上昇時の投資なら理解できるが、これはちょっと首をかしげざるを得ない。
国自らが未来のゴーストタウンの建設に乗り出したような雰囲気がある。
経済悪化は現実化しているが、中国にとってはこれを止める手立てがない。
中国をを世界の工場から世界の市場にするためには、国民の購買力を高めないといけない。
そのためには国民の収入増がなければならない。
ために賃金を意図的に上げた。
結果として、これに嫌気を感じた外資が逃げ出して、GDPが落下し始めた。
産業の東南アジアへの移転の加速で失業者の群れとなった。
さらにはGDPの1/4を占めているのが不動産となると、これは危険な状態にある。
産業がまともに機能していないので、不動産で補っているが、これもバブル化してしる。
国としては新しい工業力が育ってほしいのだろうが、外資が逃げて行っている現在ではこれも無理になっている。
共産党としては何とか経済を維持していかないとその正当性が疑われる。
といって、打てる手段がない。
残っている方策は国家自らが不動産バブルを演出することであり、国家レベルでゴーストタウンを建設することである。
これしかない、というのが現状であろう。
実行すればGDPは上向くし、失業対策にもなる。
一石二鳥ではあるが、問題はその費用と、出来上がったあとのことである。
高速鉄道をやたらと張り巡らして、ほとんどの路線が赤字で天文学的な欠損を出している。
それでもやらないといけないという不安に駆られて、トコロテンのようにお金を大地に振り蒔いている。
イニシャルコストだけの発想であり、ランニングコストが計算できていない。
もともと共産党にはランニングコストという資本主義形式の発想がない。
新都市建設はこれと似通ったもののように映る。
お金を地面に埋めていくだけのようにも思える。
お金があるうちはいいが、いつかはなくなってくる。
経済が上向きのときはお金が向こうからやってくる。
下向きのときは、国庫が空になる。
何かうすら寒い。
現代の万里の長城になるのだろうか。
『
ダイヤモンドオンライン 2017.4.27 陳言:在北京ジャーナリスト へ
http://diamond.jp/articles/-/125696
中国の副首都に!?新経済特区を習近平が猛プッシュする理由
●河北省の200㎢の土地に「雄安新区」の建設が決まった Photo:新華社/アフロ
■先行投資狙う住宅購入者が
我先に押し寄せる熱狂ぶり
1980年、香港のすぐ隣、深センが経済特区に指定されてまもなくの頃、筆者は取材に出かけた。
街中に、黒い服を着て天秤棒で魚を担いで売る行商人であふれていたことが印象的だった。
92年には、上海市と黄浦江を隔てて長年開発に遅れていた浦東が新区になった際にも取材に出かけた。
上海市で食事し、地元の人に浦東について聞いたら、「上海のベッド1枚の土地は、浦東の一軒屋より高いのよ」と聞いてびっくりした覚えがある。
そんな深センは今日、中国で最も研究開発が盛んに行われる地域となって生まれ変わり、浦東も金融センターとなっている。
高層ビルが林立、若いサラリーマンがオフィス街を颯爽と歩くなど、取材した当初には想像さえできなかった姿へと変貌を遂げている。
4月1日、人々がエイプリルフールの戯れを終え、帰宅の準備を始めながら清明節の連休に思いを馳せていたころ、衝撃的なニュースが中国を駆けめぐった。
中国共産党中央委員会と国務院が、北京のお膝元である河北省に、深セン特区や浦東新区に比肩する「雄安新区」を設立すると発表したからだ。
深センや浦東の発展ぶりについて知らない人はいない。
そのため北京や天津では、先行投資として住宅を買おうと考えた人たちが、我先に雄安へと飛んで行った。
しかし、時すでに遅し。
翌2日から、雄安地域すべての住宅の売買が停止されてしまったからだ。
バブルを警戒した国が、先に手を打ったとみられている。
■機能の一部を移転させ首都副センターにする計画
「雄安新区」設立のニュースは、ネットメディアを始め政治経済紙もトップニュースで扱い、数日間は「雄安新区」に関する解説や分析記事があふれていた。
しかし、「雄安新区」に関する公式情報は、規模が深センや浦東を超える2000㎢に及ぶことくらいで、非常に限られているのが実態だ。
それでも、北京に建設された「北京通州行政副センター」の名称に呼応させる形で、「首都副センター」に位置づけたことは、たちまちネット上で広がった。
