2017年2月28日火曜日

中国(21):中国の対トランプ戦術、実際の効果のほどは?

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BBCニュース 2017/feb/27 キャリー・グレイシー中国編集長
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39099806

中国の対トランプ戦術、
実際の効果のほどは?

米国の大統領就任式から1カ月。
世界中の多くの国がそうであるように、中国にとって、新大統領ドナルド・トランプに慣れることが大きな難題となっている。

 トランプ氏は、中国に対して挑発的で予測不能な発言を繰り返しつつ就任した。
 しかし中国政府が「包括的強さ」と呼ぶものを構築するには、米国との友好関係や米国の市場と技術が必要だ。
 きちんと機能した米中関係が、中国の戦略的な関心事の中核にあるというのは明らかかもしれないが、ここにあらためて記す価値はあるだろう。
 少なくとも今のところは、トランプ氏は中国への侮辱や脅しをやめているようで、トランプ政権の主要人物も今や、電話では愛想よく振舞っている。

 では、中国は一体どんな戦術を使ったのだろうか? 
 そしてその戦術でどうやって効果を上げたのだろうか?

1.: 家族や友人を取り込む

 中国政府は、トランプ大統領が過去の大統領のようには政権を運営しないということをすぐに理解した。

 トランプ氏を磁器(英語ではChina)の店を荒らすゾウに見立てたドイツのカーニバルの山車
 そして家族の重要性が目に留まった。
 トランプ氏自身や政府高官が中国の主要人物と会談をするより以前、そして中国の新年である春節にトランプ氏が新年の挨拶を公開しなかったとして中国のネット界で不満が溢れるなか、駐米中国大使の崔天凱氏は、トランプ大統領の娘イバンカさんに巧みに手を差し伸べた。
 ワシントンの中国大使館で行われた春節の祝宴にイバンカさんが出席した姿は広く報道され、イバンカさんは両政府の分断に橋を渡した。
 イバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏もまた、中国事業のパートナーを通じて中国政府につてを持っている。
 さらに、トランプ大統領のもう1人の娘ティファニーさんは、ニューヨーク・ファッション・ウィークで中国人デザイナー、タオ・レイ・ウォン氏のショーをあえて最前列で鑑賞した。

 トランプ氏の私的な人脈を強化するため、中国で最も著名な起業家のジャック・マー氏はトランプ氏と会談し、自身が所有する電子商取引サイト、アリババで米国の商品を販売し米国に100万人規模の雇用を創出すると約束した。
 中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。
 ジャック・マー氏は任務を背負っており、政府の方針にも沿っていた。
 ニューヨークのタイムズ・スクエアの屋外広告に、トランプ氏への春節の挨拶を掲載するため資金を提供した他の中国系企業100社も同様だった。

2.: 贈り物をする

 トランプ氏の企業帝国は物議を醸しているが、中国ではトランプ氏の商標に関する裁判が複数、棚上げ状態になっている。
 中国政府は、裁判所が共産党の影響下にあるという事実をはばからずに認めている。
 とりわけ、公に知られた人物名を商標に利用する行為を取り締まるという、中国のより広範な政策と一貫しているため、トランプ氏が10年にわたり求めてきた建築事業での商標登録について処理速度を上げるのは、中国にとってはたやすい善意だった。

 トランプ氏の商標登録の場合、必要な手続きは昨秋、派手な告知もなく迅速に行われ、裁判はトランプ氏の勝利で先週、終結した。

3.: 必要な時まで声は荒げず

 中国はしばしば、敵対的な外国勢力に対し即座に激しく反発し、中国人の感情を害しているとして外国政府を非難する。
 ドナルド・トランプ氏は、弱い者に報復するような挑発行為を行った。
 大統領選挙活動中ずっと、中国を泥棒だとか貿易の強姦魔だと呼び、台湾について中国が頑なに守り続けてきた立場に挑み、中国を侮辱し、脅し続けたのだ。
 政府関係者はまた、南シナ海での取り組みを強化すると警告もしていた。
 しかしその間中ずっと、中国政府は鉄の如き自制心と抑制力を見せていた。

 中国国営の新華社通信はトランプ氏について、
 「ツイッター上でやり合うよりもっと成熟した効果的な方法で、米中指導者が意思の疎通を図らなければならないということに、トランプ氏は間もなく気づくだろう」
と書いていた。
 トランプ氏が11月に大統領に選出されて以来、中国のマスコミは厳しく規制され、米国に関する報道については新華社の当たり障りのない言い回しを使うよう指示されている。

4.: 台本に納得するまでは語らず

 他国の指導者とは異なり、習近平国家主席は明らかに、受話器を手に取るのが遅い。
 トランプ大統領がメキシコやオーストラリアの指導者たちと行った電話会談からの影響を観察し、中国政府は、非外交的な出来事が起こりかねないリスクは回避しようと決心していた。
 ジェイムズ・マティス国防長官やレックス・ティラーソン国務長官のような政権の「大人」が、(比喩的また時に文字通り)同席するまで電話会談を渋ることで、中国は求めていた台本を確実に手に入れたのだ。

 ついにトランプ大統領と習国家主席との電話会談が実現した時、中国は自国が大切にしてきた「一つの中国」政策への米国の支持をあらためて取り付け、2人の出会いを尊厳あるものにもできた。
 習国家主席が決然とした忍耐強い役者であるという評判は、より一層高まった。
 トランプ大統領は、台湾について新しい立場を取ると話していたが、そのような発言は控えるに至った。

5. :甘い言葉は効果があるところで

 この電話会談以降、米中政府間では活発なやり取りが行われている。
 新たに財務長官に就任したスティーブン・ムニューチン氏は、中国の主要人物複数と経済政策について協議しており、ティラーソン氏も中国の外相である王毅外交部長や上級外交官の楊潔篪と会談を行っている。
 中国政府は、「習主席とトランプ大統領の間で達した合意」、つまり「不衝突、不対抗、相互尊重、相互利益への協力」を特徴とした関係の実現について協議を始めている。

6.: 可能なものを与えよ

 実際面では、相互利益というのはつまり、可能な際は常に譲歩や協力をするということだと中国は理解している。
 そして米国が懸念するある領域において、中国は協力する意思をすでに示している。
 北朝鮮からの石炭を輸入停止にすることによってだ。

 当然、中国政府はこの決定について、割当量に基づく専門的な理由としていた。
 しかし新たなミサイル発射実験という北朝鮮の挑発行為や、北朝鮮による核開発計画の進展に米国の懸念が増大していることを考慮すると、今回の輸入停止は、ドナルド・トランプ氏にはどんなアメが使え、金正恩氏にはどんなムチを振りかざせるかと中国が慎重に計算した結果によるものだという可能性の方が高いだろう。

7.: 相手の弱みを自分の強みに

 世界の舞台では、習主席は、自分がドナルド・トランプとは違うということを巧みに示した。
 ダボスでの世界経済フォーラムで、習主席がグローバル化と自由貿易を擁護したのは有名な話だ。
 当然ながら、中国は国内市場を強力に保護しており、自由貿易のお手本とは言えない。 しかし「代わりの事実(alternative facts)」の世界において、このレトリックは強力だ。
 地域的な舞台においては、中国は、米国の環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を間断なく利用し、多国間貿易の指導的立場として自国を売り込んでいる。
 TPPは、アジア太平洋地域における米国の経済的指導力を下支えするはずだった。
TPPに対する米国内の反対意見は幅広い政治的主張の人々から出ていた。

 そして中国の政治的舞台では、トランプ氏は、間接的に習主席のために動いている。
 中国共産党は時に、自由で開放的で民主的な米国の魅力と訴求力から、一党独裁体制を守るのに苦労している。
 しかしトランプ政権発足から1カ月の間に見られた米国の街角での抗議活動や入国査証をめぐる混乱の光景は、中国がプロパガンダで活用できる贈り物なのだ。
 米国のジャーナリストを偽物で欠陥があり真実性に欠けると言い、中国国営報道機関と足並みを揃えて抗議する米国大統領の姿もまた、プロパガンダで活用できる2つ目の贈り物だ。
 中国政府は、このどちらの贈り物も政治的に自国内で大いに利用している。

■戦術はうまくいったが今後は……

 こうした戦術でこれまで上げてきた効果について、中国政府は非常に満足だろう。
 しかしこれは複数参加型の多面的なゲームで、長期的には多くの危険や罠が存在する。
 中国は、危険をうまく中和し、トランプ大統領就任1ヶ月目という機会を巧みに利用した。
 第一ラウンドは中国が勝利した。
 しかしまだまだ数え切れないほどのラウンドが、今後も待ち受けている。

(英語記事 Could China's Trump tactics actually be working?)



TBS系(JNN) 2/24(金) 21:12配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170224-00000073-jnn-int

トランプ大統領が貿易不均衡で中国など批判、
日本は言及せず

 アメリカのトランプ大統領は製造業の経営トップを集めた会合で、貿易の不均衡を是正すべきだとして中国とメキシコを名指しして批判しましたが、日本について言及することはありませんでした。

 「ご存知のとおり、米国はNAFTA締結以降、3分の1の製造業の雇用を失った。
 信じられない数字だ。
 そして、中国のWTO加盟以降、7万の工場が閉鎖となった」(トランプ大統領)

 トランプ大統領は製造業の経営トップを集めた会合で
 「メキシコとは700億ドル、中国とは5000億ドル近い貿易赤字がある」
と述べて、メキシコと中国を名指しして貿易の不均衡を是正する必要があるとの考えを強調しました。
 しかし、これまで自動車貿易などを槍玉に挙げて批判してきた日本についての言及はありませんでした。

 その一方で、トランプ氏はアメリカ国内で企業が雇用を拡大する例として日本の通信大手、ソフトバンクグループに触れ
 「今後4年間で500億ドルの投資を行い、5万人の雇用を創出する。素晴らしい」
と語り、アメリカ経済への貢献を評価しました。
(24日14:38)



TBS系(JNN) 2/25(土) 4:51配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170225-00000007-jnn-int

中国政府、米・トランプ大統領の発言に不快感表す

 アメリカのトランプ大統領が「中国は為替操作のグランド・チャンピオンだ」などと発言したことについて、中国政府は「貿易上優位になるよう、故意に値下げをするつもりはない」と不快感を表しました。

 トランプ大統領は23日、ロイター通信とのインタビューの中で、「中国は為替操作国のグランド・チャンピオンだ」と述べ、中国が人民元の為替を低くおさえて輸出を促進していると批判しました。
 また、大統領就任初日に中国を「為替操作国」に指定するという公約を実行していないことについて、
 「私は持論を引っ込めてはいない。どうなるかは今後分かる」
と述べ、今後の指定に含みを残しました。

 「中国は人民元の値下げを通して輸出の優位性を獲得するつもりはない。
 人民元には持続して値下げをする基礎も存在しない」(中国外務省・耿爽報道官)

 中国外務省の耿爽報道官はこのように述べ、「人民元レートの問題を『客観的かつ正確に』見るよう希望する」と不快感を表しました。
 一方で、中国の「為替操作国」指定を急がない方針を示したムニューチン・新財務長官と、来月ドイツで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議で、直接話し合う意向を示しました。(25日00:50)


Record china配信日時:2017年4月23日(日) 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/b175971-s0-c20.html

日本がTPPで起死回生狙う、
目的は中国との競争―米誌

 2017年4月24日、米経済誌フォーブスは、米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)について「日本は中国との競争に備え、起死回生を狙っている」とする記事を掲載した。
 星島環球網が伝えた。

 日本政府は米国が離脱したTPPについて、
 米国以外の10カ国と現行の枠組みを維持する方針だ。
 日本はTPPの起死回生を狙っている。
 アジア太平洋地域で貿易自由化協議の陣頭指揮を取ることに成功すれば、勢いを増す中国に対抗できるからだ。
 日本の経済専門家は
 「世界経済の価値は単一の流れで作られているわけではない。
 多元主義が国際貿易の世界で呼びかけられている。
 日本は再び米国をTPP交渉に呼び戻そうと考えるだろう」
と話す。

 日本はTPP加盟国のリーダーとして、自動車や電子製品輸出で一定の地位を保っている。
 競争相手は中国だ。
 TPPに労働者の権利保護や環境水準の厳格化を盛り込まれれば、日本は注目を集めることになるだろう。

 日本このところずっと、軍事や経済面で中国とアジアのトップをめぐって競争を展開している。
 海洋主権問題でも対立している。
 中国は自ら主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じ、欧州までの「シルクロード」を再び敷設し、アジア経済をコントロールする戦略だ。
 中国はTPPには加盟しないが、日本や東南アジア諸国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は推進している。

  日本はアメリカなきTPPで盟主、あるいは影の盟主を狙っているというところだろう。
 環太平洋の貿易機構は絶対に維持して促進していかねばならないと考えている。 
 中国の一帯一路に対抗するのが環太平洋機構というわけである。




【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】



●【宮崎正弘】 トランプを操る黒幕 今、米政権を動かす主役が明らかに 2017年3月3日
Published on Mar 4, 2017





●【宮家邦彦】 習近平 土下座外交・大統領を目指す韓国人はバカなの 2017年3月10日
Published on Mar 9, 2017




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2017年2月27日月曜日

中国(20):北朝鮮メディアが中国批判

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Record china配信日時:2017年2月26日(日) 17時30分
http://www.recordchina.co.jp/a157320.html

北朝鮮メディアが中国批判
「友好国を名乗る隣国が北朝鮮をおとしめた」

 2017年2月25日、参考消息網は記事「北朝鮮官製メディア、中国を暗に批判」を掲載した。

 北朝鮮は12日、弾道ミサイルの打ち上げを実施した。
 国際社会が批判を強めるなか、北朝鮮の後ろ盾となってきた中国も厳しい姿勢を示している。
 中国商務部は18日、北朝鮮からの石炭輸入を年内いっぱい停止すると発表した。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は23日、この問題に関する記事を掲載。
 記事には
 「友好国を名乗る隣国が北朝鮮の核技術は初期段階にとどまっているなどミサイル打ち上げ成功の意義をおとしめ、国連決議を理由に民生に関わる対外貿易を遮断した」
とある。
 名指しこそしていないものの中国を批判していることは明らかで、習近平(シー・ジンピン)政権誕生以来ぎくしゃくしてきた中朝関係がさらに悪化したことをうかがわせる。


Record china配信日時:2017年2月26日(日) 10時50分

最も「反中」なのはどの国のメディアか、
ビッグデータ分析結果が中国で話題に

 2017年2月21日、米マサチューセッツ工科大学の客員教授、陳碩堅氏が紹介した「最も反中なのはどの国のメディアか」との分析結果が中国で大きな話題となっている。 

 これはニュース報道についてのGDELTと呼ばれるデータベースを利用したもので、
★.報道が中立である場合、「褒貶指数」は0となり、
★.報道が否定的であるほど指数はマイナスの数値が大きくなり、
★.報道が肯定的であるほど指数はプラスの数値が大きくなる。 

 多くの人は直感的に、西側メディアは中国に対し否定的だと思いがちだ。
 だが欧米主要国メディアの中国に対する褒貶指数を見ると、
 英国=1.335、
 米国0.307、
 ドイツ1.186、
 フランス1.202、
 イタリア2.034、
 イスラエル2.229、
 オーストラリア1.256、
 カナダ0.766
と、すべてプラスの数値を示している。 

一方、中国に対し否定的な報道が多い国は
 韓国=ー1.639、
 日本=ー1.554、
 ベトナム=ー1.420
だ。 

 次に中国メディアの自国及び主要国に対する褒貶指数を見ると、
 対中国1.222、
 対パキスタン0.857、

 対英国=ー0.859、
 対ドイツ=ー1.111、
 対フラー2.091、
 対日本=ー2.527
という状況だ。
 この結果から分かるのは、中国メディアは最も「愛国」だということだ。
 自国に対する肯定的な報道が他国に対するそれを大きく上回るという状況は他の国では見られない(自国に対する褒貶指数は、英国ー0.365、米国ー0.876)。 

 総括すると
 「西側大国メディアの対中国報道は肯定的なものが多い」
 「中国メディアの対西側大国報道は否定的なものが多い」
 「英米メディアは自国に対して否定的な報道が多い」
 「中国メディアは自国に対して肯定的な報道が多い」
 「中国メディアの外国に対する報道は自国に対する報道より否定的」
ということになる。 

 この記事は、中国のさまざまなメディアで取り上げられ、関心を集めている。
 調査結果については
★.「中国メディアはプロバイダー(情報の提供者)だが、
★.欧米メディアは政府を監視するのが役割だ。
 同じ土俵で比較するのはおかしい」
などの反対意見も出ている。



ダイヤモンドオンライン 2017.2.23 陳言:在北京ジャーナリスト
http://diamond.jp/articles/-/119004

金正男暗殺に中国激怒、
政府系メディアに「統一容認」論

 金正男暗殺事件について中国政府系メディアは、事件発生直後には金正恩氏を擁護したものの、3日後、『人民日報』傘下のチャットである「侠客島」に出現した論評は、読者の度肝を抜くほど、これまでの対北朝鮮への姿勢と異なるものだった。
(在北京ジャーナリスト 陳言)

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄・金正男(キムジョンナム)氏が、2月13日にマレーシアで殺害された事件が中国世論を沸騰させたが、これは中国政府にとってまさに「不都合な真実」を暴かれることを意味した。

不都合な真実とは金正男氏が長期にわたって、北京やマカオに居住していたことである。
 北朝鮮事情を多少なりとも理解している普通の中国人ならば誰でも知っていることであったが、以前はこのことを知らなかった人の間にも、暗殺事件後、急速にこの事実が広まった。

