2017年2月14日火曜日

欧米のスモッグ、中国のスモッグ、どちらが危険?:大気汚染まん延する中国のジレンマ

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Record china配信日時:2017年2月13日(月) 17時40分
http://www.recordchina.co.jp/a163741.html

欧州と北米のスモッグ、中国に比べ27倍も致命的である可能性―英紙

 2017年2月12日、参考消息網によると、10日付の英紙インディペンデント(電子版)は、欧州と北米のスモッグは、中国の都市の平均的な大気汚染に比べて約27倍も致命的である可能性を示す新たな研究が発表されたと伝えている。

 研究者らは中国の272都市で人々の健康に与える大気汚染の影響を調査した。
 これは発展途上国でこれまでに行われた研究の中でかつてない規模のものだ。

 呼吸器疾患の主要雑誌、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineに発表された論文によると、研究者らは、これらの都市における大気汚染の主な原因である微小粒子状物質PM2.5の平均年間曝露量が、世界保健機関(WHO)が推奨するレベルよりも5倍以上高いことを発見した。
 研究者らは同時に、欧州と北米に比べ、中国のPM2.5は死亡率を高める可能性がはるかに低いことも発見している。

 中国疾病予防コントロールセンターの周脈耕(ジョウ・マイグン)氏率いる研究チームは、その理由について、
 「中国の大気汚染の根源は、乾燥地帯から飛来する大量の自然粉塵だ。
 それに対し、欧米は工業に由来している」
と指摘する。
 研究者らは、事故による死亡を除けば、中国の1立方メートルの空気中で10マイクログラムの大気汚染が増加するたびに死亡率が0.22%増加することを発見した。

 この研究に関与していないが中国の大気汚染を研究している英キングス・カレッジ・ロンドンの環境健康専門家、フランク・ケリー教授は、インディペンデントの取材に対し、
「これらの相対的なリスクは欧州や米国に比べてかなり小さい。
 欧州の早期死亡率を見ると、汚染物質が10マイクログラム増加するたびに死亡率は6%高まっている」
と述べている。
 これは、欧州の大気汚染が中国の平均的な大気汚染に比べて約27倍も毒性が高いことを示唆している。

 一方で、ケリー教授は
 「中国の大気中に含まれる自然粉塵による汚染への影響は、
 石炭やバイオマス、化石燃料などによる影響を矮小化するものではない」
とも指摘し、北京、上海、香港などの都市は「欧米式」の大気汚染に苦しんでいる可能性が高いとの認識を示している。
 汚染の原因が発電や交通渋滞によるものでない地方都市の死亡率が相対的に低いためだ。

★.自然粉塵は、肺を物理的に損傷し、ぜんそくを引き起こす可能性がある。
★.化石燃料の燃焼時に生成される炭素粒子も同様の問題を引き起こす可能性がある。
 それらは有毒な重金属、化学物質、揮発性有機化合物で覆われており、肺から血液に入ることで、体にさらなる損傷を引き起こすと考えられている。

 国際環境NGOグリーンピースのアリーバ・ハミド氏は
 「有毒な空気は、世界中のどこに住んでいても人々の健康を害する原因となる。
 ディーゼル車のフュームは自動車会社が主張しているよりもはるかに有毒であり、欧州や北米の大気汚染の主因となっている。
 だがこれらの企業は多くの問題に責任を負う必要があるにもかかわらず、これまでのところ本当の責任を回避している」
と指摘する。

★.WHOの環境基準によると、PM2.5指数は1立方メートル当たり「10マイクログラム以下」が安全値だ。
 だが今回の調査から、
★.中国の各都市のPM2.5指数は平均で同「56マイクログラム」である
ことが判明している。

 研究者らによると「75歳以上」「教育水準が低い」「より暑い場所に住んでいる」人々は死亡するリスクが高いという。
 相対的に暑い都市の人々は、窓を開けたままにする時間が長く、より多くの汚染された空気を吸い込む可能性が高い。
 あまり教育を受けていない人々は、ヘルスケアへのアクセスが不十分であるか、もしくは環境的に劣悪な条件に置かれている可能性があるためだ。



