2017年2月9日木曜日

中国(16):日本の特恵関税廃止の影響は

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ダイヤモンドオンライン 2017.3.29 
http://diamond.jp/articles/-/122831

中国への「特恵関税」外しで日本に降りかかる意外なデメリット

中国の貿易政策が大きな岐路に立っている。
安い人件費をベースに“世界の工場”として目覚ましい経済発展を遂げてきたが、その貿易政策を支えてきたのが「特恵関税」だ。
ところがここにきて、日本では中国を特恵関税の適用対象から除外しようとする動きが始まっており、アメリカでもトランプ政権が、中国に対して貿易の不均衡の是正を求める姿勢を強く打ち出している。

■トランプもかみついた中国との不均衡貿易

 今年2月、アメリカはトランプ政権下となって初となる、中国製品に対する制裁関税の適用を決定した。
 直接的には
 「道路の舗装などに使う製品が、中国政府による補助金によって不当に安く売られ、アメリカの企業が損害を受けている」
という理由だが、その背景に対中貿易の不均衡を是正しようという思惑があるのは間違いない。
 実際、トランプ大統領は選挙期間中から中国に関して、
 「関税を45%に引き上げる」
 「大統領就任初日に為替操作国に認定する」
と公言しており、いよいよ本腰を入れはじめたというわけだ。

 「アメリカのプリツカー米商務長官は、中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」の認定を見送る考えを示しており、EUや日本も足並みを揃える見込みです。
 そうなれば中国に対して反ダンピング関税などの措置もとりやすくなり、貿易に関する“対中包囲網”が強まることになるでしょう」(中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏)

 また日本の財務省も昨年11月24日、新興国への特恵関税制度の基準を見直し、中国などを対象から除外する方針を示している。
 「すでに経済発展し、輸出競争力も十分であり、援助の必要性がなくなった」
という判断で、19年度までの実施を目指すという。

「この財務省の発表は、トランプが正式に大統領に就任する前に安倍晋三首相と会談した1週間後の発表でした。
 タイミングを考えても、日米が連携して中国を経済面で締め上げるという意図があったようです」(同)

■対中貿易赤字は日米ともに巨額!
特恵関税でウハウハだった中国

 特恵関税とは、
 「発展途上国の経済成長を保護するための例外措置」のこと。
 世界貿易機関(WTO)加盟国は、関税を撤廃してグローバルな自由貿易競争を目指すことを目的としているが、主に発展途上国の場合、海外から安価な製品が流入し過ぎることで国内産業が壊滅的な打撃を被る危険性もある。
 そこで、途上国の貿易振興や経済支援のため、途上国からの輸入品にかかる関税を下げたり免除したりするという制度だ。
 WTOルールでは
 「先進国は関税を下げなければいけないが、途上国は下げなくてもいい」
という例外措置を設けている。
 これが“特恵関税”だ。

 当然ながら現在の中国もWTOに加盟している
 毛沢東時代の文化大革命で疲弊した経済を立て直すため、鄧小平時代に市場経済体制への移行を試みた中国は、1972年に改革開放路線に転換し、加工貿易、経済特区などを実施。2001年にWTO加盟を果たしている。
 日本も法令(関税暫定措置法及び関税暫定措置法施行令)によって、特恵関税の適用を受けることができる国及び地域、対象品目、関税率を定めている。
 現在は138か国・5地域からの輸入品に対し、関税引き下げや免除が実施されており、長年、中国(香港地域及びマカオ地域を除く)も特恵関税適用国となってきた。
 
 「中国はこの制度をうまく利用して経済発展を遂げたといえます。
 その結果、15年の中国に対する日本の貿易赤字は約2兆円
アメリカの貿易赤字にいたっては約43兆円にまで膨らんでいます。
 これではトランプ大統領が目の敵にするのも無理はない」(同)

■特恵関税を外せば中国産商品の品質劣化が問題に

 もっとも、特恵関税制度には次のような但し書きがある。
 「なお、先進国並みに経済が発展した特恵受益国又は地域や、高い国際競争力を有する特恵受益国又は地域の原産品については、特恵関税の適用対象から除外されます」。
 言うまでもなく、今や中国は押しも押されもせぬ経済大国。
 10年以降、GDPではアメリカに次ぐ世界第2位の規模を誇っている。

 にもかかわらず、中国は特恵関税の恩恵を手放すつもりはないようだ。
 普段は何かにつけて「大国」を強調する中国だが、昨年の日本財務省の方針に対して、中国商務部の沈丹陽報道官は「中国は依然として世界最大の発展途上国だ」と反論。
 「中国の経済規模は世界2位だが、GDPや、都市と農村部の発展、社会福祉などでは先進国と大きな格差がある」
 「近代化実現の道は依然として遠い」
として、特恵関税の適用継続を主張している。