 殺害された翌々日の2月15日に、「財新ネット」は、
 「管窺金正男 叫父兄太沈重!」(金正男の一側面を覗く 兄貴と呼ばれてあまりにも重い!)
という記事(寄稿者:劉檸)を掲載した。
 記事は日本で2012年にベストセラーになった『父・金正日と私 金正男独占告白』(五味洋治著)からの引用が中心だが、この中で金正男氏が「大部分の時間は北京、マカオに居住している」と語っていることを明らかにしている。
 これは、暗殺された北朝鮮の「廃太子」(王位継承を廃された人)が、事実上ずっと中国の保護下にあったことを意味している。

■事件直後には金正恩を擁護も
ネット民は反論と嘲笑で一蹴

 今回の金正男氏殺害については、全世界が北朝鮮、それも異母弟の金正恩の仕業だと指摘している。
 中国のメンツは丸つぶれで、ネット上では次のような表現が流れている。

 「大衆の面前で顔を殴られた」に等しく、しかも「弟」が「長兄」の顔を殴ったということだ。
 さらに中国のネットユーザーは
 「さいわい暗殺は中国国内で発生しなかった。
 これは殴られはしたが、ともかくも顔につばを吐きかけられなかった、ということだ」
と強烈に皮肉った。
 中国外務省報道官が表明した中国政府の姿勢は、「現在、事態の進展を見守っている」だが、これは何も言っていないに等しい。
 それでいて、都合の悪い状況はなるべく早く解消してほしいといったところだろう。

 その意味では、中国共産党の機関紙『人民日報・海外版』微信(WeChat)の公式アカウントである「侠客島」が2月15日午前1時50分、事件発覚からわずか数時間後に掲載した
 「事件全体が謎に包まれている、誰が彼を殺したか?」
という記事は、興味深いものだった。
 極力、「情理」と「ロジック」に沿って分析・論証すると、実は金正恩氏がこの件に関わっている可能性は大きくなく、むしろ韓国ないしは米国の容疑が小さくない……と言わんばかりの内容だったのである。

 もし金正恩氏が関わっていなければ、「顔を殴られた」という不都合さは自然に消滅することになるが、残念なことに、この文章の「情理」と「ロジック」は非常に薄弱であり、ここでその内容をまとめて伝える価値はまったくない。
 そのつぶやきに対しては、ネット上で飛び交っているのは、ほとんど一方的な反論と嘲笑だけだ。

 「侠客島」も論拠薄弱と感じているのか、文中の視点は編集部に属しないと敢えて断り、しかも「青丘言」を名乗る「半島方面に近いベテラン」の見解だとしている。
 笑止千万なのは、この「ベテラン」の奇異な名前を、これまでに誰も耳にしたことがないことだ。

■中国政府の本音が表れた「微信」でのつぶやき

 さらに、「侠客島」は3日後の2月18日夜、
 「北朝鮮が崩壊すると予言するのは、時期尚早であろう」
とのつぶやきを微信で発信した。
 これは中国の政府系メディアの一貫した姿勢であり、見出しからはまたも金正恩擁護の内容かと思いきや、そうではない。

 続いて掲載された具体的な記事は読者の度肝を抜くものであった。

 「現状を見れば、
 南シナ海紛争は沈静化し、
 釣魚島、台湾問題においても常軌を逸する動きはいまだあり得ず、
 北朝鮮の核問題がおそらく中米両国間の最大の変数になっており、
 トランプ政権のアジア太平洋政策の重点となるだろう」

 「金正男氏の死によって、韓米は必然的に北朝鮮に対して一層強硬姿勢を取るだろう。
 もし事件が北朝鮮の行為だと広範に認定されれば、韓米が北朝鮮に打撃を与える次の行動は、おそらく国際世論の広範な支持を得られるだろう」

 「当然のことながら、もし半島情勢がこのまま推移すれば、中国にとって極めて不利である。
 それでは、中国はどのように介入すれば、国益を維持、擁護できるのか?」

 「第1、中国が介入する根本的出発点は中国の核心的利益の保護にあることは当然であり、
 非核、改革、開放の北朝鮮政府ならば支持すべきであり、
 核保有国家を継続的に擁護すべきではない。
 繰り返される北朝鮮の核実験は国際社会容認の限界に達しており、同様に中国の利益と安全を損なっている。
 中国政府も北朝鮮が『主体(チュチェ)革命』思想の指導下では、国際社会と協力共生の関係を構築することは難しいというはっきりとした認識がなければならない」

第2、中国介入の力点は韓米同盟が電撃戦方式で北朝鮮全土を占領、制御する事態を抑止することに置くべきである。
 韓国が劇変を利用して『急襲統一』戦略を実行し、もし朝鮮半島に統一韓国が出現すれば、おそらく(中国の)思うようにならない地縁政治がもたらされるに違いないことを、中国は考慮すべきだ」

第3に、中国が介入する最終目標は朝鮮半島問題を共同で解決し、朝鮮半島の恒久平和を実現することである。
 中米は国連安全保障理事会で朝鮮半島問題に関する決議を採択する必要があり、
 国連朝鮮半島事務機関を創立して、人道主義に対する挑戦を速やかに解決するために指導と支援を行い、北朝鮮の改革開放と対外関係の正常化を促進しなければならない」

 上記の文言は、金正恩氏に次のように語っているのに等しい。
 つまり、あなたの果てしない乱行は、国際的な人心を失っており、米韓がひとたび刺激され行動を取れば、あなたの政権を転覆させることになる。
 その時になって私を非難してもあなたを助けることはできない。
 あなたを助けられないばかりか、新政権を樹立することに参画し、中国の意図に合うかたちで再編を図りたい(韓国の「急襲統一」は受け入れず、国連が前面に立つかたちであれば容認する)。
 新政権が中国の国益の助けになるならば、私は喜んで事に当たる……というわけである。

■外部勢力による北朝鮮政権改変を政府系メディアが容認!?

 このような論調は、これまで中国の政府系メディアに現われたことはなかった。
 金日成(キムイルソン)政権から金正恩政権に至るまで、いかに北朝鮮が中国のメンツをつぶしても、迷惑をかけても、利益を害しても、政府系メディアの北朝鮮に対する姿勢が、どんな厳しくても、慎重にボトムラインを守ってきた。
 それは、いかなる「外部勢力であっても、それによる北朝鮮政権の現状改変」に関連した主張に、断固反対することだった。
 ところが今回は、このボトムラインが単に破られただけでなく、それこそ大幅に突破したのである。

 この寄稿の筆者は注釈に「山東大学中韓関係研究センター特任研究員・韓国高麗大学博士梁立昌」とあり、「侠客島」編集部ではない。

 実は、中国の対朝政策に関して、別の一部の学者(例えば中央党校の張璉瑰教授)は、もっと激烈な主張をしているが、彼らの主張は全て、学術的なメディアあるいは政府の意思を代弁していないとされる市場のメディア上に現れるだけで、一般的に外界(北朝鮮を含む)からは政府の本音を代表していないと見なされていた。
 つまり梁氏がこの文章を『人民日報』に属するメディアで発表したのは、ただならぬことであり、非常に強烈なシグナルなのである。

「事態の進展を見守っている」と表向きには冷静さを保ちながら、今回の事件に対して、中国政府が激怒していることがうかがえる。

 今後の焦点は、エネルギーと穀物の対北朝鮮との貿易動向だろう。
 この2つは、中国が北朝鮮に影響力を行使する切り札であり、本当にいざという時でなければ支援を打ち切らないようにしている。
 その点で、金正男氏が殺害されて以降、北朝鮮からの石炭輸入と、石油と穀物の北朝鮮に対する輸出に何らかの変化が生じていないかどうかが注目される。

 結局、北朝鮮の一般市民に痛みが及ぶような政策を実行しなければ、もはや金正恩氏に影響を及ぼせなくなるかもしれない。
 これまで国際社会と中国民衆は、中国政府の北朝鮮に対する尽きることのない忍耐に一再ならず嘆息してきたものだが、現状を見ると、中国の忍耐はもう限界に近づきつつある。


【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】



●【朝鮮半島】北朝鮮と中国、すでに戦争準備体制か…中国軍が国境地帯に部隊を増派し有事即応体制か!!!朝鮮半島の不安定化が増す!!!(2017 3 3)




●【宮崎正弘】 北の崩壊、シナリオは出来ている! 中国が握る、〇正恩の命運は?米は、どう関与する? 2017年3月3日
Published on Mar 4, 2017







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2017年2月25日土曜日

中国(19):対外鉄道計画の暗雲(1)、日本との戦い

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サーチナニュース 2017-02-18 08:12
http://news.searchina.net/id/1629512?page=1

インドネシア高速鉄道は困難に直面、
日本が「嘲笑の機会をうかがっている」=中国

 インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画はもともと日本の受注が確実視されていた。
  だが、ふたを開けてみるとインドネシア政府の債務保証を求めないなど破格の条件を提示した中国が受注した。

 ジャワ島の高速鉄道計画はすでに一部で建設工事が進められているが、土地の収用が思うように進んでいないとの報道も多く、予定どおりに開業できるか不透明な状況となっている。
 中国メディアの今日頭条はこのほど、
 「ジャワ島の高速鉄道計画を失注した日本はプロジェクトの進展をめぐって中国側を嘲笑する機会をうかがっている」
と主張する記事を掲載した。

 記事は、ジャワ島の高速鉄道計画が土地収用をめぐって停滞していることに対し、
 「日本はようやく鬱憤を晴らす対象を見つけたようだ」
と主張し、日本メディアがここぞとばかりに同計画について
 「暗礁に乗り上げる危険性」、
 「インドネシア国民の反中感情が高まっている」
などと報じていると伝えた。

 続けて、総延長350キロメートルの同計画は現在、「確かに困難に直面している」と伝える一方、高速鉄道の路線が建設されることで沿線の土地価格が上昇するのは当然のことであり、これが土地収用にとっての障害になるのは当たり前のことだと主張。
 一方で、中国側のインドネシアにおける困難に対し、日本が嘲笑したり、鬱憤を晴らすための主張を繰り返したりすることは建設的な意見ではないと反発した。

 こういう記事が出るということは、相当な困難に直面してしまっている、ということなのだろう。


サーチナニュース 2017-02-25 13:12
http://news.searchina.net/id/1630034?page=1

日本に依頼すれば着実に物事が進む!
インドネシアで地下鉄トンネル開通

 インドネシアでは同国初となる地下鉄工事が行われているが、トンネル工事を行っているのはわが日本企業だ。
 ジャカルタ市南北を貫く15.7kmの路線のうちの5.9kmの地下トンネルがこのほど全線貫通したという。

 中国メディアの今日頭条は23日付で、インドネシア・ジャカルタは渋滞が極めて深刻で、「世界で最も混乱している交通」とも称されていると指摘、それゆえに日増しに深刻化する交通渋滞の解決は急を要する問題であると伝えている。

 記事は、ジャカルタの地下鉄工事を受注するために日本は官民一体となり、1200億円の円借款を活用しつつ、先進技術の活用とインドネシア人技術者の育成を約束したと紹介。
 さらに、日本企業は地下鉄インフラ建設以外にも地下鉄車両及び運営システムさえも受注していると説明し、総額1420億円のプロジェクトを受注したことになると指摘した。

 また、今回の地下鉄工事プロジェクトの日本側の意義について、
 「日本にとってはただ1路線の工事を意味するのではなく、
 むしろ日本の先進技術と建設クオリティをアピールするための、
 いわばロールモデルとしての役割を担っている」
と主張。

 さらに言えば東南アジアのインフラ建設における中国との競争を意識したものであり、日本にとっては今後のさらなる受注に向けた重要な意義を持つプロジェクトだと指摘。
 日本と中国は次に
 「マレーシアとシンガポールを結ぶ越境高速鉄道で相まみえることになる」
と論じた。

 中国が日本との激しい競争のすえに受注したインドネシアの高速鉄道プロジェクトは、一部報道によれば、中国側から資金が融資されていないため全面的な着工はなされないままとなっている。
 今回の地下鉄工事で日本がトンネルを全線貫通させたことは、「日本に依頼すれば着実に物事が進む」というポジティブな印象を東南アジア諸国に与える良いニュースとなるに違いない。



人民網日本語版配信日時:2017年3月15日(水) 22時0分
http://www.recordchina.co.jp/b172269-s10-c20.html

シンガポール・マレーシア・タイ高速鉄道で日中が競合―中国紙

 シンガポール-マレーシア高速鉄道、タイ-マレーシア高速鉄道、フィリピンの通勤鉄道。2017年には、中国と日本の高速鉄道をめぐる「戦いの場」が東南アジアへと延伸を続ける見込みだ。
 解放日報が伝えた。

 レイルウェイプロのサイトがこのほど伝えたところによると、フィリピン政府は日本政府と中国政府がいずれもフィリピン国内の通勤鉄道建設プロジェクトに資金面での支援を提供する意向を示していることを明らかにした。
 日本紙は、
 「タイとマレーシアの政府が、両国の首都を結ぶ…高速鉄道の整備について協議を始める。…日中が再び競合する展開も予想される」
と報じ、シンガポール紙「聯合早報」は、
 「今年はシンガポールとマレーシアの首都を結ぶシンガポール-マレーシア高速鉄道プロジェクトの入札が行われ、日中が『狭い道ですれ違うような抜き差しならない状態』に至る可能性がある」
と伝えた。

▽多くの「戦いの場」で正面からぶつかる日中

 フィリピンの様子を眺めると、ドゥテルテ大統領は選挙戦の初期から「鉄道への野心」を明らかにし、4路線の建設・修築を行う計画であり、中国に支援を請いたいとしていた。
 同国では昨年、南北鉄道建設プロジェクトが認可され、そのうちの1つはマニラ首都圏とビコル地方を結ぶ、全長54キロメートルの通勤路線だ。
 フィリピンがプロジェクトを認可する前から、待ちきれない日本は改修費用として24億ドル(1ドルは約114.7円)の支援を行うと宣言した。
 フィリピンのペルニヤ国家経済開発長官がこのたび明らかにしたところによると、中国政府も資金提供の意向を示したという。

 タイの様子をみると、タイ-マレーシア鉄道の構想は、全長1500キロメートルの広軌の新路線を建設し、高速直通列車を運行するというものだ。
 同国のアーコム運輸相は、
 「できるだけ早くマレーシアと協議して、どんなやり方で他国にこの鉄道建設修築プロジェクトに参加してもらうかを確定させたい。
 現在、両国の目の前に横たわる難題は、果たして『中国と日本との二者択一』なのか、それとも日中両国の力を同時に借りるのかということだ。
 マレーシアはどちらかというと中国を評価しているようだ」
と話す。

 シンガポール-マレーシア高速鉄道はどうか。
 両国政府は昨年12月に同プロジェクトに調印し、今年は入札を行う計画だ。
 すでに多くの国の企業が建設に参加したいとの意向を示しているが、外界では、最終的な戦いは日中の間で繰り広げられることになるとの見方が一般的だ。
 シンガポール紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」の報道によれば、シンガポールは車両や信号システムで経験豊富な日本に傾いており、膨大な費用の大部分を負担するマレーシアは中国により傾いているという。

 アジア横断鉄道という大きな流れの中で、シンガポール-マレーシア高速鉄道とタイ-マレーシア高速鉄道の建設がもつ意義は重大だ。
 1995年に、当時のマレーシアのマハティール首相が第5回ASEAN首脳会合で、アジア横断鉄道の構想を初めて提起し、メコン川流域の範囲を超えた、
 マレー半島の南端にあるシンガポールから、マレーシア、インドシナ半島の5カ国を経て、中国の昆明に至る鉄道の建設構想を打ち出した。

 アジア横断鉄道の起点として、シンガポール-マレーシア高速鉄道とタイ-マレーシア高速鉄道をめぐる戦いの中で、中国は明らかに地理的優位性をもっている。
 中国の高速鉄道を採用するということは、上記の鉄道が中国大陸部の高速鉄道網にスムースに連結できるということで、相互接続の利便性を極めて大きく高めることになる。

 福建省にある華僑大学国際政治学部の黄日涵学部長はさらに踏み込んで、
 「東南アジア諸国は中国と国境を接し、中国とごく自然に密接な協力関係にある。
 中国の高速鉄道を東南アジアの鉄道と連結させれば、地域を結んで鉄道網を発展させ、『一帯一路』(the belt and road)の呼びかけで言われたインフラの相互連結を達成できるだけでなく、中国とインドシナ半島諸国との貨物貿易協力をより緊密なものにすることができる。
 これは互恵・ウィンウィンのよいことだ」
と述べた。

▽知名度を上げるためにコストをかけるべきではない

 過去数年間を振り返ると、中国高速鉄道の海外進出が始まって以来、日本はずっと影が形により添うように強力なライバルとして存在していた。
 シンガポール-マレーシア高速鉄道、タイ-マレーシア高速鉄道、フィリピン鉄道は、両国の高速鉄道をめぐる海外での競争の新たな戦いの場に過ぎない。

 両国の高速鉄道の「対戦記録」をみると、両国の実力は拮抗している。
 15年10月には、中国が「後から来て上に立ち」、総額50億ドルのインドネシアのジャカルタ-バンドン間の高速鉄道プロジェクトを落札した。
 同年12月には、日本とインドが全長500キロメートル、総額120億ドルのインド初の高速鉄道建設合意に調印した。
 16年には、日本がタイのバンコク-チェンマイ間の全長700キロメートル、総額120億ドルの高速鉄道プロジェクトに調印。
 中国は全長250キロメートルのバンコク-コラート間を最初の区間とする中国-タイ高速鉄道で勝利を収めた。

