2017年4月8日土曜日

朝鮮半島有事へ動く(7):シリア攻撃を命じたトランプ米大統領の声明全文

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 トランプの最初の一撃は「シリアのサリン毒ガス」に対してであった。
 2番目があるとすれば、おそらく「北朝鮮の核」になる可能性が高い。
 そうみるのが順当だろう。


ロイター 2017年 04月 7日 16:18 JST
http://jp.reuters.com/article/syria-us-strike-statement-idJPKBN1790FM

シリア攻撃を命じたトランプ米大統領の声明全文

[6日 ロイター] -
 シリアの空軍基地に対する米軍の巡航ミサイル攻撃について、トランプ大統領が6日会見した。
 大統領の声明内容は以下の通り。

 米国民の皆さん、シリアの独裁者であるアサド大統領は4日、罪のない市民に対し、恐ろしい化学兵器を使用して攻撃を行った。
 致死率の高い神経ガスを使い、無力な男性や女性、そして子どもたちの命を奪った。

 あまりに大勢の人に対する、緩やかで残忍な死を招いた。
 残酷なことに、美しい赤ちゃんたちもこのような非常に野蛮な攻撃によって殺された。
 神の子は誰一人としてそのような恐怖に遭ってはならない。


●米軍がシリアに巡航ミサイル攻撃

 今夜、私は化学兵器を使用した攻撃の拠点となったシリアの飛行場に対し、軍事攻撃を命じた。
 化学兵器の拡散・使用を阻止し抑止することは、米国にとって不可欠な国家安全保障上の利益の一部である。
 シリアが禁止されている化学兵器を使用し、化学兵器禁止条約に違反し、国連安全保障理事会の要請を無視したことに議論の余地はない。

 アサド政権の行動を変えようとする長年の試みはすべて失敗、それも劇的な失敗に終わった。
 その結果、難民危機は悪化し続け、地域も不安定化し続けており、米国と同盟諸国に脅威を与えている。

 今夜、私はすべての文明国に対し、シリアにおける大量虐殺に終止符を打つため、そしてあらゆる種類のテロを根絶するため、共に手を取ろうと呼びかけた。

 非常に困難な世界に直面し、われわれは神の英知を求めている。
 けがを負った人々が助かるように、また、亡くなった人たちの魂のために祈りをささげよう。
 そして米国が正義のために立ち上がる限り、最終的に平和と調和が勝利することを祈ろう。

 それでは皆さん、神のご加護が米国と全世界にあらんことを。
 ありがとう。



フジテレビ系(FNN) 4/8(土) 4:05配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170407-00000722-fnn-pol

菅長官「アメリカの決断支持」



 「アメリカの決断を支持する」と表明した。
 菅官房長官は7日、記者会見で、シリアへの攻撃に踏み切ったアメリカについて、
 「化学兵器の拡散を防ぎ、その使用を抑止するために責任を果たそうとする、トランプ大統領の決意を支持します」
と述べたうえで、
 「これ以上の事態の深刻化を食いとめるための措置であると理解している」
と語った。
 さらに、菅長官は
 「核兵器や化学兵器の脅威は、シリアだけの問題でもない。
 同様の問題は、北朝鮮など東アジアでも起こり得る」
と述べ、今後もアメリカと連携して取り組む考えを示した。



Japan In-depth 4/9(日) 18:58配信 信田智人(国際大学国際関係学科教授)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170409-00010000-jindepth-int

 米、「一石四鳥」狙いのシリア攻撃
トランプにとっては一石四鳥

【まとめ】
 ・米大統領の国内政策に関する権限は限定的。 
・自由に行使出来るのが「軍事政策」。 
・対中国・北朝鮮への圧力になった

■大統領権限が限定的なアメリカ

 20年前、「ワグ・ザ・ドッグ」というロバート・デ・ニーロやダスティン・ホフマンといった名優が共演した映画があった。
 スキャンダルを抱えたまま再選に臨む大統領に、戦争を起こすことで国民の関心をそらせるという内容のものだ。
 その後、クリントン大統領がセックススキャンダルに悩まされ、コソボ空爆を実行したため、現実を予見した映画として話題になった。
 今回のトランプ政権によるシリア空爆で、この映画を思い出したのは私だけではないだろう。

