アメリカは北朝鮮が
1].核実験を行ったとき
2].ICBMの実験を行ったとき
北爆を行うと言っている。
つまり、この2点以外ではアメリカの空爆はない、ということになる。
もし、今回空爆が行われなかったことになると、その理由はこの2点が実行されなかったということになる。
トランプはこれに至極満足してこの成果は「習近平の努力によるもの」として、ほめたたえるだろう。
とすると、習近平はアメリカと友好関係をもつ主席として、共産党内の権力闘争に勝利することになる。
また今回のアメリカ空母の動きは、今後の北朝鮮の出方を監視するために、朝鮮半島の監視態勢を強化するという名目で、この領域にこれまでとは違ってはるかに容易に、中国の非難を受けずに派遣できるという前例を作ったことになる。
これは同時に中国にとっては屈辱ものになる。
太平洋を二分して支配するどころか、中国近海を二分することにもなる。
つまり、中国の大幅な後退を意味する。
トランプは北朝鮮をダシに使って、
習近平をヨイショして彼の権力にテコ入れすると同時に、
裏で中国監視体制を強化するという手段を得た、
ということになる。
中国はトランプにしてやられた、
と言うことってしまう。
さらに言えば、この
中国のアメリカに傾倒して圧力をかけてくる姿に怒り心頭の北朝鮮
という構図が浮かび上がってくる。
結果として、北朝鮮のにっくき敵はアメリカから中国へと変わっていく。
遠い敵より近親憎悪
が北の意識の底流になる。
「中国対北朝鮮」という不穏な雲が裏でどんどん増殖していく。
さて、どうなっていくのか。
『
東洋経済オンライン 4/18(火) 6:00配信 ピーター・エニス
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170418-00168118-toyo-bus_all
米国の北朝鮮「先制攻撃」、今後ありえるのか
米国の情報アナリストたちは、4月15日に行われる可能性があるとされていた核実験を、北朝鮮が「延期」すると決断した理由探しに追われている。
金正恩労働党委員長は、核実験こそ行わなかったものの、15日には平壌中心部での大掛かりな軍事パレードを開き、最新式の高性能な弾道ミサイルを誇示することで、この国の最も厳粛な祭日、建国者である金日成主席の生誕日を祝った。
北朝鮮がなぜ核実験を見送ったかについては、アナリスト間で一致した見解はない。
中国政府の圧力や、米国による先制攻撃に対する懸念、あるいは、北朝鮮の敵対者たちを狼狽させ続けようとするあらゆる小さな出来事に関してまで憶測は広がっている。
■そもそも「先制攻撃」など考えていなかった
衛星画像は北朝鮮の北東部、豊渓里(プンゲリ)の核施設が準備万端であることを示しているので、北朝鮮政府はいつでも実験を行うことができただろう。
北朝鮮が、弾道ミサイルの先端に取り付けられるほど小型化させた核装置を開発するにはまだ超えるべきハードルがある。
そのためにも、新たな核実験は不可欠のようだ。
実際、15日に行われた軍事パレードで、新たな弾道ミサイルを披露したことは、本格的な核保有国になるという、揺るぎない意欲を「隠す」つもりなど毛頭ない、という金政権の強いメッセージと言って良いだろう。
もちろん、これを日本、米国、韓国が認めるわけもない。
そしておそらく、中国もこれを受け入れることはできないだろう。
長期的な膠着状態にあった東アジアでは、今回をきっかけにより長い間、軍事的緊張関係が続くことになるのではないか。
こうしたなか、1つだけハッキリしていることがある。
それは、米国が北朝鮮への先制攻撃、すなわち、「予防的攻撃」を行う意思は一切なかった、ということだ。
