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Record china配信日時:2017年2月5日(日) 6時20分
http://www.recordchina.co.jp/a162597.html
台湾の蔡英文政権が取り組む「新南向政策」、
本土依存から脱却目指す経済戦略、
「脱中国」の政治的意図も?
2017年2月4日、台湾の蔡英文政権が「新南向政策」を重要な経済戦略の一つに位置付け、積極的に取り組んでいる。
東南アジア諸国やインドなどの南アジア、オーストラリア、ニュージーランドとの関係を深化し、中国本土依存からの脱却を目指す狙いだ。
そこには「脱中国」の政治的な意図もありそうだ。
台湾が東南アジア諸国などとの経済連携強化を打ち出したのは、蔡政権が初めてではない。
李登輝政権、陳水扁政権に続いて3度目で、「新南向政策」としているのもこのためだ。
台湾出身者として初の総統に就任した李登輝氏は台湾企業の投資が中国に集中する中、本土への経済的依存進行にブレーキをかけようと、東南アジアを投資強化地域に指定して企業投資を奨励。
シンガポールなどと投資保障協定を締結し、李総統や連戦副総統がタイやシンガポールを非公式訪問するなど、交流拡大に一定の成果を収めた。
しかし、1997年のアジア通貨危機で東南アジアの台湾企業は大打撃を受け、撤退が相次いだ。
台湾企業の投資は改革開放を軌道に乗せた中国に再び集まるようになり、李登輝政権の南向政策は目標を達成できずに終わった。
続く陳水扁政権も南向政策の再開を表明したが、陳政権の独立志向による中台関係悪化の影響で、各国との関係は逆に後退した。
その後、国民党の馬英九政権は中国に大きく接近。
経済面でも本土への依存度が高まった。
蔡政権は「新南向政策」について、「対象国に工場を設立して受託生産の基地とする従来の単方向的な政策方法を改め、各国と人材、資金、技術、文化、教育など双方向の交流を拡大して戦略的パートナーシップを構築し、次第に『経済共同体意識』を確立していく」との推進計画を策定。
「台湾経済発展の新モデルも構築すると共に、台湾のアジア地域発展における重要な役割を改めて確立していく」としている。
一方で蔡政権は中国との関係にも配慮。
「新南向政策」の行動準則に「中国大陸と善意ある相互交流と協力を促進する」と明記しているが、これに対し、中国政府で対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)は
「台湾企業は果たして南に行くのか。
政治的意図によって近くを捨てて遠くに行くのは経済規律に反する」
とけん制している。
台湾は昨年5月の蔡政権発足後、「一つの中国」の原則に基づく「92年合意」の受け入れを拒んでいるため、中国の圧力で国際民間航空機関(ICAO)や世界保健機関(WHO)などの国際機関から閉め出されている。
「新南向政策」の背景には国際社会でのプレゼンスを向上させ、「脱中国」を図る政治的意図もあるとみられる。
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『
Record china配信日時:2017年2月6日(月) 7時0分
http://www.recordchina.co.jp/a162747.html
台湾人民共産党が成立、
「92年コンセンサス」堅持を主張―中国メディア
2017年2月4日、環球網は記事「台湾人民共産党が成立、”92年コンセンサス”順守が党是」を掲載した。
台湾メディア・聯合新聞網によると、4日に台南市で台湾人民共産党の創設式典が開催された。
企業家の林徳旺氏が党総理に就任した。
同氏はもともと国民党員だったが、昨年初頭の選挙で推薦が得られなかったため離党した。
林氏によると、
「現代式社会主義によって経済を発展させる、(一つの中国原則を確認した)92コンセンサスを順守し中台平和を促進する」
が党是だという。
台湾・内政部によると、同党はもともと「台湾中国共産党」との名称で創設申請が行われたが、関連法規に基づいて改名するよう指導したため、「台湾人民共産党」との名称になったという。
「中国」という単語の使用は「台湾地区と大陸地区の人民関係条例」など関連法規に抵触する可能性があるが、
「共産党」という言葉の使用に問題はない。
台湾にはこれまでにも「共産党」を名乗る政党が「5つ」存在しており珍しい話ではない。
30人の党員がいれば政党創設の申請が可能だという。
台湾には現在「310」もの政党が存在している。
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人民網日本語版配信日時:2017年2月17日(金) 13時10分
http://www.recordchina.co.jp/a164163.html
「1つの中国」を堅持=中国外交部、
台湾問題でインドに厳正な申し入れ
2017年2月15日、中国外交部の耿爽(グン・シュアン)報道官は定例記者会見で、中国側は台湾に関連する問題においてインドに対し、厳正な申し入れを行ったことを明らかにした。
そしてインドには「1つの中国」の原則を堅持し、同問題に対して慎重に対応することを希望するとした。
報道によると、台湾の「立法委員」3人がインドを訪問し、インドに対し、「インドにおける台湾駐在機関の昇格」について言及したとしている。
耿報道官はこの件に関し、
