『
サーチナニュース 2017-04-29 22:12
http://news.searchina.net/id/1634802?page=1
日本は「高齢化というピンチ」を「チャンス」に変えられる=中国
「ピンチはチャンスなり」という言葉を見聞きしたことのある人は多いだろう。
国でも企業でも、困難な状況を逆手に取り、それを打開するための努力をすることで、より大きく成長するきっかけになったという事例は枚挙にいとまがない。
例えば、日本ではかつてオイルショックや公害という問題が起きたが、このような問題が今日における日本の「省エネ技術」や「環境保護技術」につながった。
日本は現在、少子高齢化という大問題に直面しているが、中国メディアの北京商報網はこのほど、中国社会科学院日本研究所に所属する研究者の見解として、日本は少子高齢化というピンチをチャンスに変えることができると説明した。
記事は、世界の長寿国である日本では高齢化が深刻な問題となっており、高齢化率も非常に高いことを指摘。
出生率は低下を続けており、すでに地方では人口減少が深刻化していることを紹介する一方、日本の高齢化という現象をビジネスという観点から見れば
「日本は世界でもっとも進んだ高齢者向けビジネスが展開されている国の1つ」
と言い換えることができると指摘した。
続けて、高齢者というセングメントを消費者のグループの1つとみなし、日本では手厚い介護のみならず、多種多様な高齢者ビジネスが展開されていることを指摘。
日本経済にとって少子高齢化は大きなピンチではあるものの、「人間は誰でも老いるもの」であり、高齢者は世界中に存在するため、日本国内の事例を活用して日本企業は世界各国で高齢者向けビジネスを展開するというチャンスがあると指摘した。
日本の高齢者市場は2015年には100兆円を超える規模にまで成長するという見方がある。
また高齢者市場には介護産業だけでなく、医療・医薬産業なども含まれるが、日本がかつてオイルショックや公害という問題を逆手にとって、世界をリードする「省エネ技術」や「環境保護技術」を開発したように、いずれは日本の高齢者向けサービスが世界をリードすることになるかもしれない。
』
『
サーチナニュース 2017-05-01 11:42
http://news.searchina.net/id/1634824?page=1
「人に迷惑をかけない!」
日本の高齢者、不憫なのか、それとも幸せか=中国
退職後の楽しみは孫の世話と広場ダンス、それに麻雀という中国の高齢者は多い。
一族で円陣を組むかのようにして助け合い、賑やかな毎日を好む中国人にとっては、「子どもに迷惑をかけたくない」として、子どもの世話になろうとしない日本の高齢者は孤独で不憫に感じるようだ。
しかし、日本の高齢者はそんなに不憫なのだろうか。
中国メディアの今日頭条は20日、「人に迷惑をかけない」日本の高齢者に関する記事を掲載した。
記事は、高齢化が進む日本では社会において高齢者が重要な存在となっていることを指摘し、
日本の高齢者は中国の高齢者と違って
★.「自立していて自信にあふれ、
積極的に社会的な責任を果たしており、
まさに生涯現役という言葉がぴったり」
であることを紹介した。
また、日本の高齢者はインターネットなど新しいものへの関心も高く、気持ちはいつまでも若々しく、自分のしたいことに全力で挑戦し、子の世代と比べても「健康と趣味により熱心」だと分析。
特に、
★.子どもたちに「迷惑をかけない」ために、自分の面倒は自分で見るという考えが強く、
★.孤独死した高齢者に関するニュースに対して、
別の高齢者が、「生前誰にも迷惑をかけなかったのだから幸せだったに違いない」
という見方をする場合もあることを紹介した。
記事は、
★.日本の高齢者は責任感があって前向きで、社会に貢献したいと思っている
とまとめ、だから高齢になっても働き続けるのだろうと推測した。
いくつになっても、社会の役に立つことで社会とのつながりを見出そうとする日本の高齢者。
記事が掲載している複数の写真からは、中国人が想像する「不憫」な様子はなく、むしろ生き生きとした感じが伝わってくる。
人に迷惑をかけまいと、
いくつになっても自立して生活すること、
それが日本人が長寿である秘訣の1つなのかもしれない。
』
『
WIRED.jp 6/1(木) 12:30配信 EMILY DREYFUSS
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170601-00010001-wired-int
人工知能は、思った以上に早く「人間の仕事を奪う」かもしれない
トランプ政権下のスティーヴン・マヌーチン米財務長官は、人工知能(AI)が職を奪うのは「50~100年先の話」だと語った。
しかし、多くの専門家はより大きな危機感をもっている。
「もっと早くAIが人間の仕事を奪う可能性がある」と見通す予測の内容と、いま「機械との競争」について本当に考えなければならないこととは。
■AIは人間の仕事を奪わず、新たな雇用をつくりだす
:アナリストとの対話より
「人工知能(AI)が職を奪うという意見がありますが、現状はそこからかけ離れており、わたしのレーダーには映ってさえいません。
50~100年先の話だと思います」。
2017年3月24日、スティーヴン・マヌーチン米財務長官はワシントンの聴衆を前にこう語った。
よかった!一安心だ!