不安定なトランプ政権における北朝鮮対策は、ミサイル防衛の強化、日本と韓国との協力拡大、制裁の強化に加えて、中国が北朝鮮政府に断固たる処置を取るだろう、という希望が入り交じっている。
すなわち、過去20年間ほぼ変わっていないのである。
■米国による北朝鮮先制攻撃がありえないワケ
15日に予想されていた核実験前、政策立案の専門家たちは例外なく、米国による先制攻撃の可能性を疑っていただけでなく、やめるようにも警告していた。
「テーブルの上には、あらゆる選択肢が載っている」
と、ジョージ・W・ブッシュ政権の元NSC上級アジア部長、マイケル・グリーン氏は話す。
「とは言っても、やらないだろう」。
北朝鮮が蓄えているすべての核を見つけることは、困難すぎて不可能だろう、とグリーン氏は見る。
「北朝鮮による大規模な報復の危険性があまりにも大きすぎる」(グリーン氏)
のだ。
米国NBCニュースは、米国による先制攻撃の可能性を伝えていたが、専門家たちはこれを懐疑的な目で見ていた。
「あの報道は奇妙だった。
だいたい、(攻撃の)標的となる場所はどこなのか」
と、保守系のヘリテージ財団の上席アジア研究員のブルース・クリングナー氏と話す。
「発射前のミサイル施設を先制攻撃することに賛成する者もいるが、これは理にかなった標的となる。
が、米国のどの政府関係者と話しても、米国のそうした行動は示唆されなかった」。
■なぜ「奇妙な」報道が出たのか
国務省の朝鮮問題の元駐韓首席公使である軍事アナリスト、エヴァンズ・リヴィア氏も同意見だ。
「私もあの報道にはあぜんとした。
米国が同盟国である韓国と日本に相談せずに、北朝鮮に武力攻撃を行うことはありえない。
北朝鮮の反撃があることを考えると、ソウルに住む米国人を避難させることなしに、攻撃を行うことはないだろう」。
リヴィア氏はこうも指摘する。
「米国が、北朝鮮による米国の同盟国への激しい攻撃を防ぐための軍事的配備を、朝鮮半島付近や日本国内に敷かずに攻撃を行うということは、私の理解を超えている、すなわち、ありえないことだ」。
しかし、トランプ大統領がうかつにも、中国の支援があろうとなかろうと、米国は北朝鮮問題に「取り組む」と、ツイートしてしまったことで、緊張感が高まってしまったのである。
さて、それでは米国による攻撃は今後あるだろうか。
少なくとも当面はない。
近く、マイク・ペンス副大統領が韓国を訪れることになっているが、その間に攻撃することは考えられない。
さらに、トランプ大統領は、中国に金政権を懲らしめるように公に促すなど、習近平国家主席との関係構築に力を入れようとしている。
中国との外交的取り組みが実を結ぶ前に、米国が攻撃を行うだろうか?
■米国にとって現実的な選択肢とは
となると、現時点での米国にとっての現実的な選択肢は何だろうか。
★.あるとすれば、過去60年間、朝鮮半島のもろい平和を守ってきた抑止力への依存以外ほとんどないだろう。
にもかかわらず、トランプ政権はトランプ大統領の選挙戦中のスタイルを引きずって、北朝鮮の「脅し」を抑えるために、米国が何らかの手を打つかのような見せ方をしてしまった。
★.では、米国が原子力空母カールビンソンを朝鮮半島に向かわせた目的は何だろうか。
米国の政府関係者によると、
★.最大の目的は北朝鮮による「過激な行為」を思いとどまらせることに加えて、
日米、そして米韓関係の強化にある。
米海軍と日本の海上自衛隊はすでに親密な関係にあり、カールビンソンの存在はさらなる作戦での協力を意味する。
米国防総省の最優先事項は、日米韓3者間の本格的な協議を開始し、協力強化を図ることだ。
■トランプ政権による北朝鮮政策は?
