トランプは中国に対して北朝鮮を爆撃することも辞さない、
というメッセージをシリアのミサイル攻撃という形で送った
ということであろう。
こうなると中国も追い詰められてくる。
習近平はどうでるか。
『
テレビ朝日系(ANN) 4/7(金) 11:48配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20170407-00000025-ann-int
メンツつぶされた形
…首脳会談最中の攻撃で中国は
シリアで化学兵器によるとみられる空爆で多数の死傷者が出たことを受け、アメリカのトランプ政権はシリア政府軍の施設を巡航ミサイルで攻撃しました。
中国でもこのニュースは速報で伝えられました。北京から報告です。
★.(冨坂範明記者報告)
米中首脳会談の真っただなかに行われたアメリカによるシリア攻撃について、中国国内でも驚きが広がっています。
中国の国営メディアはアメリカメディアの引用として、米軍による攻撃を速報で伝えました。
中国国営テレビは「事実関係が明らかになっていないなか、一部の欧米国家が矛先をアサド政権に向けている」と伝えています。
中国はこれまでも、シリア問題については武力行使に一貫して反対し、政治的な解決を求めていました。
今回の攻撃の原因となった化学兵器の使用についてもアサド政権による使用とは断定せず、「客観的で公正な調査を行い、確実な証拠に基づいて判断をすべきだ」と国連大使が釘を刺したばかりです。
また、習近平国家主席がフロリダを訪れて米中首脳会談が行われている最中に中国の主張を無視してアメリカが単独で武力行使を行ったことは、中国にとってメンツを潰された形になります。
トランプ大統領との信頼関係を目指す習主席が今後の会談でシリア問題にどれぐらい触れるかは不透明ですが、難しい対応を迫られることになります。
』
『
日本経済新聞 2017/4/7 10:51
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H2K_X00C17A4MM0000/
米、シリアに巡航ミサイル
アサド政権軍基地に59発、
地中海の米軍艦船から
【ワシントン=川合智之】トランプ米大統領は6日、サリンなどの化学兵器を使用したとみられるシリアに対し、米軍に攻撃を命じたと発表した。
米軍によると米東部時間6日午後8時40分(現地時間7日午前4時40分)、地中海の米海軍艦船からシリアの空軍基地に59発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射した。
アサド政権に対し米が実施した初の攻撃となる。
アサド政権を支援するロシアとの対立は必至だ。
トランプ氏はフロリダ州で声明を読み上げ「今夜、私はシリアの空港を目標とする空爆を命じた」と述べた。
「致死的な化学兵器の使用防止は米国の国家安全保障の重大な利益だ」
と強調。
シリアでの殺りくや流血を止めるため、米国と協力するよう「すべての文明国家に要請する」と訴えた。
米軍によると、攻撃対象はアサド政権が空爆に使用したとされるシリア西部の軍用飛行場や航空機、倉庫、防空システム、レーダーなど。
米軍は攻撃結果について、シリア航空機や空軍基地、支援施設を破壊し、アサド政権の化学兵器使用能力の弱体化に成功したとしている。
空爆は事前にロシアに通告した。
このほか中東には米空母ジョージ・ブッシュが展開しているほか、シリア国内に過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦への助言のため数百人の米軍要員が駐留している。
●画像
これに先立ちトランプ氏は6日、中国の習近平国家主席との首脳会談のため南部フロリダ州に向かう機内で、記者団に対し「何らかの措置が必要だ」と述べたが、具体策は明らかにしていなかった。
マティス国防長官とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)、ティラーソン国務長官らが6日午前、シリアへの対応策について協議した。
ティラーソン氏は6日、軍事行動について「化学兵器攻撃に適切な対応を検討している」と指摘。
「これは深刻な問題であり、深刻な対応が求められる」
と記者団に語った。
ティラーソン氏は3月末にアサド氏の将来は「シリア国民が決める」と関与しない意向を示していたが、今回はアサド氏退陣に向けた「措置が進行中だ」と述べた。
トランプ氏は5日の記者会見で、化学兵器とみられる空爆について「いくつもの一線を越えた」と指摘。
「シリアとアサド氏への私の考え方は大きく変わった」
と述べ、シリア政策を転換する意向を表明していた。
オバマ前大統領は2013年、アサド政権が化学兵器を使用したとして「一線を越えた」と軍事介入を予告したが、議会の支持が得られないことを理由に直前で見送った。
その後、アサド政権は反体制派に攻勢をかけ、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招いたとの批判がある。
トランプ氏は4日の声明で「(空爆は)前政権が何もしなかった結果だ」とオバマ氏の対応は弱腰だったと批判していた。
』
『
ロイター 2017年 04月 8日 07:59 JST
http://jp.reuters.com/article/apps-syria-idJPKBN1791J6?il=0&sp=true
コラム:シリア化学兵器の「恐ろしい教訓」