Record china配信日時:2017年2月18日(土) 21時20分
http://www.recordchina.co.jp/a164177.html

インドと比べたら中国の大気汚染対策は大成功!?
=中国ネットは「空気はインドと比べ、体制は北朝鮮と比べるのか?」と皮肉

 2017年2月17日、中国メディアの参考消息が、英国メディアの報道を引用し、インドの大気汚染対策は中国にも劣るとする記事を掲載した。

 米国の健康影響研究所(HEI)によると、2015年に中国とインドの両国で合わせて約110万人が大気汚染のために早死にした。
 割合は、中国の方がインドよりも1万8000人多かったという。

 報道によれば、中国のPM2.5による死者数はどの国よりも多いと考えられてきたが、過去10年間に中国で大気汚染が原因で死亡した人の数は減少しており、インドは逆に増加した。

 インドで大気汚染が深刻なのは首都のニューデリーで、気候条件のほか、自動車の急増や重工業の発展が原因だ。
 昨年10月のディーワーリー(インドの正月)では、ニューデリーは数日間にわたってスモッグが発生し、汚染度は計測不能になった。

 世界保健機構(WHO)によれば、2011年から2015年のニューデリーの粒子状物質濃度は世界の主要都市の中では最も高く、北京市の2倍以上だという。

 専門家は、北京市の大気が改善された理由として、大気汚染問題を早急に解決すべき問題として扱い、粒子状物質の濃度が高くなると政府は車両の通行制限や休校、工場の操業停止などの処置を取るからだと説明した。

 これに対し、中国のネットユーザーからは、
 「空気はインドと比べ、体制は北朝鮮と比べるのか?自信満々だな」、
 「空気はインドと比べ、ニュースは北朝鮮と比べ、教育はアフリカと比べ、治安はシリアと比べ、不動産は香港と比べる。
 中国って幸せだなあ」
などの皮肉を込めたコメントが寄せられ、多くのユーザーの支持を得ていた。

 他にも
 「欧州と比べるべきじゃないのか?
 なんでインドと比べるのだ?」、 
 「大気汚染によって早死にした人がいるなんて、中国メディアはほとんど触れないぞ」
などの指摘もあった。



ロイター  2017年 02月 18日 08:23 JST
http://jp.reuters.com/article/china-pollution-censorship-idJPKBN15W0SN?sp=true

アングル:大気汚染まん延する中国、
データ公開めぐるジレンマ

[上海/北京 16日 ロイター] -
   健康を害する大気汚染との「闘い」において、中国政府はジレンマに陥っている。
 汚染排出者に責任を取らせるためには汚染データを公開しなければならないが、政府の公式発表ではない独立機関からの悪いニュースがあまりにも多ければ、社会不安を招きかねないからだ。

 中国政府はデータの収集方法を大幅に改善しており、その情報公開も進め、虚偽報告を取り締まっているが、その一方で、携帯端末向け人気アプリや携帯型計測装置による、未公認ないし不正確なデータが広まることを懸念している。

 この矛盾したアプローチには、中国の政治改革の方向性をめぐる、より幅広い議論が反映されている。
 学界出身のトップが率いる環境保護部(MEP)は、独立した監視機構と法の支配に基づく現代的な規制制度の創設を望んでいる。
 だがそうなると、安定性を最優先に考える共産党政権の機嫌を損ねる可能性がある。

 またデータ捏造をめぐる複数のスキャンダルもあり、政府は代替的な情報源が汚染レベルを伝えることで公式統計に対する国民の信頼感が損なわれ、「環境は改善されている」との政府メッセージが揺らぐことを懸念している。