もう1つ、中国にメッセージを送る目的もある。
中国は、自国の影響下にある(と中国が考える)領域における米軍の存在を不満に思っているが、
★.米国は、もしそれが不服であれば、北朝鮮による核兵器開発を中国から働きかけるべきだというメッセージを送っているのである。
トランプ大統領は就任以降、バラク・オバマ前大統領の「北朝鮮問題が最大の頭痛の種になる」という個人的な警告に基づいて、北朝鮮問題に焦点を当ててきた。
そして、新政権はこの2カ月間、北朝鮮政策の見直しを行ってきたのである。
その結果は、前述のとおり、
★.過去20年間の政策を継続するしかない
ということだった。
「先制攻撃騒ぎ」が収束した現在、トランプ政権は、
★.北朝鮮に対する制裁の拡大と、
★.中国政府からの圧力の両輪で
北朝鮮に対抗することを考えている。
この2つの政策を通じて北朝鮮を「カゴ」に閉じ込めることが、朝鮮半島における長期的な非核化においては最も有効な方法であることは間違いないのである。
』
つまり、「なにもしない、ほっておく」ということがこの論述の結論のようである。
その結果については考察していない。
『
ダイヤモンドオンライン 2017.4.18 牧野愛博:朝日新聞ソウル支局長
http://diamond.jp/articles/-/125192
「北朝鮮3つの切り札」が鍵を握る半島有事恐怖のシナリオ
4月15日から16日にかけ、米原子力空母カールビンソンと、空母を中心とした打撃群が朝鮮半島近海に間もなく姿を現す。
豪州に向かう予定を変更しての行動。
誘導ミサイル駆逐艦ステレットを含む水上戦闘群も合流するとされる。
米韓関係筋によれば、北朝鮮が6回目の核実験や大陸間弾道弾(ICBM)の発射に踏み切れば、「施設への攻撃」も検討されているという。
朝鮮半島は事実上の“臨戦態勢”に入ったといえる。
(朝日新聞ソウル支局長 牧野愛博)
■米軍、北施設への攻撃も検討
金正恩委員長は「対話」模索のポーズ
米空母派遣が何を意味するのか。
米軍が4月6日にシリアの航空基地に対してトマホーク巡航ミサイル59発を撃ち込んだような事態が起きるのか。
複数の日米韓政府関係者は「2つの警告」を意味すると証言する。
★.1つは「北朝鮮問題を傍観することは許さない」という中国への警告、
★.もう1つは「ここまでやって、なお核実験をしたら、ただでは済まさない」という北朝鮮への警告だ。
米韓関係筋によれば、空母は5月中旬まで日本海周辺にとどまる見通しだ。
北朝鮮が25日に軍創建85周年の行事を控えているほか、4月末まで米韓合同軍事演習が行われている。
5月9日には韓国大統領選が投開票される。
空母と打撃群は、この不安定な期間限定の「抑え」として投入されたのだという。
仮にカールビンソンを中心とした部隊が北朝鮮への攻撃を想定しているのであれば、全面戦争に備えた動きがなければならない。
北朝鮮が反撃するかどうかはわからないが、最悪の事態に備えるのが、軍の常識だ。
少なくとも4月15日現在、在日米軍や在韓米軍に対して大幅な兵力の移動や非常呼集はかかっていないし、日韓両政府への協議の申し入れもない。
16日に北朝鮮が東北部の新浦(シンポ)付近から弾道ミサイル1発を発射しようとして失敗したが、米軍に動きはなかった。
では北朝鮮が米国の警告を無視し、6回目の核実験や大陸間弾道弾(ICBM)の発射に踏み切ったらどうするのか。
トランプ米大統領らは繰り返し、「すべての選択肢がテーブルの上にある」と語っている。
米韓関係筋の1人はこう語る。
「都市攻撃ということはないが、facility(施設)への攻撃は検討されている」
北朝鮮側はどうか。
金正恩委員長は11日の最高人民会議に出席したのに続き、13日には外国メディアも集まった平壌・黎明通りの竣工式典に、そして15日の軍事パレードでは詰めかけた平壌市民ら群衆の前に姿を現した。
一見無防備にも見えるこの姿勢は、「対話」を模索するためのポーズとみられる。