 「中国は人件費が安く、長い間“世界の工場”と言われてきましたが、それも今は昔です。
 人件費の高まりなどから生産コストが上がってきており、中国を生産や物資調達の拠点としていた日本を含めた外国企業は、ここ数年、いわゆる“ポストチャイナ”や“チャイナプラスワン”をこぞって進めています。
 そんなタイミングで、日本に特恵関税を適用除外されれば、まさに弱り目にたたり目になる」(同)

 では、将来的に日本の中国向け特恵関税が外されるとすれば、日中貿易への影響はどうなるのか。
 単純に中国からの輸入品が大幅に値上がりし、輸入量が減るのかといえば、そう簡単な話ではなさそうだ。

 「中国の輸出系企業などは、関税の上昇分を被ってでも輸出品の価格上昇を抑え、顧客の維持に努めようとするはずです。
 現在の中国は輸出不振が続く一方で内需の拡大も道半ば。
 アメリカはトランプが中国の関税引き上げを公言したり、実際に制裁関税を課したりしている。
 経済停滞が長引く欧州にも保護主義が広がりつつある。
 特恵関税が外されて税率が2~8%上昇したとしても、日本に代わる市場はありません。
 そこで中国の多くの製造業は生産コストを抑え、関税課税後の価格は以前と比べ据え置きに近い状態を保つはず。
 そして生産コストを抑えるためにないがしろにされるのが、安全性や品質なのです」(同)。

 過去を見ても10年9月から3年半ほどの期間、人民元の切り上げによって対ドルレートが上昇した際にも、ローソンやユニバーサルスタジオジャパン、山善といった企業で中国製品の回収騒動が頻発している。

 中国が特恵関税の適用対象除外となれば、同様の問題が起きる可能性はかなり高い。
 中国を追い込むことは、日本の首を絞めかねないとは、なんとも悩ましい状況である。



サーチナニュース 2017-04-30 15:12
http://news.searchina.net/id/1634807?page=1

日本が中国に対する特恵関税を取り消すなんて! 
日系企業だって悪影響=中国報道

 「特恵関税制度(GSP)」とは、開発途上国からの輸入に対して関税の税率を低くする先進国による途上国支援制度だ。日本の特恵関税制度は中国の輸出増加に対して大きく寄与してきたと言えるだろう。
 だが、日本はすでに中国に対する特恵関税を取り消す方針を固めている。

 中国メディアの今日頭条は25日付で、日本が中国に対する特恵関税を取り消せば、中国企業の輸出に大きな影響を及ぼすと伝えつつ、中国で事業を展開する日系企業にも影響が生じるはずだと論じた。

 日本は2016年、特恵関税制度を変更することを決定し、1人当たり国民所得が4125ドル(約46万円)を超え、世界市場における輸出製品の占有率が1%を超える国は特恵関税制度の対象から除外されることになる。
 この変更は2019年から適用されるが、中国のほかメキシコやブラジル、タイ、そして、マレーシアなどが除外されるという。

 記事は、中国が特恵関税の対象から除外されることで、中国企業には一定の影響が生じると紹介。
 一方、それでも「中国経済を大きく動揺させるものではない」としつつ、影響を受けるのは中国企業だけではなく、中国国内の日系企業も同様だと指摘。
 むしろ日系企業は待遇関税の対象からの除外を「不満」に感じていると説明した。

 その理由の1つについて、日本のある紡績企業経営者の考え方を紹介、この経営者は東南アジアよりも中国に生産拠点を置くことには、材料をすべて現地調達できるというメリット、また東南アジアの労働者よりも能力が高い労働者を雇用できるというメリットがあるという見方を示している。
 つまり現在のところ中国の環境はまだまだ有用であるため、生産地を東南アジアに移動させるメリットが少なく、従って特恵関税取り消しの影響を避けられないゆえに不満ということになる。

 中国を特恵関税の対象から除外することで中国企業の対日輸出コストが高まり、中国製品の値上がりにつながるため、記事には中国人ネットユーザーたちから「日本へのレアアース輸出を禁止することにより報復すべき」などのコメントも数多く寄せられている。



【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】



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●【中国経済崩壊】震え上がる中国人「”日本の経済制裁”は日本にとって何の利益にもならない」→ 効いてる 効いてる w w w
Published on Feb 6, 2017






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