トランプ米大統領も、今後数年で自律走行トラックが何千万人もの運転手にとって代わることはないと確信しつつ、冒頭の写真のように大型トラックに乗り込むことができそうだ──。
だが、マヌーチン財務長官は間違っている。
それも「超」がつくほど大きな見当違いをしている。
AIは、人々の職を奪うだけでない。
AIが奪おうとしているのは、古いタイプのオートメーションによってすでに多くが奪われたあとに残った、数少ない貴重な仕事でもあるのだ。
技術者や経済学者はこれを知っている。
ロボットやコンピューターのせいで失業した人も知っている。
知らないのは、ホワイトハウスにいる人々だけである。
■赤いランプはすでに点灯している
ビジネスとテクノロジーの変化に関する専門家で、マサチューセッツ工科大学(MIT)「Initiative on the Digital Economy」の共同創設者であるアンドリュー・マカフィーはこう語る。
「マヌーチン財務長官の発言は、今後50~100年の間にコンピューターが経済に何ら影響を及ぼさないと言っているのに等しい。
業界でそんなことを信じている人に、わたしは会ったことがありません」
マカフィーは2017年3月、チャールズ川を見下ろすMITの一室に、AI・オートメーションと雇用に関する専門家140人を集めた会議を開催した。
そして参加者に対して、マヌーチン財務長官が問われたのと同じ質問をした。
「すべての仕事をロボットが行うようになるのはいつか?」
という質問だ。
別の言い方にすれば、「どれくらいの危機感をもっているか?」という問いになる。
専門家たちのレーダーには、危険を知らせる赤いランプがすでに点灯している。
この会議には、エンジニアや科学者のほかに、トヨタやIBMのような企業の代表者、2016年の選挙でワシントンから追い出された政治家らが参加していた。
彼らは、2032年までに道路を走るトラックの半分は人間の運転手を必要としなくなるだろう、という結論を出した。
現在のトラック業界の規模で考えると、オートメーションへの移行により、今後15年のうちに175万人が職を失う計算になる。
しかも、これはひとつの業種に過ぎない。
会場内には、オートメーションは近いうちに、医療記録を分析する仕事で人間に代わるようになるという意見もあった。
専門家たちは、2026年までには、そうした仕事のほとんどを機械が行うようになると見積もっている。
さらに、2036年までにロボットがほとんどの外科手術を行うようになると予測する専門家は半分近くに上った。
また、2028年には航空管制業務の95パーセントはロボットが処理するだろう。
2036年には米国内にある工場のほとんどは20人以下の作業員で稼動するようになる。
2034年までには、「Fortune 500」の企業で経営業務を担当するのは、人間よりロボットのほうが多くなるという。
■人を傷つけないAIの未来を
マカフィーの独自調査からも、オートメーションのせいで中産階級が空洞化していることがわかる。
この現象が顕著に現れているのは、男性だ。
昔から男性が手作業でしてきた仕事は、女性が従事してきたサーヴィス業や人を世話する仕事に比べて自動化が簡単だからだ。
「米国の中産階級はルーチンワークに支えられて成り立っていましたが、
そうした仕事の多くがすでにオートメーション化されています」
とMITのマカフィーは指摘する。
そして今度は、その残りをAIが奪う可能性があるという。
AIは、パターンを認識しマッチングさせる作業に特に秀でている。
要するに、医師や会計士がやっていることだ。
優れたニュース記事を書くことさえ、ロボットができる。
「自律走行車が視覚障害者を避けて通るというのは、素晴らしいSF的な話です」
とマカフィーは言う。
だが政治家や技術者は、そうした世界を正しく実現する方法を慎重に考える必要がある。
MITで行われた会議では、陰鬱な見通しと熱のこもった提案が多く挙げられたが、それらのテーマは終始一貫していた。
参加者たちは、「どうしたらオートメーションを、人間を傷つけるのではなく助けるものにできるのか」を考えようとしていたのだ。
