南省で、両省には中国海軍所属の潜水艦や空母が拠点とする軍港などがある。
 実はこの近辺は今年に入り、警備が強化されていました。
 その理由は、日本のマスコミによる報道でした」

 昨年12月10日、大手通信社の共同通信が〈中国が遼寧省大連で建造している初の国産空母の船体と艦橋(ブリッジ)がほぼ完成〉していると報じた。
 記事とともに同社が入手したとされる建造中の空母の写真も加盟社に配信、産経新聞などが掲載したが、これが“虎の尾”を踏んだというのだ。
 写真は計5枚で、仕上げの塗装工程に入った船体部や空母の全貌を捉えたものもあった。
 いずれも高精細のデジタル画像で、秘密のベールに包まれてきた中国の国産空母を白日の下に晒したという意味ではスクープ写真といっていいだろう。

 これに過敏に反応したのが中国メディアだった。
 中国の最大手ニュースサイト「新浪」は、その3日後に〈日本人は軍事スパイだ〉のタイトルで記事を配信。
 その中で〈共同通信による写真盗撮行為は、中国の海軍力増強に対する日本の不安の裏返しだ〉と非難した。

 12月28日には、中国人民解放軍・総政治部傘下の『中国国防報』が一面で追撃。
 〈中国空母の鮮明な画像が日本から流出〉との見出しのもと〈空母の外観はもちろん構造や艦橋、配備されている武器まで写っていた。
 (中略)空母とは国家の要である。
 中国で空母を違法に撮影することは厳しく禁じられている〉と強く批判した。

 前出の相馬氏が言う。
 「共同通信の記事配信後、海軍基地のある中国各地で当局による監視体制が強化されました。
 この“戒厳令”によって、6人の無関係な一般人が拘束に繋がった可能性は高い。
 もちろんこれは習近平主席の厳命によるものでしょう。
 それほど、写真は中国にとって痛手だったということです」

◆スキージャンプ式

 すでに中国は初の空母となる『遼寧』を2012年に就役させている。
 現在、建造中の国産空母は習近平が国策に掲げる「海洋強国」建設に向け、機動力を確保する点から重要なオプションと見られている。
 2020年頃の就役を目指しているが、詳細な情報は公表されていなかった。

 判明しているのは、排水量約5万トン(『遼寧』は約6万7000トン)。
 最高速度は遼寧より10ノット速い31ノットとされる。
 最大の特徴は船首部に傾斜がついたスキージャンプ式の甲板である。
 実はこの甲板に怒りの導火線が隠されていたのだ。

 中国問題に精通するジャーナリスト・富坂聰氏の解説だ。
 「建造中の国産空母は甲板で高圧蒸気やリニアモーターなどにより艦載機を発進させるカタパルト(射出機)を備えておらず、そのためスキージャンプ式にして艦載機を離陸させる設計になっています。
 カタパルトは現代空母の最新装備といえるもので、米国やフランスなどの海軍が装備しています。
 つまり、中国が今作ろうとしているのは、米空母と比べるとはるかに見劣りのする旧式型なのです」

 中国の過敏ともいえる反応は、最新の軍事技術が漏れるのを恐れたというより、「時代遅れのハリボテ」である事実を、日本メディアにいち早く公にされたことに対する怒りだったようだ。
 ただし中国側の剣幕に外務省は大慌てだったという。

 「今年1月、共同通信記事に対する中国側の怒りを岸田外相に報告した。
 それを受けて大臣は、中国国内の在留邦人に向けて注意情報を出すように指示したが、実際に伝達されたのは公安当局の関係部署までで、一般の在留邦人には情報が届かなかったようだ」(外務省関係者)
 この間、国産空母の写真はネット上で拡散し続け、中国側はますます態度を硬化――ついに3月の邦人拘束に至ったと考えられる。
 外務省に、一連の日中の報道合戦による影響や拘束された6人の状況などを訊ねると、こう回答した。
 「報道については承知しているが、日中の外交ルートでは様々なやり取りが行なわれている。その一々について申し上げることは差し控える。
 (6人は)邦人保護の観点から適切に支援している」(報道課)

 前出の富坂氏が言う。
 「米国と肩を並べる最新鋭空母は建造できなくても、国産空母が就役するだけで周辺のアジア諸国に威圧と牽制を加えることができる。
 今後、中国が海洋進出を進めるなかで日本をはじめ周辺国との摩擦が増える可能性は高い」

 メンツを潰されただけで民間人を拘束する。
 短気な隣人との付き合い方は相変わらず難しい。

※週刊ポスト2017年7月7日号







2017年6月26日月曜日

低欲望社会へ:成長経済は日本では遺跡に過ぎなくなりつつある

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 日本が経済成長に背を向けてから20年が経つ。
 これを「失われた20年」と人は呼ぶ。
 ところが、日本の経済はまるで衰えていない。
 一部の経済学者は日本では成長経済学は終わり、定常経済の時代へ入っているという。
 人間側からみると、欲しいものはとりたててない。
 「車、軽で十分」「衣料、ユニクロでいい」「日常品、100円ショップで満足」
 日本は低欲望社会に入ったという。
 欲しいものがないほどに豊かな社会が実現されてしまった
ということになる。 


Record china配信日時:2017年6月26日(月) 14時50分
http://www.recordchina.co.jp/b182369-s0-c30.html