 北京のアップルストアで販売されている携帯型の汚染測定装置「レーザー・エッグ」を製造するオリジンズ・テクノロジーのリアム・ベイツ最高経営責任者(CEO)によれば、中国当局は、市民による大気汚染測定を何ら問題視していないという。
 ただ、その測定結果が公開されることを嫌がっているだけだ、と同CEOは語る。
 「基本的に(中国は)非公式な情報源からのデータ公開は違法だとしている。
 私の知る限り、研究目的でのデータの収集や、処理、利用については問題はない」
とベイツCEOは言う。

 中国政府は、データの精度が主な懸念点だと主張する。
 2014年、中国政府は、米国大使館や領事館が提供する大気汚染データは政府公式データと食い違っている懸念があるとして、携帯電話用の汚染計測アプリで、それらのデータを使わないよう命じた。
 最近では、政府が提供するものよりも詳細な国内大気汚染状況を提供しようとしたアプリが捜査の対象になっている。

 個人による「風説ビジネス」と政府が表現する最近の例では、中国南西部の成都で男性1人が5日間警察に拘束された。
 地元メディアによれば、この男性は中国版ツイッターの微博に、成都は「2000年の歴史で最悪のスモッグ」に見舞われていると警告したという。
 また規制当局は、ある大気汚染監視アプリが、成都が世界で3番目に大気汚染のひどい都市であることを示すデータを12月に提供し、風説を広めたとして告発している。

 中国の環境監視機関は人手不足に悩んでおり、環境基準の実施に向けて市民参加を得ることに熱心だが、当局は、ソーシャルメディア主導での化学工場やゴミ焼却工場、核燃料処理施設に対する抗議が、現実の抗議行動を誘発することを恐れている。

 「一般的に、省などのレベルでは、公式統計以外の情報源について全面禁止を試みることはないだろうとの希望がある。
 しかし彼らが本当に心配しているのは、こうした発信者が非科学的な情報を示すことだ」。
 そう語るのは、透明性向上を訴える非政府組織の公共環境研究センター(IPE)の馬軍所長だ。
 「これは、今日のモバイル・インターネットとソーシャルメディアの時代における課題だ」
 MEPからのコメントは得られなかった。

■<取り組みにばらつき>

 馬所長によれば、環境保護部の主導で公的な情報公開は進んでいるが、まだばらつきがあり、国家発展改革委員会などの機関では取り組みに遅れが見られ、一部の地方政府は「消極的で抵抗している」という。

 中国は依然として、
★.地球温暖化につながる二酸化炭素排出量についてのデータを提供しておらず、
★.コメ栽培地域における食品不祥事に続く難しい問題である重金属汚染についても、不完全な数値しか示していない。
 汚染による健康上の影響に関する、扱いの厄介なデータについても、無料公開を認めることには消極的である。
 たとえば、企業がスタッフの配置を決定する際に参考にしようと思っても、汚染による健康上の影響を調べられるようなデータベースは存在しない。

 中国のメディアはスモッグと死亡率の相関関係について、1952─53年の冬のロンドンにおける死亡者数の多さなど、海外での研究を引用するが、これに相当するような国内研究はほとんどない。
 先月、冬季特有の大気汚染が中国北部の大半を覆うなかで、衛生部は国営メディアに対し、スモッグとガンの発症を結びつけるデータは何もなく、有害な微小粒子状物質(PM2.5)が人間の健康に与える影響について結論を下すには時期尚早であると語った。
 ただし、他国の研究者はその影響を示す証拠があると言う。

 「疾病対策センターはその種のデータを持っている」
と汚染と健康の関係を研究するヘルス・エフェクト・インスティチュートのダン・グリーンバウム氏は語る。
 複数の海外研究には、中国では汚染のせいで早死にする人が年間100万人以上にも及んでいる可能性があると示唆している。

■<市民の不信感>

 多くの国に比べて大気汚染データのリアルタイム公開という点で先行しているにもかかわらず、中国はまだ公式統計に対する市民の疑念を克服できていない。
 最近のデータ偽装も足を引っ張っている。
 昨年、北西部の都市・西安にある観測所の職員が、排出物の測定数値を低下させるため、装置に細工をしていたとして告発された。
 中国政府は統計データに関する不正に対しては断固たる態度で臨むと約束しており、実に1436カ所もの地方測定所を中央政府の統制下に置いた。
 また地方政府のデータの精度をチェックするために衛星画像も活用している。