マヌーチン財務長官が、「必要ない」として議論しなかったテーマである。
クリントン政権とオバマ政権で大統領の首席経済顧問を務めたジーン・スパーリングは、
「ワシントンの外ではこの問題が最重要課題になっていますが、ワシントンのなかでは状況がまるで違います」
と言う。
囲碁の対局やポーカーでは、想定されていたより早くAIが人間を打ち破った。
同じテクノロジーが世界経済に大きな変化をもたらすまでに、これから50年もかかるだろうか?
そうした変化は、長い目でみれば経済にいい影響をもたらすかもしれない。
だが、同時にダメージも与えるだろう。
』
『
WIRED 2017.05.24 WED 18:00 CADE METZ
http://wired.jp/2017/05/24/revamped-alphago-wins-first-game-chinese-go-grandmaster/
進化を遂げた囲碁AI「AlphaGo」の勝利に、
人工知能の未来を見た:
『WIRED』US版リポート
世界最強とされる囲碁棋士・柯潔(カ・ケツ)が、グーグル傘下のDeepMindによる囲碁の人工知能(AI)「AlphaGo」 と対局した2017年5月23日。“見えない”相手と対峙していた柯は、AlphaGoの「普通とは違う」囲碁のスタイルを逆手に取って打ち負かそうとしていた。
ところがこの策は、19歳の最強棋士が思っていたようには運ばなかった。
4時間15分を経て、AlphaGoが三番勝負の初戦を制したのである。
関連記事:AlphaGoの初戦勝利:開発者は「人間の勝利である」と言う
AlphaGoは2016年、韓国のトップ棋士であるイ・セドルを下し、プロの囲碁棋士を破った最初の“機械”となった。
古い歴史がある囲碁というゲームの複雑さを考えれば、これは大半のAI研究者たちが達成には何年もかかると信じていた偉業だといっていい。
そしてAlphaGoが満を持して臨んだのが、今回の柯との対局だ。
AlphaGoを開発したDeepMindの創業者でCEOのデミス・ハサビスによると、AlphaGoは囲碁だけに限らず現実世界での広範な応用にも適した、より強力な新しいアーキテクチャーに支えられているのだという。
すなわち、人間の手で生成されたデータへの依存を抑え、自分自身との対局からゲームをほぼすべて学習できる新しいアーキテクチャーを引っさげて公の場に出たのである。
これは理論上、DeepMindのテクノロジーがどんなタスクであっても、もっと簡単に学習できることを意味している。
■AIが囲碁の“定石”まで変えた
今年1月、AlphaGoの“化身”が「Master」(マスター)という別名でインターネットの囲碁サイトに現れ、柯を含む世界トップクラスの打ち手と立て続けに対局。全60局すべてで勝利を収めた。
23日の初戦は、その流れを汲んでいた。
柯は先手の黒を選び、「三々入り」と呼ばれる手を繰り出した。
これはAlphaGoが1月にMasterとして戦った際によくつかった手だ。
解説者の棋士、マイケル・レドモンドはこう評した。
「Masterと対局して以降、彼は変わりました。
Masterのような手をたくさん使うようになっています」
確かにMasterと対局して以降、柯はほかの有力棋士との対局中に、よくこの手の初手を打つようになった。
事実、柯は対局後に「AlphaGoから受けた影響は、かなり広範にわたっています」と語った。
この発言はDeepMindのハサビスにとって、伝統ある囲碁というゲームの手法そのものに、AlphaGoが変化をもたらしている証左でもあった。
それと同時に、
いかにAIが人間に取って変わりうるのか、
いかにAIが人間の力を“拡張”できるのかも示した
といえる。
実際にAlphaGoは、DeepMindの開発チームの予想さえも上回る早い段階で、試合の流れをつかんだ。
対局は6時間以上かかると予想されていたが、ゲーム開始からたった3時間半でAlphaGoは盤上をすっかり制し、対局の解説者たちも柯が挽回するチャンスをほとんど見出せなかった。
