● TPPの盟主を目指す日本の経済戦略
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人民網日本語版配信日時:2017年4月30日(日) 7時30分
http://www.recordchina.co.jp/b176664-s10-c20.html
「推進役」の日本はTPPを救えるか?―中国メディア
米国の環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰の望みは失われたが、日本はまだあきらめず、自ら「推進役」をかって出て、米国抜きの11カ国によるTPPを導こうとしている。
新華網が伝えた。
日本の麻生太郎副総理兼財務相はこのほど米国ニューヨークで講演した際、米国が離脱したTPPについて、
米国を除く11カ国での発効に向けて「5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で話が出る」
と述べた。
安倍晋三首相はさきに「(TPPは)米国抜きでは意味がない」と発言していた。
日本政府のTPPに関する立場はなぜ180度転換したのか。
この転換によってTPPは救われるのだろうか。
▽日本はなぜTPPの「推進役」になろうとするのか
日本政府は米国にTPP復帰を要請し続けることをやめ、
自ら「推進役」をかって出て、米国抜きのTPPを導こうとしている。
その背後には深いレベルの原因が横たわる。
★.第1に、日本はアジア太平洋地域の経済一体化の主導権を握ろうとしている。
東アジア全体を主導することは日本の長年の夢で、今回の「バトン引き継ぎ」はこの願望を実現する絶好の機会だ。
日本はTPPで主導権を握ることで、貿易ルールの制定においてより大きな影響力と発言権を獲得しようと考えている。
★.第2に、TPPは日本経済と安倍晋三首相の政治生命にとって極めて重要なものだ。
貿易への依存度の高い典型的な外向型エコノミーである日本は、より高水準、広範囲の自由貿易協定(FTA)を必要としており、TPPは日本経済の力強い成長に向けた基礎をうち立てるものとなる。
より重要なことは、TPPは「アベノミクス」の土台であり、「アベノミクス」の効果がどうなるかが、安倍首相の政治キャリアに直接影響するということだ。
★.第3に、日本は今なおTPPによって米国を制約したいと考えている。
トランプ大統領が就任し、為替レートや農産品などの問題をめぐる日米のずれがますます大きくなっている。
米国は多国間の枠組であるTPPを放棄し、日本と二国間FTAを進めたいとし、これは実際には日本に農産品や自動車などでより大きな譲歩を迫ることにほかならない。
米国の攻勢に直面して、日本が米国抜きのTPPを発効させられれば、逆に米国に制約を加えることになり、米国の企業と労働者は非常に大きな影響を受けることになる。
▽米国抜きTPPに見所はあるか?
安倍政権は「米国抜きTPP」に引き続き幻想を抱いている。
米国を欠いたTPPに見所はあるのだろうか。
TPPが当初、アジア太平洋の多くのエコノミーに重視されたことのカギは、米国が推進役になるだけでなく、一大市場になり、一大資金輸出国になることにあった。
参加各国が米国の主導する自由貿易ルールを受け入れようと考えたのは、米国がTPP参加国に非参加国よりもメリットの多い米国市場への参入資格を与えようとしていたからだ。
中国社会科学院日本研究所外交研究室の呂耀東室長は、
「米国の離脱後、TPPの見通しが大いに割り引かれたことは間違いない。
ベトナムなどの参加国が参加時により多く考えていたのは、米国という大船に乗ることだったからだ」
と話す。
共同通信社はこのほど、ベトナムとマレーシアは米国市場進出を目標としていたため、米国の参加を非常に重視していると伝えた。
ロイター社の報道では、メキシコのグアハルド経済相はこのほど、
「日本がリーダーシップを発揮すれば、……メキシコなど他の参加国は米国抜きでTPPを発効させることのメリットとデメリットを評価することが可能だ」
と述べた。
だが現在、メキシコとカナダの両国は米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をより重視しており、引き続きTPPを推進しても両国の積極的な反応は得られないとみられる。
またTPPをめぐって米国以外の11カ国はこれからすりあわせや交渉のプロセスをたどる可能性がある。
中でもベトナムをはじめとする数カ国はASEAN主導の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の参加国でもあり、左右をよく見比べて、どちらからも利益を得ようと考えて動くことが予想される。