最も詳しい新華社通信のニュースによれば、「雄安新区」の位置づけについて、
★.「深セン特別経済区と上海浦東新区に次ぐ、意義を持つ新たな区」であり、
★.もう一つは「千年に渡る国の重要計画」である
という。
「千年に渡る」といった言葉が使われたのは初めてのことである。
これは、建国70年以来、本当の意味での変革を迎えているといっても過言ではない。
数十年来、「首都」といえば「北京」のことを指していたが、今後は「首都」と「北京」はイコールではなくなるからだ。
というのも、習近平主席が
「北京の首都機能を緩和し、人口経済密集地域に最適化する新たな開発モデルを模索する」
と指示、北京にある首都機能の“核”以外を移転させ、新しい理念に基づいた現代新型都市を建設すると明言したからだ。
では、「雄安新区」には何を移転させるのか。
北京の“非首都機能”を受け持つのであれば、中央政府と関係の薄い業務、たとえば大学教育機関や科学研究機関、大手企業、金融センターなどが対象となるに違いない。
噂によれば、一部省庁の非中核部門も対象になっているという。
「高級人材(ハイレベルの人材)」を雄安新区にとどめるためには、立派なインフラと公共サービスを整備しなければならない。
おそらく通州の建設計画を参照し、北京の優れた教育や医療、高齢者福祉施設なども移していくだろう。
■ハイテク産業を柱にして政府が主導的に開発
こうした「雄安新区」は、果たして深センや浦東と同じように発展していくのであろうか。
中国南方の珠江デルタ、そして長江デルタ地帯では、経済発展の先頭に立とうと都市同士が競争してきた。
しかし、長江以北で唯一といえる大型都市の北京は、これまで上海や深センのような人的、経済的な資源放出政策を担うことなく、資源の吸い上げ機能に終始して北京や天津、その周辺を取り巻く河北省の資源を奪ってきた。
北京から高速鉄道で30分程度の距離にある「雄安新区」は、こうした性格を引き継ぐ土地柄であるとみられる。
しかも、北京から企業や政府の部局などが移転してきたとしても、それらが直接的な経済的利益を生むわけではなく、経済発展の連鎖を構築するわけでもない。
とりあえず人を集め、地域としてのクオリティを高める作用を果たすくらいだろう。
勝負は、その次の段階にある。
今回設立される「雄安新区」は、北京からはじき出される産業の受け皿ではなく、ハイテク精密産業や発展途上の産業を中心に、新たな経済発展の活力を創出する新区との位置づけとなっていることに注目すべきであろう。
そのため、改革開放の30年間に蓄積した経験と、空前ともいえる財政支援、そして行政資源が投入されようとしている。
また、これまでの特区とは異なり、国家が新区の建設に直接的に関与し主導的な役割を果たそうとしている。
つまりこれは、国家の実力を試す巨大な実験プロジェクトといえるのだ。
■新たな都市を建設し計画経済の発展モデルを検証
北京、天津、河北、ひいては北部中国全体から見れば、「雄安新区」プロジェクトには幾多の困難や掣肘が待ち受けているが、計画全体の見通しは明るい。
新区の建設過程にはさまざまなリスクが存在するが、当初から政府が関与し、リスク排除に乗り出しているためだ。
政府は、現在までに「住宅投機はやめよう」と呼びかけ、
「雄安プロジェクトに参加するのなら資金力にモノを言わせるのではなく、頭脳と体力で関わるように」
と訴えている。
また、「ローテクは不要」とも戒めている。
「雄安新区」は、ハイテク精密産業が主要産業と位置付けられており、政府が支援する太陽光発電や新エネルギー自動車などの誘致も進められているため、
当面は巨大な富が移転する可能性は極めて高い。
政府の反腐敗運動が一定の成果を収め、党指導部の地位が安定して新たな時代を担う指導グループが選出されそうなこともプラス要素だ。
だが、国際経済の変化に伴って、国内政治の力関係に変化が生じた場合には困難も予想される。
いずれにせよ、行政が新たな都市を構想し、周辺地域も含めて国の活力源として企図する方法は世界にも先例がない。
そういう意味では、今後20年間、「雄安新区」は巨大な実験場になる。
今回のプロジェクトは、中国が過去30年間にわたって実施してきた計画経済の発展モデルを検証する場だともいえるのである。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2017年4月22日(土) 11時20分 山口康一郎