[4月5日 ロイター] -
少なくとも70人が犠牲になったとされるシリアのハンシャイフン近郊で起きた化学兵器とみられる空爆は、
数十万人が亡くなったシリア内戦において、その死者数だけを取り上げれば到底重大だとは言えないだろう。
だが、化学兵器となると話は別だ。
第1次世界大戦のさなかに欧州の大国が最初に使用して以来、化学兵器は多くの意味で、その物質的もしくは軍事的効果とは不釣り合いなほど大きな心理的、そして政治的な衝撃を与えてきた。
生物兵器の脅威と並び、化学兵器は突出した恐怖をはらんでいる。
第1次大戦の塹壕で軍医たちは、通常の砲爆撃の方が死者の数がはるかに多いにもかかわらず、毒ガス攻撃に対する身もすくむような恐怖の方が、砲爆撃のそれを上回ることが多いのに気づいた。
大戦終結の頃には、基本的なガスマスクと化学防護装備により、多くの兵士は毒ガス攻撃を受けてもほとんどダメージなく生還できるようになっていた。
にもかかわらず、大半の国が化学兵器を禁止するに至ったのは、こうした兵器に対する恐怖だ。
1993年に署名された化学兵器禁止条約の調印国は現在192カ国に達しており、世界で備蓄されていた既存の化学兵器の90%以上が昨年末までに廃棄されたと考えられている。
だがシリア内戦によって、時と場合によっては、さほど深刻な結果を抱え込むことなく、政府が自国民に対して化学兵器を使用することができるということが確認されてしまったようだ。
ここ数週間、ティラーソン国務長官やマティス国防長官を含む米国高官は、「シリアのアサド大統領の排除はもはや優先課題ではない」と示唆していた。
アサド政権は、ほぼ何の報復を受けずに国内反体制派に対する行動を起こせると感じていることを誇示しているかのようだ。(編集部注:米軍は6日、化学兵器の使用に対する対抗措置として、アサド政権下の空軍基地に対するミサイル攻撃を実施した。)
大量破壊兵器に関する国際的なルールと規範を損ない、米国の力と影響の限界を露呈するという意味で、これは警戒すべき兆候だ。
今も政権側と戦っているシリア市民にとっては、さらに抵抗を続けることによる犠牲について残酷な警告を受けたことになる。
化学兵器による反体制派への攻撃は目新しい戦術ではない。
1920年代や30年代には大英帝国が、同じような狙いでイラクの村落に対して毒ガスを使用した。
ムッソリーニ政権下のイタリアもアビシニア(現エチオピア)に対して同じことを行なった。
イラクのサダム・フセインはハラブジャ周辺のクルド人市民に対してサリンガスを使って推定数千名を殺害し、残虐な独裁者というイメージを確定させた。
今回のケースは、多くの点が意図的にボカされて分かりにくくなっている。
恐らく、他国からの反発や報復の可能性をさらに低下させるためだろう。
西側諸国の政府も、独立した監視機関も、シリア空軍による意図的な攻撃を示す証拠があると述べている。
だがアサド政権を支持しているロシアは、政権側による空爆によって反体制派側の武器倉庫から化学物質が流出したとしている。
そうした可能性もゼロではないとはいえ、空爆による着弾箇所が道路や見通しのいい原野だったことを示す画像など、これまで得られた大半の証拠はその逆を示している。
過激派グループはこれまでにも定期的に化学兵器の製造を試みており、特に「イスラム国(IS)」は、イラク第2の都市モスルの支配を維持するために毒ガスを用いている。
だが5日の攻撃には、2013年にダマスカス郊外で発生したアサド政権絡みの化学兵器による攻撃との顕著な類似点が見られる。
このときは市民数百名が殺害されており、一時は、米国がアサド政権との直接的な武力対決に踏み込む契機になるだろうと見られていた。
それ以前から米国のオバマ前大統領をはじめとする西側諸国の指導者は、化学兵器が使用されれば、外部からの介入の引き金となる限度を越えることになると宣言していた。
だがアサド政権側は2013年に入ってから、ごく少数の死者しか出ないような、小規模の化学兵器攻撃を行うことで、この限度を探ってきた。
シリアは2013年に化学兵器禁止条約に調印し、ロシアの仲介による取引の一環として、米国による軍事行動を回避すべく、化学兵器の備蓄をすべて引き渡したものと思われていた。
今やそれは事実ではなかったように見える。
5日の攻撃以前にも、はるかに限定的な規模の化学兵器による一連の攻撃が見られたからだ。
アサド大統領とその背後にあるロシアが、トランプ政権にはいかなる軍事的対応をとる意志もないと考えているのはほぼ確実である。
何しろ、オバマ政権時代のホワイトハウスと同様に、長期的に介入しようという意欲もなければ、そのための戦略も持っていないからだ。
皮肉なことに、化学兵器が政治的な武器としていかに効果的かをシリア政府が示しつつある一方で、国境を越えたイラクでは、戦場において化学兵器の効果がどれほど限定的かをISが悟りつつある。
米国やイラクなどの連合軍や人権監視団体の報告によれば、昨年9月、10月、そして今年の3月にやや原始的な毒ガス攻撃が数回にわたって行なわれたというが、被害者は比較的少数にとどまっているとみられる。
過激派グループによる化学兵器・生物兵器を利用した攻撃への懸念は何十年も言われているが、実際の例はきわめてまれであり、多くは効果をあげていない。
専門家によれば、アルカイダやISはいずれも化学兵器・生物兵器を利用したいと考えているが、どちらも高い優先順位を与えているわけではないという。