「中国と国交関係にある国が台湾といかなる形式においても政府間の接触や往来をすることに常に反対の立場を示してきた。
またいかなる政府的な機関の設置にしても同様だ。
この立場は明確で、一貫している」
と述べた。
さらに、
「インドとは台湾に関連する問題において取り決めがある。
インドが中国の核心的な懸念に対し尊重と理解を示し、『1つの中国』の原則を堅持し、本件に関して慎重に対応することと、中印関係の健康的で安定な発展を維持することを希望する」
とした
(提供/人民網日本語版・編集/TG)
』
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Record china配信日時:2017年2月23日(木) 20時0分
http://www.recordchina.co.jp/a166806.html
米国人の中国と台湾に対する好感度、
反感度は実際どれくらいか―米世論調査
2017年2月23日、米世論調査会社ギャラップが米国民を対象に毎年行っている国別好感度調査の最新結果がこのほど発表された。
今月上旬に行われた調査で、米国人の中国と台湾に対する好感度、反感度にはどの程度の違いがあるのだろうか。
米ボイス・オブ・アメリカの中国語ニュースサイトによると、
★.台湾については全体の13%が「とても好感が持てる」と回答。
「おおむね好感が持てる」が60%、
「おおむね好感が持てない」が16%、
「とても好感が持てない」が3%
だった。
★.一方、中国については、「とても好感が持てる」が10%、
「おおむね好感が持てる」が40%、
「おおむね好感が持てない」が35%、
「とても好感が持てない」が13%
だった。
調査対象の21カ国・地域を、「好感が持てる」と回答した人の割合で並べると、
カナダ(92%)、
英国(91%)、
日本(85%)、
フランス(83%)、
ドイツ(82%)、
インド(74%)、
台湾(73%)、
イスラエル(71%)、
フィリピン(71%)、
メキシコ(64%)、
エジプト(52%)、
キューバ(51%)、
中国(50%)、
ロシア(28%)、
パレスチナ自治政府(24%)、
イラク(19%)、
アフガニスタン(17%)、
シリア(17%)、
イラン(12%)、
北朝鮮(11%)
の順だった。
』
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ロイター 2017年 03月 21日 18:23 JST
http://jp.reuters.com/article/taiwan-defence-idJPKBN16S0WZ
台湾総統、潜水艦の自主建造を強調
● 3月21日、台湾の蔡英文総統は、南部・左営の軍港を視察し、潜水艦を自主建造する方針を表明した。同総統が視察した潜水艦は50年近く運用されており、主要防衛装備を刷新する必要性が浮き彫りとなった。写真は潜水艦から手を振る同総統。台湾の高尾市の海軍基地で撮影(2017年 ロイター/TYRONE SIU)
[高雄(台湾) 21日 ロイター] -
台湾の蔡英文総統は21日、南部・左営の軍港を視察し、潜水艦を自主建造する方針を表明した。
同総統が視察した潜水艦は50年近く運用されており、主要防衛装備を刷新する必要性が浮き彫りとなった。
蔡総統は、水中での戦闘能力の引き上げは台湾の防衛にとって必要不可欠だと指摘。
「これは誰もが認識している問題だ」
とし、
「軍の指揮官として、この問題を解決する決意がある」
と述べた。
台湾が所有する潜水艦4隻のうち、2隻は第2次世界大戦時代の潜水艦。
米国から購入し、主に訓練用に使われている。
残りの2隻は1980年代にオランダから購入したもので、運用開始は70年代となる。
』
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Record china配信日時:2017年3月22日(水) 12時10分
http://www.recordchina.co.jp/b172976-s0-c30.html
台湾人の好きな国、1位シンガポール、2位日本との結果に中国ネットも驚き
2017年3月22日、シンガポール華字紙・聯合早報によると、台湾民意基金会による調査で、台湾人が最も好きな国は1位がシンガポールで、日本は2位だった。
この調査では、台湾の隣国と世界の主要国、合わせて12カ国についてその好感度を尋ねた。
その結果、最も好感度が高かったのは
シンガポールで87.1%、次いで
日本の83.9%、
カナダの83%、
欧州連合(EU)の78.7%、
オーストラリアの78.6%
と続いた。
一方、反感を持つ国では、
1位が北朝鮮で81.6%、次いで
フィリピンの57.3%、
中国の47.4%、
韓国の41.7%、
ロシアの33.9%
と続いた。
報道によると、
台湾人が好感、反感を持つ基準となっているのは、
民主や豊かさ、
社会の平等性、
環境保護
などの国の発展レベル、
文化と血縁の相似性、
敵意を感じるか否か
だという。
』
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Record china配信日時:2017年4月2日(日) 10時30分
http://www.recordchina.co.jp/b163187-s0-c10.html
台湾が断交のアフリカ3カ国に「報復」?