日本は低欲望社会へ突入!?
「中国の庶民は、欲望はあるがお金がない」―中国ネット

 2017年6月26日、中国メディア・新財富雑誌が日本は低欲望社会へと突入するとする記事を掲載した。

 「低欲望社会」とは、
 物価がいくら下がっても消費が刺激されず、
 経済が明らかに成長していても銀行の利率は低いままで、
 30歳までにマイホームを購入する人の割合が下がり続け、
 若者は自家用車の購入に興味がなく、
 ぜいたくをするとあざ笑われてしまい、
 オタク文化が流行し、
 三食を簡単に済ます
ような社会のことを指すという。

 日本が低欲望社会となっている理由について、
★.社会が急速に発展した後の成熟した段階に入ったこと、
★.日本の税収政策、
★.日本社会独特の伝統文化
などがあると分析した。

 これに対し、中国のネットユーザーからは
 「ある程度物質的に豊かになると無欲になるものだ」
 「これってわが共産党が言っている共産主義社会のことじゃないのか」
などのコメントが寄せられた。

 また、
 「中国の庶民は、欲望はあるがお金がない」
 「中国人の苦痛の原因は欲望だ。
 そして欲望はメンツと虚栄心からきている」
というコメントもあり、どうやら今のところ中国人は低欲望とは無縁のようである。

 しかし、
 「なんだか中国も将来はこうなるような気がする」
という意見や、
 「食べ物がさっぱりし過ぎているからじゃないのか?」
 「生活がゆったりし過ぎているんだよ」
などの理由を挙げるユーザーもいた。

時速400キロ:大丈夫? 振動疲労を甘く見てはいないだろうか

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Record china配信日時:2017年6月26日(月) 14時17分
http://www.recordchina.co.jp/b182348-s0-c20.html

新たな高速鉄道車両がお目見え、復興号と命名=最高時速は400キロ―中国



 2017年6月25日、央視新聞によると、中国の新たな高速鉄道車両は「復興号」と命名された。

 中国鉄路総公司が主導して開発し中国が完全に知的所有権を保有、世界最先端レベルの技術を持つ高速鉄道車両が完成した。
 25日、車両は復興号と命名され、最高時速400キロ、運行時速350キロという性能がある。

 同車両はまず北京・上海間高速鉄道に投入される。
 今後はさらに多くの路線に投入される見通しで、旅客に新たな選択肢を提供するものとなる。
 また、中国鉄路総公司は今後、マーケットのニーズに応じて、より運行時速の低い車両の開発を進めるという。



環球網配信日時:2017年6月26日(月) 20時20分
http://www.recordchina.co.jp/b182457-s12-c30.html

最新版の中国高速鉄道車両「復興号」、
北京−上海間でついに運行開始―中国メディア

 中国が完全に自主性を持つ知的財産権を用いて開発された中国基準の高速鉄道車両「復興号」が26日、北京と上海をつなぐ高速鉄道で正式に運行を始めた。
 中国新聞網が伝えた。

▼「復興号」の実力は?―完全な知的財産、中国の基準が84% 

 中国鉄路総公司が先頭に立って開発し、完全な知的財産権を持つ、世界の先進レベルの「中国基準」高速鉄道車両が25日、「復興号」と命名された。
 26日、「復興号」は北京―上海間の高速鉄道の両端である北京南駅と上海虹橋駅から出発した。それぞれの番号は「G123」「G124」である。

 「最新版の中国高速鉄道車両」と呼ばれる「復興号」は2012年から開発を始め、2014年に設計が完成、2015年運行試験が行われ、今年、正式に披露された。

 中国の国家基準と業界基準、中国鉄路総公司の基準が大量に使用されていることが「復興号」の最大の特徴だと言われている。
 254に上る重要な基準の中で、中国の国家基準が84%を占めている。
 さらに、全体設計や車体、ステアリング、けん引、ブレーキ、ネットワークなどのコア技術は中国で開発され、完全な知的財産権を持つ。

▼「顔面偏差値」は?―2種類の車両、より優雅なデザインに 

 「復興号」は「CR400AF」と「CR400BF」という二つのタイプを持っている。
 よく知られている「和諧号」に比べ、「復興号」は新しい低抵抗流線型の先頭と滑らかな車体デザインを使い、より優雅な見た目となった。
 そのほか、「復興号」は「CRH380」シリーズの列車より空気抵抗が7.5%〜12.3%下がり、時速350キロの場合は、100キロメートル当たりのエネルギー消費量が17%前後減少し、より「省エネ」なシステムになった。

▼スピードは?―実験時の時速は400キロ以上 

 「CR」は中国鉄路総公司の英語名の略称であり、新型の高速鉄道車両の規格はいずれも「CR」を使う。
 上述の「CR400AF」と「CR400BF」の中の「400」は速度を示すコードであり、該当列車の実験時速が400キロ以上に達することができることを意味している。
 持続的な運行でも350キロを出すことができる。

▼安全性は?―約2500個の観測スポットが全方位で即時に観測 

 スピードが速いのは明らかだ。
 では、安全性はどのように保障するのだろうか?
 報道によると、安全を確保するために、「復興号」には2500個の観測点が備わっている。
 ベアリングの温度、冷却システムの温度、ブレーキシステムの状態および客室の環境を全方位で観測することができ、異常があれば、自動で警報を鳴らしたり、減速や停車などの措置を取ることができる。
 特筆すべきは遠隔データを通して車両の状態を即時に把握し、観測、遠隔メンテナンスを実施することができる点だ。
 車両先端と接続部には特別な装置が増設され、低速運行中に衝突が起きた場合に車両の防護能力を高めることができるのだ。