日本は世界3位のエコノミーだが、人口は1億人ほどにすぎず、世界に巨大な製品消費市場を提供することはできない。
TPPの「推進役」が国内市場の小さい、他の参加国と輸出の「パイ」を争う日本に変われば、TPPは他国には受け入れにくいものになり、十分な吸引力をもたなくなることは容易に想像できる。
(提供/人民網日本語版・編集KS)
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サーチナニュース 2017-05-01 15:12
http://news.searchina.net/id/1634837?page=1
日本はなぜ米国抜きでTPPの発効を目指すのか=中国報道
トランプ大統領は2017年1月、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から永久に離脱するとした大統領令に署名した。
日本にとって米国の離脱は大きな誤算だったと言える。
だが、日本は米国抜きのTPPの可能性も模索しており、麻生太郎財務相は19日、米国抜きの11カ国でTPPの発効を目指す「TPP11」の協議が5月に行われると見通しだと述べた。
しかし、香港メディアの鳳凰網は24日付で、米国という大きな市場の存在しないTPPは意味をなさず、日本もTPPを牽引するリーダーにはなれないと主張する記事を掲載した。
記事は、かねてよりTPPに反対していたトランプ氏が大統領になったことで、日本をはじめとするTPP参加国は「針のむしろ」の状況に追い込まれたと指摘。
麻生財務相が日本政府を代表して語ったTPP11構想について「米国に対する乱暴な言論」だと表現する一方で、日本の思惑はTPP11の成立以外にも3つあると説明した。
★.まず1つ目として、オーストラリアなどの国は大きな市場を持つ中国のTPP参加を希望しており、それによりTPP構想を存続させたいと願っていると説明。
しかし、これはアジアの主導的地位にいる日本にとっては非常に不愉快なことであり、それゆえ「中国の参加」を排除するためにTPP11に踏み切ったと論じた。
★.2つ目として、安倍首相がトランプ大統領が考えを変えて再びTPP参加を表明すること期待し、米国の反感を買う可能性があると知りつつもTPP11を持ち出したと説明。
★.また、3つ目として日本は米国との2国間交渉を有利に進めるためのカードとしてTPP11を用いるつもりであると主張した。
最後に記事は、日本がTPP11に対してこうした思惑を抱いているとしても、日本を除いた10カ国は米国という大きな市場のないTPPに対して魅力を感じていないうえ、大きな市場を持つ中国も参加しないのであれば、日本がリーダーシップを取るTPP11には魅力がないものだと論じた。
中国がTPPに参加すれば、大きな市場を持つ中国に主導権を奪われる可能性は排除できない。
また、中国は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導しており、TPPに参加しなくても、自国の影響力を拡大するための枠組みを持っていると言える。
TPPやRCEPは日本と中国の経済的影響力をかけた駆け引きの場でもあると言えよう。
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人民網日本語版配信日時:2017年4月24日(月) 16時50分
http://www.recordchina.co.jp/b176131-s10-c20.html
日本「米国抜きTPP」の交渉推進を決意―中国メディア
日本紙は20日付の報道で、
「麻生(太郎)副総理兼財務相は19日、(米国)ニューヨーク市内で講演し、
……環太平洋経済連携協定(TPP)について、
『米国なしで11カ国でTPPをやろうという話は、5月の(ベトナムで開催される)アジア太平洋経済協力会議(APEC)で出る』
と述べた」
と伝えた。
日本の熱意は20日の段階では反応を呼ばず、日本メディアですら、11カ国がすべてTPP交渉再開を望んでいるわけではないだろうと疑問の声を挙げる。
18日に行われた日米経済対話では、米国のペンス副大統領が、「TPPは過去のもの」と述べている。
環球日報が伝えた。
日本メディアの20日付報道によると、
「麻生太郎副総理兼財務相は19日、ニューヨークで講演した。
米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)に関し『TPPを(米国を除く)11カ国でやろうという話は5月に出る』と明言し、ベトナムで5月後半に開かれる閣僚会合で、米抜きTPPの協議が本格化するとの見通しを示した」
