2017年4月17日月曜日

朝鮮半島有事へ動く(14):中国崩壊のトリガーを北朝鮮が引くのか?

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● FNNニュース

 もし、北朝鮮がミサイルへの核弾頭装着の技術を完成していれば、あるいは完成まじかならば、
 その標的は日本と中国
になる。
  ICBMを完成させたところで、アメリカは距離的に遠い。
 アメリカにはこれに対応する迎撃能力を持っている。
 北朝鮮にとって遥か地球の裏側のアメリカにミサイルを何発かぶち込んだところで、その後に空母艦隊によって国を蹂躙されるだけのことである。
 昔戦った相手に溜飲を下げた後には、破滅が待っているだけのことにすぎない。
 なら、北朝鮮の狙いとはなにか。
 東京と北京はあまりに北朝鮮に近すぎる。
 ミサイルを撃ち落とすことはほぼ不可能とみていい。
 1300kmの射程距離なら東京と北京はすっぽり入る。
 ということは、北朝鮮は中国と日本を脅迫できる立場に立っているということでもある。
 アメリカという目標を際立たせることによって裏の目的をカモフラージュしているようにみえる。
 以前の中国なら北朝鮮をコントロールできたであろうが、いまの中国には北朝鮮への影響力は見る影もなく薄いとみていい。
 つまり、北朝鮮は中国の手を離れて独自に動いているとみるのが妥当ということである。
 といって、中国には北朝鮮に軍事力を自ら行使できる決断はできない。
 平和国家を標榜している限り、中国は北朝鮮には攻め込めない。
 アメリカが侵攻して、その対応として北朝鮮を守るという自衛としての名目で動けるだけである。
 中国はよって北朝鮮の核開発が怖いが、表だって動けないというジレンマに陥っている。
 もしアメリカが核を排除してくれるなら、中国としては万々歳になる。
 もちろんラッパのように悪口雑言でアメリカを非難することにはなるが。

 ところでもし北朝鮮がこれまでの中国のやり方に業を煮やし、ミサイルのボタンを押したらどうなるか。
 北京に核爆弾が数発落ちれば、共産党組織は壊滅し、統一を仕切る政体はなくなる。
 独裁国家は脆い。
 権力中枢を失ったとき、支離滅裂になる。
 解放軍空軍と海軍は命令の出所を失い空中分解となる。
 このとき息を吹き返してくるのは解放軍の地方軍閥であろう。
 陸軍軍閥が各地に勢力を延ばし群雄割拠ということにもなりかねない
 その中でも
 北朝鮮と接する瀋陽軍閥は特に強力
である。
 というのは瀋陽は昔の奉天であり、清国の出身元であり、満州の中心でもある。
 歴史をさかのぼると17世紀にこの地の女真族が隣の朝鮮半島を征服して清国を作った。
 その時の首都が奉天(瀋陽)である。
 その後、清は中国全土を支配して北京を首都にする。
 清国とは満州族の国家である。
 清国は滅亡したが、満州族をメインにする瀋陽軍閥はそれゆえに強力である。
 北朝鮮が中国の経済的制裁の下でも核開発を続行できたのは
 この反北京の瀋陽軍閥の援助があったからだとされている。
 もし、北朝鮮が北京を滅ぼせば、いまは静かに名目上共産党下にある瀋陽軍閥が一気に表面に躍り出てくる可能性もある。
 中国は騒動化して、チベット、新疆ウイグル、内モンゴルといった自治州は独立へ動くかもしれない。
 台湾は独立するだろう。
 香港もシンガポール化の方向で動くだろう。
 北朝鮮の核開発とは中国共産党の生命線に近い大きな問題でもあり、中国そのものの問題でもある。
 これは重々承知しているが、共産党と瀋陽軍閥の綱引きで動きがとれなくなっているのがいまの中国でもある。 
 つまり、北朝鮮は日本と中国を人質にとっている、ということでもある。

 中国が北朝鮮を脅すということは、屈服させる、ということと同じである。
 果たして中国は北朝鮮を屈服させることができるか。
 もしそれができないなら、
 北朝鮮の怒りは中国に向かう、この裏切り者!!と。 
 この時、中国は隣国に反中国国家を持つことになる。
 この中国の危険なカケに追い込んだにはトランプであろうか、金正恩なのか。
 それとも、習近平が権力保持という目的のためにアメリカとの友好という宝の山を囲い込んだのか。
 追い込んだネズミは手ごわい
ということを中国は理解しているだろう。
 憎悪は長年の敵ではなく、いまその状況を作り出した中国にむかう。
 中国は非常に危険なカケをしているように見える。
 北朝鮮というアリの一穴から、中国という大堤防が崩れる可能性もある。
 もし、北朝鮮への北爆が行われなかったときは、
 北朝鮮の恨みはアメリカではなく、近親憎悪として中国に絞らていくる。 