借金の返済を要求―台湾メディア
2017年3月31日、台湾・東森新聞台によると、台湾の中国輸出入銀行はこのほど、台湾と外交関係を断絶したアフリカの
ギニア、
コンゴ民主共和国、
中央アフリカ共和国
に対し、未返済の貸付金2億6100万ドル(約240億5808万円)の返還を求める訴えを米国の地方裁判所に起こした。
コンゴ、中央アフリカに対する訴訟では勝訴したという。
環球時報(電子版)が伝えた。
台湾外交部は今回の訴訟についてコメントを避けている。
中国輸出入銀行の副総経理・廖政聡(リャオ・ジョンツォン)氏は、国際的な貸付金の多くは返済されていると説明。
「通常は話し合いに長い時間をかけるものだが、それができない場合、法律にのっとって債権を保護しなければならない」
と話した。
中国輸出入銀行は1979年設立された台湾政府の財政部直轄の金融機関。
業界アナリストの1人は
「外交関係を断絶した国に対する警告の可能性がある」
と指摘。
米シンクタンクの専門家は
「台湾は『心変わりした』国に貸した金を返すよう要求している。
驚くべきことではない。
台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の就任以降、中国との関係は緊迫化している。
一つの報復措置といえよう」
としている。
』
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JB Press 2017.4.27(木) 阿部 純一
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49845
中国が台湾を甘く見ていると痛い目に遭う理由
台湾の蔡総統、潜水艦の独自建造計画を発表
いま世間の関心は、米国が北朝鮮に対し軍事行動に出るかどうかに集中している。
北朝鮮による6度目の核実験や、米国本土を射程に収める能力を誇示するような大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験などが行われれば、その挑発行動に対し米国も何らかの行動に出る公算は高いだろう。
もし米軍が武力行使に踏み切れば、北朝鮮も無抵抗のはずはないから、韓国への攻撃やわが国にある米軍基地へのミサイル攻撃などが想定されることになる。
長く太平洋戦争後の平和を享受してきた日本にとって、安全保障についての見方を根本的に見直すことを余儀なくされる事態となろう。
しかし、「ソウルが火の海になる」ような事態の展開や、北朝鮮による先制的な核兵器使用を米国は恐れているだろうし、中国も米朝の全面衝突や朝鮮戦争の再現を望んではいないはずである。
武力衝突に至らないで済む「最適解」があるとすれば、北朝鮮が非核化を受け入れて国家を存続させることである。
だが金正恩が非核化を受け入れる可能性はない。
だとすれば、「できるかどうか」の議論は別にして、中国が働きかけて北朝鮮でクーデターを起こし、金正恩を排除して中国のコントロールが可能な「傀儡政権」を打ち立て、中国の庇護下で「非核化」するしか落とし所はないのかもしれない。
そんなシナリオは実行不可能だとかナンセンスだと言われても、現実的にはそれしか朝鮮半島情勢のカギを握る米中の共有する利益を保証する方途は見つからないのではないか。
■米国で見直された台湾の戦略的地位
同様に、現在のところ平穏を保っているが、米中の利害が衝突するもう1つの場所がある。言うまでもなく台湾である。
朝鮮半島については、非核化を実現することを条件に米中で折り合いがつけられる可能性が論理的には存在する。
冒頭の議論はその可能性を示そうとしたものだ。
だが、台湾問題で米中が折り合う可能性はほとんどない。
しかも中国は、台湾併合による中台統一を国家的課題に据えているから、台湾の「独立」を受け入れる余地がない。
馬英九政権下で台湾海峡両岸の接近が進んでいたときに、米国内では「台湾放棄論」が出現した。