 黄学部長は日中の競争について、
 「日中の高速鉄道にはそれぞれ長所がある。
 日本は新幹線の運営で長い歴史があり、技術は成熟し、人に与える一般的な印象は安全ということだ。
 中国は高速鉄道の保有量で世界一であると同時に、標高の高い寒い地域と熱帯地域での建設・修築・運行の能力を備え、技術体系が整っている。
 さらに建造費が安く、独自の優位性を備えている」
と指摘する。

 「後世畏るべし」の中国に向き合って、日本がそれほど泰然自若としてはいないことは明らかだ。
 日本メディアはかつて、日本が東南アジアの高速鉄道の競争に関わろうとするのは、とにかく中国と競争したい、あるいは状況をかき乱したいからではないかと疑問の声を挙げたことがある。

 これについて黄学部長は賛同しつつ、
 「現在の日本の役割は東南アジアをひっかき回す者、
 または中国を引っかき回す者だ
 だが中国の高速鉄道建設が引き続き市場行為の側面をより強めることを願う。
 現在の最も重要な勝負のポイントは、どうやって日本を負かすかを前提として、
 中国企業の商業的利益を達成させることだ」
との見方を示す。

(提供/人民網日本語版・編集/KS)



東洋経済オンライン 2017年04月10日 大坂 直樹 :東洋経済 記者
http://toyokeizai.net/articles/-/166620

中国鉄道メーカー、海外不振で成長ストップ
世界最大の中国中車、シンガポールで欠陥も

 世界最大の鉄道車両メーカーの中国中車がいま、成長の分岐点に立っている。
 3月30日に発表した2016年決算は、
 売上高が前期比5.7%減の2241億元(3兆5858億円、1元=16円で計算)、
 税引後利益が同1.3%減の139億元(2225億円)と減収減益だった。

 同社は大きく4つの事業で構成されている。
①:鉄道機材事業(機関車、電車、貨車などの製造)、
②:高速輸送車両および都市インフラ事業(都市交通向け車両の製造、インフラ構築)、
③:新ビジネス事業(一般向けの電気・機械事業および新規事業)
④:モダンサービス事業(金融、物流など)
だ。
 中でも鉄道機材事業は売上高全体のほぼ半分を占めるが、その主力事業が振るわなかった。

 売り上げを事業別に見ると、都市インフラ事業や新ビジネス事業は前期比10%程度増えたが、鉄道機材事業がマイナス18%と大幅に低下した。
 地域別に見ると中国国内が前期比約3%減にとどまる一方、
 外国向けが約30%減と海外の落ち込みが大きかった。

■売上高はビッグスリーをはるかに上回る

 中国中車は世界1位の中国北車と2位の中国南車が2015年に合併して誕生した。
 売上高に比べて減益幅が小幅にとどまったのは、統合によるスケールメリットや重複部分のコスト削減、不毛な受注競争がなくなったことによる販売費減少があったためだ。
 世界の鉄道車両市場は長らく、
 ドイツのシーメンスと
 カナダ(鉄道事業の本拠地はドイツ)のボンバルディア、
 そしてフランスのアルストム
の3社が「ビッグスリー」とよばれリードしてきた。
 売り上げ規模でみれば中国中車がトップながら、中国国内向けが中心だ。
 世界的に鉄道を販売しているメーカーといえばこの3社となる。

 ちなみにシーメンスの交通事業は2016年度の売上高は78億ユーロ(9311億円、1ユーロ=119円)。
 ボンバルディアの交通事業は同75億ドル(8407億円、1ドル111円)。
 アルストムは同68億ユーロ(8188億円、1ユーロ119円)。
 日本の鉄道車両メーカーの売上高はそのはるか下だ。
 中国中車の巨大な売上高を支えているのは中国大陸の鉄道需要だ。
 2016年における同社の地域別売り上げは中国国内が9割にのぼる。

 中国は過去10年間で巨額の鉄道投資を行ってきた。
 昨年発表した第13次5カ年計画(2016~2020年)でも、国内の高速鉄道の総延長を1万9000キロメートルから3万キロメートルに延ばし、80%以上の大都市をカバーするという計画を打ち出した。
 2016年こそ前期比3%の減収となったが、この5年間の鉄道向け投資の総額は3兆5000億元(56兆円)
 その何割かは鉄道車両の建設に充てられる。
 計画通り進めば、国内事業はしばらくは高水準を維持できそうだ。

 ただいずれ国内事業の成長は鈍化に向かうことが予想され、将来の成長エンジンとして外国展開を急ぐ必要がある。
 そもそも南車と北車という2社が統合したのは、単一ブランドにすることで政府と一体となり外国展開を推進するためだった。
 統合の結果、2015年の外国向け売上高は前期比66%増の264億元(4225億円)に急拡大した。
 売上高全体に占める割合も11%に達している。

 だが、2016年の同売上高は189億元(3030億円)に急落。
 前年度から3割近く減ってしまった。
 減収の理由については「外国案件の納入タイミングがずれたため」と、同社は説明する。
 この説明どおりなら、2017年度は外国売り上げが回復することになる。

■外国展開を急拡大しているが・・・

 同社は外国向け案件の受注額が81億ドル(8991億円)に達したとアピールしている。
 またインド北部のハリヤナ州で現地企業との合弁で鉄道車両整備工場が操業開始。
 英国やドイツでは現地機材メーカーを買収するなど、海外展開の加速に躍起だ。
 米国では、マサチューセッツ州スプリングフィールドに工場を建設中で、2018年からボストン地下鉄向けに284両を生産予定。
 昨年3月にはシカゴ地下鉄向けに846両を受注した。
 シカゴに組み立て工場を建設し、2020年から納入する。
 先月にはロサンゼルス地下鉄向けに64両を製造することも決まった。
 とはいえ、日本の大手車両メーカー・日本車輌製造でさえ、米国における現地生産では苦戦している。
 中国メーカーが一朝一夕で事業を拡大できるかは不透明だ。

 外国案件では不手際もあった。
 昨年7月、シンガポール地下鉄に納入した鉄道車両35両中26両で欠陥が見つかり、修理のためシンガポールから中国中車に送り返されたのだ。

 果たして中国中車はもくろみどおり事を進めることができるか。外国売り上げの落ち込みが一過性で来期以降、再び成長基調に戻るのか、あるいは停滞が始まるのか。
 今年1年の動向を注視する必要がある。



サーチナニュース 2017-05-02 14:12
http://news.searchina.net/id/1634922?page=1

中国高速鉄道の輸出は「紆余曲折」、
ベネズエラでは「放棄され放置」=中国報道

 高速鉄道の輸出を積極的に推進している中国だが、これまでの道のりは「紆余曲折」という表現がぴったりだ。
 タイとは高速鉄道の導入をめぐってコメと高速鉄道を交換する条件で一度は合意したものの、タイの政変によって合意が流れたことがある。
 また、メキシコの高速鉄道計画でも中国の企業連合が落札したが、入札過程に問題があった可能性があるとして中国との契約を破棄し、計画そのものも無期限延期となった。
 また、南米のベネズエラでも高速鉄道の建設計画があり、これも中国が受注していたのだが、原油価格の急落を背景としたベネズエラの経済危機によって計画は頓挫してしまった。

 中国メディアの今日頭条はこのほど、ベネズエラ国内の現状を紹介する記事を掲載し、
 「中国が受注したはずの高速鉄道プロジェクトも放置されている」
と伝えている。
 ベネズエラの原油埋蔵量は世界一とされており、原油はベネズエラの輸出の9割を占める重要な資源だ。
 だが、原油価格の急落のほか、政策ミスによって経済破綻の危機に瀕している。

 記事は、中国人ならばベネズエラのことは誰でも知っていると指摘し、「南米の社会主義国として、かつては著しい成長を見せた国」だとしながらも、近年は経済危機に直面しているベネズエラに対し、「中国が支援を提供している」と論じた。

 続けて、ベネズエラ国内のスーパーにはモノが陳列されていないとし、売り物がない状況となっていると指摘。
 また、経済危機によって満足な給与が支払われないため、誰も働こうとしないと主張したほか、電力供給もままならないため、ろうそくの明かりで勉強する子どもたちも多いと伝えた。

 さらに記事は、ベネズエラ国内の高速鉄道関連の工場と思われる場所の写真を掲載、
 「もう計画は進んでおらず、工場も放置され、荒れ果ててしまった」
と伝え、中国が落札した高速鉄道計画が頓挫してしまったことに悔しさをにじませた。



サーチナニュース 2017-05-10 10:12
http://news.searchina.net/id/1635350?page=1

なぜだ! 
中国高速鉄道の海外プロジェクトが順調に進まない理由=中国報道

 中国鉄路総公司は中国国内の鉄道事業を行う立場にある国有企業だが、同社の2016年末時点の負債額は4兆7200億元(約77兆円)に達した。
 15年末時点での負債は4兆1000億元(約67兆円)だったため、負債は1年間で6200億元(約10兆円)も増えたことになる。
 14年末時点における負債は3兆6800億元(約60兆円)だったため、中国鉄路総公司の負債は年々増加していることがわかる。

 この負債の増加は高速鉄道などの膨大な建設コストが背後にあるが、中国メディアの快報は2日付で、
★.中国高速鉄道の国外における建設プロジェクトが順調に進まない理由の1つは「高速鉄道の建設コストの高さ」にあることを指摘
する記事を掲載した。

 記事は、
 タイ、 
 メキシコの高速鉄道建設プロジェクト、
 インドネシアのバンドンージャカルタ間、
 ロシアのモスクワーカザン間の建設プロジェクトや
 米国エクスプレスウェストのプロジェクト
など、海外建設プロジェクトは「いつもでこぼこ道である」と表現、つまり順調でないと論じた。

 このようにプロジェクトが順調に進展しない要因は、高速鉄道プロジェクトが「政治化」されていること、海外の複雑な地理環境や労働環境の違い、文化の違いのほか、さらに新幹線がいつも邪魔をすることなどの要因が関係しているのは確かだと指摘した。

 さらに、中国高速鉄道の建設コストは世界平均の約半分だとする一方で、たとえ中国高速鉄道の建設コストが競合より安くても、一本の「道路」を建設する工事とは比較にならないほど高額であると指摘。
 さらに建設には多大な時間が要求されるうえに、高速鉄道を黒字運営するには人口が多く、国土面積が大きく、しかも経済的に発達しているという条件が必要であり、こうした条件を満たしている国は多くはないと説明した。

 中国は人口が多く、国土面積が大きく、経済面でそれなりに発達しているという条件を満たしているにもかかわらず、中国鉄路総公司の負債は年々増加している。
 これだけ巨額の負債を抱えることができるのは、同社が国有企業であり、中国にとって高速鉄道建設は国策だからという一面もあろう。
 中国のように国策として捉えていない国においては、高速鉄道建設が思うように進まないのはある意味で当然だと言える。




【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】




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トランプ大統領登場(16):北朝鮮をどうみるか

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ダイヤモンドオンライン 2017年2月28日  加藤嘉一
http://diamond.jp/articles/-/119495

中国共産党は北朝鮮問題を対米関係の「懸案事項」と見ている

■胸をなでおろした旧知の共産党幹部

 「とりあえず胸をなでおろした。
 仮にトランプ大統領が“一つの中国”という原則を放棄するような事態になれば、
 我々としては党の第19回大会を円満に迎え、成功させるなどという悠長なことを言っている場合ではなったからだ」

 元宵節が過ぎ、即ち中国人民にとって最も大切な春節(旧正月)が終わり、中国社会が平常を取り戻しつつあった2月の中旬、対外政策を担当する旧知の共産党幹部が私にこう語った。
 私にはこの言葉の持つ意味が大体理解できた。
 仮にそのような状況になった場合、中国政治・経済社会が陥る混乱ぶりは容易に想像できる。
 中国共産党としては自らが定義する“核心的利益”のど真ん中が脅かされるわけであるから、(台湾サイドの反応にもよるが)状況次第では台湾海峡における武力衝突や、米中断交の可能性すら否定できない。

 そうなれば、中国経済・社会の在り方、政治イデオロギーを巡る文脈とロジックの作り方、国際社会における立ち位置、“西側諸国”との付き合い方、広範な新興国・途上国との距離感など、ほとんど全ての分野においてその前提が変わってくる。
 となれば、言うまでもなく、秋に開催予定の党大会で審議する議論や採択する文書にも根幹的な影響を及ぼすであろう。

 ハリウッドをこよなく愛する映画ファン、米国の大学への進学を目標に掲げる親子、ウォールストリートやシリコンバレーを目指す若きエリート、マクドナルド、スターバックス、ウォールマート、アップルといったブランドが生活に染み込んで離れない市民たちに、“この状況”をどう説明するのだろうか。

 「米国の帝国主義と覇権主義が我々の核心的利益を踏みにじった。
 そのような敵とは断じて闘う。
 いまこそ全中国人民が立ち上がり、一致団結し、中華民族の偉大なる復興というチャイナドリームを実現するときだ」

 そんなスローガンだけで人民が納得し、世論を収拾できるほど昨今の中国社会は単純ではないだろう。
 いずれにせよ、米中武力衝突、国交断絶という事態が発生した後の党の第19回大会という局面を私は想像できなかった
 (もちろん、これから党大会までの間に米中間で何が起こるのかは分からない。
 前回コラムで提起したように、不確定要素は依然として存在する:中国共産党は日米首脳会談の成果をどう見ているのか)

 しかしながら、冒頭の党幹部が言うように、トランプ氏がアメリカ合衆国大統領として習近平国家主席に対して直接「貴方が求める、米国政府がこれまで執ってきた“一つの中国”という政策を尊重することに同意する」と約束したのだから、少なくともこの立場を安易に翻すことは考えにくい。
 その意味で、“一つの中国”という中国側が修飾する「中米関係の政治的基礎」(習総書記)を確認したトランプ・習電話会談を経て、中国共産党の第19回大会が“正常”に開催されるための外交的環境と対外的前提は、とりあえず確保されたと言えるであろう。

■中国共産党指導部は
対米関係をどのように認識しているのか

 これが、本稿が真っ先に、最も力を込めて主張したいポイントである。
 「だからどうした」と思われる読者もいるだろうし、ありきたりなことかもしれないが、私から見て、2017年という中国にとっての“政治の季節”がどのような前提と枠組みで展開されるかという点は、私たちが中国情勢を観察していく上でのファンダメンタルズであり、故に重要である。

 以下、上記で述べた内容を少しでも重厚で、裏付けのあるものにすべく、春節明けからこれまでの間、中国共産党指導部がトランプ大統領率いる米国との関係をどのように認識し、対応しようとしているのかを見ていきたい。

 2月17日、ドイツ開催のG20外相会議に出席した王毅中国外相とレックス・ティラーソン米国務長官が会談を行った。
 その席で、王外相は次のように昨今の米中関係を振り返っている。
  「習近平主席が先日トランプ大統領と行った通話はとても重要である。
 米国側は一つの中国という政策を引き続き堅持すると明確に表明し、両国元首は中米が完全に良い協力パートナーになれること、新たな起点に立って両国関係をより大きな発展に導けるという認識で一致した。
 この重要なコンセンサスは両国関係の政治的基礎を守り、新たな時期における中米関係の発展に方向性をもたらした。と同時に、両国が二ヵ国間、地域、グローバルな範囲において全方位で戦略的な協力を展開していくための必要条件を創造したと言える」

■王毅・ティラーソン会談でも
北朝鮮問題が意見交換の議題に

 中国外交部によるプレスリリースによれば、ティラーソン長官は
 「米中関係は友好的であるべきだと言うほかない。
 米国は一つの中国という政策を執ることを改めて表明する。
 これは両国関係にとって非常に重要であるだけでなく、地域の発展と安定にも有利に働く」
と述べたとのことである。

 2月21日、中国の楊潔チ(チの字は竹かんむりに“褫”のつくり)国務委員(外交担当、元外相)とティラーソン国務長官が電話で会談をした。
 会談の内容は数日前に行われた王毅・ティラーソン会談と性質を異にするものではなく、両国があらゆるレベルにおける協力を展開し、関係を発展させていこうという意思を確認するものであった。

 一方で、王毅・ティラーソン会談でも北朝鮮問題が意見交換の議題になったように(中国外交部発表)、2月に入り、北朝鮮による再度のミサイル発射、そして“金正男暗殺事件”を受けて、米中指導部が現状に対する認識を確認し、どのような対応をしていくのかを協議するための電話会談であったとレビューできる。

 その楊国務委員は、2月27~28日の日程で米国を訪問し、
 「中米関係および共に関心を持つ問題に関して米国側の高級官僚と意見交換をする予定である」
とのことである。
 これが中国外交部の陸慷報道局長によって発表されたのは2月26日のことであり、前述の楊・ティラーソン電話会談から約1週間を挟んでの米国訪問である。

■中国側の懸案はやはり北朝鮮問題

 この一連の流れを中国国内で眺める限り、少なくとも中国側は、相当程度の外交資源を投じてでも、ハイレベル対話を通じて米国指導部の意思や立場を繰り返し確認し、米中間で誤解やミスコミュニケーションが生じないように努めようとしている空気をひしひしと感じるのである。
 それは、秋の党大会を無事に迎え、開くためにも、避けては通れない政治ミッションなのだろう。
 繰り返しになるが、
 対米関係を安定させることが昨今の中国共産党指導部にとって最大の内政マターの一つである
と改めて感じる今日この頃である。

 “一つの中国”が一応の“軟着陸”を見た昨今、中国側が米中間の懸案になり得ると認識しているのはやはり北朝鮮問題であろう。
 楊潔チ国務委員の米国訪問という外交アジェンダにもそれがにじみ出ているように思われる。
 2月22日の定例記者会見で楊・ティラーソン会談について聞かれた耿爽外交部報道官は
 「我々は米国を含めた関連諸国と意思疎通と政策協調を強化し、交渉を再開するための突破口を共同で模索し、探し出たいと考えている。
 共同で朝鮮半島の平和と安定を守り、朝鮮半島の核問題を適切に解決するために建設的な働きをしたいと思っている」
と述べている。