ダイヤモンドオンライン 2017.4.17 田岡俊次:軍事ジャーナリスト
http://diamond.jp/articles/-/124912

米空母派遣でも「北朝鮮攻撃」の可能性はほとんどない理由

 4月6日、7日のフロリダ・パームビーチでの米中首脳会談翌日の8日、米太平洋艦隊は原子力空母「カールヴィンソン」(9万3000t、約60機搭載)を北西太平洋に派遣すると発表した。
 同艦は3月からの米韓合同演習「フォール・イーグル」に参加後シンガポールに寄港、オーストラリアを親善訪問する予定だったが、俄かに朝鮮半島周辺海域に向かった。

 米中首脳会談では双方とも「北朝鮮の核・ミサイル開発が深刻な段階に達した」との認識を示し、「国連安保理の制裁決議の完全な履行」で一致したが、具体的な方策は決まらなかった。
 トランプ大統領は「米国が独自の行動を取る可能性」を示唆し、その姿勢の表明として空母を派遣した、と見られる。

 だが、米国にとっても北朝鮮に対する攻撃は第2次朝鮮戦争に発展する公算が大で、米軍、韓国軍に多大の人的損害が出るのみならず、韓国と北朝鮮に致命的な災禍をもたらすから、
 空母派遣も北朝鮮と中国に向けた一種の政治的ジェスチャーに過ぎないだろう。
 ただし、威嚇が効果をあげない場合、
 トランプ大統領は振り上げた拳を振り下げざるをえない立場になる危険はある。

 全面的攻撃ではなく、北朝鮮の首脳部や指揮中枢に対する特殊部隊の急襲が検討されている、と報じられるが、要人の所在もリアルタイムで知ることは極めて困難、これも全面戦争の口火となる公算が高く現実性は乏しい。

■過去にも核施設攻撃を検討
米韓の被害も大きく諦める

 米国は1994年にも北朝鮮の核施設に対する 「外科手術的攻撃」(surgical strikes)を検討した。
 1990年にソ連は北朝鮮を見捨てて韓国と国交を樹立、92年に中国もこれに続いたため、孤立した北朝鮮は核開発を始め、93年にはNPT(核不拡散条約)脱退を宣言した。
 のち脱退は留保したが、査察には非協力的で、核兵器製造を目指している疑いが濃厚となった。
 このため93年1月に発足したクリントン政権では寧辺(ヨンビョン)の原子炉や使用済み燃料棒からプルトニウムを抽出する再処理施設を航空攻撃で破壊すべきだ、との声が高まり、米軍はその命令が出た場合に備えて、計画、準備を始めた。

 だが在韓米軍司令部では、「核施設を攻撃すれば北朝鮮は朝鮮戦争の停戦協定は破棄されたとして、戦争再開となる公算大」との見方が強かった。
 ソウル北方約40kmの停戦ライン(南北境界線)のすぐ北には、
 朝鮮半島を横断する全長約230km、
 奥行き約30kmの地下陣地
が朝鮮戦争中、中国軍によって築かれ、米軍の猛攻撃に耐えた。

 北朝鮮軍はそこにトラックに乗せた22連装の240mmロケット砲(射程60km)や、
 170mm長距離砲(同40km)など、砲2500門を配備
していると見られた。
 戦争が再発すれば、
 韓国の人口の3分の1以上が集中するソウル首都圏が「火の海になる」
との北朝鮮の呼号はあながち虚勢でもなかった。

 核施設を攻撃するなら、その以前か同時にこの大要塞地帯を制圧する必要があり、大規模な地上戦となる。
 在韓米軍による損害見積もりは、
「最初の90日間の死傷者は米軍5万2000、韓国軍49万、民間人の死者100万以上」
と出た。

 この報告は航空攻撃だけを考えていたワシントンの政治家、高官らに冷水を浴びせた。
 クリントン政権は攻撃を諦め、カーター元大統領に訪朝し金日成主席と会談するよう要請した。
 この会談で北朝鮮は核兵器開発を凍結し、見返りに米国は軍用の高純度プルトニウムが抽出しにくい軽水炉を供与する、などの合意が成立、戦争の危機は回避された。