それは民主政体である台湾が自主的に中国との「統一」を選択した場合、米国にそれを阻止する選択肢がなかったからである。
幸いなことに、事実上の独立主体としての台湾の現状維持を主題に掲げる民進党の蔡英文政権が成立したことで、米国内で台湾放棄論のような議論は沈静化してきている。
米台関係が重要でないという声は聞こえなくなっているといってもいいだろう。
背景を分析すれば、様々な指摘が可能だろう。
例えば、台湾の戦略的地位が見直されたのかといえば、答えはイエスだろう。
習近平政権が強引に南シナ海の南沙諸島で人工島建設を進めた結果、南シナ海における「航行の自由」が米中間の争点になった。
海洋覇権国家である米国にとって、自国の海軍艦船が行動に支障をきたす海域の出現を容認するはずがない。
南シナ海の南端の要衝がシンガポールであるとすれば、北端の要衝はフィリピンとなる。
しかし、フィリピンのドゥテルテ政権の対中姿勢の不安定さを見れば、その近隣にある台湾を米国の影響圏にキープしておく重要性は指摘するまでもない。
中国に対抗し、日米と安全保障で協調する台湾の戦略的価値はきわめて高い。
■中国から見て物の数に入らない台湾の軍備
さて、本稿のテーマは、日米にとって重要となる台湾の防衛態勢である。
ここで台湾海峡両岸の戦力を比較してもあまり意味がない。
国防予算の規模については、現在では台湾は中国の15分の1以下に過ぎず、まともに対抗できるわけがない。
もちろん、台湾の場合、米国が防衛の後ろ盾になっている。
米国は国内法である「台湾関係法」に基づき、防衛に必要な兵器供与と台湾への安全保障上の関与を謳っている。
だから中国は台湾への武力侵攻を試みようとするなら、米軍の関与を想定しなくてはならない。
近年、中国は「接近阻止・領域拒否」という、いわゆる「A2/AD」(Anti-Access/Area-Denial)と呼ばれる戦略の強化を進めてきた。
対艦弾道ミサイル「東風21D」の配備や潜水艦・空母など海軍艦船の増強、ステルス戦闘機など航空戦力の拡充などによって、台湾海峡有事の際に米軍を台湾に接近させないための戦略である。
過度な誇張を恐れずに言えば、中国が邁進する軍備の近代化と拡充は、米軍をターゲットとするものであって、中国の目から見たとき、台湾の防衛力など物の数ではない。
台湾にある空軍基地や軍港、レーダーサイトなどは1400基を超えるとされる中国の短距離弾道ミサイルの「飽和攻撃」でほぼ無力化できるという自信も中国にはあるかもしれない。
■台湾の兵器の現状
台湾が中国に対して軍事的に劣勢に立たされているのは疑いない。
しかも、いかに米国が台湾の後ろに控えているとはいえ、米国にとっても中国との関係は重要だから無用な摩擦は避けたい。
結局のところ、米国も台湾の防衛力強化について真剣な対応を取ってきたとは言い難い現実がある。
米国は、国際的に孤立した台湾に対して、兵器売却について独占的立場を享受してきた。
他の国が中国の反発を恐れて台湾への武器売却から手を引いた結果である。
ただし、その米国自身も中国との関係を斟酌し、台湾が望む防衛用の兵器をそのまま売却することはしてこなかった。
その結果が、現在の台湾の貧弱な防衛力である。
主力戦闘機のF-16A/B型については、オバマ前政権に対し、追加要求してきた能力向上型であるF-16C/D型66機の新規購入は認められず、現状保有する143機の改修による能力向上に抑え込まれた。
それでも1機あたり25億円強の費用負担であり、2023年まで今後7年をかけて改修を行うことになる。
ただし、いくら能力向上を図ろうとも、F-16は所詮、第4世代機であって、中国が開発・配備を進めるJ-20のようなステルス性を備えた第5世代機に対抗するには役不足である。
台湾もそうした観点から、近い将来米国に対し、第5世代機であるF-35ステルス戦闘機の購入を求めていくことになろう。