これらのグループは最近、テクノロジーという点では対極的な方向に関心を注いでおり、ブリュッセルやパリ、そして3月の英ウェストミンスターでの攻撃に見るように、トラックやナイフ、小火器といった、利用できる限りで最もシンプルな武器を使っている。
だが、これが常に真実であるとは限らない。
日本のカルト宗教であるオウム真理教は、生物兵器を利用する試みに失敗した後、サリンの製造に成功した。
1995年にこれを使って東京の地下鉄への攻撃を行ない、死者13人の他、6000人以上が重軽傷を負った。
専門家らは、さらに効率よくサリンを散布するシステムを完成させていたら、死者数は大幅に増えただろうと指摘する。
しかし一般的には、5日にシリアで起きた事件が示しているのは、化学兵器による攻撃のリスクが最も大きくなるのは、ある国の政府が自国民の一部を見せしめとして使いたいと考える場合だ、ということだ。
これに対して、米国にせよ他の西側諸国にせよ、どのように対処すればいいのか手をこまねいている、というのが厳しい現実なのだ。
(編集部注:このコラムは米軍がアサド政権軍の支配下にある空軍基地をミサイル攻撃した6日以前に執筆されました。)
*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
』
『
Record china配信日時:2017年4月8日(土) 0時20分
http://www.recordchina.co.jp/b174651-s0-c10.html
習近平主席、トランプ大統領に1日に3度試される―米メディア
2017年4月7日、米華字ニュースサイト多維新聞は、米フロリダ州パームビーチで6日始まったトランプ米大統領と習近平(シー・ジンピン)中国国家主席の首脳会談について、「習氏はトランプ氏に1日に3度試された」と題する記事を掲載した。
今回の訪米で、習氏はトランプ氏に3度試された。
★.まずは米軍によるシリアのアサド政権に対する初攻撃だ。
米海軍は地中海の艦船からシリアの空軍基地に巡航ミサイル「トマホーク」を59発発射した。
習氏の米国到着に合わせて発射命令のタイミングが綿密に練られた。
中国の指導者に指導力を誇示することが目的だったからだ。
北朝鮮問題での中国の対応に対するけん制でもあった。
★.次に習氏を空港で出迎えたティラーソン米国務長官の態度だ。
同長官は習氏到着後の声明で、中国との「新たな大国関係」には触れなかった。
長官は北朝鮮問題で中国が影響力を発揮すること、
経済関係では自国の労働者の権利保護を優先すること、
ネット攻撃や人権問題を回避しないこと
などを強調した。
★.さらに、トランプ氏は会談後
「(習氏とは)長い時間話し合ったが、今のところ何も得られていない。
まったく何も。
しかし、われわれは長期的にみれば友好関係を構築できるだろう」
と語った。
トランプ氏の「心の声」ともいえるだろう。
こうして習氏はトランプ氏に「3度試され」、心理的なプレッシャーをかけられたのだ。
』
『
ロイター 2017年 04月 8日 07:03 JST
http://jp.reuters.com/article/trump-xi-fukada-idJPKBN179318
トランプ氏、中国習主席と「傑出した関係」構築
多くの問題乗り越えられる
[パームビーチ(米フロリダ州) 7日 ロイター] - トランプ米大統領は7日、前日から2日間の日程で始まった中国の習近平国家主席との首脳会談で進展が見られ、米中両国は多くの問題を乗り越えられるとの認識を示した。
トランプ氏は貿易問題や北朝鮮の核開発プログラムなどについて習主席と意見を交換したとし、「米国は中国との関係で目覚しい進展が得られた」と指摘。
「これまでに真の進展が見られたが、これからさらに進展させる。
習主席との間で傑出した関係を築くことができた」
と述べた。
そのうえで「潜在的に非常に悪い問題は解消すると信じている」と語った。
トランプ氏は前週、米国は貿易赤字や雇用の喪失をもはや容認しないとし、習主席との会談は「非常に困難なものになる」と述べていたが、会談2日目となったこの日は論調に変化が見られた。
ただトランプ氏は経済問題で双方がどのように歩み寄ったかなど詳細には触れず、習主席も概ね前向きなトーンを維持しつつ一般的な発言にとどまった。
習主席は
「われわれは理解を深めるとともに、手始めとしての仕事の仲や友情、信頼を築くことができた」とした上で、
「安定した形で友好関係を発展させていけると確信している。
世界の平和と安定に向け、われわれは歴史的な責任を果たしていく」
と述べた。
これに対し、トランプ氏は「100%賛成だ」と応じた。
こうしたなか、ロス商務長官は、米国の輸出促進と対中貿易赤字縮小に向けた通商交渉のための100日計画に関して両首脳が合意したと表明。
「問題の範囲や規模を考えると(計画は)野心的かもしれないが、協議ペースでの非常に大きな転換だ」
と述べた。
また中国側がマネーサプライやインフレへの影響から貿易黒字の削減に関心を示した、と明らかにした。
この他、ティラーソン国務長官は、
北朝鮮問題で両国が協力を強化することや、
米中協議の新たな枠組みに関して両首脳が一致した
と述べた。
』
『
TBS系(JNN) 4/8(土) 1:48配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170408-00000002-jnn-int
米中首脳本格協議、北朝鮮をどうする?