■弾道ミサイルの監視は不可能
日本にも大量の避難民

 今日、「外科手術的攻撃」はその当時よりはるかに困難でリスクが大きい。
 原子炉や再処理施設は大型で空から丸見えだから航空攻撃で破壊するのは容易だったが、核弾頭はどこへでも隠せる。
 「核の弾薬庫はこのあたりにあるらしい」との情報もあるが詳細な位置は分からないし、本当かどうかも怪しいうえ、移動するのも簡単だ。
 相手の反撃能力も弾道ミサイルになって格段に高まった。
 これを先制攻撃で破壊しようとしても、移動式発射機に載せて山間部のトンネルに隠し、出て来るとミサイルを立てて発射するからどこにあるか分からない。
 偵察衛星は地球を南北方向に1周約90分で周回し、地球は東西方向に自転するから、世界各地上空を1日約1回通るが、時速約2万8000kmだから北朝鮮上空は1分程で通過する。
 宇宙センターや飛行場、造船所など固定目標は撮影できるが、移動目標の監視は不可能だ。

 静止衛星は赤道上空を高度約3万6000kmで周回するから、地球の自転の速度と釣り合って止まっているように見える。
 電波の中継には便利だが、地球の直径の約2.8倍も離れた距離にあるからミサイルは見えず、その発射の際に出る赤外線(熱)を感知できるだけだ。

 最大高度が2万mに近いジェットエンジン付きグライダーのような無人偵察機「グローバル・ホーク」を多数投入し、交代で北朝鮮上空を旋回させておけば、発射機が出て来てミサイルを直立させる光景を撮影することは可能だが、平時にそれをやれば領空侵犯だし、低速だから北朝鮮の旧式ソ連製対空ミサイル「SA2」(射高2万5000m)でも容易に撃墜される。
 公海上空だけを飛ばせるのでは、多くが北部山岳地帯にあるとされる弾道ミサイルは発見できない。

 また先制攻撃で仮に一部の弾道ミサイルを破壊できたとしても、相手はすぐさま残ったミサイルを発射して来るから、ほぼ同時に全てのミサイルを破壊しないと危険で、それは至難の業だ。
 1994年に核施設攻撃を検討した際と同様、ソウルなどを狙う前線のロケット砲、長距離砲を処理するためには、地上戦で敵の陣地を潰して行くことも必要となるだろう。

 もし戦争になれば北朝鮮には最終的な勝ち目はないから、「死なばもろとも」の自暴自棄の心境となり、韓国の都市や米軍、韓国軍の基地だけでなく、横須賀、佐世保の両港や嘉手納、三沢、横田、岩国などの米軍飛行場に核ミサイルを発射する可能性は十分あるし、東京などを狙うかもしれない。

 仮に幸い日本が直接攻撃を免れたとしても、韓国から途方もない数の避難民が押し寄せることになろう。
 韓国への融資、投資は回収不能となり、その復興に巨額の寄与を迫られることになるだろう。
 日本では「米軍が北朝鮮を叩きつける」と期待し、それを快とする言動もあるが、戦争を現実的に考えない平和ボケのタカ派の発想だ。

■韓国は精鋭特殊部隊編成
要人の動向を把握するのは困難

 第2次朝鮮戦争にならずに問題を解決する手法として、米国、韓国では特殊部隊の潜入で北朝鮮首脳部を処理して体制変革を図る、とか指揮、通信機能を麻痺させてミサイル発射を防ぐ、という策も論じられる。
 3月からの米韓合同演習「フォール・イーグル」にはオサマ・ビン・ラディンを殺した米海軍の「ネービー・シールズ」や陸軍の「デルタ・フォース」も参加し、その演習がテレビで放映された。
 韓国軍も「斬首作戦」のために1000名の精鋭特殊部隊を今年中に編成する計画という。
 だが要人の所在をリアルタイムでつかむことは極めて困難だ。
 O・B・ラディンの殺害は米、英軍が2001年10月にアフガニスタンを攻撃してから10年後だった。
 米、英軍は2003年3月にイラクを占拠したが、サダム・フセインの拘束は9ヵ月後の12月だった。

 地下30m、コンクリートなら6mを貫通する電柱状の爆弾、「バンカーバスター」などで地下の司令部や通信中枢を破壊しようとしても、相手は他の地下壕に移っている可能性があるし、一時的に通信が途絶しても復旧すればミサイルを発射するだろう。

 特殊部隊による暗殺や破壊活動は、もし本当にやる気なら、極秘で計画、準備するものだ。
 そうでなければ相手は警戒して隠れ家を転々としたり、影武者を用意したりするなど、対抗策を取るからだ。
 「斬首作戦」を公言したり、演習を公開したりするのは、それを実行する気がないことを示している。
 あまりにも単純な威嚇だろう。