それから1時間もしないうちに、勝負はついた。
「なにが興味深いかって、AlphaGoがとにかく進化し続けている点です」
と解説を担当していた棋士の李夏辰(イ・ハジン)が話す。
「もちろん、これまでも非常にいい出来でしたけれども」
■仮の姿だった「囲碁AI」
Masterとして戦った一連の対局における60連勝という恐るべき成績を考えれば、たとえ世界最強とされる柯であっても、残り2回の対局で勝利を収めるのは難しいだろう[編註:柯とAlphaGoの対局は25日と27日に行われる予定]。
だがこの対局は、AlphaGoのみならず、AI全般の継続的な進化を評価するよい機会といえる。
すでにインターネットサーヴィスからヘルスケア、ロボット工学にいたるまで、ありとあらゆるものに革新を起こしている機械学習のテクノロジーに支えられたAlphaGoは、AIの未来の姿を映し出している。
この点を、実は最初の対局が始まったときから、DeepMindのハサビスは強調していた。
AlphaGoの新しいアーキテクチャーが、ゲーム以外のタスクのほうが適していることを明らかにしたのだ。
なかでも彼が強調したのは、このシステムが科学の研究の進展を加速させるだけでなく、送電網の効率を大幅に向上させられる可能性までもつことだった。
DeepMindの親会社であるグーグルにとって今回の対局は、将来的に同社のサーヴィスを中国で再開するための絶好のPRの機会でもある[編註:グーグルは2010年に中国でのサーヴィス提供を終了し、実質撤退した]。
グーグルのAndroid OSは中国でも普及しているが、当局の規制によってGmailやGoogle検索といったオンラインサーヴィスの公式な提供ができていない。
しかし同社は将来的に、再び中国でサーヴィスを提供できるようになることを望むとの見解を出している。
世界中から集まった報道陣が今回の対局会場に到着したとき、彼らにはGoogle翻訳のアプリについて、英語と中国語の両方で説明されたチラシが渡された。
Google翻訳は、AlphaGoを支える機械学習の一種、ディープニューラルネットワークによって稼動しているのだ。
AlphaGoの進化が示唆するのは、アーキテクチャーの刷新が実にうまくいったということだ。
その変化に、対局が始まったときから柯は気付いていた。
「AlphaGoは完全に違う打ち手になっていた」と、対局後の記者会見で彼は語ったのである。
「まるで囲碁棋士の神様だ」
』
サーチナニュース 2017-05-01 11:42
http://news.searchina.net/id/1634824?page=1
「人に迷惑をかけない!」
日本の高齢者、不憫なのか、それとも幸せか=中国
退職後の楽しみは孫の世話と広場ダンス、それに麻雀という中国の高齢者は多い。
一族で円陣を組むかのようにして助け合い、賑やかな毎日を好む中国人にとっては、「子どもに迷惑をかけたくない」として、子どもの世話になろうとしない日本の高齢者は孤独で不憫に感じるようだ。
しかし、日本の高齢者はそんなに不憫なのだろうか。
中国メディアの今日頭条は20日、「人に迷惑をかけない」日本の高齢者に関する記事を掲載した。
記事は、高齢化が進む日本では社会において高齢者が重要な存在となっていることを指摘し、
日本の高齢者は中国の高齢者と違って
★.「自立していて自信にあふれ、
積極的に社会的な責任を果たしており、
まさに生涯現役という言葉がぴったり」
であることを紹介した。
また、日本の高齢者はインターネットなど新しいものへの関心も高く、気持ちはいつまでも若々しく、自分のしたいことに全力で挑戦し、子の世代と比べても「健康と趣味により熱心」だと分析。
特に、
★.子どもたちに「迷惑をかけない」ために、自分の面倒は自分で見るという考えが強く、
★.孤独死した高齢者に関するニュースに対して、
別の高齢者が、「生前誰にも迷惑をかけなかったのだから幸せだったに違いない」
という見方をする場合もあることを紹介した。
記事は、
★.日本の高齢者は責任感があって前向きで、社会に貢献したいと思っている
とまとめ、だから高齢になっても働き続けるのだろうと推測した。