アメリカ軍によるシリアへのミサイル攻撃は、アメリカと中国の両首脳が夕食会を終えた直後に行われました。
首脳会談が開かれているフロリダ州から、記者の報告です。
習近平国家主席がシリア攻撃について、どのように知らされたかというのは明らかになっていませんが、中国にとっても衝撃的なタイミングだったことは間違いありません。
2日目の会談は、トランプ大統領の別荘で日本時間の7日午後11時半から始まっているものとみられます。
今回のシリア空爆で北朝鮮への“軍事攻撃も辞さない”とするトランプ大統領の言葉が、ただの脅しではないという明確なメッセージとして金正恩(キム・ジョンウン)党委員長に伝わっているはずです。
ただ、それで歯止めがかかるどころか、「シリアは核を持っていないからやられたのだ」と、逆に北朝鮮が開発を急ぐ可能性もあります。
朝鮮半島で戦争が起きるという事態は容認できない習主席としては、この日の会談でトランプ大統領に対し、北朝鮮に対する軍事的圧力は効果がない、むしろ逆効果だと強く主張するとみられます。
今の中国には政治的な影響力はないものの、中国企業の北朝鮮との取引や、中国の銀行にある隠し口座の摘発、さらには人道的な理由から続けている石油の輸出を制限するなど、経済的に北朝鮮を締めつける手は残っているはずです。
前日の夕食会では、トランプ大統領と非常にいい関係を築けたとしている習近平主席ですが、今後は圧力強化を求めてくるアメリカと北朝鮮が暴発する可能性との間で、極めて難しい選択を迫られることになりそうです。
』
『
新潮社 フォーサイト 4/8(土) 6:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170408-00542179-fsight-int
【速報】米軍「シリア」ミサイル攻撃に込められた「トランプ大統領の怒り」
それはまさに電撃的な爆撃だった。
4月7日(日本時間)、東地中海を遊弋する米海軍の駆逐艦2隻が、巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射。
シリア政府軍の反政府勢力に対する空爆の根拠地である、シリア西部のシャイラット空軍基地の滑走路や格納庫、燃料タンク、防空システムを破壊した。
トランプ米大統領は会見で、アサド・シリア大統領が
「罪のない市民に恐るべき化学兵器攻撃を行った」
とし、今回の攻撃は
「米国の国家安全保障上の利益を守り、化学兵器の拡散と使用を防止するため」
行ったものだ、と説明した。
シリアが、サリンなど化学兵器を使用した空爆を北部で行ったのは4月4日。
国連安全保障理事会は緊急理事会を開き、シリアの化学兵器使用に対する非難決議について協議していたが、シリアの同盟国ロシアの反対で膠着状態だった。
そんな中での、電光石火の攻撃である。
背景や狙いはいったい何なのか。元海上自衛隊呉地方総監(元海将)で金沢工業大学虎ノ門大学院教授の伊藤俊幸氏に聞いた。
■「専門家」マティス、マクマスター両氏の存在
2013年、シリアがダマスカスでサリンなどの化学兵器を使用したのではないかと疑惑があり、イギリスが国連安保理に、化学兵器使用を根拠とした対シリア武力制裁容認決議案を提出したことがあった。
これは中国とロシアの反対で合意に至らなかったが、
当時のオバマ大統領は軍事介入を決意し、米上院外交委員会も、地上軍を投入しないなどの条件付きで軍事行動を承認した。
つまりこの段階で米軍は、シリア攻撃「計画」を作成していたことになる。
ところがオバマ大統領は、ロシアの斡旋によるシリアの化学兵器廃棄案に合意し、この時は軍事作戦を行わなかったのである。
この時作られた作戦計画は廃棄されず、そのまま存在していた。
トランプ大統領が限定攻撃というオプションについて指示したとき、中東の専門家でもあるマティス国防長官やマクマスター国家安全保障担当補佐官は、すぐにこの計画を取り出し、修正を加えて大統領に提出したはずだ。
だからこそのスピード攻撃であり、またこの2名が主導して今回の作戦を遂行したと考えることができる。
■「誤ったメッセージ」が原因か
以前フォーサイトで、トランプ大統領は何よりもまず、イスラム国(IS)打倒を第1に考えているということを述べた(2017年2月21日「トランプ外交『最優先』は『IS打倒』:『対中国』にあらず」)。
改めて簡単に説明すると、トランプ大統領はその就任にあたり、「イスラム国などのテロ集団を打倒することは我々の最優先事項」であり、そのためには「古い敵を友」として共に戦う、と宣言した、というものだ。
この場合の「古い敵」とは旧ソ連、つまりロシアである。
つまりトランプ政権は、ロシアとの関係を改善させ、共同でイスラム国打倒に力を尽くそう、と言っていたわけだ。
これまでシリア国内では、アメリカは反アサド勢力を支援し、ロシアはアサド政権支援、と対立構造にあった。
ところが先のトランプ宣言では、アメリカはロシアと共同歩調をとる=アサド政権を敵視しない、と読み取ることもできる。
そしてアサド政権はその通りに受け取った。
だから反政府勢力に対し、無慈悲な化学兵器攻撃を行ったのだ。
自らの外交政策が、アサド政権に誤ったメッセージを送ってしまった――トランプ大統領のそんな悔恨の思いは、4月5日の
「(アサド政権は)いくつもの一線を越えた。
シリアとアサド大統領に対する考え方が変わった」
という言葉に端的に表れている。
特に多くの子供が犠牲になったことに対し、大統領の怒りはヒートアップしたのだろう。
迅速な行動の背景には、このようなことがあったと思われる。
■「中国」「北朝鮮」へのブラフ
今回の軍事行動は、北朝鮮の後ろ盾である習近平・中国国家主席との米中首脳会談の最中に決断され、実行された。
トランプ大統領は世界に「やるときはいつでもやる」姿勢を見せつけた形だが、これが中国や北朝鮮も視野に入れたものなのかどうかは、今のところ推測の域を出ない。
確かに、核ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して、米政権内で軍事オプションが検討され始めているのは事実である。
米中首脳会談の最中というタイミングが選ばれたことについても、さらに考える必要がある。
もしも、今回のミサイル攻撃が中国や北朝鮮へのブラフの意味も込めたものだとすれば、なかなかしたたかな外交だということもできようが、そこまでの意図は込められていなかったかもしれない。
ただ結果的には、「やるときにはやる」アメリカの姿勢を強調することになったのではないかと思われる。
』
『
デイリー新潮 4/8(土) 5:59配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170408-00519596-shincho-kr
“死の白鳥”も飛んだ
――トランプVS金正恩に迫る正面衝突
