2017年4月11日火曜日

トランプ大統領登場(22):「米中戦争の可能性は非常に高い」トランプ氏側近が驚愕見解

_


週刊ダイヤモンド編集 2017.1.23
http://diamond.jp/articles/-/114972

「米中戦争の可能性は非常に高い」
トランプ氏側近が驚愕見解

『週刊ダイヤモンド』1月28日号の第一特集は「劇変世界を解く新地政学」です。
2017年1月20日、世界は混沌の劇変時代に突入しました。
この日、落日の覇権国のトップに立ったドナルド・トランプ米大統領。自国を最優先する彼が指揮する外交の先に待つのは、弱肉強食のパワーゲームでしょう。
歴史に学びながら、冷徹な現実主義に基づく「地政学的」視点からトランプ後の世界を読み解きました

■米政権交代で急上昇、日本人が知らない米中戦争リスク

 昨年12月26日、米国滞在中の本誌記者に一通のメールが届いた。
   送り主は米カリフォルニア大学教授のピーター・ナヴァロ氏だ。
 「I am unable to answer these now that I have been appointed to White House position」。
 ホワイトハウスの役職に指名されたので、質問には答えられないという趣旨だった。
 ナヴァロ氏は当初、本誌の取材を快諾していたが、ホワイトハウスに新設された「国家通商会議」の委員長に指名されたことで一転、NGとなってしまったのだ。

 本誌がナヴァロ氏へ取材を打診した背景には、選挙期間中からトランプ陣営の政策顧問を務め、新政権入りが取り沙汰されていたこともあったが、もう一点、ナヴァロ氏が筋金入りの対中強硬派であり、米中戦争をめぐる興味深い
 書籍『米中もし戦わば 戦争の地政学』
を上梓していたからだ。
 その内容は一般の日本人には強烈だ。
 「南シナ海や尖閣諸島を囲む第一列島線の内側の制海権を中国は握りつつある」。
 さらに過去の覇権戦争を振り返ると、
 「米中戦争が起きる可能性は非常に高い」
などの驚愕見解を示している。
 防衛省幹部も注目の書であり、中国安保の俊英、防衛研究所中国研究室の飯田将史主任研究官は
 「冷静かつ客観点な筆致で、中国側の意図を非常に正確、明確に指摘している」
と評価する。

 トランプ政権では、米中戦争の可能性を否定しない超強硬派がその中枢に座ることになる。
 それでも多くのエコノミストは
 「経済でこれだけ相互依存を強めている両国が戦争するはずがない」
と意に介さないだろう。

 これに対して、「それがエコノミストの限界」との見方を示すのは、外務省日米安全保障条約課長などを歴任したキヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹。
 「現在は19世紀末の帝国主義時代と酷似しており、弱肉強食のゲームが繰り広げられている。
 経済が主という見方では本質が見えなくなる
と警告する。
 一方で、そもそも米軍縮小を公言していたトランプ大統領には、中国と安全保障面で対立してまで覇権を争う意思はないとの見方も根強い。

 だが、昨年11月、米外交誌に発表された論文はこうした楽観論を吹き飛ばす。
 ナヴァロ氏らトランプ側近が中国の周辺国への圧力に対抗するため、軍事力を背景にしたレーガン政権ばりの「力による平和」を追求すべしと提唱したのだ。
 経済のみならず、安全保障でも米国側が強気の対中政策を取る可能性は決して低くない。

 「中国は将来強大になっても覇権を求めない」。
 経済成長を重視していた鄧小平氏は1974年に国連でそう演説した。
 しかし、習近平国家主席は今、「中華民族の偉大な復興」を掲げ、覇権国への挑戦を隠そうともしない。
 中国はかねて米軍撤退など「力の空白」ができれば、容赦なく支配地域を強権的に広げてきた。
 習体制でその傾向はより顕著となっており、中国の領土的な野心と地政学的な権益は膨らみ続けている。
 昨年末には、中国初の空母「遼寧」を軸にした艦隊が初めて、第一列島線上にある「宮古海峡」を越えて西太平洋に進出、米軍およびその同盟国を挑発した。