という。
麻生副総理は今後の見通しについて、
「いかなる形式で交渉が妥結するか、各方面の意見を聞かなければならず、今はまだわからない」
などとしている。
トランプ大統領は就任後、ただちにTPP離脱を宣言し、日本は困った状況に追いやられた。
日本紙は20日、
「(日本政府は)TPPを離脱した米国の『復帰』を求めて説得にあたってきたが、当面は困難と判断し、方針転換した。
アジア圏の自由貿易構想では、TPPのほかに、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国でつくる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の締結交渉が進んでおり、年内合意も取りざたされている。
ただ、交渉は中国主導で進んでおり、日本政府は
『市場開放が不十分に終わる恐れがある』(政府筋)
と警戒している。
このため日本が主導したTPPの発効を改めて目指すことにした。
5月にベトナムで開かれるTPP閣僚会合で、11カ国での発効を呼びかける方向で調整している」と伝えた。
菅義偉官房長官は20日の記者会見で、
「米国抜きのTPP発効をめぐって『あらゆる選択肢を排除せず、何がベストであるか主導的に議論を進めていく』と説明。
その上で(5月にベトナム・ハノイで開かれるTPP閣僚会合で)『(米国を含む十二カ国で)合意した高いレベルのルールを実現していくために何ができるのか、各国と議論するのは当然のことだ』と強調した。
一方で、米側には引き続きTPPの意義を粘り強く訴えていく考えも示した」。
日本のこのような方針展開の背景には、新たに設置された日米経済対話メカニズムで18日に初会合が開かれ、米国の打ち出した条件に日本が非常に不満だったことがある。
ロイター社は20日、日本は米国が求める二国間貿易協定締結の圧力を拒絶し、特に日本で厳重に保護されている農業市場の開放を拒んだ。
麻生副総理は、
「2カ国間貿易交渉しても、TPPで見込まれるほどの成果は期待できない」
と述べ、TPPの枠組下で、日本は米国に一連の妥協をし、損失を引き受ける覚悟だったのであり、
「たとえば日米間(の交渉)で日本が失うものがあったとしても、他国から(利益を)とる、という調整ができた。
2カ国間ではそこまでいかない」
との見方を示した。
また日本メディアは20日、日本政府が重点を11カ国の枠組みでのTPPに移したのには、米国を牽制するねらいもあると伝えた。
日本紙は20日、
「米抜きTPPの実現には、米国を外す協定改正が必要となる。
日本やオーストラリアは前向きな一方、ベトナムなど米国との交渉で大幅譲歩した国からは協定内容の変更を求める声があるものようで、11カ国内の温度差は残る」。
「米国を除くTPP参加国11カ国は、5月下旬にベトナムで(APEC貿易相会合にあわえて)関係閣僚会合を開く。
日本政府は、米抜きTPPの発効方法の検討を事務方に指示する共同声明の採択を目指している」
と伝えた。
日本の他に「米国抜きTPP」に関心を寄せるのは、今のところオーストラリアとメキシコだけだ。
ロイター社は20日、
「メキシコのグアハルド経済相は18日、環太平洋連携協定(TPP)から米国が離脱した場合でも、合意文書の文言を修正することで、発効は可能との見方を示した」
と伝えた。
日本メディアは同日、日本国内では、巨大市場の米国を抜いたTPPは日本企業にとってそれほど魅力がないとの声がしばしば聞こえると伝え、日本のテレビの報道でも、日本政府は、「11カ国のTPP」をリードすることで、トランプ政権を牽制できると考えているが、実際に交渉が再開すれば、協定のかなりの部分に変更を加える必要があり、交渉の長期化は避けられないと伝えられた。
日本企業(中国)研究員の陳言・執行院長は、
「日本がリードする『TPP』には実際には意味がなく、成功の可能性は低い。
シンガポールやベトナムなどの参加国がTPPに熱意を示す最大の原因は、貿易政策や関税減免政策を通じて大国への輸出を拡大したいからだ。
日本は世界3位のエコノミーだが、人口は1億人ほどで、世界に巨大な商品消費市場を提供することはできない。
つまり、米国と中国が参加しない状況では、TPPは理念はすばらしいが、意味はなく、日本の経済規模と能力によって、日本がリードするTPPが世界経済に与える影響は非常に小さいものになる。
安倍政権が実際にやりたいのはTPPを通じて徒党を組み、中国を牽制することだが、結果はおそらく安倍首相の思い通りにはならない」
と話す。