■失敗した「生かさず殺さず」
米中ともに妙策なし

 トランプ大統領の大胆な「独自の行動」としては金正恩委員長との直接対話も考えられる。
 だが会談でトランプ大統領が最大限の譲歩を示し「米国は北朝鮮と国交を樹立し、その安全を保障する。経済援助もするから核を廃棄しろ」と説いても、相手はいまや存立の唯一の頼りである核を捨てそうにはない。
 せいぜいが、「米国に届くICBMの開発は凍結する」と言う程度だろう。
 それでは日本や韓国は「我々はどうしてくれる」と反発する。
 米国内でも「無法者に褒美を出すのか」と非難が高まるだろう。

 中国が1992年に韓国と国交を樹立して以来、北朝鮮に対し続けてきた「生かさず殺さず」政策は、北朝鮮が自暴自棄になって暴発することを防ぐ効果があり、穏当な策ではあったが、所詮は問題の先送りだ。
 その間に北朝鮮は核・ミサイル開発に成功したのだから、これも失敗と言う外ない。
 この難題を解く妙策はトランプ大統領、習金平国家主席だけでなく、誰にもない
のでは、と暗然たる思いを抱かざるを得ない。



朝鮮日報日本語版 4/17(月) 8:38配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170417-00000612-chosun-kr

(朝鮮日報日本語版) 北朝鮮と中国、核問題で秘密接触か=米報道など

 中国が北朝鮮の核問題とめぐり、北朝鮮側と秘密接触をしているとの報道が米国、中華圏から相次いで伝えられた。

 米NBCテレビは13日、米政府当局者の話として、
 「中国が現状の厳しさを説明するため、『最高クラスの核関連工商担当者』を平壌に派遣した」
と報じた。
 台湾の中央通信も16日、香港の軍事評論家、梁國リョウ(リョウは木へんに梁)氏の話として、
 「中国は現在、外交ルートを通じて北朝鮮と核問題の解決を試みている。
 北朝鮮は中国に経済支援と安全保障を前提として、
 核廃棄に3年の期限を要求した」
と伝えた。

 しかし、こうした接触説は公式には確認されていない。
 北京の外交筋は
 「報道の経緯を調べているが、現在の北朝鮮・中国間のムードにはそぐわないとみている」
と話した。

 中国は最近、北朝鮮に対し独自に圧力を高めている。
 中国新聞網などは同日、中国最大手の旅行サイト、シートリップ(携程網)など主要旅行会社が北朝鮮への観光商品の販売を中断したと伝えた。
 シートリップでは目的地の検索欄に「朝鮮」と入力すると、「条件に合う関連商品がありません」というメッセージが表示される。
 シートリップは15日まで平壌や開城を回る3泊4日の観光商品を販売していた。
 凱撒旅遊、中国国際旅行社、同程旅遊などのインターネット旅行社のウェブサイトからも北朝鮮への旅行商品が消えたという。

 中国の観光業界関係者は
 「中国が北朝鮮に圧力を加えていることを対外的に示すため、中国の旅行会社に(北朝鮮観光中断の)方針を下達したようだ」
と述べた。
 これに先立ち、中国国営中央テレビ(CCTV)は、中国国際航空が17日から北京-平壌線の運航を全面中断したと報じたが、同様の流れによる措置とみられる。

 一方、国営新華社通信は、中国の楊潔チ国務委員(外交担当、チは竹かんむりに褫のつくり)が16日、米国のティラーソン国務長官と電話会談し、韓半島(朝鮮半島)情勢について意見交換したと伝えた。



ニューズウイーク 2017年4月17日(月)11時30分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7419_1.php

中国は米国に付くと北朝鮮を脅したか?
――米朝戦争になった場合

 12日の米中首脳電話会談以降のトランプ氏の
 「中国が北朝鮮を脅して暴走を止めてみせる」
と約束した可能性がある。
 中朝軍事同盟がある中国に残された有効なカードは少ない。

■米側の動き――中国を為替操作国から外した

 4月12日、習近平国家主席がトランプ大統領に電話をして、朝鮮半島の非核化を堅持するとした上で、「北朝鮮問題に関して平和的解決を」と訴えたと中国メディアは報じたが、絶対に公開できない水面下の情報があったはずだ。

 そう判断する理由はいくつかある。
 まず同日、トランプ大統領は米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材を受けて、「米財務省が近く公表する為替報告書で、中国を為替操作国に認定しないだろう」と回答している。
 中国政府の通信社「新華社」の電子版「新華網」や中央テレビ局CCTVなどが大きく伝えた。
 トランプ氏は大統領選中から、中国は米国市場での輸出競争力を高めるために人民元の対ドルレートを低く操作していると断言し、大統領就任初日には、中国を為替操作国に断固認定すると公約していた。