もう1つ、台湾が長年にわたって購入を希望してきたディーゼル潜水艦に至っては、2001年に当時のブッシュ大統領が8隻の供与を提示したものの、当の米国にその建造設備も技術もない「空手形」にすぎず、結局、蔡英文政権になって独自に建造する計画を進めることになった。
昨年12月に台湾海軍から潜水艦建造を受注した台湾国際造船は今後、設計に4年、建造に4年の8年をかけ、1500~2000トンクラスのディーゼル潜水艦の完成を目指している。
今年3月21日、蔡英文総統が出席し、台湾の南部、高雄で潜水艦建造契約の調印式が執り行われた。国産潜水艦建造への期待の大きさがうかがわれる。
台湾には米国製2隻、オランダ製2隻の計4隻のディーゼル潜水艦があるが、
米国製は建造から70年以上経つ「骨董品」で、訓練用にしか使用できない。
オランダ製の2隻も、1980年代の建造だから、艦齢30年前後の老朽艦である。
4隻ともにすでに退役時期を迎えているのは明白だ。
つまり、台湾にとってディーゼル潜水艦の調達はまさに喫緊の課題だといえる。
国産化にかじを切ったとはいえ、順調に計画が進行しても8年かかることを考えれば、まだまだ旧式の4隻に頼らざるをえない心細い状況が続くことになる。
しかも、潜水艦建造の経験や技術、ノウハウを持たない台湾が、高い静粛性と機動力を求められる現代の潜水艦の要求水準を満たすものができるかといえば、自主開発のみではそのハードルはきわめて高いと言わざるをえない。
ディーゼル潜水艦としては世界最高水準にあると言われる日本の技術やノウハウは、まさに台湾にとって「喉から手が出る」ほど手に入れたいものだろう。
最新のものは難しいだろうが、ある程度陳腐化が進んだ技術やノウハウを米国経由で台湾に提供する可能性はないのだろうか。
■台湾には独自の国防技術がある
このように、戦闘機や潜水艦などの難関はあるものの、蔡英文政権は防衛力の近代化を自主的に行おうとしている。
ここで看過してはならないのは、台湾の自主的な防衛力の近代化は決して机上の空論ではなく、国防技術の裏付けがあることだ。
すなわち、台湾は独自の技術で先進的な戦力を構築してきた実績もあるのだ。
端的に言えばミサイル戦力であり、「雄風3」超音速巡航対艦ミサイルや、「天弓3」地対空ミサイル、「天剣2」空対空ミサイルは、国際水準で見ても最先端の性能を持つ。
「雄風3」は、300キロメートル以上の長射程をもち海面スレスレを飛翔するシースキミング・タイプで中国海軍艦船にとって深刻な脅威となり、
「天弓3」は米軍のAMRAAM(AIM120)と同等の長射程で、敵戦闘機の対空ミサイルの射程範囲外からの攻撃が可能だ。
「天弓3」は、マッハ6まで敵のミサイル速度に対応する能力があり、限定的とはいえ局地防衛用のミサイル防衛にも使える上、コストはパトリオットPAC-3の5分の1と安価である。
ちなみに、PAC-3の対応速度はマッハ5プラスといわれているから、「天弓3」の性能は相当な水準にあることが分かる。
つまり、ここで強調しておきたいことは、中国が台湾を甘く見ていると痛い目に遭うということだ。
しかも、現代の軍事技術は、民用技術と隔絶されているどころか、「共用」する部分のほうがはるかに多い。
日本ではあまり知られていないが、三菱重工が開発しているMRJ近距離小型旅客機の翼や胴体部分の部品の一部は台湾の航空会社が製作している。
軽量かつ強度の高い航空機用複合材料は、これまで日本の独壇場とされてきたが、台湾企業の能力は日本並みになってきているのだ。
もちろん、中国の巨大な軍事力を前に、台湾の自主的な防衛努力がどの程度の効果を見込めるかを考えると、悲観的にならざるをえない。
しかし、それでも台湾住民に安心感を与え、中国に警戒感を持たせるのは、台湾の安全保障を預かる蔡英文政権の重い任務である。
米国頼みの限界と向き合う「兵器自主開発」のジレンマに立ち向かう台湾を応援したい。
』
【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】