▼「和諧号」からの変化は?
 ―設計寿命がより長く、車内に無料WiFiと充電設備を完備 

 上述したような外見上の違いの他に、「復興号」は設計寿命、車内空間と快適性の面でも大いに向上している。
 報道によると、中国の広大な国土面積、プラスマイナス40度の気温、長距離運転、高強度運転の需要を満たすために、「復興号」は60万キロメートル(ヨーロッパ基準より20万キロ長い)の試験走行を行った。
 その結果、車両の性能指標は大いに高められ
 設計寿命も「和諧号」の20年よりも10年間延び、30年に達した。
 また、「復興号」は車両高度が4050ミリまで高くなり、車内空間は広くなり、車内はより静かに、座席幅も広くなった。
 注目されていた充電とWiFi問題についても改善された。
 報道によると、乗客はいつでも車内で充電コードやWiFiに接続することができるほか、照明制御モードを通して光の明るさをコントロールでき、またトンネルを通過する際の耳への影響も大いに減少した。

▼「復興号」未来の発展は?―中国高速鉄道の海外進出の促進へ 

 中国鉄路本社の担当者はメディアの取材に対し、「復興号」が北京―上海間高速鉄道で先行して運行開始されるのは高速鉄道運営の品質のさらなる向上および中国高速鉄道の国際ブランドの構築に重要な模範的効果を及ぼすためだと答えた。
 次のスデップは、旅客需要に基づき、北京―上海間高速鉄道の輸送潜在力をさらに発揮し、「復興号」の優秀な性能を示し、乗客にさらなる快適な旅行体験を提供することだと語った。

 中国鉄路総公司総エンジニア長であり、中国プログラミング学会員の何華武氏はメディアに対し、完全に自主的な知的財産権を持っている一連の中国標準の高速鉄道はインドネシアの高速鉄道プロジェクトに利用され、「復興号」が中国高速鉄道の海外進出の主力となることを明らかにした。

(提供/環球網・編集/インナ、黄テイ)
※本記事はニュース提供社の記事です。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



Record china配信日時:2017年6月28日(水) 15時40分
http://www.recordchina.co.jp/b182783-s0-c20.html

中国高速鉄道「復興号」
いきなり大失態?
デビュー翌日に「49分遅れ」―中国メディア

  2017年6月28日、中国で26日に運行を始めた高速鉄道の新型車両「復興号」。
 習近平(シー・ジンピン)国家主席が掲げているスローガン「中華民族の偉大な復興」から命名され、中国が完全に知的財産権を持ち、最高時速350キロで北京と上海を結ぶこの期待の新型車両で、デビュー翌日に49分間の遅れが生じたと報じられている。

 中国メディアの封面新聞によると、27日、北京南駅発のG123列車が49分遅れて上海虹橋駅に到着した。
 上海鉄路局によると、北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道ではこの日、複数の便で最大59分の遅れが生じていたという。

 G123の遅延は、天津から福州に向かっていたG329の遅延の影響を受けたものだ。
 関係者は
 「高速鉄道で遅延が発生するのは普通のこと。
 G123の遅延は明らかにとばっちりだ」
と説明している。







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中国のJ−10B戦闘機:「国際アーミーゲームズ2017」へ参加

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人民網日本語版配信日時:2017年6月26日(月) 1時0分
http://www.recordchina.co.jp/b182197-s10-c10.html

中国のJ−10B戦闘機、世界の先端戦闘機と技を競う―中国メディア


 空軍の申進科報道官は21日、「国際アーミーゲームズ2017」の種目「航空ダーツ」の見所の1つとして、中国の殲10(J−10)B戦闘機が初参戦し、世界の先端戦闘機と技を競うことを明らかにした。
 新華社が伝えた。

 殲10Bは公開されることが少ないものの、広く知られている。
 中国空軍八一アクロバット飛行隊が国際的な舞台に頻繁に登場するにともない、パフォーマンス機である殲10Bもまばゆい「中国の名刺」となった。

 2016年11月の中国珠海国際航空ショーで展示された殲10Bは、メディアの焦点となった。
 殲10Bは殲10より性能が大幅に向上しており、第4世代戦闘機による中国領空防衛の主力になるというのがメディアの一致した見方だ。

 中国空軍が公表した情報によると、殲10Bは中国が独自開発した全天候型・超音速多用途戦闘機であり、制空権奪取、近距離空中火力支援、対地・対艦精密攻撃などの任務を主に担う。
 また、殲10Bは各種中近距離空対空ミサイル、空対地ミサイル、レーザー誘導爆弾、各種航空爆弾、ロケット弾などを搭載でき、離着陸能力と機動能力に優れ、全天候条件下の空対空戦闘、ミサイル攻撃能力を備える。

(提供/人民網日本語版・編集NA)
※本記事はニュース提供社の記事です。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。







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2017年6月25日日曜日

過剰人口と高齢化(2):都市化の嵐

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人民網日本語版配信日時:2017年6月24日(土) 21時50分
http://www.recordchina.co.jp/b181841-s10-c30.html