(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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人民網日本語版配信日時:2017年5月9日(火) 5時50分
http://www.recordchina.co.jp/b177403-s10-c10.html
「兄貴」なしで「縮小版TPP」を推進する日本―中国メディア
米国が環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱しても、日本は引き続きこの計画を推進し、今は一部の国々と「兄貴分」の米国を欠いた「縮小版TPP」を打ち出そうとしている。
新華社が伝えた。
米国、日本、その他10カ国は昨年2月にTPPの協定文書に署名し、参加国の経済規模を合わせると世界の約40%になった。
だがドナルド・トランプ氏が1月に米大統領に就任すると、ただちに選挙公約通りにTPPからの離脱を宣言。
これを受けて参加国の一部はTPPに対する興味を失い、勢い盛んだったこの計画が有名無実化することになった。
TPPの規定によれば、協定の発効には少なくとも6カ国の承認が必要で、また承認した国の経済規模の合計が12カ国全体の国内総生産(GDP)の85%に達していなければならない。
TPPで2番目のエコノミーであり、国内の承認手続きを終えた唯一の国である日本は、なんとかしてTPPの生き残りをはかろうとしている。
日本の共同通信社の3日の報道では、米国を除く11カ国の首席交渉官がカナダ・トロントで2日間にわたる交渉を行い、
日本はTPP協定にいささかの変更を加えて、引き続き米国抜きの状況での早期発効を目指す考えを明らかにした。
日本は11月中頃に行われるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の開催期間中、他の署名国とともに新たな協定の成立にこぎ着けたい考えだ。
報道によると、米国の離脱後、日本は一度はTPPの実現をあきらめた。
米国抜きでは、日本の米国市場への輸出に何のプラスもないからだ。
だがトランプ大統領が保護貿易主義政策を打ち出すと、
日本政府の内側から日本は先頭に立って自由貿易を守るべきとの声が上がり、声は次第に大きくなっていった。
一部の消息筋によれば、チリとペルーは米国抜きのTPPに興味はなく、TPPを通じて対米輸出増加をねらっていたベトナムとマレーシアも米国抜きのTPPに参加するつもりはない。
カナダとメキシコは米国と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を進めており、TPP残留を約束してはいない。
こうしてみると、引き続きTPPの発効を目指しているのは
オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、それに日本だけだ。
(提供/人民網日本語版・編集KS)
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人民網日本語版配信日時:2017年5月14日(日) 15時10分
http://www.recordchina.co.jp/b177975-s10-c20.html
日本が通貨スワップ協定の規模拡大、
裏にあるのは?―中国紙
日本は最近、ASEANにしばしば秋波を送っている。
このほど行われたアジア開発銀行年次総会では、ASEAN諸国と4兆元(1元=約16円)規模の二国間通貨スワップ協定を結ぶ意向を明らかにした。
「国際商報」が伝えた。
4兆元のスワップ協定は小さい数字ではなく、人々は否応なく日本の動きの背景に何があるかを考えてしまう。
▽想定内のこと
中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲・副研究員は、
「日本がASEANと通貨スワップ協定を結ぼうとしているのは、実際には(中国、日本、韓国やASEANが緊急時にドルを融通しあう)チェンマイ・イニシアチブマルチの一部であり、マクロ調整によって国際金融リスクに対処する手段だといえる」
と述べた。
資料をみると、チェンマイ・イニシアチブマルチの前身は、2000年にタイ・チェンマイで行われたASEAN+3(日中韓)財務大臣会議で合意された「チェンマイ・イニシアチブ」で、金融危機の発生による打撃に対処することを目的として締結された地域レベルの通貨スワップのネットワーク構築に関する合意だ。
主な内容には、ASEANのスワップ協定の数量と金額の拡大、中日韓ASEAN二国間スワップ協定の構築などがあった。