中国の王毅外相は米国と北朝鮮を指してこう宣うた。
「両国は互いに加速しながら譲らない2台の列車のようだが、正面衝突の準備はできているのか」
大手紙国際部記者は言う。
「まさにその通りですよ。
3月1日から米韓軍事演習が過去最大規模で始まりましたが、米軍は原子力空母は投入する、原子力潜水艦は展開させる、攻撃型無人機は配備する、と北朝鮮への圧力を強める一方。
片や北朝鮮は6日、日本海に向けて4発のミサイルを同時発射。
在日米軍基地攻撃を担う“火星砲兵部隊”が“核弾頭をフル装備し本拠地を焦土化する覚悟を固めた”と嘯きました。
その上、19日には新型ロケットエンジンの燃焼実験に成功したと発表、22日にもミサイル発射実験を行ったのです」
同日、米軍がグアムのアンダーセン基地から飛び立たせたのは戦略爆撃機B1B。
核爆弾を24発搭載可能な通称“死の白鳥”だ――。
「これでもかという米国の軍事力の誇示にも北朝鮮は“先制攻撃でいかなる策動も踏みつぶす”と応酬。
チキンレースの領域が徐々に狭まっているのです」(同)
コリア・レポート編集長の辺真一氏も不安を洩らす。
「朝鮮半島でこれほどの危機的状況は近年、類を見ません。
4月15日には故金日成国家主席の誕生日を迎えます。
また北は何かやってくるでしょうし、その時米国は座視できるのか」
外交ジャーナリストの手嶋龍一氏も言う。
「注目すべきは、従来和戦を巡る大統領の決断を、軍事作戦を含めてNSC(国家安全保障会議)が支えてきましたが、今度は軍事作戦の策定・実施は国防総省が担うようになったこと。
外交や情報など各機関の調整はNSCの役割ですが、こと軍事作戦は国防総省が立案、トランプ大統領が承認すれば実施されるようになったのです」
かてて加えて、支持率が37%にまで下がったトランプ氏。
軍事行動による支持率上昇の誘惑に抗えるのか――それも不安材料だ。
「週刊新潮」2017年4月6日号 掲載
』
『
毎日新聞 4/7(金) 22:05配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170407-00000127-mai-int
<米、シリア攻撃>北朝鮮に強烈な警告
中国への威圧狙い
米国のシリア攻撃はトランプ大統領が自身の別荘に習近平・中国国家主席を招いた夕食会の終了直後だった。
会談の主要議題は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応。
シリアのように「一線」を越えれば同様の攻撃があり得ると北朝鮮に警告する
と同時に、そうならないよう中国に北朝鮮への圧力強化を促す狙いもあった
とみられる。
「中国の代表団を乗せた車列がマララーゴ(トランプ氏の別荘)から出て行った」。
米中首脳会談を取材するホワイトハウスの代表取材団のメモが夕食会の終了を伝えたのは6日午後8時半過ぎ(米現地時間)。
直後の8時40分、東地中海の米駆逐艦2隻から「トマホーク」が発射された。
トランプ氏がシリア攻撃を発表した会見場の脇で夕食会の後片付けが続いていた。
「大統領は必要なときには断固たる行動をとるということを明らかに示した」
ティラーソン米国務長官は6日、シリア攻撃の意義をこう強調した。
トランプ氏はこれまで、中国が北朝鮮への圧力強化に動かなければ「米国単独での行動もあり得る」と述べてきた。
トランプ氏は米中首脳会談に向かう大統領専用機の中で「中国は(圧力を)強化すると思う」と語っている。
このタイミングでシリア攻撃に踏み切ったことは、北朝鮮と中国への強烈なメッセージとなった。
その「決意を支持」した日本政府。
菅義偉官房長官は7日の記者会見で
「核兵器や化学兵器を含む大量破壊兵器の拡散と使用の脅威はシリアだけの問題ではない。
北朝鮮など東アジアでも起こり得る」
と北朝鮮を名指しで批判した。
米国の決意はいつでも北朝鮮にも向けられるとの警告だ。
「オバマ政権とは明確に違うという姿勢を打ち出した。
トランプ大統領はやるときはやると」
政府高官はオバマ米政権時代に北朝鮮の核・ミサイル開発が進んだことを念頭に今回の攻撃を評価した。
日本政府は「北朝鮮は当然恐れているだろう」(外務省幹部)とみるが、それでも北朝鮮が新たな核実験やミサイル発射を行った場合、米国が軍事手段をとらなければ「核を持っていたから攻撃されなかった」と考えるかもしれない。
その行き着く先は北朝鮮の核保有国化か、米朝戦争か。政府は「チキンレースになると怖い」(防衛省幹部)と懸念し、中国の出方を注視している。
』
『
Record china配信日時:2017年4月8日(土) 15時10分
http://www.recordchina.co.jp/b174679-s0-c10.html
<米中首脳会談>「北朝鮮核放棄」で協力強化、
安全保障など「4分野対話メカニズム」を新設
―友好演出も課題先送り
2017年4月7日、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、米フロリダでの2日間にわたる初の会談を終えた。
(1)相互尊重を基礎に違いをコントロールし、協力分野を拡大する
(2)北朝鮮の核計画が深刻な段階に入ったとの認識を共有、核放棄に向けた協力を強化する
(3)米国の対中貿易赤字の是正に向け、100日計画を策定する
(4)外交・安全保障、経済など4分野の対話メカニズムを新設する
―などで合意した。
会談でトランプ氏は
「習主席と良好な関係を構築し、米中関係をさらに発展させたい。
我々は多くの問題を解決することができる」
と表明。
習氏も
「米中関係は前進させるべき千の理由があり、壊していい理由は一つもない。
友好関係を安定的に発展させていきたい」
と応じた。
新華社通信によると、トランプ氏は習氏による年内の公式訪中の招請を受け入れた。
ロイター通信によるとトランプ氏は
「初会談で米中2国間の関係は前進した。習氏との関係は傑出している」
と語った。
習氏は貿易・投資やインフラ整備、エネルギー分野で協力を強化する考えも表明した。
新設する対話メカニズムは
(1)外交・安全保障
(2)経済全般
(3)法執行とサイバーセキュリティー
(4)社会・文化交流
―の4分野を設ける。
両国間の懸案を年に1回閣僚レベルで協議する「米中戦略・経済対話」の現行の枠組みを発展改組する。
会談でトランプ氏は南シナ海、東シナ海での「国際規範順守の重要性」を指摘。
習氏は南シナ海問題などの懸案は「敏感な問題を適切に処理しなければならない」と述べたという。
友好促進を謳い、協調を演出したが、課題の多くが先送りされたと言えそうだ。
』
『
ニューズウイーク 2017年4月10日(月)06時00分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7363.php
米中首脳会談の結果を、中国はどう受け止めたか?