 トランプ政権の誕生で、米中関係は「疑心暗鬼」(安井明彦・みずほ総研欧米調査部長)の新ステージに突入する。
 新ステージで何より厄介なのが中国側の一大イベントだ。
 今年、中国は人事の季節を迎える。
 秋の共産党大会で予定される中国指導部の交代は、今後10年にわたる中国の方向性を決めるとされる。
 権力基盤をより盤石にするため、習主席は弱腰外交を見せるわけにはいかず、対外的にはいつも以上に強硬姿勢で臨まざるを得ない。
「そこで米中関係が急激に悪化する可能性が高い」。
 国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる政治リスク調査会社、ユーラシアグループはそう読む。
 米中衝突の発火点台湾尖閣諸島北朝鮮、そして通商問題だという。

 「2017年、世界は地政学的後退期に入る。
 第2次大戦後で最も変動の激しい節目の年」(同社)。
 日本人も当事者としてこの戦争リスクを認識しておく必要がある。

■トランプ劇場が引き起こす地政学的「玉突き現象」

 『週刊ダイヤモンド』1月28日号の第一特集は、「劇変世界を解く新地政学」です。
 傲岸不遜な言動を繰り返す米国のドナルド・トランプ大統領の新政権がいよいよ船出しました。
 世界最大の大国を率いて向かうのは、混沌の劇変世界です。
 新政権中枢には共和党保守派の政治家をはじめ、ビジネスマン、軍人が混在している。
 まだ統制が取れているとはいえず、明確な航路は見えてきません。

 ただ、言えることは、
 「ビジネスマンはむき出しの利益を追求し、軍人はむき出しの力を行使する」(細谷雄一・慶應義塾大学教授)。
 そして保守派はわが道を突き進むということです。

 とすれば、新政権はこれまでの米国が高いコストを払って維持してきた
 「国際秩序」なるものに関心を示さなくなるのは必然。
 今後は
 「価値より利益」
 「理念より取引」の思考回路で、
 むき出しの国益を追求することが米国外交の軸
になります。
 すなわち、暴君が言う「米国第一主義」です。

 その先に待ち受けるのは弱肉強食のパワーゲームでしょう。
 参考事例があります。
 第1次世界大戦後のこと。米国主導で国際連盟を設立しながら、米国は加盟せず、欧州の安定に関与しなかった結果、ナチス・ドイツの台頭を許し、第2次世界大戦が勃発しました。
 同じ悲劇にたどり着くのでしょうか。
 唯我独尊のトランプ劇場は世界中で、さまざまな地政学的な“玉突き現象”を引き起こすことが予想されます。
 権謀術策がめぐらされた国際政治において、“メジャーリーガー”は米中ロの3ヵ国しかない、と宮家研究主幹は指摘しています。

 トランプ大統領はまず、中ロの独裁者2人に正反対の対応を取るとみられます。
 米国に代わる覇権国の座を狙う中国の習近平国家主席にはこわもてで臨み、反IS(イスラム国)で共闘するとみられるロシアのプーチン大統領とは握手を交わす、といった具合です。

 メジャーリーグ内の構造変化は、EU(欧州連合)や日本、中東の地域大国などが所属するマイナーリーグにも伝播し、各国を翻弄します。
 トランプ前とトランプ後で世界は一変する
のです。

 本特集では歴史に学びながら、地政学的な観点から劇変世界を解き明かしていきます。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 山口圭介)



Yahooニュース 4/14(金) 4:23 JSF  | 軍事ブロガー
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20170414-00069892/

弾道ミサイル防衛システムの同時可能対処数は?