いくつになっても、社会の役に立つことで社会とのつながりを見出そうとする日本の高齢者。
記事が掲載している複数の写真からは、中国人が想像する「不憫」な様子はなく、むしろ生き生きとした感じが伝わってくる。
人に迷惑をかけまいと、
いくつになっても自立して生活すること、
それが日本人が長寿である秘訣の1つなのかもしれない。
』
『
WIRED.jp 6/1(木) 12:30配信 EMILY DREYFUSS
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170601-00010001-wired-int
人工知能は、思った以上に早く「人間の仕事を奪う」かもしれない
トランプ政権下のスティーヴン・マヌーチン米財務長官は、人工知能(AI)が職を奪うのは「50~100年先の話」だと語った。
しかし、多くの専門家はより大きな危機感をもっている。
「もっと早くAIが人間の仕事を奪う可能性がある」と見通す予測の内容と、いま「機械との競争」について本当に考えなければならないこととは。
■AIは人間の仕事を奪わず、新たな雇用をつくりだす
:アナリストとの対話より
「人工知能(AI)が職を奪うという意見がありますが、現状はそこからかけ離れており、わたしのレーダーには映ってさえいません。
50~100年先の話だと思います」。
2017年3月24日、スティーヴン・マヌーチン米財務長官はワシントンの聴衆を前にこう語った。
よかった!一安心だ!
トランプ米大統領も、今後数年で自律走行トラックが何千万人もの運転手にとって代わることはないと確信しつつ、冒頭の写真のように大型トラックに乗り込むことができそうだ──。
だが、マヌーチン財務長官は間違っている。
それも「超」がつくほど大きな見当違いをしている。
AIは、人々の職を奪うだけでない。
AIが奪おうとしているのは、古いタイプのオートメーションによってすでに多くが奪われたあとに残った、数少ない貴重な仕事でもあるのだ。
技術者や経済学者はこれを知っている。
ロボットやコンピューターのせいで失業した人も知っている。
知らないのは、ホワイトハウスにいる人々だけである。
■赤いランプはすでに点灯している
ビジネスとテクノロジーの変化に関する専門家で、マサチューセッツ工科大学(MIT)「Initiative on the Digital Economy」の共同創設者であるアンドリュー・マカフィーはこう語る。
「マヌーチン財務長官の発言は、今後50~100年の間にコンピューターが経済に何ら影響を及ぼさないと言っているのに等しい。
業界でそんなことを信じている人に、わたしは会ったことがありません」
マカフィーは2017年3月、チャールズ川を見下ろすMITの一室に、AI・オートメーションと雇用に関する専門家140人を集めた会議を開催した。
そして参加者に対して、マヌーチン財務長官が問われたのと同じ質問をした。
「すべての仕事をロボットが行うようになるのはいつか?」
という質問だ。
別の言い方にすれば、「どれくらいの危機感をもっているか?」という問いになる。
専門家たちのレーダーには、危険を知らせる赤いランプがすでに点灯している。
この会議には、エンジニアや科学者のほかに、トヨタやIBMのような企業の代表者、2016年の選挙でワシントンから追い出された政治家らが参加していた。
彼らは、2032年までに道路を走るトラックの半分は人間の運転手を必要としなくなるだろう、という結論を出した。
現在のトラック業界の規模で考えると、オートメーションへの移行により、今後15年のうちに175万人が職を失う計算になる。
しかも、これはひとつの業種に過ぎない。
会場内には、オートメーションは近いうちに、医療記録を分析する仕事で人間に代わるようになるという意見もあった。
専門家たちは、2026年までには、そうした仕事のほとんどを機械が行うようになると見積もっている。
さらに、2036年までにロボットがほとんどの外科手術を行うようになると予測する専門家は半分近くに上った。