東京、ニューヨーク、北京…、
人はなぜ都市に集まるか―中国メディア

 大勢の人が比較的狭い地理的空間に集まり、一定基準の人口密度を上回ると、そこは「都市」と呼ばれるようになる。
 目を見開いてじっくり眺めると、こうした変化の動きは世界のどこでもいまなお増えることはあっても減ることはなく、都市化の大きな流れをくい止めることはできない。新華社が伝えた。
 (文:周其仁・北京大学国家発展研究院教授)

 世界のどこでも、人々が都市に集まりたがるのはなぜかと質問されたとしよう。
 文化や文明に関する理由はよくわからないが、経済面での原動力ははっきりと見て取れる。
 都市はより多くの収入を生み出すから、という理由だ。

 2010年に東京を訪れたことがある。大都市東京の人口密度はかねてより印象深いもので、日本の国土面積のわずか4%に人口の25%が集まっていた。
 だがこの世界トップクラスの大都市は経済の集積度がより高く、この都市の東京の一人あたり平均GDP(国内総生産)は7万2000ドル(1ドルは約111.5円)に達し、日本の全国平均を67.4%上回った。
 計算すると、大都市東京だけで日本の生産額の40%を生み出したことになる。

 他の大都市は東京のようにはならないのだろうか。
 04年の統計では、大阪は日本の人口の1.6%を占め、経済(GDP)は4.1%を占める。
 ロンドンは11.8%の人口に13.3%の経済、
 ニューヨークは2.3%の人口に3.5%の経済
が集まる。
 世界銀行のロバート・ゼーリック元総裁は、
 「エジプトの人口の35.7%が国土面積の0.5%しかない首都カイロに集中するが、生み出すGDPは全国の半分以上になる」
という極端なケースを紹介する。

 ほぼ一世代にわたる研究の成果によると、「よりバランスのとれた成長」を志向する人がどれくらいいるかに関わらず、世界のあちらこちらの事例から、
 人々の経済活動に内容された論理とは流動の中で集まり、また流動し、また集まり、人口、経済、冨が地理的には面積の相対的に小さな各地域に集中していく
というものであることがわかる。

 「都市化」とはこういうことだ。
 都市はいつも人口密度で定義されるが、人々が好むと好まざると同じく都市に集中するのはなぜかといえば、経済の集積度が人口の集積度を上回るからだ。
 このように考えてみよう。
 初めは安全性やそれに付随する理由が人口の集積を促したかもしれないが、人々は人口の集積が経済成長にプラスになり、人が集まって一カ所に固まると収入増加にプラスになり、集積と最集積という経済成長のエンジンが動き出すことに気づいた。

■▽経済集積度と人口密集度の関係

 経済の集積度が人口の密集度を上回ると、超えられないカベでもない限り、さらに多くの人口が集まることは確実だ。
 東京の場合、現地の関係者に聞くと、すでに30年前に、この日本一の大都会は人口が多すぎる、土地が狭すぎる、負荷が受け入れ能力を超えていると嘆く人々が大勢いた。
 関連の法律や政策が施行され、長年にわたって「東京の分散化」や「よりバランスのとれた成長」という構想が推進された。
 だが数十年後の今、集積度は引き続き上昇している。
 分散しては東京の最大の魅力が発揮されないからで、「東京への集中プロセス」の流れはもはやくい止めようがない。

 その道理はシンプルだ。
 拡散・バランス政策によるはたらきかけをしても、東京の経済密度は引き続き人口密度より高く、一人あたり平均GDPは全国平均を70%近くも上回るからだ。
 つまり、東京に引っ越せば、所得水準も上がるということだ。
 人は高いところを目指すものであり、これをくい止めることはできない。
 東京の高い密度が生活コストと生産コストを引き上げていることは確かだが、利害得失を考え、軽重をはかり、当事者たちは何がいいのかはっきりわかっている。

 東京都の各レベル政府と都市計画の専門家たちもこうした現象を認めており、人々を低い方へ押しやることはできない。
 経済の規律が促せば、人々は喜んで集まり、よりよい集積環境を生み出すのは当然のことだ。
 10年10月に東京で会議に出席した際、主催者が企画した空中観光に参加した。
 ヘリコプターで中心部にあるビルの屋上を飛び立ち、空から東京の様子を眺めた。
 いくつもの高層ビルの屋上で工事が行われており、たくさんの工作機械が忙しそうに立ち働いていた。
 たずねたところ、「空中都市庭園」を作っているという答えが返ってきた。
 大都会の密度がさらに高まり、近代都市計画の祖と呼ばれる英国のエベネザー・ハワードが提唱した「田園都市」の理想がこんなに高い場所で実現することになるのだ。

 人口の集積は経済の集積を押し進め、人口のさらなる集積を促すというのが、都市化の動態プロセスだ。
 ここからわかることは、北京、上海、広州が経済面で引き続き絶対的な上位にあれば、人口の集積が長期的にわたって続き、他の都市も経済成長によってより多くの人材を誘致すれば、将来はこうした相互に推進し合う関係が都市間の経済発展をよりバランスのとれたものにしていくということだ。

(提供/人民網日本語版・編集KS)

※本記事はニュース提供社の記事です。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

2017年6月24日土曜日

日本「民泊」解禁:でホテル不足緩和へ

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ニューズウイーク 2017年6月23日(金)19時21分 長嶺超輝(ライター)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/post-7855.php

民泊新法の目的は、東京五輪対策ではなく地方活性化!?