となれば、朝鮮半島の危機は、当面、避けられる見通しが高いと考えられる。
だが、正恩氏の基本政策は、経済改革と核保有を同時に進める「並進路線」であり、北朝鮮市民は「核保有なしには生き延びられない」と徹底的に教育されている。
駐英公使を務め、韓国に亡命した太永浩氏が語っているように、
正恩氏は決して核を放棄しないだろう。
今回、危機を脱して対話が始まっても、
どこかで必ず行き詰まる時が来る。
では、そのとき、日米韓は力ずくで北朝鮮を屈服させることができるのか。
■全面戦争を避けるはずが
北が「全滅覚悟」で打って出る恐れも
米国はある程度、北朝鮮の核関連施設の位置を把握しているとされる。
2010年11月に米国のヘッカー博士が寧辺(ニョンビョン)にあるウラン濃縮施設を訪れたとき、米国は西位里(ソウイリ)や亀城(クソン)近辺の、少なくとも別に2ヵ所のウラン濃縮施設があることをつかんでいた。
また、米韓両軍は戦時にたたくべき、北朝鮮の舞水端里(ムスダンニ)や東倉里(トンチャンニ)にあるミサイル発射場や新浦の潜水艦基地など、約500ヵ所に及ぶ軍事拠点の座標軸を巡航ミサイルなどにインプットしているという。
トマホーク巡航ミサイルのほか、米軍の誇るB2爆撃機やF22ラプター、F35などのステルス機を使えば、いくら高性能レーダーや高射砲などでハリネズミのように武装した北朝鮮とて、相当な被害は免れない。
ただ、それで北朝鮮を本当に沈黙させることができるかといえば、答えはノーだ。
北朝鮮は、朝鮮戦争を教訓に、全土を細かく区分けし、それぞれに通信や食糧、医療、戦闘など最低限の機能を持たせ、国土が寸断されても独自に抗戦できるようなシステムを作り上げている。
別の米韓関係筋によれば、米国は1990年代の第1次朝鮮半島核危機の際に寧辺核施設への限定爆撃を検討したが、
その際に北朝鮮の反撃を封じるために叩くべき攻撃目標が計2000ヵ所にも及んだという。
北朝鮮もできる限り、全面戦争は避けようとするだろう。
平壌に住む特権階級の人々は、北朝鮮が存在してこそ自分たちの特権が維持できるという現実をわかっている。
米国が先に手を出しても、国家としてのメンツを保つのに必要最低限の反撃にとどめようとするだろう。
しかし、米国がそれに反撃し、果てしなくエスカレートしていけば、北朝鮮も最後は全滅覚悟で戦争に踏み切る可能性がないとは言えない。
■米韓が恐れる「3つの切り札」
3年後、50個の核爆弾保有の可能性
その場合、米韓両軍が恐れる北朝鮮の「3つの切り札」がある。
★.核や生物化学兵器という「大量破壊兵器(WMD)」、
★.韓国全土や、もしかしたら日本の一部をも混乱に陥れるであろう20万人に及ぶ「特殊部隊」、
★.そしてソウルなど韓国各都市を火の海にする「長距離砲」
の3つだ。
WMDだが、韓国国防省が17年1月に発表した国防白書(2016年版)によれば、北朝鮮は兵器用プルトニウムを50キロ以上保有している。
北朝鮮の技術力があれば、プルトニウム4~6キロで核兵器1個を製造できるとみられる。
ヘッカー博士によれば、北朝鮮は年間約80キロの高濃縮ウランを製造する能力があるとみられる。
博士は、北朝鮮が2020年までに計50個の核爆弾を保有する可能性を指摘している。
VXガスによる金正男氏殺害で有名になった化学兵器も約25種類、計2500~5000トンを保有。
ミサイルの弾頭にするほか、野砲や航空機を使った攻撃もできる。
また、1000発以上の弾道ミサイルを保有。
★.うち85%が主に韓国を攻撃する短距離のスカッドだが、
★.約200発を保有するノドン(射程1300キロ)は日本と在日米軍を、
★.約40発を保有するムスダン(射程3000キロ以上)は米領グアムを攻撃する兵器
とされる。
韓国は、北朝鮮による攻撃の兆候が出たときに先制攻撃する作戦「キルチェーン」と韓国独自のミサイル防衛(MD)システム「KAMD」で対抗しようとしているが、完成は早くても20年代初めとされる。