また、2028年には航空管制業務の95パーセントはロボットが処理するだろう。
2036年には米国内にある工場のほとんどは20人以下の作業員で稼動するようになる。
2034年までには、「Fortune 500」の企業で経営業務を担当するのは、人間よりロボットのほうが多くなるという。
■人を傷つけないAIの未来を
マカフィーの独自調査からも、オートメーションのせいで中産階級が空洞化していることがわかる。
この現象が顕著に現れているのは、男性だ。
昔から男性が手作業でしてきた仕事は、女性が従事してきたサーヴィス業や人を世話する仕事に比べて自動化が簡単だからだ。
「米国の中産階級はルーチンワークに支えられて成り立っていましたが、
そうした仕事の多くがすでにオートメーション化されています」
とMITのマカフィーは指摘する。
そして今度は、その残りをAIが奪う可能性があるという。
AIは、パターンを認識しマッチングさせる作業に特に秀でている。
要するに、医師や会計士がやっていることだ。
優れたニュース記事を書くことさえ、ロボットができる。
「自律走行車が視覚障害者を避けて通るというのは、素晴らしいSF的な話です」
とマカフィーは言う。
だが政治家や技術者は、そうした世界を正しく実現する方法を慎重に考える必要がある。
MITで行われた会議では、陰鬱な見通しと熱のこもった提案が多く挙げられたが、それらのテーマは終始一貫していた。
参加者たちは、「どうしたらオートメーションを、人間を傷つけるのではなく助けるものにできるのか」を考えようとしていたのだ。
マヌーチン財務長官が、「必要ない」として議論しなかったテーマである。
クリントン政権とオバマ政権で大統領の首席経済顧問を務めたジーン・スパーリングは、
「ワシントンの外ではこの問題が最重要課題になっていますが、ワシントンのなかでは状況がまるで違います」
と言う。
囲碁の対局やポーカーでは、想定されていたより早くAIが人間を打ち破った。
同じテクノロジーが世界経済に大きな変化をもたらすまでに、これから50年もかかるだろうか?
そうした変化は、長い目でみれば経済にいい影響をもたらすかもしれない。
だが、同時にダメージも与えるだろう。
』
『
WIRED 2017.05.24 WED 18:00 CADE METZ
http://wired.jp/2017/05/24/revamped-alphago-wins-first-game-chinese-go-grandmaster/
進化を遂げた囲碁AI「AlphaGo」の勝利に、
人工知能の未来を見た:
『WIRED』US版リポート
世界最強とされる囲碁棋士・柯潔(カ・ケツ)が、グーグル傘下のDeepMindによる囲碁の人工知能(AI)「AlphaGo」 と対局した2017年5月23日。“見えない”相手と対峙していた柯は、AlphaGoの「普通とは違う」囲碁のスタイルを逆手に取って打ち負かそうとしていた。
ところがこの策は、19歳の最強棋士が思っていたようには運ばなかった。
4時間15分を経て、AlphaGoが三番勝負の初戦を制したのである。
関連記事:AlphaGoの初戦勝利:開発者は「人間の勝利である」と言う
AlphaGoは2016年、韓国のトップ棋士であるイ・セドルを下し、プロの囲碁棋士を破った最初の“機械”となった。
古い歴史がある囲碁というゲームの複雑さを考えれば、これは大半のAI研究者たちが達成には何年もかかると信じていた偉業だといっていい。
そしてAlphaGoが満を持して臨んだのが、今回の柯との対局だ。
AlphaGoを開発したDeepMindの創業者でCEOのデミス・ハサビスによると、AlphaGoは囲碁だけに限らず現実世界での広範な応用にも適した、より強力な新しいアーキテクチャーに支えられているのだという。
すなわち、人間の手で生成されたデータへの依存を抑え、自分自身との対局からゲームをほぼすべて学習できる新しいアーキテクチャーを引っさげて公の場に出たのである。
これは理論上、DeepMindのテクノロジーがどんなタスクであっても、もっと簡単に学習できることを意味している。