http://www.recordchina.co.jp/b175708-s132-c30.html
<コラム>また出た!中国の「打ち出の小づち」、
バブル崩壊回避の秘策
今、中国は、バブル、景気、外交でかなりきつい状況になっている事は周知のとおりである。
特に北京、上海など大都市の不動産高騰はバブル崩壊の危険性を常にはらみながら 政府がいろいろな規制、指導をしても止まらない。
景気についても、内需の喚起を試みても思ったほどに伸びない。
逆に爆買いなど国外製品の需要が伸びてしまったりと、思わぬ方向に進んでしまった感もある。
外国企業の中国からの撤退も深刻だ。
覇権主義による行き過ぎた拡大戦略も外交的にも詰まってきている。
この20年の急激な発展の行き過ぎた反動とも言えるのだろうが、反動も放置していては、国家自体が危うくなる。
さてどうするか?
さすがは、中国である。
起死回生になるだろう「打ち出の小づち」を打ってきた。
新たな国家的新区の設立を発表したのである。
これは、トウ小平が進めた深セン特別経済区と江沢民の上海浦東新区に次ぐ全国的な意義を持つ中国の「千年の計」と位置づけられている。
今秋の党大会で2期目に入る習近平総書記(国家主席)の新たな実績作りとなりそうである。
習氏やその腹心の栗戦書・中央弁公庁主任はいずれも河北省で勤務経験があり、習氏の母も河北省出身だ。
習氏は18年勤務した福建省と共に河北省への思い入れが深いとされる。
今年2月23日には雄安新区の予定地である安新県を視察している。
この時期に大規模な都市建設を発表した理由としては、習氏の訪米前に、内需拡大、輸入拡大につながる野心的な政策でトランプ大統領との貿易交渉に役立てる思惑もあると見られている。
その新区は、雄安新区と名付けられ、河北省、雄県・容城・安新という3つの県とその周辺地域から構成され、北京から南西へ100キロ、天津から西へ100キロに位置し、人口38万人の雄県、40万人の安新県、26万人の容城県の一帯を開発する。
北京、天津、保定3都市の中央に位置していて、交通の便もよく、優れた地理的優位性と生態環境に恵まれている。
初期の開発面積は約100平方キロメートル、中期的開発面積は200平方キロメートル、将来的には2000平方キロメートルが開発される予定らしい。
深セン経済特区(広東省)、上海浦東新区(上海市)に続く新区という全国的な意味合いを持つ位置付けである。
ちなみに詳しくは後でバブルに関連して説明し直すが、雄安新区設立発表後に現地の不動産価格が数倍に跳ね上がったらしい。
この新区の設立は、中国北方の協同発展を推し進める事を建前としているが 実のところは、冒頭で前述した、行き詰っている中国政府中央が
(1):首都北京の過密化による水不足、大気汚染、渋滞問題などの緩和
(2):中国北方「北京・天津・河北」地域の経済構造の見直し
それ以外で、「雄安新区開発の戦略的使命」に
(3):政治経済が北京への集中からのリスク分散
(4):他の大都市バブルの先駆的指導的模範的な改善
(5):改革新時代のスタートのきっかけ
の思惑を秘めたとも考えられている。
シンガポールの華字紙も
「中国は深セン経済特区を設立して改革開放をスタート。
上海浦東新区で一部に限っていた対外開放を世界に向けて全面的に開放させた。
雄安新区はそれに続くものである」
と伝えている。
英国紙も「中国南方の珠江デルタ、長江デルタは経済成長のトップを走っているが、北方にこのような注目される存在はなかった」と説明し、雄安新区は北京から剥離(はくり)された産業の受け入れ先ではなく、京津冀(北京・天津・河北省)地域あるいはさらに広い範囲に発展活力をもたらす意義がある」と伝えた。
さてポイントはここから、この新特区の発表にさかのぼること1週間前の3月25日に 国家金融・発展実験室の李揚理事長が、中国の多くの都市で不動産がこれ以上値上がりすることはあり得ないと発言した。
「中国では現在、十数カ所の都市で住宅価格が上昇しているが、大部分の都市ではもうこれ以上値上がりすることはあり得ない。
現在の都市ごとの規制政策は不動産リスクに対応する効果的な方法だ。
銀行の観点から見てもこれは良いことだ。
多くの事柄をさらに研究する必要があり、
中国の不動産はもうすぐ崩壊して、中国経済の崩壊につながるというというのは言い過ぎだ」
と主張している。
この発言がなぜ、このタイミングだったのか?