 一方で、自力測定によって法的なグレーゾーンに踏み込むことを辞さない個人もいる。
 「エア・マターズ」と呼ばれる携帯電話用アプリは900万人の登録ユーザーを抱えているが、公式データを当局とは違う形で処理したとして、少なくとも1つの地方政府とトラブルに陥っている。
 政府自身も、民間市民によるデータを利用し始めている。

 IPEが開発したアプリでは、ユーザーが汚染状況を現場から報告できるようになっているが、環境保護部はこのアプリからの情報を公式の報告プラットフォームに提供している。
 IPEの馬所長によれば、水質汚染の監視は、測定装置のコストが高いためいっそう難しいという。
 「彼ら(規制当局)は、データを公開するからには正確なものにしたいと考えている。次の課題は、第三者測定サービスを提供する資格を誰に与えるか見極めることだろう」
 「私の感触では、今後、情報が完全非公開になることはないと思う。
 しかし当局は、より統制のとれた形で情報の公開を進めたいと考えている」

(翻訳:エァクレーレン)



Record china配信日時:2017年2月26日(日) 11時40分
http://www.recordchina.co.jp/a168885.html

中国の軍事専門家「大気汚染は対空兵器に影響せず」―中国紙

 2017年2月24日、解放軍報によると、中国軍の専門家・趙国慶(ジアオ・グオチン)氏は、深刻化する中国の大気汚染について「ミサイルなどの対空兵器には影響しない」と表明した。

 趙氏は大気汚染のスモッグによる対空兵器への影響について、ネットを通じて以下のように回答した。

 「スモッグは地上数百メートルから3キロ前後まで空を覆い、人口密集地や沿海地域の人々の生活に影響を与えている。
 一方、国際的に主流の防空兵器はレーダー探査システムを採用。
 雨や雪、霧などの気象、人間が発射した煙幕弾などの影響が受けないように作られている。
 スモッグの影響も受けることはない」

 「しかし、射程の短い兵器の場合、光電探査や制御システムが厚いスモッグの影響を受ける可能性はある。
 追跡の距離を縮めた場合、射程目標を発見できない恐れも出る。
 光電設備は地上より空中で用いた方が影響は少ない。
 今後は無人機による空中監視が、スモッグの中の作戦展開に有利となるだろう」

 なんともバカバカしい。


Record china配信日時:2017年3月3日(金) 18時40分
http://www.recordchina.co.jp/a171136.html

今年に入って大気汚染が悪化、
北京など28都市を「汚染の通り道」として徹底調査―中国

 2017年3月3日、法制網によると、今年に入って一部地域で大気汚染状況が悪化している中国で、政府が北京市とその周囲の計28都市に対する大気状況の監督調査を進めている。

 今年1月、2月と華北地域を中心に重度の大気汚染が発生しており、中国政府が今年を期限として2013年に制定した「大気汚染対策行動計画」(大気十条)の達成が難しくなりつつあるという。
 そこで環境保護部は2月15日より、北京市・天津市・河北省および周辺地域の大気状況監督調査を開始した。

 対象地域は北京市、天津市の2直轄市に、河北省の石家荘市など8市、山西省の太原市など4市、山東省の済南市など7市、河南省の鄭州市など7市を加えた28都市。
 環境保護部はこの28都市を「北京・天津・河北エリアの大気汚染の通り道」と定めた

 監督調査では、今年1〜2月に主要な大気汚染物質が上昇した都市が複数見つかったほか、石家荘市などの都市では
 「小規模で、技術レベルが低く、環境保護設備が不足し、基準を超えた深刻な汚染物を排出する」企業が数多く存在することで、地域の大気汚染改善が阻害されていることも明らかになったという。