米韓は、高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD」を今年前半にも韓国に配備し、日米のイージス艦搭載の弾道ミサイルを迎撃するミサイル「SM3」や低高度で迎撃する地対空パトリオット誘導弾などで対抗するが、あくまでも「相互確証破壊理論」に基づいた抑止力用兵器であり、北朝鮮の全ミサイルを撃ち落とせるわけではない。
北朝鮮のWMDを弾頭にした弾道ミサイルが1発でも命中すれば、甚大な被害が出ることは避けられない。
■北の特殊部隊が日本に侵入も
南北境界線に数百門の長距離砲
また、朝鮮中央通信は4月13日、正恩氏が北朝鮮軍の特殊作戦部隊を現地指導したと伝えた。
★.北朝鮮軍は20万人の特殊部隊を保有する。
1996年に韓国東部・江陵(カンヌン)で座礁した北朝鮮潜水艦から上陸した工作員3人は、道のない山中を時速10キロで移動。
交戦した韓国軍兵士の頭部と胸部を正確に撃ち抜いた。
射殺された工作員のポケットからは、逃走中に確認した韓国の発電所やダムなどの施設の位置が正確に記されたメモが発見された。
49日間にわたる戦闘で、投入された韓国軍は延べ150万人。
当時の指揮官は「韓国軍の一般兵士では全く歯が立たない」と語る。
軍事関係筋によれば、北朝鮮軍特殊部隊は、米海軍精鋭特殊部隊シールズと同じように、7~8人の少人数で1戦闘単位を構成。
有事となれば、AN2軽飛行機やホーバークラフト、潜水艦、特殊工作船などで韓国や日本に侵入する。
それぞれの戦闘小隊は平時には、日韓の特定の施設、たとえば「官庁」「放送局」「駅」など、市民生活を混乱に陥れる重要なソフトターゲットを一つずつ割り当てられ、全く同じ模型を相手に連日、襲撃・制圧する訓練を続けているという。
同筋は「狭くて暗い場所での戦闘能力などに優れ、1人で一般の兵士5~6人に相当する力がある」と語る。
★.そして3番目の切り札が、かつて北朝鮮が「ソウルを火の海にできる」と豪語した長距離砲だ。
北朝鮮軍は射程20キロ程度の小口径砲から、ソウルを射程に収める240ミリ、米軍基地があるソウル南方の京畿道(キョンギド)平沢(ピョンテク)まで届く300ミリなど、多彩な長距離砲を全部で1000門程度保有しているとされる。
うち、南北軍事境界線沿いにソウルなどをにらむ砲門が300~500門展開している。
米韓両軍は長距離砲での攻撃の兆候が出た瞬間から航空機による攻撃などで制圧する作戦だが、北朝鮮軍は長距離砲を山脈沿いにくりぬいた坑道に隠し、複数の出口を使って攻撃するとみられている。
韓国・慶南大学の金東葉博士によれば、航空攻撃で、50%の砲門を破壊した場合でも、1時間で3000発以上がソウルに降り注ぐ計算になる。
その場合、ソウルの5~7%程度が破壊されることになる。
たかが5~7%と言っても、高層ビルや発電所などが破壊されれば被害は大きくなる。
特殊部隊と組み合わせた攻撃が起きた場合、市民は簡単には避難できなくなるだろう。
韓国には在留邦人だけで約4万人が住んでいるし、地理に不慣れな旅行客もいる。
攻撃が始まれば外に出ることすら難しくなるだろう。
日本政府は有事の際、米軍の支援を仰ぐ考えだが、米軍が日本人一人ひとりを救出に来てくれるわけではない。
米軍の集結ポイントまでたどり着く必要があるが、それには自衛隊などの救援が必要になる。
日本政府は現在、救援活動に必要になる、空港や道路の使用情報、韓国軍の展開計画などの情報共有を求めているが、韓国側は「一般の不安をあおる」として、協議を拒んでいる。
■「生き残り」を目指すが核は放棄せず
北との対話の余地は少ない
金正恩政権の最大の目標は「政権の生き残り」であり、自滅につながる米軍との戦闘は徹底して避ける戦略を持っている。
北朝鮮が繰り返し、米韓合同演習の中止を求めているのも、その戦略の一環だ。