●米ミサイル防衛局よりFTM-13「ステラーグリフォン」実験、複数目標同時撃破

 ミサイル防衛システムは同時対処可能な数以上の敵ミサイルを一度に処理しきれないので、同時飽和攻撃を仕掛けられると弱いという問題点があります。
 そこでアメリカ軍の開発した弾道ミサイル防衛システムの同時対処可能な数はどれくらいなのか、軍事機密として正確な数値は非公表ですが、似たような装備の例を参考にしつつ推測することは出来ます。
 最初に結論を言うと、
 迎撃システム一つあたり十数目標に同時対処可能、
 数セットあれば数十目標に同時対処が可能である
と推定します。

■SM-3とTHAADは同時2目標迎撃実験を成功済みだが、
これは上限数ではない

 弾道ミサイル防衛システムのSM-3は2007年11月6日のFTM-13「ステラーグリフォン」実験で弾道ミサイル標的の同時2目標迎撃を成功、THAADは2011年10月5日のFTT-12実験で同様の実験を成功させています。

 そしてこの2発という数字は上限を意味しません。
 もっと多くの目標を同時撃破可能ですが、複数目標対処能力を確認する為には2発で十分なのでこれで止めているだけなのです。
 最大迎撃可能数は軍事機密とされ公表されていません。

■イスラエルのアロー2弾道ミサイル防衛システムは同時14目標に対処可能

 イスラエルの弾道ミサイル防衛システム「アロー2」に付いては、同時14個の敵目標を追跡し対処することができるとされています。

Arrow 2’s command and control system is capable of tracking and responding to 14 targets at a time and it is able to detect and track missiles from 500km away with an intercept range of around 10km.
出典:Arrow 2 (Israel) | CSIS(戦略国際問題研究所)

 また同じイスラエルのロケット弾迎撃システム「アイアンドーム」は、実戦で短時間のうちに次々と飛来するロケット弾の迎撃を成功させ、動画に収められています。
[ロケット弾迎撃システム「アイアンドーム」による12発同時迎撃(2012年11月16日の筆者ブログ記事)]

 アロー2弾道ミサイル防衛システムが用いるEL/M-2080S「スーパーグリーンパイン」レーダーは、アメリカ軍のTHAADシステムが用いるAN/TPY-2レーダーと形状や大きさがよく似ており、おそらく電源の出力も似たようなもので、レーダーアンテナの素子なども同じ時期の技術を用いているので、近い性能を発揮するものと推定できます。
 アロー2が同時14目標に対処できるなら、THAADも同等かそれ以上の性能を持っている可能性は高いと言えるでしょう。

 イージス艦が用いるSM-3迎撃ミサイルに付いても同じように推定ですが十数目標の同時迎撃が可能である事が言えると思われます。
 しかしSM-3は高価なミサイルの為、日本の海上自衛隊ではイージス艦1隻当たり「8発」しか装備されていません。
 そしてPAC-3はそもそも迎撃可能範囲が狭いので、守備範囲の付近に敵ミサイルが落ちてこない限りは対応できません。

★北朝鮮ノドン弾道ミサイルのランチャー数は50基以下(2013年5月5日) - Y!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20130505-00024740/

 数年前の資料と少し古いですが、北朝鮮が日本向けに用意しているノドン弾道ミサイルのランチャー数は50基と推定されています。
 スカッドERも入れると、日本まで届く弾道ミサイルのランチャー数は最も多い想定で150基近くある可能性があります
 ただしスカッドのランチャーは多くが韓国への攻撃にも用いる必要があるので、スカッド用ランチャー100基すべてが日本に使用されることは無いでしょう。
 それでも現状の日本の自衛隊だけでは対処の限界を超える可能性があるので、もしも北朝鮮有事が発生した場合には、在日米軍のイージス艦の迎撃協力、そしてハワイや米本土からのイージス艦の増援、THAADの空輸緊急配備などが求められます。

JSF 軍事ブロガー
軍事ブログ「オブイェクト」管理人。オスプレイや弾道ミサイル防衛、無人攻撃機など、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。




毎日新聞2017年4月15日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20170415/ddm/002/030/044000c

米朝対立、神経戦 軍事行動、双方けん制

 北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる米国と北朝鮮の対立が深刻化している。
 特に、北朝鮮が二つの記念日に6回目の核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を強行するのでは、という観測が流れ、それに米国が先制攻撃で応じる準備を進めているというテレビ報道もある。
 米朝の戦闘は現実的ではないが、両者とも国内外の世論をにらみながらの神経戦を続ける。