 それが一転したのには、トランプ大統領が、「私に対する信頼が高すぎるためドルが強すぎる」としてドルに対する姿勢を軟化させたことも背景にはあろうが、別の深い理由があったにちがいない。
 なぜなら、ウォールストリート・ジャーナルの取材に対して、トランプ大統領は7日の米中首脳会談で習近平国家主席に、おおむね以下のような話をしたことを明かしているからだ。

――私(トランプ)は現在のような対中貿易赤字が続くことを望んでいない。
 もし、あなた(習近平)も貿易でビッグなディール(big deal、大口取引)を望んでいるなら、北朝鮮問題を解決することだ。
 北朝鮮問題を解決してくれさえすれば、私は貿易赤字を甘受することができる。

 そして「なぜ中国を為替操作指定国とするとした公約を撤回したのか」というウォールストリート・ジャーナルの記者の質問には、

――もし今、中国を為替操作国に指定すれば、北朝鮮の脅威に関する(米中間の)対話が危うくなる。
 今は北朝鮮問題の協力に集中する方が、為替操作国に関する公約を守るよりも、ずっと重要だからだ。

 と、トランプ大統領は回答しているのである。
 こんなことまで明かしてしまっていいのだろうかと思うほど、舞台裏をペラペラと話してしまった。

 これだけではない。
 トランプ大統領は
 「習近平は実にいい奴だ。
 彼とは気が合う(chemical reaction=化学反応がいいという意味のchemicalという言葉を何度も使った)。
 (北朝鮮問題に関しては)彼なら必ずうまくやってくれると信じる」
という主旨のことまで言って、習近平を褒めそやしている。
 さらに12日の電話会談の内容に関しても、トランプ大統領が習近平国家主席に、
 「あなたは北朝鮮に核や核兵器を持たせてはならない。
 空母カール・ビンソンが朝鮮半島に移動したのは、北朝鮮のさらなる行動を阻止するためだ。
 あなたが金正恩(キム・ジョンウン)に『米国は空母だけでなく、原子力潜水艦も持っている』ということを知らせるように」
という主旨の話をしたことまで、「暴露」してしまっているのである。

■中国側の動き

 一方、中国側の動きを見れば、12日の電話会談と同時に、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版である「環球時報」が
 「北朝鮮は自国の安全保障のため、核・ミサイル開発を中止すべきだ」
という社説を載せた。
 さらに中国は今年いっぱい北朝鮮からの石炭輸入を中止しただけでなく、石油の輸出も減らす意向を示し、4月14日には、中国国際航空が北京発平壌行きの運航を一時停止すると決定したのである。
 北朝鮮の観光収入にも制裁を加えた形だ。

■北朝鮮側の動き

 北朝鮮の外務次官は14日、海外メディアの取材を受けて、「最高指導部が決心した時に核実験を行う」などの強硬的な発言をしている。
 しかし一方では、4月11日に平壌(ピョンヤン)で開催された北朝鮮の最高人民会議では、19年ぶりに外交委員会を復活させている。

 これはほかでもない、対話の準備を意味する。
 結論――「いざとなれば中国は米側に付く」と、北朝鮮を脅したか?
 以上のことから、12日の「習近平・トランプ」電話会談において、両者はある約束を交わしたものと筆者は推測する。

 それは中国が北朝鮮に米中の親密さを見せつけ「もし北朝鮮が核・ミサイルで暴走し、米国が北朝鮮を武力攻撃したときには、中国はアメリカ側に付く」と北朝鮮を脅すと、トランプ大統領に約束したのではないか、ということだ。

 中国がそのように行動する可能性が現実味を帯びるために、習近平国家主席はトランプ大統領に「私(習近平)と、いかに親密であるかを発信してほしい」と頼んだのではないかと思うのである。
 だからトランプ大統領はあんなに習主席に賛辞を送ったのではないか。
 こうすれば北朝鮮への脅しの現実性が増す。
 少なくとも、
 「米中の親密さを北朝鮮に見せつけて、米朝戦争が起きたら、きっと米中が連携するのではないかという恐怖を北朝鮮に与えよう」
という約束事はしたにちがいない。
 そうでなければトランプ大統領が「習近平なら必ずうまくやってくれると信じる」などということを言うはずがない。
 二人の仲がいいことを見せつければいいのだから。

 結果、中国としては世界に米中蜜月をアピールすることができ、
 「一粒で二度おいしい」。

 この前提であるなら、
★.朝鮮半島海域における米軍の軍事配置が緊迫感を増していればいるほど、中国には有利となる。
★.経済制裁などで北朝鮮が委縮したりなどしないことを中国は知っている。
 北朝鮮は160ヶ国以上と国交を持っている。
 だから中国にとって
★.北朝鮮に対する有効なカードは「米国側に付くぞ!」という脅しでしかない。