だが、トランプ政権が「核を持った北朝鮮」を絶対に認めなければ、最後には自滅も覚悟して、戦闘に至る可能性は捨てきれない。
訪韓中のペンス米副大統領は17日午後、核・ミサイル開発や軍事挑発を続ける北朝鮮について言及し、
「シリアやアフガニスタンでの行動を通じ、(トランプ)新大統領の力を見せた。
北朝鮮は大統領の決意やこの地域の米軍の力をテストしない方がよい」
と警告した。
これから、金正恩政権とトランプ政権は、「北朝鮮の核」を巡って、硬軟取り混ぜた丁々発止のやりとりを繰り広げるだろう。
そして徐々に対話の余地は狭まっていき、最後は衝突しか出口が残されていない事態に至っていくのかもしれない。
』
『
AbemaTIMES 4/18(火) 18:31配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170418-00010016-abema-kr
北朝鮮は米中にとって“必要悪“だった 日本も独自の行動を
15日に故・金日成主席の生誕105周年を祝う太陽節を迎えた北朝鮮では、懸念されていた核実験は行われなかったものの、軍事パレードでは特殊部隊やICBMとみられる兵器など7種類の弾道ミサイルを初公開したほか、翌16日には中距離弾道ミサイルを発射した。
アメリカは北朝鮮と国交がある中国に対し、首脳会談や電話会談で制裁措置の強化を要求。
トランプ大統領はTwitterで「北朝鮮は問題を起こそうとしている。
中国が対応しない場合は中国なしで問題を解決する」と発信した。
海外メディアによると、中国は北京・平壌間を結ぶ航空便を無期限に運行停止にするなど、経済制裁の強化を打ち出してきている。
そのような状況下で行われた弾道ミサイル発射。
北朝鮮に対する中国の影響力は低下しているのだろうか。
■北朝鮮は“必要悪“という側面も
拓殖大学教授の富坂聰氏は中国の影響力について「ものすごく低くなっていると思う」と断言、北朝鮮とのパイプは世界の中では中国が一番太いものの、周囲が思っているほどの影響力はないという。
富坂氏は
「朝鮮戦争を一緒に戦った“血を分けた兄弟“というような位置付けだった。
ただ、北朝鮮は旧ソ連と中国の影響力を排除してやってきた国。
兄弟ではあるけれども、ものすごく警戒心がある。
その上、92年に中国が韓国と国交を樹立したことで、北朝鮮にとって中国は“裏切り者“になった」
と話し、
「表面上は仲良くしているが、水面下ではひどい状況が続いてきた。
これが2006年の核実験でさらに仲が悪くなった」
と、中国と北朝鮮の関係性を説明した。
しかし、中国にとって北朝鮮は“必要悪“という側面もあるのだという。
国際ジャーナリストの高橋浩祐氏によると「北朝鮮が滅びて、韓国に吸収されると困る」と指摘。
富坂氏も「“緩衝地帯“としての北朝鮮の価値がある。中国にとって隣の国は小さい方がいい」と話す。
「北朝鮮がそこそこ危険であるほうが利益がある」というのは、アメリカにとっても同様だという。
「北朝鮮の脅威が、在韓米軍、在日米軍の存在価値を高めている」(富坂氏)。
一方で、米中ともに、北朝鮮による核開発は止めなければならないという考えもある。
「必要悪が悪くなりすぎると邪魔になる。
手当をしないといけないという段階にきた。
中国は東アジアで核兵器を持つ唯一の国でいたい。
北朝鮮が核を持つことで、韓国や日本で核武装論が出るのは嫌だと考えている」(富坂氏)。
そんな中国は、アメリカとの交渉の中で変化を見せつつある。
富坂氏は
「中国はアメリカのシリア攻撃を黙認、国連安保理でもシリアの問題ではずっと拒否権を行使してきたのが、今回は棄権した」
と述べ、中国の対応の変化を指摘した。
高橋氏も
「北朝鮮はエネルギーの大部分を中国に依存している。
今後重要なのは、中国が石油の輸出を止めるかどうか。
これを本当にやるかどうかで、中国の本気度が分かる」
とした。
■アメリカはロシアとの関係も考慮?