中国は米中首脳会談の成果を大きく強調したが、共同記者会見もないという異常事態。
会談直前の北朝鮮のミサイル発射と会談中の米国によるシリア攻撃により顔に泥を塗られながら、習近平が笑顔を保った訳とは?
■顔に泥を塗られながら、笑顔を保った習近平
米中首脳会談の開催を目前にした北朝鮮は、4月5日、またもやミサイルを発射した。
トランプ氏が大統領選中に「ハンバーガーでも食べながら金正恩(キム・ジョンウン)と話をしてもいい」という主旨のことを言ったものだから、北朝鮮はトランプ氏が大統領に当選した昨年の11月8日から今年2月12日まで、ミサイル発射を控えていた。
ひょっとしたらアメリカの次期大統領が自分と会ってくれるかもしれないと期待していたからだろう。
北朝鮮には「アメリカに振り向いてほしい」という強い願望がある。
金正恩のあまりのならず者ぶりに今では見えなくなっているが(そして感覚的に受け入れにくいが)、1953年に休戦協定で終わった朝鮮戦争を停戦協定(平和条約締結)に持って行ってほしいというのが、もともとの始まりではあった。
53年7月に南北軍事境界線の板門店で休戦協定に署名したのは北朝鮮とアメリカだ。
だからアメリカに振り向いてほしい。
停戦になれば、在韓米軍の必然性が消える。
「ならず者国家」は、たしかに今ではもうそれだけではなくなっている。
核保有国として認めろという姿勢を崩していない。
しかしアメリカ政治に詳しい早稲田大学の中林美恵子氏によれば、アメリカ政界(の一部)では
「いっそのこと北朝鮮とは平和条約を結んだ方がいいのではないか」
という声が、いま出始めているとのこと。
―――
だが、その声はまだ小さいのだろう。
2月12日に北朝鮮がミサイル発射の抑制を破ったのは、2月3日に米韓の間でTHAADの年内配備で意見が一致したからであり、2月10日に開催された日米首脳会談で北朝鮮に対して核・ミサイル開発の放棄を要求することを意思表明したからだろう。
この時点で、「トランプは自分とハンバーガーを食べることはない」と判断したにちがいない。
だから安倍首相が訪米してトランプ大統領と首脳会談を行った最終段階でミサイル発射を再開している。
となれば、4月5日の北朝鮮によるミサイル発射は、米中首脳会談を牽制するために行なったものと考えるのが普通だろう。
しかし中国の外交部報道官は、「このたびの北朝鮮のミサイル発射と米中首脳会談は関係がない」と言ってのけた。
当然、中国としては、トランプ大統領から「もし中国が協力しなければ、アメリカ単独で行動してもいい」と言われ、北朝鮮からも泥を塗られたとなれば、訪米する習近平国家主席の威信に傷がつくから、関係性を否定したいだろう。
―――
それだけでも十分な痛手を負っているのに、今度はアメリカ時間の6日夕方、習近平国家主席夫妻がトランプ大統領夫妻の招きを受けて華麗なる晩餐会をフロリダの高級別荘で披露しているというのに、そのさなかにアメリカがシリアに向けてミサイルを59発も発射していたのだから、習近平国家主席の驚きは尋常ではなかったにちがいない。
夕食後にシリア攻撃情報を知った習近平一行は、そそくさと宿泊先に引き上げたと言われている。
アメリカの電撃的なシリア攻撃は、トランプ大統領の
「何なら北朝鮮に対してアメ
「本当に実行されるかもしれない」
という現実味を帯び、習近平国家主席には相当のプレッシャーになったにちがいない。
もっとも、トランプ大統領はオバマ前大統領とは違うんだということをアメリカ国民に知らせたいという意図から、唐突とも言える
今度はトランプ大統領によって習近平国家主席は顔に泥を塗られた形だ。
―――
習近平はその場でトランプ大統領に対して
かのようなリップサービスまでしているが、心は裏腹だっただろう。
宿泊先では、その逆のことが討議されたにちがいない。
その証拠に、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVは、習近平国家主席の偉業を讃えると同時に、米中首脳会談とは全く関係ない形でアメリカのシリア攻撃を伝え、特にロシアやシリア側の抗議声明に重きを置いて繰り返し報道し始めた。
シリアのアサド大統領が
「シリア政府は絶対に化学兵器を使っていない」
と抗議している声明を何度も報道したし、中でも
「果たして、シリアのアサド政権側が化学兵器を使ったのだろうか」
「その十分な検証もなしに、アメリカがシリアを攻撃したのは拙速だ」
「これはシリアに対する侵略行為だ」
「アメリカのこのミサイルで一般市民や子供が大勢死亡している」
「この攻撃はISテロ組織を勇気づけ喜ばせただけだ」
というシリアやロシアの抗議声明や評論家の意見に重きを置いて報道した。
―――
それでも翌日、トランプ大統領と二度目の会談に入った習近平国家主席は、笑顔を絶やすことがなかった。
なぜか――?