 大統領就任後の三週間、連日のようにメディアの前で20以上もの大統領令に署名するパフォーマンスを見せ、選挙公約を実現するにあたってリーダーシップを発揮する様子を見せた。
 しかし、三権分立が最も際立った
 案の定、中東七カ国の国民の入国を一時凍結するという大統領令は司法府から差し止められた。
 またオバマ政権でつくられた健康保険制度、オバマケアを廃止に追い込む法案は議会で廃案となった。

 そもそも日本人の多くは勘違いしているが、米国の大統領の国内政策に関する権限は極めて限定的である。
 まず、米国には世界最強の立法府である議会が予算作成権限を握っている。
 議会が承認しなければ、予算措置の必要な政策は実現しない。
 内閣法案提出権のある日本と違って、米国の大統領には議会に法案を提出することさえできない。

 行政府をコントロールすることさえ難しい。
 トルーマン大統領が後任の軍人出身のアイゼンハワーについて向けた有名な言葉に
 「これをしろ、あれをしろ。
 でも何も起こらない。
 可哀想なアイク、陸軍とは違うんだ」
というのがある。
 ビジネス界にしか身を置いたことのないトランプには、巨大官僚組織の運営の仕方が理解できないのに違いない。

■米大統領最大の権限「軍事政策」

 国内政策においては制約の多い米国の大統領が、最も自由に権限を行使できるのが軍事政策である。
 米軍の「最高指揮官」の権限を使い、武力行使を行うことについて、議会のできることは限られている。
 大統領の戦争権限を制約しようと70年代に「戦争権限決議」が立法化されたが、この法律が行使されたことはない。

 選挙公約の多くが実現できず、大統領の指導力が疑問視されているなか、今回のシリア空爆は制約のない戦争権限を行使し強いリーダーシップを見せる絶好の機会となった。

■オバマ氏の2つの過ち

 そもそもトランプは選挙期間中も、オバマ大統領のシリア政策を批判してきた。
 オバマはシリアにおける内戦において、米国が軍事介入を行うタイミングを化学兵器が使用された時と公言した。
 ところがシリア国軍が化学兵器を使用し、このレッドラインを超えたにも関わらず、軍事介入を行わなかった。
 この過程でオバマは二つの重要な誤りを起こした。

★.ひとつは議会に軍事介入の承認を求めたことである。
 戦後、米国が世界の警察官の役割を果たしてきた過程において、軍事介入の決断は大統領が担ってきた。
 有事で緊急に決定を行なわなければならない場合、何百人という集団動議で決定を下さなければならない議会は決定を避け、大統領に決断を委ねてきた。
 個々の議員にとって、戦争の決断を下すことは政治生命のかかる決定となることもあり、できれば避けたいというのが本音である。

★.ふたつ目の誤りは、シリア政策で対立関係にあるロシアに先手を取られたことである。
 オバマがシリアへの武力行使に議会を巻き込んで躊躇している間に、ロシアのプーチン大統領は米国の武力行使には国連決議が必要と主張し、米国が安保理にアサド政権非難決議案を提出すると、ロシアと中国に拒否権を発動された。
 その結果、ロシアが国連で主導権を握り、シリアに化学兵器廃棄をさせる安保理決議が採択された。
 これによって、米国のシリアにおける影響力は著しく弱まった。

■トランプが手本にしたレーガンのリビア爆撃

 このオバマ政権の失敗を批判して大統領になったトランプにとって、アサド政権が化学兵器を使用したとされる今回の事件は絶好の機会に違いない。
 外交には軍事力の後ろ盾が必要だが、オバマのように軍事行使すると言って行使しなければ、その実効性が弱まる。
 トランプ大統領がモデルにしたのは、同様に強いアメリカを標榜し大統領になってすぐ、米国関連施設へ攻撃する意図を発表したリビアに対して、軍用機を二機撃墜し軍事力行使を躊躇しなかったレーガンであろう。
 レーガンがカーター政権との違いを見せつけたように、トランプもオバマ政権との違いを世界に示すこととなった。