 北朝鮮がミサイルを発射した週の週末、中国政府は北朝鮮産の石炭輸入を暫定的に停止する旨を発表した。
 「これは国連安保理2321号決議が決めた規定を執行するための行動であり、中国が抱える国際義務であり、中国の関連法にも符合する。
 この行動は中国の北朝鮮核問題における責任ある態度と安保理決議を執行する上での誠意を体現している」(耿爽報道官、2月21日記者会見にて発言)。

 この“態度”と“誠意”をトランプ大統領率いる米国指導部はどのように認識・評価するだろうか。
 トランプ氏は大統領に就任する前、自身のツイッターを通じて中国の北朝鮮政策を批判している。
 その認識に変化は生じるのだろうか。
 楊潔チ国務委員は訪米期間中その辺の温度を探ろうとするにちがいない。

■示唆に富んでいた王毅外相のコメント

 最後に、王毅外相がG20会議で基調講演を行った(2月17日)後に会場からの質問に答える形で表明した北朝鮮問題に関するコメントを引用して、本稿の結びとしたい。私から見て非常に興味深く、示唆に富んでいた。

 「朝鮮半島の核問題を巡る解決には、長らく2つのチャネルが存在してきた。
 ひとつは対話、
 もう一つは対抗である。
 2003年から2009年の間、核問題に関する対話と交渉は持続的に行われ、途中曲折もあったが交渉は持続され、北朝鮮の核・ミサイル開発は有効的に管理・抑制され、朝鮮半島情勢は全体的に安定を保持した。
 しかしながら、2009年を過ぎ、6ヵ国協議は完全に中断し、核問題は対抗のチャネルへと入っていった。
 核実験、制裁、更なる核実験、更なる制裁という悪循環に陥った。
 このような状況が続いていくことがあってはならない!
 なぜならば、このような状況が続く限り、最終的な局面はおそらく、各方面が受け入れられない、抱えきれないものになり、みんながルーザーとなる局面であろうからである」

 さて、そのような局面を避けるために、中国としてはどう動くのだろうか。

(国際コラムニスト 加藤嘉一)



もし北朝鮮が手を下したとしたら、アメリカはこのままではすませないだろう。
 というのは、
★.マレーシアの国際空港で、それも
★.VXという猛毒を使った
暗殺となれば、もうそれは正常人のやることではないと判断されることになる。
 もし、金正恩が正常でないと判断されれば、
 「ヤツは何をやるかわからない」
となる。
 ミサイルに核を積んでアメリカ、中国、韓国、日本とどこでも打ち込まれる危険性がマジで出てくるということになる。
 そんな状態をアメリカが黙っているはずがない。
 もはや中国は北朝鮮をコントロールできる国家ではないということになるのだから、アメリカがやるしかないということになる。
 でも本当に北朝鮮がやったのか?
という疑問がどうにも貼れない。
 こんなミエミエで一国の秘密警察がやるか!
 交通事故にみせかけてこっそり、というのが常道だろう。 


Record china配信日時:2017年3月4日(土) 20時0分
http://www.recordchina.co.jp/a171072.html

金正男氏殺害、北朝鮮包囲網徐々に
=猛毒「VX」使用で国際社会に衝撃、
中国の出方が焦点

 2017年3月4日、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄・金正男氏が殺害された事件で、北朝鮮包囲網が形成されつつある。
 特に猛毒の「VX」が使われたことで国際社会には衝撃が走り、韓国の尹炳世外相は北朝鮮の国連加盟国の資格停止に言及。
 国連安全保障理事会で取り上げる動きもある。
 北朝鮮の後ろ盾とされる中国の出方が当面の焦点だ。

 尹外相はスイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会のハイレベル会合や軍縮会議で、「(正男氏の殺害は)衝動的で予測不可能であることに加え、残忍な北の政権がいつどこででも、誰に対しても化学兵器による攻撃ができるということを示した」などと批判。
 「国際社会はどのような措置を取るべきか深刻に考える時だ」
と強調し、北朝鮮の国連加盟国の資格停止など断固たる対応を取るよう促した。

 英国のライクロフト国連大使は
 「マレーシア政府はVXが使われたという証拠を得たのであれば、事件を化学兵器禁止機関(OPCW)と国連安保理に申告すべきだ。
 そうすれば、われわれはこの問題に対処できる」
と指摘。
 マレーシア国営ベルナマ通信によると、同国警察のハリド長官は「外務省との調整が済めば国連とも情報を共有する準備がある」と述べ、今後、事件の証拠を国連に伝える用意がある考えを示した。

 さらに、米国では北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう求める声が相次いで浮上している。
 下院で一部の議員が再指定を求める法案を提出したほか、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、殺害事件を受けて再指定すべきだとの社説を掲載した。
 米国は1998年に北朝鮮をテロ支援国家に指定したが、2008年に当時のブッシュ政権が北朝鮮の核開発計画の検証方法をめぐって北朝鮮と合意したのを受けて、指定を解除した。

 事件の舞台となったマレーシアは伝統的に北朝鮮の友好国。実行犯として殺人罪で起訴された女2人の出身国ベトナム、インドネシアも友好国だが、暗殺工作に自国民が巻き込まれたとして、北朝鮮を非難する声が高まっている。
 マレーシアは北朝鮮との外交関係の再検討に着手。
 北朝鮮国民に認めていたビザなし渡航を取りやめる方針を明らかにした。

 これに対し、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1日、事件への関与を改めて全面否定し、
 「米国と南朝鮮(韓国)当局は『猛毒の神経剤VX』による毒殺だと主張し、
 われわれに対し、根拠なく言い掛かりをつけている。荒唐無稽な詭弁(きべん)だ」
と非難。
 米韓が「政治的陰謀策動」を続けるなら、「より強力な自衛的措置を取る」と警告した。

 対応が注目される中国はVXが使用されたことについて、
 「マレーシア側の発表は初期段階にすぎず、結論は下されていない」(外交部の耿爽報道官)
として、北朝鮮批判を避けた。
 その一方で北朝鮮とマレーシアが事件をめぐり対立していることを念頭に「対話と交渉で問題を適切に解決してほしい」とも述べ、中国の微妙な立場をうかがわせた。



毎日新聞2017年3月5日 東京朝刊
http://mainichi.jp/articles/20170305/ddm/001/030/161000c

マレーシア
北朝鮮大使、国外追放 正男氏殺害巡り

 【クアラルンプール林哲平】
 マレーシア外務省は4日夜、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏(45)がクアラルンプールの空港で殺害された事件を受け、北朝鮮の姜哲(カンチョル)・駐マレーシア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外追放すると発表した。
 6日午後6時(日本時間同日午後7時)までの退去を求めている。

 事件をめぐっては、姜大使が「マレーシアの捜査は信用できない」などと批判。
 マレーシア政府が駐北朝鮮大使を召還したほか、北朝鮮国民のビザ(査証)なし渡航を中止していた。
 今回の国外追放はそれに続くもので、両国関係の悪化は決定的なものになった。

 マレーシア外務省によると、2月28日に北朝鮮代表団と公式協議し、事件に関する姜大使の発言について文書での謝罪を要求。
 期限の同日夜を過ぎても回答はなかった。
 マレーシア外務省は4日夕に姜大使を呼び出したものの姿を見せなかったため、文書で国外追放を通告したという。

 マレーシアのアニファ外相は4日の声明で「いかなる侮辱や名誉を汚す行為にも厳しく対応する」と強調。
 国外退去などの一連の措置は「北朝鮮との関係見直しの一環だ」と述べ、さらなる対応の可能性も示唆した。

■書記官に警告

 マレーシア政府関係者によると、事件の重要参考人として行方を追っている北朝鮮大使館のヒョン・グァンソン2等書記官に対しても6日に外務省に出向くよう求めた。
 応じなければ姜大使同様に国外退去処分にするとしている。





【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】





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トランプ大統領登場(15):米史上最大級の軍増強計画を表明

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ロイター  2017年 02月 25日 03:53 JST
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-military-buildup-idJPKBN163279

トランプ氏が米史上最大級の軍増強計画、保守派集会で表明

[ナショナル・ハーバー(メリーランド州)/ワシントン 24日 ロイター] -
 トランプ米大統領は24日、「保守政治行動会議(CPAC)」の年次総会で演説し、
 米史上最大規模のひとつとなる軍増強に向けて大規模な予算を要求する
と言明した。

 トランプ大統領は、軍の攻勢・防御双方における戦力を大幅に向上させ、米国の防衛能力を「これまで以上に拡充、向上、増強させる」と強調。
 「こうした戦力を利用する必要がないことを願うが、誰も米国に干渉できなくなるだろう。
 米史上において最大規模の軍増強のひとつとなる」
と語った。
 ただ、具体的な増強策については踏み込まなかった。

 国内の雇用創出や米成長押し上げに向けた貿易の協定の見直し、メキシコ国境の「壁」建設計画を実現させる意向をあらためて表明するなど、全般的には国家主義的なトーンを強くにじませる演説となった。

 また、メディアに対する批判も鮮明にした。
 最近のツイッターで、米メディアの一部が「人々の敵」とみなされるべきとする自身の投稿について「話や情報源をでっち上げることには反対だ」と強調。
 「実在の人物の名前を使わないのであれば、消息筋を使うことは許されるべきではない。
 情報源を明らかにすべきだ」
と断言した。

 来週28日には、米議会上下両院合同本会議での演説が予定されている。



ロイター 2017年 02月 24日 13:24 JST
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-idJPKBN1622P2?sp=true

インタビュー:米大統領が核増強を明言、
中国の為替操作を批判

[ワシントン 23日 ロイター] -
 トランプ米大統領は23日、ホワイトハウスでロイターとのインタビューに応じ、米国が核兵器能力で他国に劣ることはないとして核備蓄を増強する考えを表明した。
 トランプ氏が核兵器について発言するのは就任以来初めて。

──関連記事:トランプ米大統領、インタビューでの主な発言

 同氏は
 「私は核のない世界を誰よりも見たいと思っている人間だ。
 しかし、それが友好国であっても、他国に劣るつもりは決してない。
 核兵器で後れを取ることは決してない」
と明言した。

 オバマ政権下のロシアと締結した新戦略兵器削減条約(新START)は、米ロが2018年2月までに配備済みの戦略核弾頭を1550発に削減することを定めている。


●世界の保有核弾頭数

 トランプ氏はインタビューで、新STARTが「一方的な協定だ」と批判。
 「米国が行ったまずい協定の一つだ。
 STARTであっても、イランとの合意であっても、われわれは良い協定を作り始める」
と強調した。

 また、ロシアが地上発射型の巡航ミサイルを配備したことについて、1987年の中距離核戦力全廃条約に違反するとして批判。
 ロシアのプーチン大統領に問題を提起するかとの質問には、「われわれがもし会談すれば」そうすると述べた。
 プーチン氏との会談予定はまだないとも答えた。

 一方、北朝鮮の弾道ミサイル実験については「非常に怒りを覚えている」と非難。
 日本や韓国のミサイル防衛システムを加速させるなど、さまざまな選択肢があるとした。

■<中国の為替操作を批判>

 また、トランプ大統領は、中国は為替操作の「グランド・チャンピオン」と表明。
 中国が人民元相場を操作しているという持論を「後退させてはいない」と強調した。

 トランプ大統領は
 「私は彼ら(中国)を為替操作のグランド・チャンピオンだと考えている。私は持論を引っ込めてはいない」
と語った。
 トランプ氏は大統領選ではしばしば、中国が人民元を対ドルで低く抑えて輸出を促進、米製造業の職を「盗んでいる」と批判。
 ただ大統領就任初日に中国を為替操作国に認定するという約束は果たさなかった。

 一方、トランプ大統領インタビューの数時間前、ムニューシン米財務長官はCNBCに対して、中国の為替政策については系統だった手法で分析すると表明。
 判断を下す準備はまだできていない、と強調した。

 米財務省は近く中国を為替操作国に認定するのか、との質問に対して、ムニューシン長官は、米国の主要な貿易パートナーの為替政策を分析する際の通常のプロセスを踏む、と答えた。
 米財務省は毎年4月15日と10月15日に、外国為替報告書を公表することになっている。

■<国境税は雇用促進>

 議会共和党が推進している国境調整税については、雇用促進する可能性があるとしたが、明確に支持を表明することはしなかった。
 「(国境調整税は)米国で一段の雇用創出につながる可能性がある」
と大統領はインタビューで指摘。

 詳細には踏み込まず、「国境での何らかの課税は支持する」とし、「企業が国内に回帰し、工場を建設、そして多くの雇用を生み出すだろう」と語った。

 大統領はこれまで国境調整税について「複雑過ぎる」と述べるなど、まちまちの考えを示している。

■<EUを完全に支持>

 統治機関として欧州連合(EU)について、
 トランプ大統領は「完全に支持する」と表明した。

 またイスラエルとパレスチナの紛争を巡り、2国家という解決策を支持する姿勢を示した。
 ただ双方が満足する解決策が望ましいとも述べた。
 トランプ氏は昨夏の英国のEU離脱決定を支持する姿勢を示していたことから、今回のEU支持発言を受けて一部の当局者の間には驚きの声が上がった。
 トランプ氏は先月、EUについて「ドイツの乗り物」などと述べていた。

■<中東問題は「2国家解決策」を>

 イスラエルとパレスチナの紛争を巡り、トランプ大統領は2国家という概念の解決策が好ましいとの考えを示した。
 米国は長年、中東和平の実現に向けイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指す方針を示してきた。
 トランプ氏は今月15日、イスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、2国家共存にこだわらない考えを示し、米政権の方針転換を示唆。
 国際社会の批判を浴びたが、今回の発言でこれを修正した格好だ。
 今回の発言は、米国が中東和平実現への取り組み再開に向け行動を起こしたとしても、長年の和平交渉の柱である原則が放棄されないとのメッセージをイスラエル、パレスチナ双方と国際社会に送る可能性がある。
 ただ、トランプ氏は最終的なパレスチナ国家樹立への米国のコミットメントを改めて確認するのは差し控え、「双方が満足する解決策で良い」と述べた。



朝日新聞デジタル 2/28(火) 1:20配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170228-00000007-asahi-int

トランプ氏、米国防費「歴史的に増やす」 
1割増額方針

 トランプ米大統領は27日、ホワイトハウスでの州知事らとの会合で、来年度の国防費について「歴史的に増やす」との考えを示した。
 米メディアによると、全体の国防費の約1割にあたる540億ドル(約6兆円)の増額を要求する方針という。
 国防費以外の予算を削減することでまかなうとしている。

 複数の米メディアによると、近く予算案を各政府機関に通知するという。
 トランプ氏は28日に米議会で施政方針演説をする予定で、その中で詳細を説明するという。



Record china配信日時:2017年2月27日(月) 16時30分
http://www.recordchina.co.jp/a170676.html

米海軍が頻繁な軍事演習で武力を誇示、
自由貿易守る意志を中国にアピール―中国メディア

  2017年2月26日、参考消息網によると、米軍が頻繁に中国近隣で武力を誇示している。

 米NBCテレビは24日、入手した米軍内部報告書を基に、米海軍が頻繁に中国近海で行動し、武力を誇示していると報じた
 現在は空母カールビンソンを中心とした空母戦闘群が南シナ海を行動中だが、
 それ以外にも1月には原子力潜水艦3隻が西太平洋に配備され、
 うち1隻は南シナ海で活動したという。

 2月には12機のF−22がオーストラリアでの演習に参加した。
 さらに先日実施された演習では潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のトライデント2型4発が発射された。
 同時に4発ものSLBMの発射演習を行うのは冷戦終結以来初だという。

 こうした行動の目的は中国政府に米軍の戦力を誇示することにあると米国防総省関係者は指摘する。
 駐韓国米国大使、国防総省次官補(アジア・太平洋担当)を歴任したマーク・リッパート氏はこれらの行動は米国が自由な貿易と法治を守る意志を示すものだと分析した。
 オバマ時代と同じく、トランプ政権でもこの原則を守るというメッセージを中国に伝える意味があるという。



Record china配信日時:2017年2月28日(火) 10時20分
http://www.recordchina.co.jp/a170781.html

トランプ米大統領の効果じわり、
米中が海上軍事設備で競争開始か―英メディア

 2017年2月26日、英BBC(中国語電子版)は「トランプ米大統領の効果じわり、米中が海上軍事設備で競争開始か」とする記事を掲載した。

 トランプ氏の就任後、米中海軍の拡大競争に拍車がかかっている。
 中国の南シナ海戦略をトランプ氏は批判。
 3月の全国人民代表大会と全国人民政治協商会議(両会)で、中国は海軍予算を大幅に上乗せする可能性がある。
 中国に駐在するアジアのある国の外交官は
 「中国はトランプ氏が予測不能とみているが
 最終的に中国に対抗してくるとみている」
と話す。

 一方、トランプ氏は24日、「米国史上最大の軍事補正予算」を要求。
 海軍艦艇、人員、航空機を大幅に増強すると表明した。
 トランプ氏の強硬姿勢は中国政府を不安がらせ、海軍増強に拍車をかけさせる結果となっている。

 中国の軍事費はここ数年で急速に増加。
 16年の伸び率は7.6%で、過去20年で伸び率は倍になった。
 中国は具体的な予算額は明らかにしていないが、ここ15年は海軍増強に力を入れている。習近平(シー・ジンピン)国家主席の号令のもと、艦艇や駆逐艦を大幅に増やしている。