それは、今年の秋に党大会があるからだ。
3月は全人代(全国人民代表大会)があったし、
5月には一帯一路の初めてのサミットに没頭しなければならない。
6月に入れば夏の北戴河の集まりにおける次期党大会の人事配置に着手し始める。
したがって、訪米時期としては4月しかなかった。
もちろん日本やイギリス、ドイツあるいはカナダなどの首脳がトランプ大統領との首脳会談をつぎつぎとこなしている中、中国がそう遅れととったのでは「威信」にかかわる。
それも訪米を急いだ理由の一つだ。
その割に、トランプ大統領を前にした習近平国家主席の表情は、おもねるように委縮し、いつもの、あの「威張り過ぎた」表情や「満面の笑みサービス」は消え、始終「ともかく泥を塗られても屈辱に耐え、一見、柔和な笑みを絶やさず、トランプ大統領と対等に渡り合っていますよ」という「映像用のポーズ」だけは保つことに全力を注いでいるように映った。
中国共産党中央委員会の習近平総書記としては、何としても、米中首脳会談を輝かしいものとしなければならなかったのである。
■米中首脳会談は「大成功!」と中国国内報道
米中首脳会談に関する中国国内における報道は、きらびやかさに満ち、ただひたすら中国の外交勝利を讃えるものに貫かれている。
まず初日の晩餐会に関しては習近平国家主席夫妻とトランプ大統領夫妻が、「いかに互いを尊重して円満な雰囲気の中で行なわれたか」を讃えた。
たとえば中国共産党の管轄下にある中央テレビ局CCTV-1のニュースやCCTV13(最初に15秒間ほどの宣伝がある)をご覧いただきたい。
そこでは概ね、以下のような説明をしている。
――習近平は
「トランプ大統領と非常に有意義な会談をおこない、中米関係に関して重要なコンセンサスを持つに至った。
われわれは相互尊重と互利互恵の基礎の上に立って、貿易投資や外交安全、サイバー・セキュリティ、人文交流など広範な領域において協力を遂行していくことを確認し合った」
と語り、一方、トランプは
「習主席の指導のもと、中国が際立った発展を遂げたことを、世界中の人が尊敬し注目している。
習近平主席とは初めて会談したが、さまざまな意見を交換することができて、実にすばらしい話し合いを持つことができ、友情深い関係を築くことができた」
と述べた。
このように、やたら「晩餐会は実に友好的に雰囲気に溢れていた」と褒めそやした。
CCTV13にあるトランプ大統領の5歳の外孫(イヴァンカさんの娘)が『茉莉花』(モア・リー・ホワ)という歌を中国語で歌った場面は、新華社が特に報道したため、他の多くのメディアが転載した。
たとえば「鳳凰網」や「捜狐」などがある。
この歌は中国人民解放軍専属の歌手だった彭麗媛夫人が歌ったことでも有名で、習近平国家主席がまだ浙江省の書記をしていた2005年の春節の宴で歌った映像も残っている(「春節の宴」は日本の「紅白歌合戦」に相当するようなCCTVの恒例行事)。
イヴァンカさんは自分の子供たちに中国語を覚えさせ、今年のワシントンにある中国大使館で春節の催しが開かれたときには、子供たちを連れて中国大使館に行ったこともある。
彭麗媛夫人はそのことを最大限に利用して、「夫人外交」を展開した。
習近平国家主席のこのたびの外訪は、フィンランド訪問を含めて専門のウェブサイト >「出訪Visit」(新華網)などが作成され、大々的に「外交勝利」を謳っている。
■中国にとって「勝利」ではなかった
――共同記者会見もなく
二日目(現地時間7日)の実務的会談や二人だけの散歩に関しては、多くのメディアが「新華網」の写真などを転載している。
たとえば「中華網」などがあり、動画ではCCTV13(広告が二つあった後に画面が出てくる)で観ることができる。
いずれも「習近平・トランプ」の緊密さと中国の「外交勝利」を讃えるものばかりだ。
しかし共同記者会見さえなかった首脳会談が、「勝利」だとは、とても思えない。
結果は?
結果的に米中間で、おおむね以下のような方向性が確認されたようだ。
●貿易に関しては100日間かけて両国間で協議解決する。
●北朝鮮に関しては米中とも北の暴走を食い止めることでは一致しているが、方法論に関しては平行線。
中国はあくまでも米朝が対話のテーブルに着くことを要求し、アメリカは(シリア同様)、いざとなったら軍事攻撃をとることを選択肢の一つとする。
同時に北と関係を持っている中国企業を個別に叩いていく。
これに対して習近平側は、明確な回答を避けている(後者に関しては、黙認したとも受け取れる)。
では、今後中国はどうするのか?
これに関しては、筆者の推測だが、中国はいま、以下のような可能性を考えているのではないだろうか。
★.アメリカがシリアを攻撃したことにより、北朝鮮がさらに核・ミサイル開発を加速させる危険性がある。
★.アメリカがシリアに力を注がなければならなくなった分、北朝鮮には、それほど大きな力を注げなくなる可能性がある。
だから、ひょっとしたら逆に北への武力攻撃は抑制するかもしれない。
★.アメリカはロシアを完全に敵に回したので、北への攻撃がしにくくなる。
全面戦争になる可能性が高まるから、決断を延期するかもしれない。
★.あるいは逆に5月9日になると、韓国に親中・親北朝鮮・反米の政権が誕生する可能性があるので、その前に北への武力攻撃を断行するかもしれない。
事実アメリカは8日、韓国に核兵器を配備するかもしれないと発表した。
となれば朝鮮半島における戦争が現実味を帯びてくる。
★.いずれにしても中国へのプレッシャーは高まり、中国としても北への圧力を強化するしかない。
中国への圧力という意味では、シリア攻撃と首脳会談は一定の効果を発揮した。
日本は?