 だとすれば、「習近平・トランプ」という舞台の演者は、世界を揺るがす「大芝居」を演じたことになる。
 このように考えると初めて、上記のファクターが整合性を持って一つにつながってくると筆者には見える。

 もちろんあの
★.北朝鮮が、そう簡単に脅しに乗るとは思えない。
 今朝(16日朝)にも(アメリカが軍事行動に出ない程度の)ミサイル発射を試み失敗に終わっている。
 トランプ大統領が言うところの「レッドライン」を越えない程度で「脅しには負けないぞ」という意思表示だろうが、しかし抑制的であるのは、中国が中朝軍事同盟を破るかもしれないという恐怖が現実味を帯びてきているからではないだろうか。
 目の前には米軍の大軍が押し寄せてきており、アメリカはシリアやアフガニスタンに対しても実にいとも簡単に武力攻撃を断行している。
 北朝鮮を攻撃しない理由はない。
 そして中朝首脳会談は5年間も開催されていないという厳然たる現実がある。
 開催しない理由は、中国がどんなに北朝鮮に「核・ミサイル開発をやめろ」と言っても言うことを聞かないからだ。

 習近平のそばには王滬寧(おう・こねい)というブレインがいる。
 追い詰められた習近平のピンチを、チャンスに持って行くことができる人物だ。
 ドナルド・トランプという破格的なスケールで動く男がいたお蔭で、中国は思わぬ形で「新型大国関係」を実現することも不可能ではないと、王滬寧は習近平にアドバイスしたにちがいない。

 トランプ大統領の豪胆さが世界地図を変えつつあるが、しかし一方、「中国のしたたかさ」を大統領はまだ経験していない。
★.万一にも北朝鮮が暴走して戦争になった場合、中国は本当に中朝軍事同盟を破ってアメリカ側に付くことを選べるのだろうか?

 中国の王毅外交部長(外相)は14日、北朝鮮をめぐる衝突はいつでも起こり得るとして、ロシアのラブロフ外相と電話会談したと中国の中央テレビ局CCTVが報道した。
 「すべての関係国を交渉のテーブルに戻すことこそが中露共通の目標だ」
と伝えたという。
 中露連携もちらつかせるのが、中国のしたたかさだ。

 したがって、米中連携は朝鮮半島問題を平和解決に持って行くための北朝鮮への「脅し」ではあろうが、危ない賭けの後、米中のパワーバランスがどう変化していくかも念頭に置いておいた方がいいだろう。




ロイター 
http://jp.reuters.com/video/2017/04/14/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%80%8C%E6%9C%80%E7%B5%82%E5%85%B5%E5%99%A8%E3%80%8D%E3%81%8B-%E7%B1%B3%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%8C%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E7%A6%81%E8%BC%B8%E3%82%92%E6%A4%9C%E8%A8%8E%E5%AD%97%E5%B9%95%E3%83%BB13%E6%97%A5?videoId=371491862&videoChannel=201



 もし、中国が北朝鮮への石油禁輸に踏み切ったらどうなるか。
 北朝鮮は中国をアメリカに同調するものとして憎しみを増大させる。
 その結果として中国は敵対国になり、中国、日本、アメリカという攻撃対象国にランク付けされる。
 北京へのミサイル攻撃がリアルに俎上に上り、それは同時に中国共産党崩壊というプロセスへの引きがねを押すことになる。
 北京にとっては「危険がいっぱい」という話になってくるのだが。
 アメリカをとるか、北朝鮮をとるか、中国は二者択一を迫られている。


時事通信 4/19(水) 19:59配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170419-00000114-jij-cn

北朝鮮の動きに「深刻な懸念」=中国

 【北京時事】中国の陸慷報道局長は19日の定例会見で、北朝鮮高官が相次いで核・ミサイル開発を継続する方針を訴えていることを受け、「深刻な懸念」を表明し、北朝鮮をけん制した。
 
 陸局長は
 「現在の朝鮮半島情勢は複雑で敏感であり、対立と緊張を激化させるいかなる言動にも反対する」
と述べ、関係国に緊張緩和に向けた努力を求めた。 

 中国は北朝鮮に圧力をかけている。


時事通信 4/20(木) 5:33配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170420-00000005-jij-int

北朝鮮非難声明、ロシアが阻止
=中国は同意―国連安保理

 【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は19日、北朝鮮による16日(現地時間)の弾道ミサイル発射を強く非難し、さらなる核実験を実施しないよう求める報道機関向け声明を調整したが、ロシアが阻止した。