そうである、新区の発表を控えての発言だと思うのである。
■国家事業として雄安新区をつくり開発する。
■同時に北京周辺の地価高騰を抑制する規制をする。
■大都市の不動産投資熱を新区にそらす。
■新区は過去のバブルの再発を教訓にしたコントロールをしながら開発する。
■同時に他地域の開発もこれに準じた発展方式に確立させる。
■上記過程において内需を拡大させ、景気回復も目論む。
一石二鳥どころか、そんなにうまくいくか心配になるようなうまい話ではあるが 真剣に取組んでいることは間違いない。
実現させなければ、中国の未来はないからだ。
ネット上では
「値上がりするはずないのになぜ規制するのか」
「短期的には価格が安定するが長期的には値上がりする」
「つまりもっと値上がりするということじゃないのか?」
「不動産価格が上昇しているのではなく、貨幣価値が下がっているのだろうが」
「中国経済が崩壊するだって?
それは、ちょっと言い過ぎだと思う。
その前に政権が崩壊するに決まっているだろ」
といろいろな言われようではあるが、実のところ、
この施策は、今日の明日のという速効力はない。
イメージ先行である。
ただ、中国政府は、国内外の過去の失敗事例を学習することには長けている。
過去の失敗事例を繰り返さないように腐心している。その点はとても凄いと感じる。
という事で、今度の特区は、強い規制をしながらの開発になることは 間違いない。
そうなれば、これまでの放置され高騰して問題になるような不動産投機は、出来ないで
あろう。
日本がそうであったように、もう土地転がしだけで儲ける時代は終わりではないかと思われる。
しかも日本のようなバブル崩壊を極力回避しながらのソフトランディングも十分ありえるのである。よく考え練られたシナリオである。
これからは、その土地でどう儲けるかの時代に本格的に変わる予感がする。
何をして儲けるかにポイントが移る。
実のところ、2〜3級都市の不動産活用が一番問題になると予見される。
別の視点からみれば、今後ビジネス的には、4〜5級都市が見直される可能性が高い。
今までは、首都の北京だから、経済の上海だからと、さらに政府がそれを放棄することもない、決して値下がりすることはないはずだと思い込み、北京や上海など大都市の不動産の購入に先を争ってきてバブルが起こった。
しかし、首都の不動産、経済のお膝元の政府にも頼れないとなれば、人々に大きい打撃を与える。
加熱しすぎた不動産投資に水を差す効果的なやり方であると言えよう。
今度の特区の発表と関連し、絡めて先立って発言していたと思われる。
もっとも、4月3日付の地元紙によると、雄安の現地では、さっそく投機マネーが動いているらしい。
発表直後から不動産を購入しようと北京や天津の富裕層が殺到し、2日午前には混乱を恐れた地元当局が不動産売買を一時停止し、不動産会社の出入口が封鎖される騒ぎになったというが。
それもそれだけ事前に特区新設を知り不動産購入して大儲けした人がないということだとも受け取れる。
昨今、中国政府は、前述の通り過去の失敗を繰り返さないような施策を打ってきている。
日本のバブル崩壊、リーマンショックなど過去の内外の事例にも学んでいる。
バカではない、とても凄い点だと認めざるを得ない。
今回の特区の発表前、1年以上の時間があったと思うがインサイダー取引が行われないように企画段階でパイプのある人間にも事前の根回し作業を済ませておいたに違いない。
かなりの情報統制や水面下での根回し手回しが済んでいたのだと思われる。
今度の特区は今までとも違い強い規制をしながらの開発になることは間違いない。
という事は、今までの放置型の不動産投機はもう出来ない。
このシナリオが実現するならば、中国の崩壊は、当分の間は来ない。
北京や上海など大都市バブルは徐々に沈静化し、地方の開発も加熱しすぎないように内需拡大とともに適正な発展をするはずである。
まあ、あくまで「はず」ではあるのだが、少なくともトータルでみれば、出来ない話ではない。