 同部は28都市に対して、このような企業の汚染排出状況や、市内の石炭燃焼ボイラー使用状況を詳しく調査するとともに、重度の大気汚染発生時の応急プランについても実際の効果が出るよう具体化することを求めている。



BRIDGE配信日時:2017年3月14日(火) 5時40分
http://www.recordchina.co.jp/b172015-s1-c30.html

中国の会社で「スモッグ手当て」支給?
労働組合連合が調査に―中国紙

 中国で社会問題となっている大気汚染について、労働組合の全国連合組織「中華全国総工会」は「スモッグ手当て」支給に関する調査、研究に取り組む方針だ。

 華商報が12日伝えたもので、この結果に基づいて支給に関する具体的な提案を行う考えという。
 総工会副主席の焦開河氏は同紙の取材に対し、スモッグ発生時の特別な対応を求める声が下部から寄せられていると述べた上で
 「スモッグによって生じる労働者の健康問題を解決するため、関連部門にこのような訴えがあることを伝えていきたい」
と説明。
 さらに、スモッグが深刻な地域における労働時間短縮の必要性にも触れた。



人民網日本語版配信日時:2017年3月19日(日) 5時30分
http://www.recordchina.co.jp/b172647-s10-c30.html

もううんざり!再びスモッグに覆われた北京市―中国





 ここ数日、北京、天津、河北エリアを煙霧が再び覆い尽くしている。
 中国新聞網が伝えた。

 中国環境保護部が16日に発表した大気汚染予報によると、同エリアのこの先10日間の空気の質は、前半はやや劣るものの、後半は好転するとしている。

(提供/人民網日本語版・編集TG)



Record china配信日時:2017年3月22日(水) 5時50分
http://www.recordchina.co.jp/b172499-s0-c30.html

韓国ソウルの大気汚染が北京より悪化、
インドの都市に次ぎ世界2位に

 2017年3月21日、韓国の首都ソウルの大気汚染物質濃度が世界2位のひどい記録であることが分かった。
 韓国・聯合ニュースが伝えた。

 世界各地における大気汚染の実態を監視する多国籍コミュニティー・エアビジュアル(AirVisual)によると、21日午前7時の時点で、
 ソウルの空気品質指数(AQI)は179と、世界の主要都市のうち
 インド・ニューデリーの187に次いで2番目にひどいことが明らかになった。
 以下、
 インド・コルカタと
 パキスタン・ラホールが170で3位、
 中国・成都が169で5位、
 中国・北京が160で6位、
 コソボの首都プリシュティナが157で7位と続き、
 韓国ではソウルに近く国際空港のある仁川(インチョン)も139で8位
を記録した。

インド・ニューデリー(187)
韓国・ソウル(179)
インド・コルカタ(170)
パキスタン・ラホール(170)
中国・成都(169)

中国・北京(160)
コソボ・プリシュティナ(157)
韓国・仁川(インチョン)(139)

 AQIは大気中のPM2.5、PM10、一酸化炭素、二酸化窒素、二酸化硫黄、煤煙などの汚染物質の量を総合して算出するもので、その数値が高いほど大気汚染が激しい。



Record china配信日時:2017年3月22日(水) 18時0分
http://www.recordchina.co.jp/b172946-s0-c10.html

「日韓国民が中国の大気汚染拡散に不満を示しています」の指摘に、
中国外交部がコメント

 2017年3月21日、中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は定例記者会見で
 「日本や韓国に大気汚染の影響を及ぼしているかについては、科学的な検証が必要」
とコメントした。

 会見で記者から
 「近ごろ韓国や日本の市民が、自国に中国の大気汚染が拡散しているとして不満を示している」
との質問を受けた華報道官は
 「大気汚染問題は確かに現在中国政府が力を入れている問題だ。
 できるだけ早く中国国民が青い空ときれいな空気をより多く享受できるよう努力する姿勢は決して揺るがないが、この問題の解決には長い道のりが必要だ」
と発言。