<2020年の五輪開催を控え、宿泊施設不足が深刻な東京。
このたび民泊の規制緩和を可能にする新法が成立したが、その目的は五輪と関係ないところにありそうだ>

 6月9日、住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立した。
 これは一体、何を目的とした法律なのか。
 そして日本の民泊はこの新法でどう変わるのだろうか。

くだんの新法は、冒頭でその「目的」を語っている。

>>>>>>>>
◆住宅宿泊事業法 第1条(目的)
この法律は、我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況に鑑み、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制度並びに住宅宿泊管理業を営む者及び住宅宿泊仲介業を営む者に係る登録制度を設ける等の措置を講ずることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。
<<<<<<<<<

 このタイミングでできた法律であるのだから、やはり東京五輪の開催に伴い、首都圏で高まる「宿泊に対する需要」に応えたいのだろうか。
「観光立国」を目指す日本は、東京五輪が行われる2020年までに年間4000万人の外国人観光客の誘致を目指している。
 実際、2012年まで年間数百万人単位で推移してきた訪日観光客数が、2016年には2400万人以上に跳ね上がっており、目標達成も現実味を帯びてきている。
 このような外国人観光客の急増を「第二の開国」と呼ぶのも、あながち大げさな表現ではなさそうだ。

【参考記事】東京は泊まりやすい? 一番の不満は「値段」じゃなかった
【参考記事】日本「民泊」新時代の幕開け、でも儲かるのは中国企業だけ?

 そこで懸念されるのが、宿泊先の不足である。
 3年後に五輪開催を控える都内では特に、高級ホテルからビジネスホテルまで建設が急ピッチで進められているが、より多様な客層を取り込むべく、リーズナブルな料金で泊まれる施設も確保しておかなければならない。
 
 そうした事情を背景に、自分の所有・管理している部屋を有償で貸し出す「民泊」への注目が高まっているわけだが、
★.今までは民泊を行う場合、東京都大田区などの民泊特区でない限り、旅館業法の「簡易宿所」として都道府県知事の許可を得る必要があった。

 簡易宿所はホテルに準ずる位置づけなので、フロントを設置する義務が課されている。
 普通のマンションの一室を貸し出すような民泊では、物理的にも人手の面でもフロントを置くのはハードルが高く、現実的ではないとされていた。
 そこで、国は昨年、簡易宿所のフロント設置義務を原則的に廃止
 実上の民泊規制の緩和であり、このたびの民泊新法の布石でもあった。

 新法成立により、今までは特区でしか認められなかった民泊事業が、来年から全国で解禁される。
 ワンルームマンションや少人数向けで人気のAirbnbや、一軒家や別荘、多人数向けに強みがあるHomeAwayなど、民泊仲介事業も本格的に加速していくことになる。

【参考記事】東京五輪まであと4年、「民泊」ルールはどうする?

■「年間180日」上限と自治体ごとのルールの違いがネックに

 ただ、これで東京五輪対策が盤石かというと、そうとも言い切れない。
 民泊新法によって、自分が所有する部屋を民泊として貸し出せるのは「年間180日」という上限が設けられた。
 既存のホテル業界との兼ね合いで、民泊事業が外国人観光客を奪いすぎないよう、全体のバランスを取る趣旨である。
 もし年間180日を超える民泊を行えば、旅館業法違反として処罰の対象となる。
 出張などで不在にすることが多い部屋を民泊用に他人に貸し出すぶんには、年間180日もあれば十分だが、民泊事業を割の良い不動産賃貸として投資目的で利用しているオーナーは、撤退を余儀なくされるかもしれない。

 たとえば、家賃10万円の部屋を1泊5000円で民泊に提供すれば、30日間フル回転できたとして月5万円の粗利が生まれる。
 ただ、年間の半分以下しか民泊に提供できないのなら、宿泊料を相当引き上げない限り、事業として成り立たなくなってしまうからだ。
 もちろん、宿泊料を上げれば集客に苦しむリスクも伴う。
 もともと、どのような人が地域に出入りするのかを読み切れない民泊への抵抗感が根強い自治体も各地にある。
 「おもてなし」という建前と、「漠然とした不安」という本音が交錯しているのであろう。

 実際、国が昨年、簡易宿所のフロント設置義務を撤廃した後も、東京都台東区など、依然として条例でフロント設置義務を課している自治体は少なくないし、長野県軽井沢町に至っては、町内全域で民泊施設の設置を認めないと明言している。

 国の方針とは別に、地域の情勢を加味して、それぞれの自治体が独自にルールを作れることは、地方自治の核心であり、それ自体に問題はない。
 ただ、東京都心における民泊への賛否の濃淡が自治体によってまちまちであれば、民泊事業者はルールを把握して遵守することを敬遠するだろうし、国の設定した「180日ルール」を守っていれば、民泊専用の投資物件は経営的に厳しくなる。
 結果として、今後も「違法民泊」を黙認しない限り、外国人観光客の宿泊需要に対応しきれない事態にもなりかねない。