後は、人民が新しい秩序と新しい概念「新常態(ニューノーマル)」をどう受け入れ、どう動くかであろう。
■筆者プロフィール:山口康一郎
1958年鹿児島で衣料問屋の長男に生まれる。現在、中国辺境雲南省の大理古城に居住。17歳の時に喫茶店を開業。23歳の時に法人設立。その後、年商10億まで拡大するまでに至ったが、視察旅行で感じた中国の面白さにハマり、中国移住を計画。国内事業を全て精算し、離婚までして中国に移り住む。「中国人の性格、考え方、制度」や「中国での日本人の生活や起業方法」など、日本からは見えない中国からの日本人としての視点と、日本の商売人の視点から情報を発信します。信条は「三方よし」。
』
レコードチャイナ 配信日時:2017年4月22日(土) 11時20分 山口康一郎
http://www.recordchina.co.jp/b175708-s132-c30.html
<コラム>また出た!中国の「打ち出の小づち」、
バブル崩壊回避の秘策
今、中国は、バブル、景気、外交でかなりきつい状況になっている事は周知のとおりである。
特に北京、上海など大都市の不動産高騰はバブル崩壊の危険性を常にはらみながら 政府がいろいろな規制、指導をしても止まらない。
景気についても、内需の喚起を試みても思ったほどに伸びない。
逆に爆買いなど国外製品の需要が伸びてしまったりと、思わぬ方向に進んでしまった感もある。
外国企業の中国からの撤退も深刻だ。
覇権主義による行き過ぎた拡大戦略も外交的にも詰まってきている。
この20年の急激な発展の行き過ぎた反動とも言えるのだろうが、反動も放置していては、国家自体が危うくなる。
さてどうするか?
さすがは、中国である。
起死回生になるだろう「打ち出の小づち」を打ってきた。
新たな国家的新区の設立を発表したのである。
これは、トウ小平が進めた深セン特別経済区と江沢民の上海浦東新区に次ぐ全国的な意義を持つ中国の「千年の計」と位置づけられている。
今秋の党大会で2期目に入る習近平総書記(国家主席)の新たな実績作りとなりそうである。
習氏やその腹心の栗戦書・中央弁公庁主任はいずれも河北省で勤務経験があり、習氏の母も河北省出身だ。
習氏は18年勤務した福建省と共に河北省への思い入れが深いとされる。
今年2月23日には雄安新区の予定地である安新県を視察している。
この時期に大規模な都市建設を発表した理由としては、習氏の訪米前に、内需拡大、輸入拡大につながる野心的な政策でトランプ大統領との貿易交渉に役立てる思惑もあると見られている。
その新区は、雄安新区と名付けられ、河北省、雄県・容城・安新という3つの県とその周辺地域から構成され、北京から南西へ100キロ、天津から西へ100キロに位置し、人口38万人の雄県、40万人の安新県、26万人の容城県の一帯を開発する。
北京、天津、保定3都市の中央に位置していて、交通の便もよく、優れた地理的優位性と生態環境に恵まれている。
初期の開発面積は約100平方キロメートル、中期的開発面積は200平方キロメートル、将来的には2000平方キロメートルが開発される予定らしい。
深セン経済特区(広東省)、上海浦東新区(上海市)に続く新区という全国的な意味合いを持つ位置付けである。
ちなみに詳しくは後でバブルに関連して説明し直すが、雄安新区設立発表後に現地の不動産価格が数倍に跳ね上がったらしい。
この新区の設立は、中国北方の協同発展を推し進める事を建前としているが 実のところは、冒頭で前述した、行き詰っている中国政府中央が
(1):首都北京の過密化による水不足、大気汚染、渋滞問題などの緩和
(2):中国北方「北京・天津・河北」地域の経済構造の見直し
それ以外で、「雄安新区開発の戦略的使命」に
(3):政治経済が北京への集中からのリスク分散
(4):他の大都市バブルの先駆的指導的模範的な改善
(5):改革新時代のスタートのきっかけ
の思惑を秘めたとも考えられている。
シンガポールの華字紙も
「中国は深セン経済特区を設立して改革開放をスタート。