 しかし、中国の海軍力は今のところ米国に遠く及ばない。
 所有する空母も「遼寧」1隻のみ。
 中国軍を退役した軍高級顧問の徐光裕(シュー・グアンユー)氏は
 「いわばマラソンのようなもの。
 われわれは長い時間をかけて開けられた差を詰めていきたい」
としている。



ロイター  2017年 02月 28日 13:06 JST Antony Currie
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-breakingviews-idJPKBN1670B9?sp=true

コラム:米国防費増強の「大風呂敷」がもたらす代償

[ニューヨーク 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 トランプ米大統領は、国防費540億ドル増額という「大風呂敷」を広げ、米国の予算が抱える欠陥を覆い隠そうとしている。
 感情的愛国主義が主導する、トランプ氏が「米国史上有数の規模の国防力強化」と呼ぶこうした取り組みは、さまざまな形でより高い代償をもたらすかもしれない。

 国防費の増額は大半が、他の政府機関が使うべき予算を削って充当される。
 ロイターの計算では、国務省は外交活動や対外援助などに振り向ける年間予算が30%減って500億ドルになりかねない方向で話が進んでいる。
 環境保護局(EPA)の80億ドルの予算も、恰好の削減対象と化した。

 これらの政府機関からの資源流用は、トランプ氏の熱心な支持者を喜ばせるはずだ。
 予算案承認権限を有する議会でも一部の議員は国防費増額の説得に応じてもおかしくない。
 対外関係の予算を財源にする考えには反対論が出るだろう。
 だが議員にとって国防費を前年度から9.2%も増せば、選挙区の州や地域に新たな雇用が生まれ、有権者の支持が高まる可能性があることは喜ばしい事態と言える。

 もっとも国防費増額は、トランプ氏自身が発してきたメッセージに反する面もある。
 同氏は、自分だけが肥大化した官僚機構に大ナタを振るえる立場にいるとしてきた。
 しかし国防部門ほど明らかに削減の標的とすべき行政組織はほかに見当たらない。
 何しろ連邦予算における裁量的支出の半分強を国防関連が占めているからだ。

 政府監査院(GAO)は過去22年間、国防総省について資金管理や報告などの業務を「ハイリスク」に分類してきた。
 国防総省が隠していた内部リポートを米紙ワシントン・ポストが調べて伝えたところでは、業務改善を通じて今後5年でやろうと思えば1250億ドルの節約は可能だという。

 トランプ氏は国防総省のそうした問題点に焦点を当てるどころか、さらに予算をつぎ込むと決めた。

 この決定は惨憺たる結果を招く恐れがある。
 第1に、ライアン下院議長を含めた一団は歳出削減に関して四角四面に対応する姿勢を見せているため、共和党内に対立の火種が生まれている。
 第2に、平時に軍拡を進める政府はわざわざ軍事力行使の口実を見つけようとする傾向を持つ。
 最後に、ソフトパワー(文化や価値観を通じた影響力)の弱体化は戦争を引き起こしやすくなり、それに伴う金銭を含めたあらゆるコストを負担しなければならなくなる公算が大きい。

 トランプ大統領は国防費を540億ドル(約6兆円)増額する一方、同額の国内関連支出を削減して相殺する考えを示した。
 ただ、実際に連邦政府の予算を決めるのは議会であり、民主党などからの反発は必至とみられる。

●背景となるニュース

*トランプ大統領は、2018年度(17年10月─18年9月)予算で国防費を540億ドル増額したい意向。これは前年度を9.2%上回る。ホワイトハウス当局者が27日明らかにした。

*トランプ氏は全国の州知事との会合で、「やせ細った米軍再建のため国防費を歴史的に増やす」と発言。24日の保守系政治団体の集会では、米国の歴史上でも有数の規模の国防力増強になると表明した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



朝日新聞デジタル 3/3(金) 19:39配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170303-00000090-asahi-int

トランプ氏「空母12隻態勢に」 
海軍艦隊を拡大へ

 トランプ米大統領は2日、バージニア州で演説し、米海軍が保有する空母を現在の10隻から、12隻態勢にする方針を明らかにした。
 トランプ氏は法律で定められた国防費の上限を約1割増額する予算を要求するなど、「米軍の再建」を主張しており、空母建造もその一環とみられる。

 トランプ氏は、同州ニューポートニューズに係留中で今年末に就役予定の新型空母「ジェラルド・R・フォード」を訪ねて演説し、「私は海軍艦隊の大規模な拡大に着手しようと考えており、それには12隻の空母も含まれる」と述べた。



【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】

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ベトナムへシフトする日本(2):ベトナムは中国にとって手強い隣国

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JB Press 2017.3.16(木)  川島 博之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49418

反中ベトナム人が怒り狂うネット上の噂とは
中国ベッタリのチョン書記長が中国とまさかの約束?

 3月頭にベトナムを訪問してきた。
 今回は、その際に出会った2人のベトナム人との会話を紹介しよう。

■民間会社の社員(ハノイ在住、40代女性)

「私はベトナム共産党員ですが、最近の共産党は嫌いです」
「共産党員なのに。共産党が嫌いなの?」
「父はベトナム戦争の兵士でした。
 戦闘で大けがをして後遺症が残りましたが、勇敢な兵士だったので、戦後、軍関連の機関に就職してよい待遇を受けることができました。
 私はその娘として大学に行くことができたし、共産党にも入党できました。
 この国の人口は9000万人ですが、共産党員は400万人。
 役所で出世するには共産党員であることが必須です。
 共産党員はエリート。
 ただ、私は民間企業で働いているので、恩恵はそれほど受けていません」

 「ふーん。
 ではなぜ最近になって共産党が嫌いになったのですか?」

 「汚職のこともありますが、第1には現在の幹部が中国にべったりだからです。
 そのことに対して、みんなが怒っています。
 中国は南シナ海の島を占領して、その周辺で漁民が漁をすることを妨害しています。
 だから、水産物が少なくなり値段が上がりました。
 これは、私たち台所を預かる女性が身近に感じている中国の脅威です。
 それに対して、現政府は中国になにも文句を言っていません」

「脅威は水産物だけ?」

 「政府はインターネットでの情報発信をコントロールしようとしています。
 ただ、ベトナム政府の能力は中国ほど高くないので、全ての情報を遮断できません。
 だから、若者たちが発信する情報がネット上に溢れています。
 ネット情報によると、この前、中国を訪問した時、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長は2020年にベトナムが中国の1つの省になると約束したそうです」

「本当ですか?」

 「ベトナムは常に中国と戦ってきました。
 徴姉妹(ハイ・バー・チュン:注 約2000年前に後漢に対して反乱を起こした姉妹)の話は、ベトナム女性の誇りです。
 1000年前に独立を勝ち取ったのですが、中国はそれからも何度もベトナムに攻め込んできました。
 それを撃退するために私たちの祖先が多数戦死しています。
 その中国に対して、中国の省の1つになるなどという約束をするなんて、まったくチョン書記長はどうかしています。
 いくら中国が怖いからと言って、そこまですり寄る必要はないじゃありませんか。
 だから、私は怒っているのです。

 日本は中国に対して毅然とした態度を取り続けていますね。
 立派ですよ。
 つい先日、天皇陛下にもお越しいただいたことだし、ベトナムは日本ともっと仲良くなりたい。
 なにかの時には助けてくださいね」

■外資系企業の管理職(ホーチミン在住、50代男性)

 「ベトナムが中国の省の1つになるという話は本当ですか?」

 「ああ、ネット上にはそんな話がたくさん書き込んであるようだな」

 「ただの噂ですか?」

 「まあ噂だろう。
 だが、火のないところに煙は立たない。
 チョンは中国ベッタリだから、それに近いことを言っているのだろう」

 「多くの国民が中国を嫌っているのに、なぜチョン書記長は中国ベッタリなのですか?」

 「そこがポイントだよ。
 チョンは米国と仲が良かったグエン・タン・ズン前首相を政権から追い出したかったのさ。
 ズンはやり手で、この国の経済を発展させた。
 その手腕は見事だったよ。
 まあ、汚職も派手にやったから嫌う人も多いけど、1人当たりのGDPが2000ドルを超える水準にまでになったのは、彼のおかげと言っていい」

 「経済成長をリードしてきた彼がなぜ失脚したのですか?」

 「やり過ぎだよ。
 ズンは政府の力を強めて共産党の力を弱めた。
 “政高党低“てやつさ。
 そこに共産党が脅威を感じた。
 それにズンは米国と仲よくし過ぎた。
 この前、オバマ米大統領がベトナムを訪問した時に、庶民がよく行く食堂で”ブンチャ“と言うベトナム料理を食べた。
 その店ではオバマが注文した料理を”オバマ・セット“なんて言って、売りだしている。大人気だそうだ」

 「米国との関係を改善することは経済に対してプラスになるでしょう」

 「ああ、だけど共産党にはマイナスだね。
 米国の影響力が強まれば、共産党の立場は弱くなる。
 そこに中国がつけ込んだのさ。

 2015年11月に習近平がベトナムを訪問した。
 まあ、中国はなにか用事があるときには、ベトナム首脳を呼びつけるから、自分からわざわざベトナムに来るなんてなにかあると思っていたが、案の定、その直後の2016年1月の第12回ベトナム共産党大会でズンは失脚したね。
 習近平は世界中で評判が悪いから、ベトナムまでが米国になびくことを許せなかったようだ。
 それにベトナム共産党保守派が飛びついたわけだ。
 習近平はベトナム共産党の幹部に大量のお金を賄賂として渡したと聞いているよ。
 ズンを完全に追い追い落とすように頼んだのさ」

 「チョン書記長は中国の力を借りて、党内抗争に勝利したのですね」

 「まあ、そうなるね。
 ズンの政策は強引で汚職体質だったけど、庶民の生活は確実によくなっていた。
 ズンの方向は間違ってはいなかった。
 だか、共産党の連中はそんなことをしていると共産党がなくなってしまうと思ったのだよ」

 「なるほど、国より共産党の方が大事だと思ったのですね」

 「そうさ。
 みんなそのことに気が付いたから怒っている。
 いくら共産党を守りたいからといって、中国に国を売る奴があるものか。
 若者はチョンを殺せと叫んでいるが、俺は分別のある人間だから殺そうとまでは思わない。
 ただ、機会があればチョンを殴ってやりたいと思っているよ」



朝鮮日報日本語版 3/17(金) 9:35配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170317-00000671-chosun-kr

(朝鮮日報日本語版) 【コラム】
 中国は韓国をベトナムのような手強い隣国にしたいのか

 6・25戦争(朝鮮戦争)で米国に勝ったと宣伝する中国が唯一口にしにくい戦争がある。
 1979年の中越戦争だ。

 同年2月17日未明、中国は20万人の大軍と400台の戦車、1500門の火砲を動員し、ベトナムに進撃した。
 ベトナムは地方の守備兵力10万人で対抗した。
 戦争初期は中国が優勢かに見えた。
 ベトナム北部の都市と軍事拠点20カ所余りを占領し、首都ハノイを脅かした。
 しかし、3月初めになると、中国軍は突然撤収を開始し、戦争は1カ月後の3月16日に終わった。

 中国軍が撤退したのにはそれなりの理由があった。
★.圧倒的な兵力、火力で主要拠点の占領には成功したが、拠点周辺の戦闘で苦戦を免れなかった。
★.ベトナム軍は山岳地帯に隠れ、激しく抵抗し、奇襲しては引くゲリラ式戦闘で中国軍を苦しめた。
 西側の軍事専門家は、こうした攻撃で前線と後方の連絡が途絶し、犠牲者が続出したため、それに耐えられずに撤収を選んだと分析する。
 当時の中国軍の戦死者は3万人近いとみられる。

 戦争のきっかけは中ソ紛争だった。
 旧ソ連を支持したベトナムが1978年末、親中派のクメール・ルージュが支配するカンボジアに侵攻したことに中国が怒った。
 戦争の目的はカンボジアを救うことだった。
 中国が攻撃を加えれば、カンボジアに投入された15万人規模の精鋭ベトナム軍がハノイ防衛のために撤収すると考えたのだった。

 しかし、カンボジアにいるベトナムの主力部隊が撤収することはなかった。
 ベトナムは地方守備隊と民兵だけで中国の大軍を撃退した。
 中国はベトナムに教訓を与えようとして宣戦したが、却って教訓を得て退却した。

 中国はアジア・オセアニアの62カ国を周辺国外交の対象と見なしているという。
 中国が経済成長に必死だった1990年代と2000年代には周辺国との関係は比較的平穏だった。
 しかし、2010年に世界2位の経済大国に浮上して以降は、筋肉質の外交が日常となった。
 南中国海(南シナ海)で絶えず武力を誇示し、米国の同盟国である韓国、日本、フィリピンなどには経済報復カードを切った。
 気に入らなければ力ずくでたたくというやり方だ。

 中越関係も南中国海の領有権紛争で再びこじれている。
 状況は30年余り前の中越戦争当時とは変わった。
 中国は既にベトナムがかなわないような大国になった。
 経済的にも貿易額が年1000億ドルに迫るほど両国関係は密接化した。
 それでもベトナムは中国にとってなおも一筋縄にはいかない国だ。
 ベトナムは米国と和解して関係を回復し、ロシア、インド、日本との軍事協力を強化するなど機敏な外交で中国をけん制している。
 ロシア製潜水艦、インド製ミサイルの導入を決め、海軍力も増強している。
 中国も最近はそうしたベトナムとの関係改善に取り組んでいる。

 中国周辺には戦略兵器競争まで繰り広げるインドをはじめ、都合の悪い相手が数多く存在する。
 韓国はそうした国とは異なり、1991年の国交樹立以降、26年間にわたり、中国とは大きな支障なく互いに利益となる関係を維持してきた。
 領土や領海をめぐる紛争もない。
 THAAD配備をめぐる最近の中国の報復が「小を得ようとして、大を失う」行為であるように思えるのはそのためだ。
 中国にとって都合の悪い相手をもう一つ増やすことにほかならないからだ。



Record china配信日時:2017年3月20日(月) 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/b172675-s0-c30.html

在日外国人238万人のうち中国人が70万人で最多
=「日本はアジアの天国」
「金持ちはみんな自国を離れて海外へ行く」―中国ネット

 2017年3月19日、中国メディアの中国僑網が、
★.在日外国人数が238万人に達し、そのうち約70万人が中国人
だと伝えた。

 法務省が公表した最新のデータによると、16年末の時点で在日外国人数が238万2822人に達し、15年末と比べて約15万人増加して過去最高となった。
 そのうち、
★.技能実習の在留資格者が22万8588人で、前年比で18.7%増加した。
★.また、不法滞在者も6万5270人となり、3年連続で増加した。

 在日外国人のうち
1].中国人が69万5522人で最も多く、
2].次いで韓国人の45万3096人
3].フィリピン人の24万3662人と続いた。
4].ベトナム人は19万9990人で前年比36.1%増加
した。
 日本企業の海外市場進出に伴い、日本語が注目されており、技能実習生や留学生が増加しているのだという。
 また、永住者と特別永住者が全体の4割以上を占めており、
 留学生は前年比で12.4%増加し、27万7331人となった。

 このニュースに対し、中国のネットユーザーから、
 「日本はアジアの天国だ!中国人は心の中では知っているけど、本当のことを話せないだけ」
 「お金さえあれば俺だって外国に住みたい」
などのコメントが寄せられた。

 また、
 「貧乏人は愛国で、金持ちは自分を愛している。そろそろ目覚めた方がいい」
 「金持ちはみんな自国を離れて海外へ行くとは、この国は本当に大丈夫なのか?」
と、中国の状況を心配するユーザーも少なくなかった。



JB Press 2017.3.22(水)  末永 恵
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49487

信頼の親日国 
投資人気の陰で共産党崩壊の危機も
アジアで急成長のベトナムに視線は熱いが
リスクも

 日本企業の投資先(アジア、オセアニア地域)で最も人気の国はベトナムとなった。
 2016年のジェトロ(日本貿易振興機構)の日系企業調査で明らかになったのだが、ベトナムで「今後1、2年で事業展開を拡大する」と回答した企業が一番多かった。

 中でも、卸売・小売業の拡大割合は、「78.4%」に達し、2位で73.5%のインドを突き放した。
 さらに、鉄・非鉄・金属、化学・医薬、電気機械器具分野でもベトナムの拡大割合は、それぞれ6割以上を記録し、断トツ人気だ。
全体的に日本企業のベトナムへの投資拡大が今後、さらに加速化すると見られる。

 投資先としての魅力は、
★.安価な労働賃金、
★.人口約9400万人のうち、労働人口が約5500万人という豊富な労働力、
★.さらに平均年齢が若い(約31歳)
ことが挙げられる。

■東南アジアの交通要衝

 また、石油、天然ガス、石炭などに恵まれたベトナムは国土がインドシナ半島を南北に走り、地理的にもASEAN(アセアン=東南アジア諸国連合)の中心に位置する。

 同地域第2位の経済大国のタイと、
 最大の経済大国のインドネシア、
 さらには中国(華南地域)を陸路で繋ぐ拠点に位置すること
が最大の利点の1つだ。

 とりわけ、ベトナム最大の都市、南部に位置するホーチミンは最大の商都で、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポールなどと、陸海空路で結べるアジア地域の「経済帯路のハブ」となると見込まれているからだ。

 さらに、ベトナムにとって日本は最大の経済援助国だけでなく、安全保障の面でも、対中国で歩調を合わすアジアの同盟国だ。

 昨今、政治経済的に中国の影響力が増しているとはいえ、フィリピンやインドネシア、マレーシアなどと比較した場合、ベトナムは今、「アジアで最も信頼できる親日国」とも言える。

 しかし、親日的だから、同じ仏教国だから、日本人と考え方が似ているわけではなく、「日本で通用することは、ベトナムでは通用しない」と考えた方が妥当だ
 そう、とかく日本人は外国人に“日本色”を求める傾向が強いが、日本人とベトナム人は、「違って当たり前」。