■地方には民泊に活用できる空き家・空き別荘がたくさんある

 だとすれば、民泊新法は東京五輪対策というより、むしろ、空き家や空き別荘が休眠している地方を活性化させる目的で作られたものと考えるべきではないか。
 ニッセイ基礎研究所のレポートによれば、空き家は数としては大都市圏が多いものの、2008~2013年の増加率をみると地方でも高い県がみられる。
 地方では特に一戸建ての空き家の増加傾向が顕著で、中部や中国、九州などでその傾向が強いようだ。

 2013年現在、日本の空き家数は約820万戸で、家屋全体の13.5%を占め、過去最大の割合となった。
 各地では「空き家対策条例」が制定されている。持ち主各自で空き家を責任をもって維持管理するよう義務づけ、もし倒壊などの危害が生じるおそれがあれば、自治体が勧告や措置命令を出せる。
 おおむねそういった内容だ。

 ただ、持ち主が不明、あるいは曖昧なまま放置されていて、倒壊の危険だけでなく、不気味な外観となったり異臭を放ったりする空き家も少なくない。
 かといって憲法で私有財産制が保障されている国である以上、役所が空き家を撤去する場合には、行政代執行で極めて慎重に実行しなければならない。

 大半の地方コミュニティが頭を抱えている、厄介な課題。
 それが空き家である。
 もしも、固定資産税を支払うだけのお荷物になっている空き家を、民泊に活用できるのであれば、地方へ足を延ばす観光客の増加に寄与し、彼らの目を通して魅力的に映る観光資源が各地で次々と掘り起こされるという期待も生じる。

 羽田や成田に降り立って来日した外国人たちに、「東京だけ見て帰ってはもったいない」と思わせるに足りる観光地が日本各地にある。
 つまり、地方の観光を盛り上げるのに、民泊事業はひとつの鍵を握っているのではないか。
 LCC(格安航空会社)や高速バスなどとも連携できる。

 欧米を中心に「自然を克服する文明」を背景に持つ人々にとって、
 日本のような「自然と共存する文明」は、きっと新鮮に映るだろう。
 富士山が世界自然遺産でなく世界文化遺産として登録されていることも象徴的だ。
 むしろ、日本という唯一無二の文化圏の個性は、日本人よりも外国人のほうが気づきやすいに違いない。
 素朴な民泊ホストが、日本家屋で温かく出迎えて、日本人と外国人がお互いに敬意を持って交流し合い、民泊と旅館業が共存共栄していく未来は、きっと21世紀にふさわしい美しさを放つはずだ。

[筆者]
長嶺超輝(ながみね・まさき)
ライター。法律や裁判などについてわかりやすく書くことを得意とする。1975年、長崎生まれ。3歳から熊本で育つ。九州大学法学部卒業後、弁護士を目指すも、司法試験に7年連続で不合格を喫した。2007年に刊行し、30万部超のベストセラーとなった『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の他、著書11冊。最新刊に『東京ガールズ選挙(エレクション)――こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』(ユーキャン・自由国民社)。ブログ「Theみねラル!」



人民網日本語版配信日時:2017年6月23日(金) 23時0分
http://www.recordchina.co.jp/b182162-s10-c20.html

日本が「民泊」解禁
ホテル不足緩和へ、カギは信頼感―中国紙

 ラグビーワールドカップ2019年と2020年夏季オリンピックという2大イベントの開催を控え、日本政府はこのほど住宅の空き部屋に旅行者を有料で宿泊させる民泊を規範化する「住宅宿泊事業法案」(民泊新法案)を正式に可決した。
 これは数多くの民泊プラットフォームを事実上「解禁」するもので、民泊が合法化されたことになる。
 日本政策投資銀行の試算では、2020年までに日本を訪れる外国人観光客は4000万人に達する。
 ホテルなどの宿泊施設が深刻な供給不足にある中、民泊が危機状態を緩和する重要なパワーになる可能性がある。人民日報が伝えた。

 2年前、調査会社ニールセンが60カ国のネットユーザー30万人以上を対象に調査を行ったところ、アジア・太平洋諸国の回答者の78%がシェアリングエコノミーに強い意欲を示した。
 実際、過去12カ月間に、観光客で管理のグレーゾーンにある民泊サイト・エアビーアンドビーを通じて日本での宿泊先を予約した人はのべ500万人に上った。
 日本メディアの予想では、今回の法案可決は性急な感があるのは否めないが、法律の保護と指導があれば、民泊への信頼感が向上し、民泊事業はこれからより大きな発展を迎えるという。

 米経済誌「フォーブス」の指摘によると、「シェアリングエコノミー(共有経済)の未来は信頼感がカギになり、信頼感はこの急成長する経済モデルの潤滑油だ。
 今の人気ぶりに比べ、シェアリングエコノミーが登場したばかりの頃は評価する人は少なかった」という。
 米誌「ニューヨークマガジン」は、
 「シェアリングエコノミーの成功は別の選択肢がないから、実体経済がずっと低迷しているからといった理由が大きく、人々はお金を節約し稼ぐためにシェアリングエコノミーの行列に加わる。
 これは信頼感とは関係ない」
との見方を示す。
 米国の作家の故E.L.ドクトロウ氏はかつてシェアリングエコノミーの隆盛を、
 「インターネットの信頼システムの偉大さによるものではなく、多くの人が詐欺師でないことによるもの」
と皮肉った。