上海浦東新区で一部に限っていた対外開放を世界に向けて全面的に開放させた。
雄安新区はそれに続くものである」
と伝えている。
英国紙も「中国南方の珠江デルタ、長江デルタは経済成長のトップを走っているが、北方にこのような注目される存在はなかった」と説明し、雄安新区は北京から剥離(はくり)された産業の受け入れ先ではなく、京津冀(北京・天津・河北省)地域あるいはさらに広い範囲に発展活力をもたらす意義がある」と伝えた。
さてポイントはここから、この新特区の発表にさかのぼること1週間前の3月25日に 国家金融・発展実験室の李揚理事長が、中国の多くの都市で不動産がこれ以上値上がりすることはあり得ないと発言した。
「中国では現在、十数カ所の都市で住宅価格が上昇しているが、大部分の都市ではもうこれ以上値上がりすることはあり得ない。
現在の都市ごとの規制政策は不動産リスクに対応する効果的な方法だ。
銀行の観点から見てもこれは良いことだ。
多くの事柄をさらに研究する必要があり、
中国の不動産はもうすぐ崩壊して、中国経済の崩壊につながるというというのは言い過ぎだ」
と主張している。
この発言がなぜ、このタイミングだったのか?
そうである、新区の発表を控えての発言だと思うのである。
■国家事業として雄安新区をつくり開発する。
■同時に北京周辺の地価高騰を抑制する規制をする。
■大都市の不動産投資熱を新区にそらす。
■新区は過去のバブルの再発を教訓にしたコントロールをしながら開発する。
■同時に他地域の開発もこれに準じた発展方式に確立させる。
■上記過程において内需を拡大させ、景気回復も目論む。
一石二鳥どころか、そんなにうまくいくか心配になるようなうまい話ではあるが 真剣に取組んでいることは間違いない。
実現させなければ、中国の未来はないからだ。
ネット上では
「値上がりするはずないのになぜ規制するのか」
「短期的には価格が安定するが長期的には値上がりする」
「つまりもっと値上がりするということじゃないのか?」
「不動産価格が上昇しているのではなく、貨幣価値が下がっているのだろうが」
「中国経済が崩壊するだって?
それは、ちょっと言い過ぎだと思う。
その前に政権が崩壊するに決まっているだろ」
といろいろな言われようではあるが、実のところ、
この施策は、今日の明日のという速効力はない。
イメージ先行である。
ただ、中国政府は、国内外の過去の失敗事例を学習することには長けている。
過去の失敗事例を繰り返さないように腐心している。その点はとても凄いと感じる。
という事で、今度の特区は、強い規制をしながらの開発になることは 間違いない。
そうなれば、これまでの放置され高騰して問題になるような不動産投機は、出来ないで
あろう。
日本がそうであったように、もう土地転がしだけで儲ける時代は終わりではないかと思われる。
しかも日本のようなバブル崩壊を極力回避しながらのソフトランディングも十分ありえるのである。よく考え練られたシナリオである。
これからは、その土地でどう儲けるかの時代に本格的に変わる予感がする。
何をして儲けるかにポイントが移る。
実のところ、2〜3級都市の不動産活用が一番問題になると予見される。
別の視点からみれば、今後ビジネス的には、4〜5級都市が見直される可能性が高い。
今までは、首都の北京だから、経済の上海だからと、さらに政府がそれを放棄することもない、決して値下がりすることはないはずだと思い込み、北京や上海など大都市の不動産の購入に先を争ってきてバブルが起こった。
しかし、首都の不動産、経済のお膝元の政府にも頼れないとなれば、人々に大きい打撃を与える。
加熱しすぎた不動産投資に水を差す効果的なやり方であると言えよう。
今度の特区の発表と関連し、絡めて先立って発言していたと思われる。
もっとも、4月3日付の地元紙によると、雄安の現地では、さっそく投機マネーが動いているらしい。
発表直後から不動産を購入しようと北京や天津の富裕層が殺到し、2日午前には混乱を恐れた地元当局が不動産売買を一時停止し、不動産会社の出入口が封鎖される騒ぎになったというが。