中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院大国関係研究室の鐘飛騰室長(副研究員)は、
「日本とASEANの協力の進展ぶりはこれまでずっと順調で、通貨スワップ合意の締結は想定内のことだ。
米国政府に比べ、日本は地域化の推進により傾いている。
日本にとっては、経済開放にこそ日本の根本的利益がある。
ASEANと日本は貿易、投資、支援など各方面の協力をめぐって阿吽(あうん)の呼吸の関係であり、いずれ通貨協力を強化するとみられていた」
と指摘する。
劉副研究員は分析を進めて、
「4兆円の通貨スワップ協定は規模は大きいが、日本はASEANが1998年の金融危機発生時にチェンマイ・イニチアチブに調印した時のようなせっぱ詰まった状況にはないことを認識すべきだ。
今のASEANは、全体として十分な外貨準備を保有し、ここ数年は輸出も好調で、もはや昔日のASEANとは同日に論じられない。
よって、通貨スワップ協定の成立を後押ししたいなら、日本はタイおよびマレーシアとの二国間交渉によって一歩ずつ話を進めていくべきだ。
今のASEAN諸国が必要としているのは、通貨スワップ協定よりもインフラ建設への投資だ」
と指摘する。
▽円の地域化を促進
日本が通貨スワップ協定の締結を急ぐその立場を考えてみる。
日本の財務省はコメントの中で、
「今回の動きはASEANで事業を開拓する日本企業に便宜をもたらすことがねらい」
などとしているが、別の分析によれば、
日本は実は通貨スワップ協定を通じた円の使用範囲の拡大を目指しているだという。
劉副研究員は、
「通貨スワップ協定の締結のもつ日本にとっての明確なメリットは、
日本がASEANで支援や融資を行う際に、
円建ての決済をより多く行えるようになり、
円の影響力が高まるということだ」
と指摘する。
データをみると、16年下半期現在、日本企業がアジア向け輸出取引で
円を使用する割合は46%で、米ドルの48%と基本的に同じ水準にあり、
円の存在感が高まっているといえる。
鐘室長は、
「1980年代後期以降、日本は円の地域化の構築を試みている。
だが米国の反対や、97年の東アジア金融危機で日本経済が打撃を受けたことなどにより、日本はなかなか機会をつかまえられずにいた。
★.米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱して、アジア太平洋地域での影響力が弱まったことから、
日本の円の地域化推進の窓が開かれることになった」
と指摘する。
日本の動きをみると、ここ数年の加速を続ける人民元国際化のプロセスを思わずにはいられない。
劉副研究員は、
「円にとって、人民元国際化は障害ではない。
不確定性は米国から来るものの方が多く、このことは米国政府の円相場に対する批判によく表れている。
日本が真っ先にやるべきことは、米国の政策のリスクをヘッジすることで、これには日本の貿易政策に対する米国からの打撃、6月に米連邦準備制度理事会(FRB)がかなりの確率で行うとみられる利上げ、米国政府が推進する現税政策がもたらすとみられる資本の国境を越えた広い範囲での流動がもたらすリスクが含まれる。
米国の4月の農業分野を除く雇用データの力強さが、FRBの利上げの可能性を高めており、利上げによって資本が新興市場国から急速に流れ出して米国に還流する可能性もあり、日本は事前に警戒する必要がある」
との見方を示す。
劉副研究員は人民元国際化について、
「現時点で、円による通貨スワップ協定の推進はそれほど大きな影響を生じることはない。
国際通貨基金(IMF)がまとめたデータによると、各国が保有する外貨準備のうち、円の割合は4.21%、元は1.07%だ。
円であれ元であれ、この地域におけるドル弱体化の影響を穴埋めし、地域のリスク抵抗力を高めることがより必要になる」
と話す。
鐘室長は、
「人民元の国際化や地域化はすでに基本的な形ができている。
日本はアジアにおける元の地位向上のじゃまをすることはできない。
また日本とASEANが通貨協力を強化することは、アジアのエネルギーの安全保障の向上に一定のメリットがあり、将来はエネルギーの安全保障の分野で、日中がさらに協力を進める必要がある」
と指摘する。
劉副研究員は、
「現在の元について言えば、第一の任務はやはり中国国内の金融の安全性を保障すること、金融リスクを予防することだ。
国際化の過程で、リズムはコントロールが可能で選択も可能だ。
国内の金融の安全性の保障により多く精力を傾けることを第一の任務としなければならない」
と提起する。
(提供/人民網日本語版・編集KS)
』
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