 安保理外交筋が明らかにした。

 報道機関向け声明の発表には理事国全15カ国の同意が必要で、今回、北朝鮮の最大の後ろ盾である中国は内容を容認した。
 AFP通信によると、ロシアは対話による解決の必要性を盛り込むことを求めていた。 

 一方、ロシアは北朝鮮を批判していない。
 中国は北朝鮮を裏切ったが、それをロシアが支えたという構図になっている。
 北朝鮮は韓国を除けば中国とロシアに国境を接している。
 そこはまた瀋陽地区にも接している。
 ロシアとしては中国と北朝鮮がもめれば漁夫の利が得られる。
 つまり、「中国政府 対 北朝鮮・瀋陽軍閥(満州)・ロシア」という裏の地政学があるということでもある。


時事通信 4/21(金) 5:08配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170421-00000008-jij-int

安保理、北朝鮮を非難
=米ロ一転合意、追加制裁警告

 【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は20日、北朝鮮による16日の弾道ミサイル発射を強く非難する報道機関向け声明を発表した。
 声明は核実験を実施しないよう求め、状況を注視しつつ、「制裁を含むさらなる重大措置」を取ることを警告した。
 米ロの対立で声明発表はいったん見送られたが、修正案で合意に至った。

 報道機関向け声明に法的拘束力はなく、安保理の意思表示としても決議や議長声明より弱いが、発表には安保理の全会一致が必要となる。
 今回、中国を含め、ロシアを除く全理事国は、声明案に当初から同意していた。

 ロシアは米作成の当初案に、過去の声明にあった
 「対話を通じた(解決)」の文言を入れるよう要求。
 米国は最終的に受け入れた。
 修正案には当初案になかった「制裁を含む」の文言も追加された。



Yahooニュース 4/20(木) 20:35 児玉克哉  | 一般社団法人社会貢献推進国際機構・理事長
https://news.yahoo.co.jp/byline/kodamakatsuya/20170420-00070126/

プーチン大統領が北朝鮮に接近
~米中露の微妙で危険な駆け引き

 ソ連時代には北朝鮮とは密接な軍事協力をしてきた。
 そもそも朝鮮民主主義人民共和国、つまり北朝鮮の建国はソ連が主導したものだ。
 第二次世界大戦の後に、ソ連は朝鮮半島の北半分を占領し、ソ連軍抗日パルチザンの金日成氏を送り込んで、北朝鮮を作り上げた。
 朝鮮戦争では朝鮮半島の覇権をめぐってアメリカと戦った。 
 冷戦時代には、ソ連は北朝鮮と軍事同盟を結び、北朝鮮の兵器の多くはソ連時代の中古品であった。
 それをベースに北朝鮮の軍事兵器が出来ていると言っていい状態であった。
 しかし冷戦の終わりは状況を一変させた。
 ソ連の後のロシア連邦と大韓民国、つまり韓国は1990年に国交を結び、それからはロシアは北朝鮮からほぼ手を引き、韓国との関係を重視するようになった。

 ソ連崩壊後、軍事協力は事実上停止していた。
 2001年にロシアと北朝鮮は「防衛産業及び軍備分野における協力協定」と「2001年軍事協力協定」の二つの協定を結んだ。
 それもほぼ実質的なものにはならず、やっと最近になってこの軍事協力が具体化しつつある。
 プーチン大統領と金正恩氏との関係は良いとは思えないが、プーチン大統領にとって北朝鮮は対アメリカ関係、対中国関係から重要性を増しつつある。
 北朝鮮の核実験やミサイル発射で国連が経済制裁を加える決議をしても、抜け道を作り、北朝鮮を支えてきたのは中国だけでなく、ロシアもだ。
 国境を超えてロシア領に北朝鮮の労働者が送り込まれ、外貨を稼いできたと言われる。
 シリアを巡る米露の対立が明らかになってからは状況はかなり緊迫している。
 トランプ政権は4月6日にシリアで、アサド政権軍の支配下にある空軍基地に対し巡航ミサイルによる攻撃を行った。 
 プーチン大統領とトランプ大統領は「仲がいい」と言われていたが、最近は一気に関係が冷え込み、このシリア空爆で敵対関係に近くなっている。

 そしてトランプ大統領は北朝鮮への武力介入も辞さない姿勢を示した。
 プーチン大統領は、こうしたアメリカによる武力制圧に抵抗しており、北朝鮮を擁護する姿勢を見せ始めている。
 中国の態度は微妙だ。
 AFP=時事(4月15日付)は、中国が北朝鮮の核問題をめぐって高まっている緊張を緩和するためにロシアに協力を求めていることを報道している。
 中国もアメリカを牽制したいのだが、一国ではそれができない。
 ロシアを呼び込んでいる。
 ロシアは急速に朝鮮半島問題に入り込みつつある