それもそれだけ事前に特区新設を知り不動産購入して大儲けした人がないということだとも受け取れる。
昨今、中国政府は、前述の通り過去の失敗を繰り返さないような施策を打ってきている。
日本のバブル崩壊、リーマンショックなど過去の内外の事例にも学んでいる。
バカではない、とても凄い点だと認めざるを得ない。
今回の特区の発表前、1年以上の時間があったと思うがインサイダー取引が行われないように企画段階でパイプのある人間にも事前の根回し作業を済ませておいたに違いない。
かなりの情報統制や水面下での根回し手回しが済んでいたのだと思われる。
今度の特区は今までとも違い強い規制をしながらの開発になることは間違いない。
という事は、今までの放置型の不動産投機はもう出来ない。
このシナリオが実現するならば、中国の崩壊は、当分の間は来ない。
北京や上海など大都市バブルは徐々に沈静化し、地方の開発も加熱しすぎないように内需拡大とともに適正な発展をするはずである。
まあ、あくまで「はず」ではあるのだが、少なくともトータルでみれば、出来ない話ではない。
後は、人民が新しい秩序と新しい概念「新常態(ニューノーマル)」をどう受け入れ、どう動くかであろう。
■筆者プロフィール:山口康一郎
1958年鹿児島で衣料問屋の長男に生まれる。現在、中国辺境雲南省の大理古城に居住。17歳の時に喫茶店を開業。23歳の時に法人設立。その後、年商10億まで拡大するまでに至ったが、視察旅行で感じた中国の面白さにハマり、中国移住を計画。国内事業を全て精算し、離婚までして中国に移り住む。「中国人の性格、考え方、制度」や「中国での日本人の生活や起業方法」など、日本からは見えない中国からの日本人としての視点と、日本の商売人の視点から情報を発信します。信条は「三方よし」。
』
『
サーチナニュース 2017-04-27 07:12
http://news.searchina.net/id/1634547?page=1
中国高速鉄道は軍事にも利用できる!
戦争でも能力を発揮する=中国
急ピッチで建設が進められている中国の高速鉄道。
中国高速鉄道の営業距離は2016年末までに2万2000キロを超え、すでに欧州の高速鉄道と新幹線の営業距離の合計を超えているが、中国にとって高速鉄道は単なる旅客輸送の目的にとどまらないようだ。
中国メディアの今日頭条は24日、中国高速鉄道の軍事利用に関して考察する記事を掲載した。
記事は、中国における高速鉄道の役割について、国民の交通の便としてだけでなく、有事の際に備えるうえでも役立つと主張。
戦争が起きれば、高速鉄道は前線に大量の食糧や武器を運ぶのに利用できるからだという。
荷物の積み下ろしの利便性など、高速鉄道の輸送能力は空輸に勝るとし、大量の物資を長距離輸送する後方支援的な役割を担えると指摘。
試算によれば「たった50両」で陸軍13連隊の共同作戦をサポートできると主張し、その効率の高さを強調した。
しかし、高速鉄道は本来、旅客を輸送する交通インフラであるため、戦車や重火器の輸送はできないという弱点もあると指摘、高速鉄道の軍事利用には限界もあることを認めた。
そのため、中国は軍事面で優位性を保つために、これらの欠点を改善するべきだと主張し、そうすることで、中国高速鉄道は戦争においても能力を最大限発揮できるだろうと結んだ。
確かに、有事の際に高速で人や物資を輸送するのに高速鉄道は有効な手段だ。
しかし、その大部分が高架橋の上を走行する高速鉄道は、高架橋を破壊されたら輸送ができなくなってしまうというのは大きな弱点でもある。
いずれにしても、軍事目的で使う機会がないことを願いたいところだ。
』
この発想とにたりよったりである。
真っ赤の赤字だが戦争にりようできるから作っておく、というコスト概念のまるでない言い訳に聞こえる。
一か所で壊れれば運航は全面的にストップする。
なんとも危うい。
『
ロイター 2017年 05月 17日 14:07 JST