 巡航ミサイルで7日(シリア時間)に、シリアを電撃的に攻撃したばかりのトランプ米政権。
 今度は北朝鮮への圧力を急激に強める。
 北朝鮮近海に原子力空母「カール・ビンソン」を急派したのに続き、13日にはアフガニスタンで核兵器に次ぐ大規模な新型爆弾を投下し、軍事力を誇示した。

 15日の金日成(キムイルソン)主席生誕105周年、25日の朝鮮人民軍創建85周年という記念日に、北朝鮮が核・ミサイル実験に打って出るのではとの見方が広まる。
 米メディアは複数の米情報機関当局者の話を引用し
 「北朝鮮が核実験の準備に入れば、米軍が通常兵器で先制攻撃する準備に入った」(NBC放送)
と伝える。
 ただ、この先制攻撃の準備について否定的な報道もある。

 「シリアと違い、北朝鮮が報復措置を取るのは確実」。
 米国の軍事専門家の多くはこう指摘する。
 北朝鮮が韓国や日本などに向け弾道ミサイルを発射するのは間違いない。
 最悪の場合、化学兵器や核兵器を弾頭に装備することも考えられる。

 北朝鮮に対する軍事行動の選択肢について、マティス米国防長官は11日の記者会見で「話したくない」と述べ、日韓両国とその内容について既に相談を始めたと強く示唆した。
 日本政府は万が一、米軍が北朝鮮を攻撃する場合は日米両政府による事前協議を求めており、日本政府高官は14日、「米国も(攻撃すれば)日韓に被害が及ぶことは分かっていると思う」と話した。
 菅義偉官房長官は「直ちに邦人の安全に影響がある状況ではない」と、冷静な対応を呼びかけている。

 日本政府は韓国への渡航中止や退避勧告などは行わず、11日に注意喚起を促す海外安全情報を出すにとどめている。
 一方、13日の国家安全保障会議(NSC)関係閣僚会合では、約3万8000人いる韓国在留邦人の保護の対応などを確認した。

■北朝鮮、圧力には「超強硬」

 「米国が無謀な軍事作戦に打って出るなら、我々は先制攻撃で対応する」。
 北朝鮮の韓成烈(ハンソンリョル)外務次官は14日、平壌でAP通信のインタビューにこう答えた。
 また、北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部報道官は14日付の声明で、米軍から攻撃を受けた場合に「超強硬対応で粉砕する」報復攻撃先として在日米軍基地も挙げた。
 米国の圧力が強まるにつれ、北朝鮮側の言動も過激さを増す。

 北朝鮮は当初、トランプ政権に期待感さえ抱いていた。
 非核化前提でない対話に応じなかったオバマ前大統領とは違い、トランプ大統領を「賢明な政治家」と評価したことさえあった。

 しかし状況は一転し、米シンクタンクは衛星写真の分析から北朝鮮が核実験準備を終えたと見る。
 韓次官も、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労動党委員長が決断すれば、6回目の核実験をいつでも強行できる状態だと訴える。

 トランプ氏は北朝鮮の最大支援国・中国の習近平国家主席に対し、北朝鮮に圧力をかけるよう要請し、それができなければ独自行動を取ると警告。
 中朝関係は好転の兆しが見えず、金委員長は習主席と意思疎通が図れる状況にはない。

 韓次官は「トランプ氏は、我々が問題を起こしているように表現するが、今問題を起こしているのは米国の方だ。我々ではない」と述べた。
 北朝鮮の対外政策に「譲歩」という選択肢はない。
 譲歩すれば金委員長への忠誠心が不足しているとみなされ、処罰される。表明できる措置は「超強硬」「超々強硬」しかない。

 北朝鮮では15日、金主席生誕105周年を祝う式典が開かれ、祝祭ムードで盛り上がる。
 現地からの報道を見る限り、戦闘に備えるといった雰囲気はない。

 中国は「緊張の中でも対話再開の機会を探ることができる」(13日・王毅外相)との立場を続ける。
 米朝対話の中断こそが北朝鮮を強硬姿勢に向かわせた最大要因との認識から、双方に対話のテーブルについて事態を収拾するよう働きかけるとみられる