 さらに
 「中国の大気汚染が周辺国に影響しているかについては、科学的かつ専門的な研究や検証を行わなければならない。
 環境保護当局に直接聞いて欲しい。
 わが国の環境保護当局は周辺の隣国を含めた他国と密接なコミュニケーションを取っているようだ。
 われわれは国際的な対話と協力を強めることで、環境保護や汚染対策の分野でより多くの、より速やかな進展が得られることを願っている」
と回答した。



レコードチャイナ 2017年3月28日(火) 14時0分 内藤 康行
http://www.recordchina.co.jp/b173225-s130-c30.html

<コラム>中国の大気汚染対策に見える「国有企業優遇、民間企業圧迫」

 一向に大気汚染の改善が見えない中国だが、その一つの元凶として、河北省石家荘市にある華北製薬がやり玉に挙がっている。
 石家荘地区にある同業企業の中では、華北製薬ほど環境保護というプレッシャーを受けているところはない。
 最近、華北製薬が2016年財政報告書を発表した。2016年の営業収入は80.82億元(約1311億円)、前年同期比で2.28%の微増で、純益は0.54億元(約8.7億円)の前年比13.42%減となっている。
 同社は2015年から再建計画を行い、大株主である「冀中能源」から多角経営の指示が出された。
 このデータを見る限り、華北製薬は再建後も経営がうまくいっていないことがわかる。

 企業にとって転身はあまりに挑戦事項が多く、その不可抗力の一つが近年の環境保護の圧力であった。
 特に大気汚染処理だ。
 同社は2016年11月18日に石家荘市政府部門より突然『石家荘市大気汚染防止整備管理令』を受け取る。
 その要求は市内全ての製薬企業の全生産停止であった。
 さらに市政府の批准がないうちは生産の再開は不可としているのだ。
 理由は生産過程で発生する排ガス、廃水、残渣(ざんさ)、廃棄物の成分が複雑で、「危害」が深刻化とするものだった。
 生産停止は今年のはじめまで続き、同社は1月8日にやっと生産を再開した。
 生産停止から再開に至るまでの数カ月で大きな損失を被ったことも同社にとっては痛手となった。

 石家荘市は中国でも重要な原料薬の生産拠点の一つだ。
 参考までに紹介すると、華北製薬はペニシリン、抗生物質、ビタミン等を主体に生産している。
 これらの薬物は化学原料薬(Active Pharmaceutical Ingredient)として生産されている。
 上述の「整備管理令」で同社と関連企業4社が生産する原薬と医薬中間体(初原料と薬の間にある製品)等の工場は全て生産停止となってしまった。
 この影響で同社は昨年、5493万元(約8.9億円)の大幅な収益減少に見舞われた。

 同社は上述の業務方面での損失のほか、環境整備や工場移転等で莫大な資金を投じている。
 2016年同社が環境整備関連で投入した資金は2.46億元(約39億円)で、このうち0.5億元(約8.1億円)が排ガスと廃水処理への整備資金だった。

 当局が突きつけた『石家荘市大気汚染防止整備管理令』は、一つの民間医薬品企業を環境保護の名の下に「埋没」させ、さらに追い討ちを掛けるように今年2月に2017年の大気汚染防止整備方案が公布され、大気汚染整備は一段と強化されている。
 こうした「大気汚染」整備のもと、汚染の元凶として民間企業がターゲットとなっている。
 国有企業保護と民間企業の衰退はこんな所からも見える。

 華北製薬と同じ民間企業である石家荘市の石薬集団、神威薬業、以嶺薬業が影響を受けなかったのが不思議だが、華北製薬の一件は「国有企業を優遇し民間企業に重圧」を象徴する事案と言え、こうした現象が中国全土に広がっている可能性もある。

■筆者プロフィール:内藤 康行
1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般とそれに関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。



【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】



●中国の環境汚染 - Toxic Linfen China
Published on Mar 1, 2013


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