http://jp.reuters.com/article/china-growth-debt-risks-idJPKCN18D0BB?sp=true
焦点:中国の成長ペース、
世界金融危機以降で最も低くなる公算
[北京 16日 ロイター] -
中国の第1・四半期国内総生産(GDP)成長率は、インフラ向け財政支出と不動産の活況のおかげで6.9%と予想外に堅調だった。
しかし足元で財政刺激が縮小され、リスクの高い融資を抑えるための金融引き締めも続いているため、今年の成長ペースは世界金融危機以降で最も低くなりそうだ。
ロイターが最近実施したアナリスト調査でも、第2・四半期以降成長が鈍化し、2017年全体では政府目標の6.5%前後になると見込まれている。
今や中国の債務総額はGDPの300%近くに達し、財政収支の不均衡が深刻化してきた。
つまり政府は大規模な支出を維持できず、実際4月の歳出の前年比伸び率は3.8%と、第1・四半期の21%から急失速した。
さらに人民銀行(中央銀行)は投資向けの中期的な資金は調達できる環境を維持しながらも、バブル発生への懸念から短期市場で流動性を絞っている。
オックスフォード・エコノミクス(香港)のエコノミスト、ルイス・クイジス氏は
「現時点で政策担当者が金融面のリスク抑制にどれほど真剣になっているかが分かるだけに、来年の成長目標が著しく下がったとしてもおかしくはない」
と述べた。
キャピタル・エコノミクス(シンガポール)のエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は
「今後一段と大幅な金融引き締めがあるとは考えていない。
だが(経済の)リスクは下振れ方向にある」
と語った。
★.中国にとって人民元安を容認して輸出主導の経済成長を図るという選択肢はない。
今年に入って外貨準備が3兆ドルの大台を割り込む事態をもたらした海外への資金流出に拍車がかかる懸念がある上に、米国のトランプ政権による何らかの報復措置を招きかねないからだ。
政策担当者は、個人消費が主な成長エンジンとなる形に経済が移行してほしいと考えているが、まだ現実していない。
オックスフォード・エコノミクスのクイジス氏は
「消費はこれまでのところ非常にしっかりしており、経済にとって見事なバッファーとなっている。
しかし私の意見を言えば、消費が景気循環を引っ張っている米国のように中国はならない。
なぜなら消費は依然として投資や賃金の動きを後追いしているからだ」
と主張する。
世界銀行のデータによると、中国GDPにおける家計支出の割合は2015年時点で37.1%。07年の35.8%から上昇したとはいえ、中所得国の平均である54.2%を大きく下回っている。
また消費は、少なくとも中国の基準で見ると軟化しているように見える。
1─4月の自動車販売台数は4.6%増と、前年同期の4分の3ほどの伸びにとどまった。
映画チケットの売り上げは昨年停滞し、今年も強弱まちまちの様相だ。
小売売上高は4月が前年比10.7%増で、2010年以降伸びがずっと鈍ってきた。
企業サイドでも活動の勢いが弱まりつつある。
4月の生産者物価は過去7カ月で初めてマイナスを記録し、輸入は予想外に減速。
製造業とサービス業の景況感も予想以上に低調だった。
15日に発表された4月の鉱工業生産と1─4月固定資産投資はいずれも伸びが鈍化した。
一方、債務削減の取り組み(デレバレッジング)は一定の進展が見られる。
第1・四半期の新規融資額は過去最高の6兆9400億元だったが、対GDP比率は前年同期の41.3%から38.4%に下がった。
交通銀行(上海)のシニアエコノミスト、Tang Jianwei氏は
「われわれはデレバレッジングを進めなければならない。
たとえ痛みがあろうと後戻りはできない。
経済構造の転換はまだ途上段階で、デレバレッジングも始まったばかりだ」
と説明した。
(Elias Glenn記者)
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