■AIが囲碁の“定石”まで変えた
今年1月、AlphaGoの“化身”が「Master」(マスター)という別名でインターネットの囲碁サイトに現れ、柯を含む世界トップクラスの打ち手と立て続けに対局。全60局すべてで勝利を収めた。
23日の初戦は、その流れを汲んでいた。
柯は先手の黒を選び、「三々入り」と呼ばれる手を繰り出した。
これはAlphaGoが1月にMasterとして戦った際によくつかった手だ。
解説者の棋士、マイケル・レドモンドはこう評した。
「Masterと対局して以降、彼は変わりました。
Masterのような手をたくさん使うようになっています」
確かにMasterと対局して以降、柯はほかの有力棋士との対局中に、よくこの手の初手を打つようになった。
事実、柯は対局後に「AlphaGoから受けた影響は、かなり広範にわたっています」と語った。
この発言はDeepMindのハサビスにとって、伝統ある囲碁というゲームの手法そのものに、AlphaGoが変化をもたらしている証左でもあった。
それと同時に、
いかにAIが人間に取って変わりうるのか、
いかにAIが人間の力を“拡張”できるのかも示した
といえる。
実際にAlphaGoは、DeepMindの開発チームの予想さえも上回る早い段階で、試合の流れをつかんだ。
対局は6時間以上かかると予想されていたが、ゲーム開始からたった3時間半でAlphaGoは盤上をすっかり制し、対局の解説者たちも柯が挽回するチャンスをほとんど見出せなかった。
それから1時間もしないうちに、勝負はついた。
「なにが興味深いかって、AlphaGoがとにかく進化し続けている点です」
と解説を担当していた棋士の李夏辰(イ・ハジン)が話す。
「もちろん、これまでも非常にいい出来でしたけれども」
■仮の姿だった「囲碁AI」
Masterとして戦った一連の対局における60連勝という恐るべき成績を考えれば、たとえ世界最強とされる柯であっても、残り2回の対局で勝利を収めるのは難しいだろう[編註:柯とAlphaGoの対局は25日と27日に行われる予定]。
だがこの対局は、AlphaGoのみならず、AI全般の継続的な進化を評価するよい機会といえる。
すでにインターネットサーヴィスからヘルスケア、ロボット工学にいたるまで、ありとあらゆるものに革新を起こしている機械学習のテクノロジーに支えられたAlphaGoは、AIの未来の姿を映し出している。
この点を、実は最初の対局が始まったときから、DeepMindのハサビスは強調していた。
AlphaGoの新しいアーキテクチャーが、ゲーム以外のタスクのほうが適していることを明らかにしたのだ。
なかでも彼が強調したのは、このシステムが科学の研究の進展を加速させるだけでなく、送電網の効率を大幅に向上させられる可能性までもつことだった。
DeepMindの親会社であるグーグルにとって今回の対局は、将来的に同社のサーヴィスを中国で再開するための絶好のPRの機会でもある[編註:グーグルは2010年に中国でのサーヴィス提供を終了し、実質撤退した]。
グーグルのAndroid OSは中国でも普及しているが、当局の規制によってGmailやGoogle検索といったオンラインサーヴィスの公式な提供ができていない。
しかし同社は将来的に、再び中国でサーヴィスを提供できるようになることを望むとの見解を出している。
世界中から集まった報道陣が今回の対局会場に到着したとき、彼らにはGoogle翻訳のアプリについて、英語と中国語の両方で説明されたチラシが渡された。
Google翻訳は、AlphaGoを支える機械学習の一種、ディープニューラルネットワークによって稼動しているのだ。
AlphaGoの進化が示唆するのは、アーキテクチャーの刷新が実にうまくいったということだ。
その変化に、対局が始まったときから柯は気付いていた。
「AlphaGoは完全に違う打ち手になっていた」と、対局後の記者会見で彼は語ったのである。
「まるで囲碁棋士の神様だ」
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