 とは言いながら、ベトナムへの投資リスクは、一企業にとって対処困難な政治経済文化的問題以外でも、ベトナムの人々の価値観や気質など、「現地の常識」を熟知することで、企業として最小限に抑えられるものでもある。

 ベトナム人は識字率が約95%で、一般的に勤勉で向上心が高く手先も器用で、資格・技能習得や転職などのために会社終業後、夜学に通う人がいる一方で、教育環境の格差も大きく、社会人としての常識や教育を備えた人が少ないとも言われる。

 また、多民族国家のマレーシアやシンガポールと比較し、英語のできる人材は少なく、日本語に関しては、さらに少ない。
 さらに英語と日本語を駆使する人は、かなり優秀で貴重な存在だ。
 ベトナムではこうした優秀な人は大抵、共産党で働いたり、技術者になる人が多い。
 こうした中、日系企業では、ホワイトカラーの多い職場では英語、工場の労働者などブルーカラーの多い職場では、ベトナム語を使用することが多い。

 ベトナム人は一般的に勤勉と言われるが、他の東南アジア諸国のように職場では盗難や職務怠慢も見られ、会計など会社の資金を扱う地位についている人物が、内外で金銭的癒着を起こす場合も多い。
 いわゆる賄賂の問題は、日本や欧米ではコンプライアンスなど厳しい罰則のある「タブー」でも、ベトナムでは商習慣、“企業文化”である。
 かと言って、表向きに露出されるものではなく、構造的で複雑、かつ厄介な問題で、その責任を日本からの出向統括者1人に任せられる問題でもない。

 しかも、不慣れなことから判断を間違えると、ベトナムで経営継続ができなくなるだけでなく、刑事事件に発展する場合もあり、ベトナムで日系企業が対応に非常に苦慮する点だ。

 また、(東南アジアの特徴とも言えるが)ベトナムでは、男性より女性の方が働き者で優秀、ゆえに企業では主力戦力だ。

■半端ではない女性パワー

 ベトナム戦争など、戦争で男手がなくなったからでなく、ベトナムでは、「家を守る」ことが、日本のように家庭に入ることでなく、大黒柱、すなわち稼ぎ柱になるということなのだ。
 そう、ベトナム社会はかかあ天下で、恐妻家がほとんどだ。

 ベトナムの企業では、経理、人事、営業部門のほとんどが女性の独占市場となっている。
 ビジネスの交渉現場でも、必ず男性同僚と、あるいは夫婦でやって来るが、“最後の一刺し”を実行するのは、ボスの女性。

 最近では経済的に自立した若年層で、シングルマザーが急増しているともいう。
 日本と違って欧米と同様、臨月になっても働き続ける妊婦が多く、産休も法令で半年、認められている。

 ベトナムでは戦力の妊婦が出産ぎりぎりまで働く中、産休中の代替要員の確保、産休後の女性の復帰など、不慣れな日系企業にとっては大きな問題だ。
 しかし、ベトナムでの企業の成功は、女性の能力をいかに最大限に生かせるかにかかっており、同対策は不可欠だ。

 また、経営上重要な点としては、
 首都の北部ハノイと、南部のベトナム最大の都市ホーチミンでは、労働者気質で大きな違いがあることを熟知しておくことだ。
 ベトナム最大の商都、ホーチミンを中心とする南部では、一般的に労働意欲や上昇志向が高く、現金主義だが、北部は違う。

 一般的に、北部を中心にベトナム人は残業を希望しないが、南部では残業代を目当てに長時間労働を自らかって出る場合が多い。
 北部から南部への配置換えはあるが、南部から北部への配置換えは、
 ベトナム戦争の背景もあって南部の人が強烈に拒否するため、現実的ではない。

 また、異文化の代表的な例としては、ベトナムでは、個人主義が台頭しており、個人やその家族の利益や考え方、価値観を非常に大切にする。
 そのため、仕事の進捗確認がゆるく、計画的に仕事を進めるのも苦手。
 さらに、日本人のように法令や規則を遵守することも期待できない。
 団体プレーは不得手でむしろ、日本人にはスタンドプレーと映るべトナム人が目につく。
 当然、身内や友人の冠婚葬祭が大事で、社員旅行や会社の仕事は最優先ではない。
 会社のために個人や家族との生活を犠牲にすることはなく、滅私奉公的発想や集団的利益を美化する文化もない。

 よって、会社に対するロイヤルティーや帰属意識はなく、個人主義的考え方から、会社での同僚などとの情報共有をする文化もない。
 だから、退職時の引継ぎなどが、スムーズにいかない場合もある。

 また、ベトナム人には、多目の仕事量を与えて、負荷をかけることが彼らの能力を生かす秘訣だ。
 3人の部下には、4人分の仕事を与えること。
 競争心や人事考課の敏感な彼らの労働意欲を高めることになる。

 3人に3人分の仕事を与えては、誰かが補佐的な仕事に回り、他の人間のモチベーションも下げ、3人なのに2人、あるいは結果的に1人分の仕事しか達成しないことになる場合もある。

 また、2008年4月、ナイキの工場スト関連問題が世界のメディアを賑わせたが、ベトナムでは経済発展に伴い、今後、さらに労働争議が増加することは否めない。
 そのほとんどが労働組合の指示ではない「山猫スト」だが、経営リスクとして対策を練っておく必要がある。

■共産党独裁でも中国より社会情勢の不安は少ない

 一方、ベトナム人の国民性や価値観以外のリスクとして、代表的なものは、ベトナムの政治経済、政策制度的なものだろう。
 ベトナムが日系企業の投資先(アジア・オセアニア地域)で最も人気の背景の1つに、国内政治や治安の安定がある。
 中国と同様、共産党の一党独裁支配だが、中国のように、国家主席に権力が集中していないのが特徴だ。
いわゆるトロイカ体制で、
 共産党書記長、国家主席、首相の間で権力と機能は分離され、
 「権力の独裁化」を制御し、中国のような政治的リスクに伴う社会情勢の不安もどちからというと少ない。

 しかし、筆者の周りの若者の間では、共産党離れが顕著だ。
「経済が発展しても、報道の自由、言論・表現の自由がない国は、国として結果的に崩壊する」(日系企業やベトナム国営企業勤務などのベトナム人)
という。

 言論統制が厳しく普段は表に出ることは決してないが、日頃、話を深く聞くと、「毎年、ベトナム戦争勝利の戦争記念日のプロパガンダが宣伝される。
 40年以上も前の話で、終戦以降に生まれた我々は、共産主義でなく、民主主義社会の誕生を願っている」(戦後生まれの知識人たち)と共産党批判は痛烈だ。
 中国と同様、経済発展に伴う格差社会の台頭が、共産党一党独裁体制の批判を増幅させており、今後、ベトナムの格差拡大が社会不安を誘引する経営的リスクになる懸念が浮上している。

 さらに、社会主義体制の象徴的な課題として、複雑な法体系と一貫性のない運用体制が挙げられる。
 新しい法律が施行されても、省庁間で合致しない法律があったりと、結果的に、施行決定から、省令、通達が行われず、「実施細則がないのに、罰則のみが科せられる」という異常事態が発生することがある。
 実際あった問題例を挙げると、省エネラベル法(家電などが対象)が施行されたとき、ラベルの内容の記載事項詳細が決定する前に、同法の発令の中で実施日のみが明記され、結果、実施日を迎え、ラベルの貼っていない完成品の輸入が税関で差し押さえられるという事態が起こった。

 運用体制に一貫性がないため、行政の水際での役人による判断基準がバラバラとなり、そのため行政手続きで「特例の便宜」と称し、役人が賄賂を要求する温床ともなっている。
 言い換えれば、賄賂を正当化するため、政府ぐるみで問題を複雑化しているとも言える。

 さらに、特筆すべきなのは、
 為替リスク、
 製造コストの高騰、
 裾野産業の脆弱化に、
 新興国に特徴的な未整備なインフラ
などが挙げられる。

 国内通貨の「ドン」の信頼性が低く経済的基盤が脆弱なベトナムは、実質ドル連動の変動相場制を敷いている。
 恒常的にドンの切り下げが行われ、外資系企業は収益を外的要因で左右されるという貿易赤字の産業構造になっている。

■貿易赤字体質がもたらす通貨安

 ベトナムでは多くの企業が、部材(原材など)を輸入するケースが主流なため、結果的に、インフレを促し人件費高騰や消費者物価の上昇も招いている。
 その貿易赤字体質によるドン安は、製造コストの上昇を誘引し、さらに、製造コストの原因の1つに、人件費の上昇も挙げられる。
 ここ7年ほどで最低賃金の増加率が消費者物価のそれを上回り、ほぼ倍増した。

 将来的に、物価上昇がさらに金利上昇を誘引し、企業競争力が一層、下がることも考えられる。
 また、製造コスト上昇が続く別の要因は、裾野産業の脆弱さにある。

 ベトナムに進出した製造業は前述のように原材料を輸入資材に依存し、現地調達率が低く、通貨安による輸入価格上昇だけでなく、物流や在庫コスト、さらにはリードタイムの対応面において弱点となる。

 日系企業の人気投資先のベトナムだが、上記のように様々な課題も抱えている。
 さらに、ベトナムは複雑な諸外国との関係をうまく天秤にかける一方、ゆえにそれらの国の政治や経済、さらには各国間の外交関係の影響をもろに受けやすい。
 長年の親密な友好国のロシアは武器提供国で、
 その敵対国の中国は、南シナ海の領海問題でベトナム人の嫌中がヒートアップする一方で、最大の輸入国。
 さらにその敵対国の米国は、かつての戦争相手国だが、今では安全保障における対中戦略でなくてはならないパートナーで、しかも、最大の輸出国でもある。

さらに、ベトナムにとって日本は最大の援助国だが、一方で韓国が最大の投資国だ。
 「日本のブランド力」は絶大で、昨秋から、東南アジア初、初等教育で日本語を第1外国語として学習教育を始めたベトナム。

 しかし、「アジアで最も信頼できる親日国」は、自らの共産党崩壊や、複雑な列強との関係で、その国の成り立ちのもろさを露呈する危険性も同時に抱えているとも言えるだろう――。



SankeiBiz 4/3(月) 8:15配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170402-00000000-fsi-bus_all

ベトナムに日本品質住宅続々 
長谷工など開発、分譲 成長市場に照準

 日本企業がベトナムに進出し、住宅を開発する動きが活発化している。
 長谷工コーポレーションは首都ハノイで邦人向けの「サービスアパートメント」を施工。
 これを契機に同市で分譲マンションの開発に着手する計画だ。

 大和ハウス工業などは最大都市ホーチミンの高級住宅街で分譲マンション開発を進めている。
 少子高齢化に伴い国内住宅市場の先細りが見込まれる中、高水準の経済発展が続くベトナムなど海外市場に参入する動きは加速するとみられる。

                   ◇

 ベトナムでは外資系企業の進出ラッシュに伴い、ハウスキーピングや朝食など各種サービスが提供されるサービスアパートメントの需要が急速に高まっている。
 一方で、漏水が発生したり遮音性が低いなど駐在員などの間では建物の品質に対する不満感が強いという。
 そこに目を付けたのが長谷工だ。

 同社は国内で分譲マンション施工数1位を誇るが、東南アジア展開の第1号となるベトナム事業ではあえてサービスアパートメントを選択。
 現地の大手デベロッパーと共同開発した「THE AUTHENTIC(オーセンティック、総戸数110戸)」は、日本と同等の安全・快適性を実現する“ジャパンクオリティー”を追求した。

 構造や断熱などの各種性能を日本にある技術研究所(埼玉県越谷市)で検証しながら、これまでの現地の建物にはない技術を随所に導入。
 例えば、外壁には結露によるカビの発生を抑制するため断熱材を吹き付け、遮音性や開閉のしやすさに優れた日本メーカーの高機能アルミサッシも採用した。
 設計・施工から管理まで一貫した事業を展開することで現地の「いろいろなことを吸収」(楢岡祥之常務執行役員)。“本丸”の分譲マンション分野に、一連のノウハウを反映して事業を軌道に乗せる戦略を描く。

 一方、大和ハウスは一足先に野村不動産、住友林業、現地の大手デベロッパーと共同で分譲マンション開発事業に着手。
 総戸数約2100戸の大規模案件だが、このほど実施した第1回の270戸募集は、わずか3時間で9割超が申し込みで埋まる順調な滑り出しだったという。

 このほかベトナムでは、
 西日本鉄道と阪急不動産もホーチミン市で分譲マンション・戸建て住宅の複合開発を、
 東京急行電鉄はホーチミン市に隣接するビンズン省で大規模な郊外型街づくり整備を事業化している。

 成長市場の取り込みを狙った開発が相次ぐ中、
 事業の成功の大きな鍵となるのが一定水準の技術力を備える現地パートナーの確保だ。
 長谷工はベトナム以外の東南アジアへの事業展開も視野に入れているが、今後は有力パートナーの獲得や関係強化など各社の現地化戦略の動向が注目されそうだ。



Record china配信日時:2017年6月18日(日) 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/b181263-s0-c10.html

ベトナムのしたたかな対日・対米外交に中国メディア警戒感、
「日本は鉄のパートナー」とも

 2017年6月16日、南シナ海問題で中国と対立するベトナムの対日・対米外交に中国メディアが注目している。
 特に日本はベトナムにとって「鉄の戦略パートナー」と指摘。
 米国とともに「防衛関係も近年、力強く発展している」として、中国をけん制するしたたかなベトナム外交に警戒感を深めている。

 ベトナムのフック首相は5月末から6月初めにかけて日米両国を相次いで訪問したが、中国網は一連の外交日程に触れた記事「ベトナム、対米・対日外交で巧妙に計算」を掲載。
 「ベトナムの大国との外交におけるベトナム・米国、ベトナム・日本の関係には共通点が多い。
 いずれも経済優先で、これに政治・人文関係が続く。防衛関係も近年、力強く発展している」
とした。

 フック首相の就任後初の訪米については
 「一言でまとめるならば『爆買い』だ。
 米国の経営者との会談に時間をかけ、代表団を率い米国のハイテク製品を購入した」
と前置き。
 「トランプ大統領の就任前後、ベトナムメディアは『米国がアジア太平洋を見捨てるか』を大きく取り沙汰し、米国が孤立主義に回帰することを懸念した。
 ベトナムにとって、米国の『アジア太平洋回帰』戦略は大きな戦略的利益をもたらす」
と論評した。

 しかし、「トランプ大統領の就任後の発言と外交活動により、ベトナムは焦りを覚えている。
 いわゆる『トランプの霧』の中で、米国の政策方針を把握する必要がある」と分析。
 「今回の訪米には、米国の外交政策の動向に探りを入れる狙いと、『爆買い』により米国から重視されるという狙いがあった」とみている。

 日本に関しては
 「フック首相は就任からわずか1年余りで、すでに2回も訪日している。
 安倍晋三首相が今年1月にベトナムを訪問してから間もなく、天皇皇后も訪問した」
と言及。
 「他国と比べると、日本はベトナムにとってまさに『鉄の戦略パートナー』だ。
 両国関係は経済・貿易・人文・教育・医療などを網羅している。
 両国間の協力水準は中国とベトナムに及ばないが、いわゆる『海上係争』がなく、かつ双方とも中国けん制の需要を持つことから、親密ぶりをうかがうことができる」
としている。

 さらに
 「ベトナムは米国よりも日本の方が自国からの友好を必要としていることを熟知している。
 ベトナムは日本が東南アジアを見捨てることを心配する必要はなく、また日本の中国台頭への焦りがすぐに解消されることがなく、自国が戦略的な価値を持っていることを知り抜いている」
と強調。
 「ベトナムは日本の中国けん制の心理を利用し、自国の利益を最大化しようとしている」
と述べている。








●日本・ベトナム ナゾ解き交流史 国交樹立40周年記念
Published on Oct 14, 2013






●ベトナム独立の夢を日本に賭けた男 NHKBS
Published on Dec 22, 2013







●Võ Nguyên Giáp, ヴォー・グエン・ザップは、かく語りき/ベトナム戦争




●2014 07 12 神木隆之介20歳の旅 ベトナム国境鉄道をゆく~世界一美しい絶景棚田を求めて~[BSジャパン]
Published on Jun 10, 2015







2017年2月24日金曜日

ベトナムへシフトする日本(1):韓国の代替国として「世界の工場」に

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● ベトナムを育てようとする日本政府の遠望


 これまで日本は韓国、中国を育ててきた。
 しかし、ここにきて韓国は傲慢になりすぎ学ぶ姿勢を失って自滅の道をたどりつつある。
 代わって日本政府が目をつけたのがベトナムである。
 なんで体調不良を伝えられる天皇・皇后がベトナムへいくのか。
 皇太子夫妻でもいいではないか。
 日本政府の強引なベトナム肩入れ政策が見えてくる。

 日本の支援は歴史からを見ると
韓国===中国===ベトナム===ミヤンマー===インド
と流れていくようだ。



  韓国は昨今の激しい反日で企業は撤退をしていている。
 韓国自身が「日本はいらない」と判断していることもある。
 反日感情の深さと、これまでの流れからみて
  再び大きく日本企業が韓国を視野に入れることはないだろう。
 中国は日本の援助を大きく受けて、またこのことが欧米の企業をなびかせる効果もあって世界の工場にまで発展した。
 しかし、中国は今、法に基づかない規制でイヤガラセ的な外国企業叩きに入っている。
 市場としての中国は魅力的だが、工場としての中国は賃金等が高くなり、外資企業は撤退をはじめている。
 韓国とは違って中国は14億人という市場がある。
 製造業やサービス業はその人口を狙っての進出は続くだろう。
 だが、ここを世界の工場にする思考はもはやない。
 この中国に代わって脚光を浴びているのがベトナムということになる。
 「中国プラス1」ということである。
 しばらくはベトナムブームが続くだろう。
 日本にとって韓国の代替国がベトナムである。
 韓国に代わって
 ベトナムを育てたい、
というのは日本政府の基本にあるように思える。
 ベトナムはフランスとアメリカとそして中国と戦った経験がある。
 ゲリラ戦ではあったが、勝利を収めた。
 日本が清国とロシアと、そしてアメリカと戦ったのとよく似ている。
 外国と戦うことのできるということでは共通でその矜持をもっているということだろう。