 日経新聞(4月19日付)は
 「ロシア極東の主要都市ウラジオストクと北朝鮮北東部の羅先(ラソン)特別市をつなぐ貨客船の定期航路が5月に新設されることがわかった。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射などに対する制裁に伴って日本への入港が禁止されている万景峰(マンギョンボン)号が就航する。」
と報じている。
 経済制裁を決めている中で堂々と経済協力をしようというのである。
 明らかにアメリカの姿勢に反発している。
 北朝鮮にとってはアメリカが圧力をかけ、中国との関係も悪化し、日本が厳しい制裁を加えている中ではロシアとの関係は命綱といえる。
 「万景峰号」のロシアへの定期便化はロシアが北朝鮮を保護するという象徴的な意味も持つ。

 トランプ大統領は、中国に圧力をかけながら、中国ができないならアメリカが軍事力を使ってでも問題を解決すると公言している。
 4月13日のトランプ大統領のツイッターだ。
 「I have great confidence that China will properly deal with North Korea. If they are unable to do so, the U.S., with its allies, will! U.S.A.」(中国が北朝鮮を適切に管理できると信じている。しかしもし中国ができなければ、同盟国とともにアメリカがやる。)
 中国を持ち上げているようにみえるが、中国にチャンスを与え、
 できなければ堂々とアメリカが武力行使をするという脅しだ。
 アメリカが武力行使をしても中国は文句をいうな、という牽制といえる。
 ちなみに同盟国とともに、とあるが、これはまず第一に日本のことだろう。
 日本は大変な役割を期待されているのだ。

 ロシア・プーチン大統領はこうしたアメリカのやり方に真っ向から反対する可能性が高い。
 状況がさらに緊迫すれば、ロシアは、経済援助だけでなく、軍事援助にも踏み切るかも知れない。
 急に朝鮮半島がきな臭くなった。
 トランプ大統領、プーチン大統領、金正恩最高指導者という特異な政治家が揃った。
 いざという時、習近平国家主席はトランプ側につくのか、プーチン側につくのか。
 泥沼に入って欲しくないが、着地点が見えない。
 妥協を容易にしないトップが集まった。
 かなり危険な状況で、注視が必要だ。



NHKweb 2017年4月20日 5時18分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170420/k10010954541000.html

マンギョンボン号 北朝鮮~ロシア極東に定期航路開設へ


● google画像

 北朝鮮の貨客船、マンギョンボン(万景峰)号が運航する定期航路が、北朝鮮とロシア極東との間に開設されることがわかりました。
 北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させ、国際的な孤立を深める中にあっても、ロシアは北朝鮮との関係を重視する姿勢を見せています。

 ロシアの船舶代理店「インベスト・ストロイ・トレスト」によりますと、定期航路は、極東のウラジオストクと、北朝鮮北東部ラソン(羅先)の経済特区にあるラジン(羅津)港との間に、来月上旬にも開設され、北朝鮮の貨客船、マンギョンボン号が運航するということです。

 マンギョンボン号は200人近くの乗客やおよそ1500トンの貨物を輸送することができるということです。
 かつては日本との間にも運航していたマンギョンボン号ですが、日本政府は、北朝鮮が2006年7月に弾道ミサイルを発射したことを受けて、制裁の一環として入港を禁止しています。

 北朝鮮とロシア極東の間は、すでに航空便や鉄道で結ばれていますが、今回の航路開設で、外貨獲得の目的でロシアに派遣される北朝鮮労働者や物資の輸送が強化されると見られます。

 核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮をめぐっては、アメリカが軍事的な圧力を強めていく構えを示し、最大の後ろ盾である中国との関係もぎくしゃくした状況が続くなど、国際的な孤立を深めています。
こうした中にあっても、ロシアとしては、国家戦略の極東開発を進めるうえでも、北朝鮮との関係を重視する姿勢を見せています。


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● JNN ニュース



[モスクワ 21日 ロイター] 2017年4月21日(金)18時12分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7463.php

ロシア軍が北朝鮮に向け装備移動か 
大統領府はコメント拒否

 ロシアのペスコフ大統領報道官は21日、同国軍が北朝鮮との国境に向けて装備や部隊を移動させているとの一部報道について、コメントを拒否した。

 ロシア通信(RIA)伝えた。ロシア国内の部隊の配備については、情報を公開しないとしている。

 これに先立ち、ロシア極東の一部のメディアは、軍の装備が北朝鮮との国境に向けて移送されているとの地元住民の話を伝えていた。