 シリアに軍事介入を行わなかったオバマ政権は反体制派への支援を通じて、アサド政権の弱体化を狙った。
 しかしアルカイダ系に近い反体制派を嫌ったトランプ大統領は、イスラム国自体に対する軍事作戦に焦点を移そうとしていた。
 ところが、イスラム国に対する攻撃ではシリア国軍とロシアがすでに主導権を握っていて、米国が主導権を握ることはできなかった。
 今回のシリア空爆はトランプ政権にとって、そういったシリア状況を大きく転換できる好機となった。

■トランプにとっては一石四鳥

 しかもタイミングは、習近平訪米時に重なり、トランプ政権は軍事力の行使に躊躇しないことを習主席に目の前で見せることになった。
 これは中国に対して、北朝鮮問題で本腰を入れなければ、従来から言っていたように北朝鮮に対する軍事介入もあり得るのだということを示すのと同時に、中国の南シナ海での挑発的な行為に対して圧力を加えることを狙っていたものである。

★.今回のシリア空爆は、指導力を疑問視された

1. 国内政治状況の打破
2. オバマ政権と違い強いアメリカを標榜
3. 中東における影響力の回復
4. 北朝鮮と中国に対する圧力

と、トランプにとって一石四鳥にも五鳥にもなる絶好の機会だったのである。



Record china配信日時:2017年4月9日(日) 5時20分
http://www.recordchina.co.jp/b174442-s0-c10.html

米中首脳会談、北朝鮮問題で双方の溝埋まらず、
習主席への礼砲はシリアへの「トマホーク」攻撃

  2017年4月8日、米国を訪問した中国の習近平国家主席をシリアへの「トマホーク」攻撃の礼砲で“歓迎”したトランプ米大統領。
 核・ミサイル開発を強行する北朝鮮に警告すると同時に、後ろ盾の中国にも圧力を掛けた。
 しかし、首脳会談で習主席は「対話重視」を繰り返しただけ。
 北朝鮮問題をめぐる米中の溝は埋まらないままだ

 今回の米中首脳会談に先立ち、トランプ大統領は英紙「フィナンシャル・タイムズ」とのインタビューで
 「もし中国が北朝鮮問題を解決しようとしなければ、われわれが行う」
と言明。
 核開発を続ける北朝鮮への圧力を中国が強めなければ、米国が単独で核の脅威を取り除くと警告した。
 ティラーソン米国務長官によると、トランプ大統領は首脳会談でも中国にさらなる行動を促し、「米国は単独で対応する用意がある」と述べ、北朝鮮への制裁の強化を迫った。

 これに対し、中国国営新華社通信によると、習主席は双方の意見が異なる敏感な問題について「適切に処理し、建設的に管理しなければならない」と応じた。
 従来の「対話重視」を強調するにとどまり、踏み込んだ発言は避けたとみられる。

 1日目の会談を終えた後の夕食会の冒頭、トランプ大統領は習主席を横にしながら、記者団に「長い時間話をしたが、何も得られなかった」と語り、
さらに「全く何もだ」とわざわざ付け加え、不快感を隠さなかった。

 最終的に両首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発が「深刻な段階」に達したとの見方を共有し、北朝鮮の核放棄に向けて協力を強化することだけで一致。
 ティラーソン国務長官は
 「朝鮮半島の非核化への取り組みをめぐり幅広く意見交換したものの、
 問題を解決する包括的な案を話し合うまでには至らなかった」
と説明した。

 米中首脳会談について、韓国・聯合ニュースは
 「議論は平行線をたどり、2日間続けてきた北朝鮮問題の調整は失敗に終わった」
と報道。
 「これまでの首脳会談では共同会見か、合意に失敗した場合でも共同声明を発表しており、今回のような状況は極めて異例と言える」
 「北朝鮮の核脅威が深刻な段階に達したことは米中両国がすでに共有してきた事実で、新しい内容とは言えない。
 お互いの立場だけを確認して終わったとみることができる」
と指摘した。