 だが人類の自覚と物品のコストパフォーマンスだけでシェアリングエコノミーの成功拡大を説明することはできない。
 実際、配車サービスのウーバーを通じて見知らぬ人の車に乗るようになり、エアビーアンドビーで初対面の人の家に泊まるようになると、かつてのような情報不足による他人への恐れといった感覚が目立って薄れていった。
 「人々がリスクを引き受けるつもりで新しい事を試そうとしたり古いやり方を変えようとしたりする」時、「信頼感の飛躍」が起こり、ネット通販からシェアリングエコノミーまで、人々は信頼感の「ホップ・ステップ・ジャンプ」を達成することになる。

 英国生まれの作家レイチェル・ボッツマン氏は著作「シェア−<共有>からビジネスを生み出す新戦略」の中で、
 「人類社会の信頼感の発展は3つの段階を経ている。
 小さい範囲での信頼感、
 機関に対する信頼感、
 今起きている分布式の信頼感だ」
と記した。
 わかりやすくいうと、原始社会の集落やその後に生まれた村落では、人々が相互に抱く信頼感は小さい範囲のもので、よく知った人同士がこれまでの交流経験から相手を信頼できるかどうかを判断していた。
 都市化が一層発展すると、人々はお金を大手銀行に預け入れ、大規模チェーン店で買い物し、権威あるメディアが発行する新聞を買うようになり、いずれも評判が高くこれまでに問題がなかった機関を信頼する行為といえる。
 インターネット時代の訪れにより、信頼感は上から下に向かうものではなくなり、不透明で一時的なものではなくなった。
 「脱中間」と「双方向性」が、信用を基礎として発展を続ける信頼感モデルの目立った特徴となっている。

 実際、多くの通販プラットフォームとシェアリングエコノミープラットフォームがこうした役割を果たしており、売買双方のために信用システムを構築し、見知らぬ人同士で取引や共有ができるようにする必要に迫られている。
 ウーバーのGPSを利用した追跡やクレジットカードの関連づけから、エアビーアンドビーの身元確認やソーシャルメディアアカウントとの関連づけなど一連の利用者データの追跡まで、信用システムは強化を続け、人々の信頼感のレベルもこれにともなって実際に上昇している。
 また仮想通貨ビットコインのブロックチェーンモデルの模索や導入、第三者信用プラットフォームの誕生発展、インターネットのセキュリティのさらなる向上に対し、各国は関連の法律による保障措置を相次いで打ち出し、社会信用システムと全体的な信頼度の向上を大きく促進する役割を果たしている。

 シェアリングエコノミーはまだ生まれたばかりで、優れたところが目立つと同時に欠点もはっきりしており、よいところを伸ばし、悪いところを補えば、社会全体に真の利益をもたらすことになる。

(提供/人民網日本語版・編集KS)
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2017年6月23日金曜日

中国の権力闘争(2):最後の皇帝か? 習近平

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JB Press 2017.6.22(木)  川島 博之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50278

皇帝・習近平の野望とは?
中華思想が甦る中国
2017年は、習近平独裁体制が確立される歴史的な年に

 1週間にわたり中国各地を訪問して、多くの人々から話を聞くチャンスに恵まれた。
 そこで得た感触を一言で言い表せば、
★「皇帝・習近平の出現」
と要約できよう。
 1978年に鄧小平が始めた
★.改革開放路線の転換
と言ってもよい。

 毛沢東の死後、鄧小平はカリスマとして大きな指導力を発揮したが、自らが国家主席や共産党主席に就任することはなかった。
 彼の子分が党や国家の要職につき権力を分掌した。
 また、改革開放路線を押し進めた。西欧や日本と積極的に交流して技術を導入した。
 そして、貿易によって国内経済を発展させた。
 その路線によって、文革が終わった時点では数ある開発途上国の1つに過ぎなかった中国が、「G2」と称して米国と並び称される地位にまで上り詰めることができた。

■いよいよ確立される習近平独裁体制

 2017年は、改革開放路線に舵を切った1978年と共に歴史に記憶される年になるだろう。
 この秋に共産党大会が開かれて、習近平独裁体制が確立されるからである。
 それは改革開放路線の終焉を意味する。

 李克強は首相を外れて“上がり”ポストである全国人民代表大会常務委員長に就くとされる。
 また、中国共産党中央規律検査委員会書記だった王岐山も定年を理由に政治局常務委員を退く可能性が高い。

 李克強は胡錦濤をバックに共産党青年団を代表する立場にあったが、習近平との政争に敗れた。
 現在、その政治力はほぼゼロに近い。
 また、王岐山は習近平の右腕として汚職撲滅運動の先頭に立ってきたが、習近平がヘゲモニー(覇権)を確立したために、その役割を終えたと言える。
 王岐山は習近平が下方された時代に兄貴とした慕った人物であり、習近平が強い信頼を寄せる人物であるが、兄貴分であるだけに、ちっと目障りな存在でもある。
 覇権が確立された今日、定年を理由に引退していただくことが、もっとも妥当な線と言えよう。

 次の政治常務委員が誰になるか、現在時点でその名を言い当てることは難しい。
 ただ一つハッキリしていることがある。それは習近平に忠誠を誓う人物でなければ、要職に登用されないと言うことである。
 習近平が主席に就任した2012年からこの5年間、習近平派と胡錦濤率いる共産党青年団、そして江沢民に連なる上海閥が暗闘を繰り返してきたが、習近平はヘゲモニーを確立することに成功した。
 この秋の党大会は、その事実を広く世界に知らしめるものになろう。