しかし、両国には別の思惑もあるという。
親ロシア派とみなされていたトランプ政権だが、
「アメリカはシリアの問題を通じて、中国にロシアについて踏み絵を踏ませた」(富坂氏)、
「アメリカの最優先の課題は中東で、北朝鮮ではない。
米中首脳会談で中国とロシアの間を裂くことに成功した」(高橋氏)
のだという。
対北朝鮮政策を超えた、米中の新しい関係性も生まれつつある。
富坂氏は
「アメリカ、中国、日本の思惑はそれぞれ全然違う。
北朝鮮問題については、日本はアメリカに頼るしかないが、利益とはずれるところもある。
日本ができることは少ないが、独自でできることを模索すべき」
と訴えた。
(AbemaTV/AbemaPrimeより)
』
『
Record china配信日時:2017年4月20日(木) 16時10分
http://www.recordchina.co.jp/b175800-s0-c10.html
米、中国の北朝鮮対応を評価
前例ない措置で北を孤立化」
「われわれとの合流に前進」―海外メディア
2017年4月20日、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる緊張が高まる中、
米国は北朝鮮に反発する努力をしている中国の対応を評価している。
米華字メディアの多維新聞によると、訪日中のペンス米副大統領は19日、米CNNのインタビューで、
「トランプ大統領の政策は、地域の同盟国である日本と韓国、さらに中国や世界の国々から支持されている」とし、
「北朝鮮がアジア太平洋で最も危険かつ最も直接的な脅威であることは疑う余地がない。
トランプ大統領は、地域の同盟国や中国と協力を結集して、その脅威に対抗することを決意している」
と述べた。
その上で、中国が北朝鮮からの石炭の受け入れを停止していることなどについて
「中国は北朝鮮を経済的に孤立させるために前例のない措置を取っている。
中国は北朝鮮の輸出の80%に影響を与えている」
と述べた。
露通信社スプートニクの中国語ニュースサイトによると、米ホワイトハウスのスパイサー報道官も19日の会見で、
「トランプ大統領がマー・ア・ラゴ(フロリダ州にある同氏の別荘)で習近平(シー・ジンピン)国家主席と始めた関係は、明らかにいくつかの肯定的な兆候を示している」とし、
「北朝鮮を支配するこの努力の中で、中国が引き続き前進し、私たちに合流することを奨励している」
と述べた。
中国外交部の陸慷(ルー・カン)報道官は19日の定例会見で、北朝鮮高官が相次いで核・ミサイル開発を継続する方針を訴えていることに深刻な懸念を持っていると述べ、北朝鮮をけん制している。
』
『
BUSINESS INSIDER JAPAN 4/23(日) 7:10配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170423-00010000-binsider-int
北朝鮮を止められない中国
ー 核放棄させる可能性はゼロ
高をくくってはならない。
朝鮮半島での武力行使の危険が現実味を帯び始めた。
核・ミサイル開発を止めなければ、北朝鮮への武力行使を含む「あらゆる選択肢」をちらつかせるトランプ米政権に対し、平壌は中距離弾道ミサイルの発射実験で応じた。
危機を回避させられるのは、米中両国しかないと考えがちだがそれは甘い。
なぜか。
中国こそ北朝鮮を説得できる唯一の国という期待は、過去の「虚構」にすぎないからだ。
■「お手上げ状態」の北京
「北のメンツを立てながら核を放棄させられる可能性はゼロだ」
こんな見立てをするのは、中国の安全保障問題の第一人者、南京大学の朱鋒・国際関係研究院長。来日中の17日、都内で筆者のインタビューに答えた。
彼はその理由として、金正恩委員長の父親の金正日氏との違いを指摘する。
「父親は米中日ロなどの大国が共同で核開発に反対する中、核兵器保有は難しいと判断をした。
一方、正恩は現実から遊離した独善的な行動に走っている」
と、あからさまに批判する。
「有名無実」とはいえ、中国と北朝鮮は法的には軍事同盟関係にある。
学者という「民間の立場」ながら、「友好国」指導者への遠慮のない評価。
それは中朝関係が想像以上に冷え込み、北への説得を期待される北京も、実は成す術のない「お手上げ状態」にあることを物語る。
東アジアの平和を脅かす米朝のチキンゲーム。
トランプも金正恩も、先にゲームを降りれば「弱い指導者」として権威を失墜するから、簡単には譲歩できない。
米原子力空母カールビンソンはまもなく、朝鮮半島に接近しゲームは一層緊迫する。
朱氏にあえて「北のメンツを立てる方策は?」と問うたのは、1994年の核開発危機の際、周辺国は、北朝鮮に軽水炉と重油燃料を提供する「朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)」という枠組みを提供し、核開発を放棄させる「ニンジン」を差し出したからだった。