 米国の独自対応に関しては
 「北朝鮮へのテロ支援国再指定、対北サイバー戦強化、北朝鮮と取引する第三国の企業・個人への制裁、同盟国に対するミサイル防衛システムの強化などがあるとされる」
と伝えた。

 一方、シリアの空軍基地に巡航ミサイルが次々に着弾する映像を目の当たりにした北朝鮮が、核・ミサイル開発にますます突き進むのは必至。
 米国の圧力をかわして金正恩政権にどう向き合っていくのか、中国にとっても難しいかじ取りを余儀なくされそうだ。



人民網日本語版配信日時:2017年4月8日(土) 21時40分
http://www.recordchina.co.jp/b174688-s10-c10.html

米中首脳会談、積極的シグナルを発信―中国メディア

 習近平国家主席は現地時間の6日と7日、米国フロリダ州の大統領私邸「マール・ア・ラーゴ」で同国のトランプ大統領と首脳会談を行い、両首脳は向き合って接触し交流した。
 今回の深く、友好的で、長時間にわたる会談では、米中関係の次の段階の発展に向けて基調を定め、方向性を定め、枠組みを定め、ルートを定めるという目的が達成された。
 人民日報が伝えた。
(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究院特任研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

★.第1に、双方は新しい起点に立って米中関係がより大きな発展を得られるよう推進することで同意した。
 両国首脳はいずれも米中関係の重要性を強調した。

★.第2に、双方は次の段階のトップレベルの交流と対話メカニズムについて共通認識に達した。
 トランプ大統領は習近平国家主席の招待に応じて中国を公式訪問するとしており、このことは両国関係の発展に対して新たな推進力を形成するものと予想される。
 また双方は外交の安全保障をめぐる対話、全面的な経済についての対話、法執行(エンフォースメント)とネットワークのセキュリティについての対話、社会および人的・文化的分野における対話という4つのハイレベル対話協力メカニズムを新たに構築した。

★.第3に、双方は今後一定期間の重点協力分野と努力目標を確定した。
 双方は今後、二国間投資協定交渉を引き続き推進し、インフラ建設やエネルギーなどの分野での実務協力を模索し展開していく。

★.第4に、双方は敏感な問題を適切に処理し、建設的なやり方で食い違いを管理コントロールすることで同意した。
 両国にはぞれぞれ進めている内外の優先的議題があり、両国元首はこれについて意見を交換した。
 また台湾、朝鮮の核、南中国海などの問題では異なる立場に立っている。
 両国は衝突せず、対抗せず、相互尊重、協力・ウィンウィンの原則を遵守してお互いが関心を寄せる議題を処理しなければならない。
 トランプ政権がこの原則を承認したことは、米中関係にとって積極的な進展といえる。

 米中首脳会談には世界中が注目しており、その成功は米中関係の今後の発展やアジア太平洋地域、ひいては世界の平和・安定・繁栄にとって重要かつ積極的な影響を与えるものとなる。
 今回の会談は米中関係の方向性に一定の確実性を与えたといえる。

 米中の首脳会談は両国関係に横たわる一連の迷いの霧を吹き飛ばしたが、両国関係はフロリダの天気のように、明るい日差しと風雨がこもごも訪れるのはやむを得ない。
 現在、米国の国内政治の複雑さとトランプ政権初期の模索状況が米中関係の直面する課題になっている。
 米中両国は首脳会談を契機として、コミュニケーションと協調を強化し、交流と協力を拡大し、両国国民が米中関係の発展からより多くの利益獲得感を得られるようにする必要がある。

(提供/人民網日本語版・編集KS)

 いつもの中国お得意のラッパムードは何処にもない。
 中身が何もない合意というお粗末な結果をつくろうのにメデイアも大変である。
 ジワーと伝わってくるなんとも寂しい論調だけが目につく。
 やむ得ないだろう。