■ますます強まる鎖国ムード

 新しく皇帝となった習近平は毛沢東を理想としているとも伝えられるが、そう考えるよりも「明」や「清」の隆盛期を再現したいと思っているとした方が的確だろう。

その外交方針の基本は、周辺国に朝貢を求めるものになる。
 一方、広く世界から新たな技術や情報を求めることはない。
★.一言で言えば中華思想であるが、中華思想は孤立主義でもある。
 冷静に考えれば、一帯一路やAIIBも、広く世界に影響力を及ぼそうとするものではない。
 せいぜい、その周辺に影響力を及ぼそうとしているだけである。

 習近平は口では一帯一路やAIIBによって国際的なプレゼンスを増すようなことを言っているが、今年に入って、通貨である“元”の国際化に関して極めて消極的な姿勢に転じている。
 国内で不動産バブルが深刻化していることから、外国と交流してリスクを高めるよりも、国を閉じた方がリスクが低くなると思っているようだ。
 しかし、そんな根性ではとても世界に冠たる帝国を築くことはできない。

 中国が鎖国ムードに転じる兆候は、ネット空間上において一層鮮明である。
 中国ではグーグルだけでなく、近年、海外のサイトにアクセスすることが難しくなっている。
 2~3年前までと比べても、海外のサイトへのアクセスは難くなっている。
 中国のネットは国内だけを繋ぐものに成り下がってしまった。
 そして、そこには当局の監視の目が光っている。

 また、温泉探査を行っていた日本人技術者がスパイ容疑で拘束されたように、「国家の安全を脅かした罪」という抽象的な要件で外国人を拘束、逮捕する事例が増えている。
 その対象は日本人だけでない。

 このようなことが続けば、外国人は怖くなって中国を訪問しなくなる。
 観光旅行も控えるだろう。日本は国をあげて観光立国に取り組んでいるが、中国はその逆の方向に向かって走り始めた。

■日本への関心は薄れていく?

 この秋に習近平による独裁体制が名実共に確立されると、この傾向は一層強くなろう。
 中国は、再び明や清のような東洋的大国に立ち戻ろうとしているが、それは“中華思想”がなせる業である。
 自分が偉いのだから、外国に学ぶ必要はない。
 そして“地大物博人多”だから、海外と交易する必要もない。

 明や清に類する帝国が出現したために、周辺国はその対応に追われることになった。
 特に韓国がつらい立場に立たされている。
 現在はミサイル防衛問題でいじめられているが、米国との関係を完全に断ち切らない限り、ミサイル問題が解決しても中国から新たな難題を押し付けられることになろう。
 それは、韓国が中国に朝貢しなければいけない国であるためだ。

歴史的に朝貢体制の中にいなかったために、日本の立場は微妙である。
 習近平独裁体制における日中関係を予測することは大変難しいが、明や清の歴史を振り返ると、中国の日本への関心は薄れていくのではないだろうか。
 このこところ、中国が名指しで日本を非難することが減っている。

 いずれにしろ、この秋の共産党大会は、中国の歴史において極めて重要な会議になる。皇帝習近平の出現、その行方を注視したい。



2017.6.23(金)  The Economist (英エコノミスト誌 2017年6月17日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50324

中国の歴史:言われているほどでもなかった黄金時代

 中国は共産党が考えている以上に長い間、欧州より貧しかった。
 これは習主席の「中国の夢」にどんな影響を及ぼすのか。

 中国の習近平国家主席は、自分自身の「中国の夢」について語るのが好きだ。何でも、「中華民族の偉大な復興」を夢見ているという。

 習氏にとっては、これは中国が共産党の指揮下で「屈辱の100年」――第1次アヘン戦争(1839~42)後の100年間に中国が見舞われた経済的惨事と外国による領土奪取のこと――以前と同じように世界で最も裕福で最も強い国に返り咲くことを意味する。

 その延長線上で考えるなら、共産党の正統性はこの復興次第ということになる。
 しかし、1839年以前の中国が世界で最も裕福な国でなかったらどうなるだろうか。
 中国が欧州より貧しかった時期が175年間ではなく675年間だったらどうか。
 それでも習主席の「中国の夢」はこれほど大きな魅力を持つだろうか。

 オックスフォード大学のスティーブン・ブロードベリー、北京大学の菅漢暉(グアン・ハンフェイ)、清華大学の李稻葵(デビッド・ダオクイ・リー)の3氏が新たにまとめた研究は、中国は実際、数世紀にわたって欧州の後塵を拝していたと論じている。

 中国、イングランド、オランダ、イタリア、日本の5カ国について、西暦1000年前後以降の1人当たり国内総生産(GDP)を推計して比較したところ、中国がほかの4カ国よりも裕福だったのは11世紀の間だけだったという。
 この頃までに中国は火薬、羅針盤、可動活字、紙幣、溶鉱炉を発明していた。

 だが、ブロードベリー氏と2人の共同執筆者によれば、イタリアは1300年よりも前に中国に追いついており、オランダとイングランドも1400年までには追いついていた。
 1800年前後には日本が中国を抜き、アジアで最も裕福な国になっていた。

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