 遠くを見ればその流れはミヤンマーに行き、そして最後はインドにいく。
 まあ、インドに行きつくまでには数十年はかかるだろうが。
 でもそういう流れになりそうなこといだけは確かなようにも思える。


JB Press 2017.2.24(金)  末永 恵
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49250

外資進出ラッシュでアジア突出の成長率、ベトナム
日本ODAで初の地下鉄整備、
新・都市国家構築へ


●日本のODAで建設されるホーチミンの都市鉄道(地下鉄)の建設現場。市内の要所、要所で日本とベトナムの国旗が描かれたこのような現場に出くわす(筆者撮影)

 今、ベトナムは大きな変革期を迎えている――。

 成長が鈍化する他のアジア諸国を横目に、高い経済成長率(2015年は約6.7%増、インドに次ぐ2番目)を続けている。
 「ポテンシャルのある国」(バラク・オバマ米前大統領)と注目され、世界中の企業が「豊富な労働力と安価な人件費」を求め生産拠点を中国からシフトしてきているからだ。

ポスト中国と言ってもいい好調な経済を牽引するのが、GDP(国内総生産)の半分以上を稼ぎ出す最大都市の商都、ホーチミン市(旧サイゴン)。
 「東洋のパリ」と呼ばれ、古くからベトナムの経済的中心地として発展し、町には フランス統治時代の影響が今も色濃く残る一方、急成長に押され高級ホテルなどの高層ビル郡が聳え立つ。

■ホーチミン市のあちこちに日の丸

 その眼下には、道路からあふれ返るほどの雑多なバイクに、路地裏にはまだまだ貧困街が散在するといった「急成長と発展途上が同居する」新興都市ならではの光景が広がる。
 ベトナム戦争後40年を経て、約830万人(2015年末現在)が住むこのベトナム最大の都市で、まさに今、都市開発やインフラ整備が目白押しだ。
 裾野産業が脆弱なベトナムでは、
★.諸外国からのODA(政府開発援助)、
★.外資進出、
★.さらには越僑と呼ばれる在外ベトナム人からの外貨送金
は経済発展に欠かせない「三種の神器」だ。

 そんなホーチミンでは今、街の至る所で日本の国旗「日の丸」を見かける。
 2月28日から天皇皇后両陛下が国賓としてベトナムを初訪問するのにタイミングを合わせたわけではない。
 実はこれ、日本のODAによるベトナム初の都市鉄道(地下鉄)の建設工事が進行中のため掲げられているのだ。
 駅ができる街の要所、要所の工事現場周辺には大きな文字「VIETNAM-JAPAN」とともに2国の国旗が描かれた看板が立っている。
 ホーチミン市の中心部と郊外を結ぶ初の公共鉄道システム導入に世界が認める日本の鉄道技術が生かされ、ベトナムのさらなる発展に拍車がかかることは間違いない。

ホーチミンで建設予定の地下鉄構想は計6路線(約107キロ)。
 現在着工しているのは、
★.日本の円借款支援の1号線と、ドイツのODAによる2号線の一部。

そのうち1号線は、総延長19.7キロで、都心部の2.5キロが地下鉄に、そして郊外の部分が17.2キロで高架鉄道となり、最終的に最高時速が100キロ近くになると見られている。
 工事は清水建設と前田建設が請け負い、完成すれば、日立製作所の車両が走り、ホーチミン市中心のベンタイン市場-ビンズオン省の南端までの14駅20キロを29分で結ぶことになる。

 予定では、2019年に高架区間(バーソン-スオイティエン間)を先行開通し、2020年に全線開通する。
 当初、投資総額は10億9000万ドル(約1250億円)を見込んでいたが、為替変動や計画などの変更に伴い、24億9000万ドル(約2840億円)にまで膨らんだ。

■1日の旅客輸送量は340万人に

 開通すれば、1日当たり350本以上が運行され、1日の旅客輸送量は340万人に上る。
 ホーチミンの経済活動だけでなく、人々の暮らしが一変するまさに「ホーチミンの夢の大変貌計画」を後押しする歴史的イベントだ。
 その最初の重要なスタートを日本が担うというから、ホーチミンや国の成長に携わり、それを見守れることは日本にとってもエキサイティングで、大変感慨深い。
 実際、ホーチミンの町に出ると成長著しい上昇機運を肌で感じることができ、とにかく明るくて活気がある。
 北のハノイとは、北海道と九州ほどの距離があり、人も文化も全く違う。

 今では先進国となった日本がアジアでいち早く経済発展を成し遂げた背景の1つも、都市鉄道という公共交通機関の導入だった。
 20世紀初頭、首都圏、さらには京阪神圏などの大都市圏で都市鉄道を大開発したのが始まりだった。
 大量の人を正確に、しかも安全に移動させることができる都市鉄道の誕生がなければ、今の日本の「安全神話」をバックとした国の発展もなかっただろう。
 今回のホーチミンの鉄道計画は、
「都市部で地下、郊外で高架を走らせる」という、まさに東京メトロの東西線をモデル
としているようだ。

 もともと建設計画が浮上したのは、悪名高きホーチミンの大渋滞。
 人口約830万人の1人に1台が当たり前というバイク天国のお国柄がなす“業”だ。
 ホーチミン市に登録されたバイクは10年前の2倍以上に急増、大気汚染や環境悪化も深刻化、街のさらなる発展には鉄道の整備が待ったなしの状態だった。
 日本の円借款で走ることになる1号線は、バイクや車で常に渋滞が問題となっている国道1号線に沿って建設が進行中で、将来的には日本のように通勤や通学の足としての活用が期待されている。

 また、その国道1号線は、町の中心部と港をリンクさせる経済活動のライフラインでもある。
 地下鉄開業により、ベトナム経済を牽引するホーチミンにとどまらず、ベトナム全体の経済発展を加速化させる効果も期待されている。
 地下鉄建設のメリットは、ホーチミン名物の大渋滞の解消だけにはとどまらない。
 地下鉄が建設される沿線には、数多くの不動産開発案件が計画されている。
 駅ビル、さらには駅ロータリー周辺の開発などで、1号線沿線では「ビンホームズ・セントラルパーク」などマンションなどの建設ラッシュで、日本の不動産会社も参画している。
 ホテルオークラ(東京都港区)は2020年に「オークラ・プレステージ・サイゴン」を1区の旧タックストレードセンター跡地に建設予定だ。

■外資の進出ラッシュ、日本はその先駆け

 経済発展に伴い中間層や富裕層が拡大、その購買力を見込んで外資の進出ラッシュが続く。
 とりわけベトナムの「ドイモイ(刷新)」(外資誘致のため市場経済導入)の効果が大きい最大の商業都市、ホーチミンの外資進出ラッシュは首都ハノイを大きく凌ぐ。
 インテルやIBMといったハイテク産業、百貨店や小売業、さらにはマクドナルドやスターバックスといったグローバル飲食チェーンも次々参入を果たしている。
 親日のベトナムでは、こうした欧米系のブランドより早く、日本のコンビニエンスストアが進出している。
 ファミリーマートは2009年に日系コンビニとして初進出し、現在80店舗近くを展開。
 日本流のサービスと食品や日用品などが常時購入できる便利さで人気だ。
 世界第3位のコメ輸出国、ベトナムではベトナム米を使った少しパラ目の日本のおにぎりも大人気で、弁当やパン(日本最大手の山崎製パンも参入)、菓子スナックも好評だ。

 2014年にはイオンも進出、さらに2016年7月には地下鉄の駅近くの1区に、地下2階、地上3階の高島屋がシンガポール、上海に次ぐ海外店舗第3番目として、日系百貨店で初めて開業。
 京都の福寿園や神戸のユーハイムなど日本の「デパ地下」もお目見えし、すっかり市内のラウンドマークになり、富裕層の取り込みを図っている。

 地下鉄開業で、駅周辺には、バスターミナルと、こういった外資が入ったショッピングモールが建設され、地下鉄を利用し通学、通勤する人が、帰宅前に空いた小腹をおにぎりで満たす、という光景も想像できる。
 買い物をして、バスに乗り、郊外の自宅に帰宅する、という日本の日常が海を超えたベトナムで実現しそうで楽しみだ。


●2016年7月、ベトナムで初の日系百貨店として開業した高島屋ホーチミン店。地下2階、地上3階の店内には、約210店舗のテナントが入り、日本の有名店が揃うデパ地下や、最上階には日本食などのレストランが入っている(筆者撮影)

 さらに、地下鉄の全体計画である1号線から6号線までの総延長距離107キロの沿線では、ベッドタウンの建設も計画され、地下鉄で利用のICカードに「Suica(スイカ)」の技術採用も検討されており、日系企業にとっても経済波及効果が大きくなることが予想される。

 東急電鉄は「東急多摩田園都市」をモデルとして、ホーチミン近郊のビンズン市に街区面積約110ヘクタールの土地に約7500戸の住宅、商業施設などの開発を手がける「東急ビンズンガーデンシティ」を展開中。
 またホーチミン市の新興住宅地の7区では、野村不動産、大和ハウス工業、住友林業の日系3社が、現地不動産開発業者のフーミーフン社と合弁で開発を進めている。
 さらには日本の円借款で建設が進む9区で、阪急不動産と西鉄が、現地不動産大手のナムロン投資とマンションの新開発事業を手がけている。

■外国人への規制緩和で不動産市場活況に

 ベトナムは2015年7月に外国人に対する不動産購入を解禁した。
 それ以来、投資案件としても不動産市場が拡大している。

 しかし、ベトナムの1人当たりのGDPが約2200ドル
(2016年IMF=国際通貨基金、日本の約20分の1。
 ホーチミン市は約5100ドル、ちなみにタイは約5700ドル、フィリピンのほぼ2倍)
で、不動産価格はまだまだ低い。

 日系企業の高層マンションでは、「例えば、50m2で約1100万円で、同様の物件だとマニラの約半額、バンコクの約4分の1、東京の約9分の1ぐらい」(日系の不動産関係者)と言われている。
日本人駐在員数は約1万人と言われ、1人当たりGDPが3000ドル以下の後進国の中で、この数は圧倒的に多い(カンボジアで約1800人、ミャンマーで約1400人)。
 「最近は家族を帯同する人も増え、日本人学校の校舎も増設したほどだ」(日系大手商社関係者)という。

 そんな中、日本人を含めベトナム投資が熱くなる一方、買い手の多くはホーチミンなどベトナムの中間層や富裕層だ。
 英国の不動産大手のナイト・フランクは10年後には世界の「超富裕層」は約22万人に急増し、新しい超富裕層の大半はアジアから生まれるという。
 中でもホーチミンは、街中で高級輸入車も見かけるようになるなど、今後10年間で超富裕層の数は約3倍に増加し、世界一の増加率になると予測されている。
 その中にはベトナムの経済発展には欠かせない「越僑」と呼ばれる在外ベトナム人も含まれる。

 日本が輸出する都市鉄道が作り出す、新・都市国家・ホーチミン。
 その発展を支える新しいライフスタイルや価値観を謳歌する中間層や富裕層「新・ベトナム人」を次回、探ってみたいと思う。



人民網日本語版配信日時:2017年3月16日(木) 6時20分
http://www.recordchina.co.jp/b172271-s10-c20.html

ベトナム初の都市鉄道、中国企業が全面サポート―中国メディア

中国の中鉄六局集団有限公司が請け負ったベトナムのハノイ都市鉄道(カットリン−ハドン間)プロジェクトで、特注の機関車と車両の第一弾がこのほどハノイに到着し、つり上げと設置が行われた。
 プロジェクトは現在、通信信号や電力供給など対応するシステム設備の入札が終わり、今年下半期に全線通電を達成して、機関車の試運転に進む見込みだ。

 同鉄道はベトナム初の都市鉄道で、総延長は約13キロメートル、中国の技術と基準に完全に依拠している。
 機関車と車両の第一弾が設置されたことは、注目を集めるこの都市鉄道建設が全速力で推進される段階に入ったことを意味する。
 中越両国の重点協力プロジェクトとして、同鉄道の建設は緩やかに進められ、ハノイはもとより、ベトナムで最も早く開通する都市鉄道路線になるものと期待される。

 カットリン−ハドン間にすべて高架駅の12駅が建設され、さらに車両基地1カ所も建設される予定だ。
 ベトナム初の都市鉄道として、ベトナム国民の関心は高い。
 2015年に模型車両が公開された時には、1万人を超える人が見学し、意見を出した。
 ハノイの人々は同鉄道の一日も早い開通を待ち望んでいる。
 同鉄道ラケ駅建設予定地の近くに住むブイ・ハイナムさんは、
 「これまではテレビでしか都市鉄道を見たことがなかった。
 将来、都市鉄道が開通した時には、真っ先に乗って、便利でエコな交通ツールを体験してみたい」
と話す。

 都市化の加速にともない、人口約800万人のハノイ市内では交通渋滞がますます激しくなり、経済発展にも人々の暮らしにも深刻な影響を与えている。

 中国の建設従事者の意気込みが現場のベトナム人作業員たちに深い感銘を与えている。
 ベトナム交通運輸省のドアン・バンドゥン技師は、
 「中国の技術者の専門的知識は確かで、彼らの全力投球の精神は敬服に値する」
と話す。

(提供/人民網日本語版・編集/KS)

 中国に近いハノイでは中国の援助で、遠いホーチミンでは日本の援助でインフラ整備が行われている。
 バランスのとれた発想である。
 ハノイは中国に近すぎる。
 陰に陽に中国の影響がある。
 そこで外資はハノイを避け、ホーチミンに集中することになる。
 つまり、中国資本の「ハノイ」と外資の「ホーチミン」といった構図になっているようだ。
 この2都市の距離は1,700kmで、本州の端から端まで(福岡から青森)ある。
 ちなみにハノイから中国国境までは約170kmという。
 なを、東京から静岡が180kmほどである。





JB Press 2017.3.1(水)  末永 恵
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49272
 
憧れの国日本 
子供は米国人学校のベトナム富裕層
高島屋で山梨産"白いちご"に殺到 
高級マンションも完売


●2020年、日本のODAで開業する地下鉄の駅に近い一等地にある高島屋ホーチミン店。週末は中間層や富裕層の家族連れが”日本流サービス”を満喫するために訪れる(筆者撮影)

125億ドル(約1兆5000億円)――
 この莫大なお金は、2015年、「越僑」が海外からベトナムに送金した額(世界銀行)とされる。
 10年前と比較すると、3倍以上に膨らみ、その額は年々増加の一途を辿っている。

「越僑」とは、海外に居住するベトナム人や外国籍を持つベトナム系移民のこと。
 ベトナム外務省によると、現在、約450万人が約100カ国の世界に散らばっているという。

 そのうち約半数は米国、次いでフランス、カナダと、
 先進国が全体の8割を占め、べトナムの人口(約9350万人)の約5%に相当する。

■越僑の送金はGDPの10%

 前回のコラムでご紹介したが、低迷する諸外国を横目に、アジアで突出した経済成長を持続するベトナムを支える「三種の神器」は、
★.諸外国のODA(政府開発援助)、
★.外資進出と、
★.この越僑からの海外からの巨額な送金だ。

 特に、“2つの祖国を持つ同朋”「越僑」からの送金は、ベトナムの国内総生産(GDP)の10%にも相当し、経済成長をしっかり確実に下支えしている同国の外貨収入の重要な資金源となっている。

 しかも、これは合法的なルートを通じ送金されている総額で、地下経済による送金はさらに、「2000億円以上、上乗せされる」(国際金融機関関係者)とも言われる。

 その総額は、ベトナムが受理する政府開発援助(ODA)を上回り、ベトナム経済にはなくてはならないライフラインだ。

 JETRO(日本貿易振興機構)によると、この経済成長に押され急増する
★.ベトナムの富裕層(年間収入が3万5000ドル以上)
★.中間層(同5000から3万5000ドル)
は、それぞれ約127万人と約3800万人(2015年)で人口の「42%」に相当する。

 そのほとんどが、ホーチミンとハノイに集中している。
 ベトナム経済を支える彼らは、2020年には、それぞれ約280万人と約5600万人にまで膨れ上がり、それぞれ人口の約3%と約60%を占め、(2020年の人口は約1億人)国民の半数以上がこれら中間所得層で占められると予測される

タイや韓国のマーケット以上に拡大する規模となる。

 今、この越僑の中核であるベトナムの富裕層は、ベトナム戦争時に米国など海外に移住した人たちの子孫の世代だ。

 余談になるが、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)の妻で医師のプリシラ・チャンさんも、親がベトナムからの亡命者で越僑だ。

■米国流ノウハウを引っ提げ里帰り

 彼らは、急成長しているベトナムに商機を見出し、米国流のビジネスノウハウなどを引っ提げて里帰りし、起業したり、さらには外国企業のベトナム進出を支援したりと、グローバルな感覚を身につけ、ベトナムを舞台に国際市場でビジネスの辣腕を奮い、ベトナム経済を多方面からリードしているのだ。