■中国指導部内の対立で戦争状態は放置
中国は、米国の軍事攻撃を不可避と見ているのか。
やはり来日中の于鉄軍・北京大学国際戦略研究院副院長に聞いた。
于氏は
「北が核実験を強行する可能性は否定できない。
そうなれば米軍は北の軍事施設へのピンポイント攻撃を実行する恐れがある」
とみる。
朝鮮戦争以来の危機、最悪のシナリオだ。
「米国が軍事攻撃したら中国はどう出るのか」。
そう質問すると、しばらく答えあぐねた末、于氏はこう答えた。
「その場合、中国内で意見が割れる恐れがある。
北朝鮮と米国のいったいどちらが北京にとって本当の脅威なのかという意見の違い」
これまた想像するに恐ろしいシナリオだ。
仮にそれが、北京の指導部の意見分裂を意味するとすれば、戦争状態が放置される危険すらあるからだ。
先の朱氏にも、「第二次朝鮮戦争」の見通しを聞いた。
「朝鮮戦争へ中国が介入する可能性は低い。
米中双方ともに戦争をしたくないのが共通認識。
戦争の可能性を完全に排除できないのは、東アジアはまだ冷戦構造を引きずっているからだ」
と、比較的楽観的な答えが戻ってきた。
彼はさらにこう強調した。
「中国の認識変化にぜひ注目してほしい。
北の核は、中国にとっても重大な脅威という認識を持っている。
習近平指導部は明らかなシグナルを発している。
かつてこんな見方をすれば売国奴とののしられたものだ」
中朝関係と言えば血と血で結ばれた「血盟関係」と形容されてきた。
それは共産主義封じ込めの米戦略打破のための「イデオロギー的絆」とされる。
しかし、中国側は北朝鮮が初の核実験を実施した2006年ごろから
「北は言うことを聞かない。
影響力を行使しろというがそんな影響力はない」
と公言するようになった。
中国式の改革開放政策に北朝鮮の生き残りの道を見いだした張成沢(金正恩の叔父)の処刑によって、双方の関係は国益と国益がせめぎ合う「普通の国と国」の関係になった。
■水面下で機能する米中関係
悲観的見通しの中、北朝鮮問題で協調する米中関係は、わずかに明るい材料と言える。
4月初めの首脳会談で2人は「北朝鮮の核開発は深刻な段階に達した」との認識を共有し、核開発抑制のために両国が協力を強化することで一致した。
一時は、中国に喧嘩腰だったトランプ大統領だが、
「習主席は協力したがっていると思う。
北朝鮮から中国へ輸出されるはずの石炭を乗せた船はすでに返されている。
中国はほかにも多くの措置も行うだろう」(4月13日)
と語った。
トランプにしても、「頼り」は北京以外にないのだ。
首脳会談に先立ち3月北京を訪問したティラーソン国務長官は「対抗せず、衝突せず、相互尊重でウィンウィン」の「新型大国関係」に基づき米中関係を構築すると述べた。
16日には楊潔チ・国務委員がティラーソン氏と電話会談しており、米中連携は水面下で機能している。
■安倍首相の不用意発言
東アジア150年の近現代史をみると、国際政治の主役の交代は鮮明である。
日清・日露戦争はともに朝鮮半島の権益をめぐる争いであり、主役は日本とロシアだった。
120年後の現在、ホットスポットは依然として朝鮮半島と変化はないが、中国と米国が日ロに替わる主役になった。日本の影響力は、94年危機と比べても一段と下がったことを我々は自覚した方がいい。
一例を挙げる。
安倍首相は4月13日国会答弁で、北朝鮮がサリンをミサイル弾頭に搭載し地上に着弾させる能力を保有している可能性があると、脅威をあおった。
外務省は11日、韓国滞在邦人へ海外安全情報を出し注意喚起した。
いずれも北朝鮮の脅威を強調し、場合によっては「戦争の危険が」という警告と受け取れる。
それなら新宿御苑でタレントや芸能人と花見で浮かれる場合ではなかろう。
危機回避に向けた真剣さが疑われる不用意発言だ。
「このタイミングでなぜ、こうした呼びかけをしたのか」
「不安をあおる恐れがある」
と疑問を呈したのは韓国政府だけではない。
日本政府内でも「韓国が危険だと言っているようなものだ」との批判が出た。
朱氏は最後に、
「中米両国は首脳会談で良いスタートを切り、協力関係が始まった。
米中ともストロングマンが主導権を握っているのは重要。
米中だけでなく、日本と韓国を巻き込んで核問題に対処したい。
われわれの指導者は決意と実行力を持っている」
と締めくくった。
平壌に核実験を回避させ、危機を乗り切るのに成功すれば、トランプ登場で揺れた米中関係は、今後国際政治を左右するコアな関係になるだろう。
岡田充:共同通信客員論説委員、桜美林大非常勤講師。共同通信時代、香港、モスクワ、台北各支局長などを歴任。「21世紀中国総研」で「海峡両岸論」を連載中。
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