 具体的には、約6300社の越僑企業が、貿易、不動産、建設、旅行などの分野で国内での多くの大規模投資案件を誘引。
 VPBankやTechcombankの銀行業界、 Vin Groupなどの不動産業界、Sun Groupなどの旅行業界など、国内の基幹産業大手の大株主に名を連ねる。
  国内の雇用創出だけでなく、技術訓練、さらには地方の社会経済基盤の発展に寄与し、ベトナムの国家予算の収入拡大に大きく貢献しているというわけだ。

 海外にいる越僑の多くがビジネス以外で祖国ベトナムを訪れるのは、テト(ベトナムの旧正月)の時だ。
 今年も2月初旬まで100万人以上の越僑が里帰りを果たした。

 27歳のティナさんは、米国のカリフォルニア州に移住して8年になる。米国の大学でデザインを勉強し、デザイン会社を経営する一方、ベトナムではインテリア関係の会社を切り盛りしているという。

 テトには毎年、里帰りし、この日は、ホーチミンで旧正月の風物詩となったフラワーロードの歩行者天国に姉夫婦とその娘とやって来た。
 ティナさんの住むカリフォルニア州南部のオレンジ郡、ガーデングローブ市は通称「リトルサイゴン」といわれ、同市ではベトナム系の米国政治家が市長に当選するなど、米国で越僑が最も多く住んでいる地域として知られる。

 「カリフォルニアは反トランプ派が多く、私も人種差別発言ともとれる発言をするトランプ大統領を支持していない。
 最近では、米国を離れ、移民を受けいれるカナダへ移住する越僑が増えた」
と言う。

 また、GDP1人当たりが国の2倍以上の約5100ドルと、タイにほぼ匹敵する経済発展が著しい最大の商都、ホーチミンには外資の進出が進んでいるという。

 「ベトナムはコーヒーの輸出で世界第2位で独特の『ベトナムコーヒー』があるが、値段が8倍ぐらいする外資のスターバックスが大人気。
 値段はともかく、清潔でおしゃれなファンション感覚で、人気が出ている。
 お店に行くと、いつも行列ができていてビックリ。
 米国より活況では」
とベトナム人のライフスタイルの変化に驚きを示している。

■企業経営者の3割が女性

 親日のベトナムでは、実は、日系のコンビニエンスストア大手、ファミリーマートが2009年にスタバより先行参入。
 日本のカルピスなどの飲料や、ベトナム米を使った日本式のおにぎりが、少しパラパラ気味だが、現地の人に好評だ。

 一方、
 「昨年7月に高島屋がベトナムに初めてオープンしたので、週末には友人や家族とよく出かける。デパ地下と呼ばれる地下の食料品街で、ランチを食べたり、大好きなユーハイムのバームクーヘン(約2000円)と福寿園の抹茶(約1500円)を買ってきて、家族団らんで、家で日本式おやつを満喫する」
と嬉しそうに話すのは、45歳のグエンフォックさん。

 医師の彼女は、一人息子と2人暮らし。
 「ベトナムでは経済発展に伴ってシングルマザーが増えている。
 特に、欧米の文化の影響を受けやすい開放的なホーチミンでは、人口の約53%が女性(2015年)で企業経営者も3割が女性」(ベトナム史研究家)
で、経済的に自立した女性が多いという。

 話を聞いたその日、彼女はテトで来客を自宅で迎えるため、今、富裕層の間で大ブームの「初恋の香り」(山梨県の会社が品種登録)を高島屋に買いに来た。
 それは、世界一高価な果物で知られる日本の「白いイチゴ」だそうだ。

 筆者もまだ、“ご尊顔”を拝したことがないのだが、熟しても赤くならなく、しかも果皮が白く、すっぱくなく甘いということで、その希少価値ときれいな“純白”の姿から、ベトナムの富裕層の間で大人気だそうだ。
 なんと、1キロ当たり、約160万ベトナムドン(約8300円)するというから驚きだ。

 彼女の自宅は、欧米系の駐在員やベトナムの超富裕層が多く暮らす2区のタオディエン。
 ベトナムの医師、弁護士、実業家、高級官僚や欧米系の駐在員が暮らす、関西で言えば神戸の芦屋、東京で言えばフランスやドイツなど大使館の多い広尾のようなところだろう。
 ベトナムの超リッチな富裕層が住むエリアで、彼女の息子は米国人学校に通っている。
 年間の学費は200万円とも300万円ともいわれている。

 ベトナムでは、高級マンションの購入の中心層は富裕層のベトナム人。
 マレーシア、タイ、フィリピンといった東南アジア諸国では、外国人投資家への投機的販売に依存している様相があるが、
 「ベトナムは、他のアジア諸国と違い、外国人投資家に売却しなくてもベトナム人だけで完売する」(大手日系不動産企業関係者)。

  もともと、ベトナムでは、2015年にマンションなど不動産の購入が外国人に解禁されたが、マンション全体戸数の30%までしか外国人が購入できないとする法律となっている。
 日本のように、中国など外国の機関投資家が来日し、“爆買い”するという現象は、ベトナムでは法律で規制されていて、皆無という。

■憧れの国は日本

 また、中間層や富裕層のライフスタイルの変化はレジャーにも表れている。
 目下、海外旅行が大人気だとか。
 経済発展に伴い、旅行も国内から海外へ人気が移ってきている。
 中でも日本は「憧れの国」で人気ナンバーワンという。

 特に、2014年にビザ手続きが簡素化されたことが、日本行きを後押ししているようだ。

 現地の旅行社によると、ホーチミン市の20代から50代までの女性に、今後、海外旅行をしたい国を聞いたところ、2014年と2015年の「行ってみたい国」の平均値で、2人に1人が「日本」を選び、シンガポールや米国を上回ったという。

 ベトナムからの2016年訪日客は、前年比約26%増の約24万人だった。
 このうち、留学生と技能実習生が全体の半分を占めたが、
 「ベトナムの経済成長に伴い今後は、個人客の一層の増加が期待できる」(日本政府観光局ハノイ事務所)。

 とりわけ、「ベトナムにない北国の風景が広がる北海道が人気」(地元旅行社)という。
 白いイチゴだけでなく、経済発展でリッチになったベトナム人は、日本の風景そのものにも“一目惚れ”しているようだ。

 ホーチミンに日本が輸出した鉄道ノウハウが花開く2020年。
 その年、東京五輪を迎える日本。香港、台湾、シンガポールの先行グループを経て、今、中国、タイ、マレーシアの訪日客が急増する日本。

 2020年の両国が記念する年には、ベトナムのインバウンドブームの波が日本に押し寄せているかもしれない。



Record china配信日時:2017年2月24日(金) 12時30分
http://www.recordchina.co.jp/a165281.html

中国に代わって「世界の工場」になる国はどこか?―中国メディア

 2017年2月22日、参考消息網などによると、中国に代わって新たな「世界の工場」になる可能性がある国としてマレーシア、インドなどアジア5カ国に注目が集まっている。
 香港紙・経済日報がデロイトの調査結果として報じたもので、調査に回答したのは企業の最高経営責任者(CEO)。
 今後5年以内に「世界の工場」になる候補国として名が挙がったのは
 マレーシア、
 インド、
 タイ、
 インドネシア、
 ベトナム
の5カ国で、国名の頭文字を取って「MITI−V」と称されている。

 5カ国のうち、特に有力視されているのが12億人以上の人口を抱えるインドだ。
 「特殊な優位性」として、さまざまな技能レベルの労働力が混在している点が挙げられたほか、高等教育を受ける人が多いこともエンジニアや工程管理者の需要を満たせるとして評価する声が上がった。



Record china配信日時:2017年3月6日(月) 20時40分
http://www.recordchina.co.jp/a171324.html

タイで中国の影響力が拡大、
日本が懸念―米メディア

 2017年3月5日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事「中国がタイでの影響力を拡大、日本は懸念」を掲載した。

 天皇、皇后両陛下は5日、ベトナムに続いてタイを訪問した。
 今上天皇にとって初のタイ訪問となった。
 2014年のクーデター以来、欧米諸国はタイでの援助を削減しているが、日本は積極的な外交を続けている。

★.14年に日本に代わり中国がタイ最大の貿易相手国となったが、
★.日本は現在もなお最大の投資国であり続けている。
 バンコク・チェンマイ間高速鉄道を受注したほか、
 ミャンマー、カンボジアに通じる高速鉄道の受注も摸索するなど、
 タイのインフラ建設に日本は積極的な関与を示している。

 近年、安倍晋三首相は東南アジアでの積極外交を続けているが、この地域での日本のプレゼンスを高めようとする狙いは明らかだ。
 中国の影響力が拡大する中でバランスを取ろうとした行動だと専門家は分析している。

 タイは中国に、ベトナムは日本日本に傾斜しているという。
 タイはバランス外交としてしたたかに生きている国である。
 ここには日本の自動車企業も数多く進出し、水害時は多大の損害をこおむっている。
 タイは防衛では中国から潜水艦を購入している。
 ベトナムはロシアからである。
 タイは日本と並んで西欧の植民地にならなかった国である。
 その周囲を見る目、バランス感覚は一頭他を抜いている。


Record china配信日時:2017年2月28日(火) 5時50分
http://www.recordchina.co.jp/a170728.html

中国製造業の平均賃金、
10年間で3倍増、
すでにブラジルなどを追い抜いた―英紙

  2017年2月27日、参考消息網によると、英紙フィナンシャル・タイムズは、中国の製造業部門の平均賃金は、2005年当時の約3倍水準まで上昇しており、すでにブラジルやメキシコを追い抜き、10年後にはギリシャやポルトガルに追い付こうとしていると伝えている。

 市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、1時間当たりの賃金を見ると、中国の労働力は、チリ以外の主要なラテンアメリカ諸国をすでに上回り、ユーロ圏で経済力が相対的に弱い一部の国の約70%に達している。

 これは、中国が14億人の生活水準の改善において進展があったことを示すものだ。
 一部のアナリストは、生産性の向上により、中国製造業の賃金は、伝統的な中所得国以上に押し上げられることになると指摘する。
 だが急速に上昇する賃金水準は、中国が他の途上国に雇用を奪われる可能性があることも意味している。

 新興市場に焦点を当てた投資銀行であるルネッサンス・キャピタルのグローバル・チーフ・エコノミスト、チャールズ・ロバートソン氏は
 「中国が他の国々と比較してどれほどうまく行っているかは注目に値する。
 中国は西側諸国の水準に追い付こうとしている。
 これは他の多くの新興市場が成し遂げられない点だ」
と指摘する。

 ユーロモニターによると、中国の製造業部門の平均時給は、05年から16年までの間に3倍増加し3.60ドル(約403円)に達している。
 一方、ブラジルは同期間に2.90ドルから2.70ドルに、メキシコは2.20ドルから2.10ドルに、南アフリカは4.30ドルから3.60ドルにそれぞれ減少している。

 中国は01年に世界貿易機関(WTO)に加盟し、世界経済との緊密度がより増したことで、賃金水準はアルゼンチン、コロンビア、タイを上回った。

資産運用会社スタンダード・ライフ・インベストメンツの新興市場エコノミスト、アレックス・ウルフ氏は「WTO加盟以降、中国の賃金は爆発的な成長を見せている」と述べている。

 中国経済は全体的に賃金水準が上昇しており、すべての部門の中国の平均賃金は、05年の1.50ドルから昨年の3.30ドルに増加している。
 これは、ブラジル、メキシコ、コロンビア、タイ、フィリピンよりも高い水準だ。

 ユーロモニターの戦略アナリスト、オル・モヒウディン氏は
 「中国人労働者の生産性水準は賃金よりもさらに速く上昇している」
と指摘。
 「賃金インフレを文脈に置かなければならない。
 製造業者はまだ中国にいることで恩恵を受けるだろう」
と語る。

 中国国内市場の規模は、人件費の上昇にもかかわらず、製造業労働者を助ける可能性が高い。
 モヒウディン氏は
 「中国は20年までに、一部の市場で北米や西ヨーロッパと同様に20%のシェアを占めるだろう」
との認識を示している。

 一方、ルネッサンス・キャピタルのロバートソン氏は
 「中国では人口の高齢化と就業年齢人口の減少が予想されることから、
 今後数年間でより高い賃金圧力につながる可能性がある」
としている。




【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】


https://www.youtube.com/watch?v=UUrsdpZ_3XQ
●【海外の反応】日本でも教えてほしいと外国人から声が!かつてのベトナムを救った日本兵の物語に世界が感動!天皇陛下がベトナム訪問時に話題に




https://www.youtube.com/watch?v=u3obbwkTHz8
●ベトナムはなぜ親日?今回天皇陛下が光を当てた日越関係の闇の部分とは

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2017年2月23日木曜日

●2017年の予想?

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『首都直下地震、震源地は八王子』FBI超能力捜査官が予言する2017年の日本!スカイツリーは折れる!?
2017/01/11 に公開




【中国発狂】「中国は超大国から転落する」欧米メディアの大予想 日本の返り咲きに期待の声
2017/02/16 に公開






https://www.youtube.com/watch?v=RF1SIPwnBM4
【金正恩失脚】世界一“当たる”予言者クレイグ・ハミルトン・パーカーが見た「2017年の日本と世界予言」
2017/01/06 に公開


https://www.youtube.com/watch?v=8DGxPCUJgj4
トランプの暗殺をイルミナティカードが予言! 謎の人事と言動… 恐ろしい現実を示唆する証拠の数々とは?





●【中国崩壊】 2017年の中国(東アジア)大予測!! -Love and courage You TuberAcademy
Published on Jan 20, 2017




●緊急速報 中国経済の回復はムリ リーマン以上の危機が必ず来る by ハーバード大 ロゴフ教授
2017/02/16 に公開






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2017年2月20日月曜日

日本とは(9):ロケット技術の実力(2) H2Aロケット33号機打ち上げ成功

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Record china配信日時:2017年3月16日(木) 2時10分
http://www.recordchina.co.jp/b172345-s0-c10.html

日本が20年に火星探査衛星を打ち上げへ、

 2017年3月14日、日本政府が2020年に火星探査のための超小型衛星の打ち上げを決めたことが韓国でも話題となっている。

 韓国・ニューシスによると、日本の総務省は13日の専門家会議で上記の内容の方針を固めた。
 総務省傘下の情報通信研究機構(NICT)が東京大学と共同で衛星を開発する計画で、衛星は重さ100キロ以下、約数億〜数十億円の開発費用が投入されるという。
 衛星は水分を検出するセンターを搭載し、火星周辺を回って火星の表面や上空にある水と酸素を検出することを目標としている。

 計画通りに開発が進めば、衛星は2020年末に火星軌道に投入される。
 今回の計画が成功した場合、日本で初めて人工衛星を火星軌道に投入して探査活動を行うことになる。



レコードチャイナ Record china配信日時:2017年1月30日(月) 22時10分
http://www.recordchina.co.jp/a162385.html
 
日本はこんなにすごい兵器を開発していた!
超音速ミサイルに「日本を過小評価してはならない」
「日本は最高の兵器をまだ明かしていない」

 2017年1月30日、中国のポータルサイト・今日頭条が、日本が開発中の超音速空対艦ミサイルXASM―3について紹介する記事を掲載した。

 記事は、海外メディアの報道によると、日本は退役した護衛艦しらねを標的艦として、XASM―3の実射試験を行う予定だと紹介。
 このXASM―3は、2000年から16年かけて研究開発してきた「日本の最高機密の武器」であるとした。

 さらに、XASM―3はF―2戦闘機に搭載し、射程距離は150キロメートル、最大速力はマッハ4に達し、しかもステルス性があると紹介。
 しかし重量は900キロで、通常の比率からすれば弾頭は200キロ前後のはずであり、威力はそれほど大きくはないと分析した。



テレビ朝日系(ANN) 3/17(金) 10:20配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20170317-00000013-ann-soci


●All Nippon NewsNetwork(ANN)

H2Aロケット33号機打ち上げ 情報収集衛星を搭載

 政府の情報収集衛星を載せたH2Aロケット33号機が17日午前、鹿児島県の種子島から打ち上げられました。



毎日新聞 3/17(金) 10:52配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170317-00000024-mai-soci

<H2Aロケット>33号機打ち上げ成功 予定軌道に

 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前、政府の情報収集衛星「レーダー5号機」を載せたH2Aロケット33号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。
 衛星は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。

【写真特集】H2Aロケット33号機が打ち上げ成功の一部始終
http://mainichi.jp/graphs/20170317/hpj/00m/040/001000g/1?inb=ys

 情報収集衛星は、他国の軍事関連施設などを監視する事実上の偵察衛星。
★.超望遠デジタルカメラを備えた光学衛星と、
★.夜間や悪天候でも撮影できるレーダー衛星
の2種類があり、内閣衛星情報センターが運用する。
 衛星の情報や画像データは特定秘密保護法の特定秘密に指定されている。

 光学衛星3基とレーダー衛星3基(1基は予備)が既に配備されており、
 レーダー5号機は2011年に打ち上げた同3号機の後継機になる。

 現行の国産主力ロケット(H2A・H2B)の打ち上げ成功は増強型のH2Bを含め33機連続。
 成功率は97.4%となった。


● ANNニュース




【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】



●【悲報】日本の情報収集衛星が中国上空で故障しスペースデブリとなる!!日本の情報収集能力の低下!!!(2016.8.6)
Published on Aug 6, 2016




【防衛省】XASM3「新空対艦誘導弾」実験を日本海で実施予定!標的は、退役護衛艦 「しらね」だが課題も…非常に重要な役割をする「日本の防衛強化」【航空自衛隊】
Published on Jan 12, 2017




【戦闘機】中国「とんでもない物を日本が作りやがった・・・」迎撃不可能「日本の最高傑作」に怯える中国「打たれたらTHE END!(泣)」
Published on Feb 22, 2017





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