まだまだあるが、長くなり過ぎた。
少なくとも日本としては日米韓の同盟が強化できるよう、日韓関係を修復しなければならないだろう。
しかし韓国は自国の安全よりも慰安婦問題を重視し、それによって選挙民の心をつかもうとしている。
この(愚かな)現状を、日本は打破できるのか。
そして武力攻撃が始まったら(始まらなくともその可能性はあるが)、北が最初に狙うのは在日米軍基地であることを肝に銘じなければならないだろう。
アメリカによる北への武力攻撃は、ひとごとではない。
いかにして日本国民を守るか、真剣勝負が目前に迫っている。
』
というメッセージをシリアのミサイル攻撃という形で送った
ということであろう。
こうなると中国も追い詰められてくる。
習近平はどうでるか。
『
テレビ朝日系(ANN) 4/7(金) 11:48配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20170407-00000025-ann-int
メンツつぶされた形
…首脳会談最中の攻撃で中国は
シリアで化学兵器によるとみられる空爆で多数の死傷者が出たことを受け、アメリカのトランプ政権はシリア政府軍の施設を巡航ミサイルで攻撃しました。
中国でもこのニュースは速報で伝えられました。北京から報告です。
★.(冨坂範明記者報告)
米中首脳会談の真っただなかに行われたアメリカによるシリア攻撃について、中国国内でも驚きが広がっています。
中国の国営メディアはアメリカメディアの引用として、米軍による攻撃を速報で伝えました。
中国国営テレビは「事実関係が明らかになっていないなか、一部の欧米国家が矛先をアサド政権に向けている」と伝えています。
中国はこれまでも、シリア問題については武力行使に一貫して反対し、政治的な解決を求めていました。
今回の攻撃の原因となった化学兵器の使用についてもアサド政権による使用とは断定せず、「客観的で公正な調査を行い、確実な証拠に基づいて判断をすべきだ」と国連大使が釘を刺したばかりです。
また、習近平国家主席がフロリダを訪れて米中首脳会談が行われている最中に中国の主張を無視してアメリカが単独で武力行使を行ったことは、中国にとってメンツを潰された形になります。
トランプ大統領との信頼関係を目指す習主席が今後の会談でシリア問題にどれぐらい触れるかは不透明ですが、難しい対応を迫られることになります。
』
『
日本経済新聞 2017/4/7 10:51
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H2K_X00C17A4MM0000/
米、シリアに巡航ミサイル
アサド政権軍基地に59発、
地中海の米軍艦船から
【ワシントン=川合智之】トランプ米大統領は6日、サリンなどの化学兵器を使用したとみられるシリアに対し、米軍に攻撃を命じたと発表した。
米軍によると米東部時間6日午後8時40分(現地時間7日午前4時40分)、地中海の米海軍艦船からシリアの空軍基地に59発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射した。
アサド政権に対し米が実施した初の攻撃となる。
アサド政権を支援するロシアとの対立は必至だ。
トランプ氏はフロリダ州で声明を読み上げ「今夜、私はシリアの空港を目標とする空爆を命じた」と述べた。
「致死的な化学兵器の使用防止は米国の国家安全保障の重大な利益だ」
と強調。
シリアでの殺りくや流血を止めるため、米国と協力するよう「すべての文明国家に要請する」と訴えた。
米軍によると、攻撃対象はアサド政権が空爆に使用したとされるシリア西部の軍用飛行場や航空機、倉庫、防空システム、レーダーなど。
米軍は攻撃結果について、シリア航空機や空軍基地、支援施設を破壊し、アサド政権の化学兵器使用能力の弱体化に成功したとしている。
空爆は事前にロシアに通告した。
このほか中東には米空母ジョージ・ブッシュが展開しているほか、シリア国内に過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦への助言のため数百人の米軍要員が駐留している。
●画像
これに先立ちトランプ氏は6日、中国の習近平国家主席との首脳会談のため南部フロリダ州に向かう機内で、記者団に対し「何らかの措置が必要だ」と述べたが、具体策は明らかにしていなかった。
マティス国防長官とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)、ティラーソン国務長官らが6日午前、シリアへの対応策について協議した。
ティラーソン氏は6日、軍事行動について「化学兵器攻撃に適切な対応を検討している」と指摘。
「これは深刻な問題であり、深刻な対応が求められる」
と記者団に語った。
ティラーソン氏は3月末にアサド氏の将来は「シリア国民が決める」と関与しない意向を示していたが、今回はアサド氏退陣に向けた「措置が進行中だ」と述べた。
トランプ氏は5日の記者会見で、化学兵器とみられる空爆について「いくつもの一線を越えた」と指摘。
「シリアとアサド氏への私の考え方は大きく変わった」
と述べ、シリア政策を転換する意向を表明していた。
オバマ前大統領は2013年、アサド政権が化学兵器を使用したとして「一線を越えた」と軍事介入を予告したが、議会の支持が得られないことを理由に直前で見送った。
その後、アサド政権は反体制派に攻勢をかけ、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招いたとの批判がある。
トランプ氏は4日の声明で「(空爆は)前政権が何もしなかった結果だ」とオバマ氏の対応は弱腰だったと批判していた。
』
『
ロイター 2017年 04月 8日 07:59 JST
http://jp.reuters.com/article/apps-syria-idJPKBN1791J6?il=0&sp=true
コラム:シリア化学兵器の「恐ろしい教訓」
[4月5日 ロイター] -
少なくとも70人が犠牲になったとされるシリアのハンシャイフン近郊で起きた化学兵器とみられる空爆は、
数十万人が亡くなったシリア内戦において、その死者数だけを取り上げれば到底重大だとは言えないだろう。
だが、化学兵器となると話は別だ。
第1次世界大戦のさなかに欧州の大国が最初に使用して以来、化学兵器は多くの意味で、その物質的もしくは軍事的効果とは不釣り合いなほど大きな心理的、そして政治的な衝撃を与えてきた。
生物兵器の脅威と並び、化学兵器は突出した恐怖をはらんでいる。
第1次大戦の塹壕で軍医たちは、通常の砲爆撃の方が死者の数がはるかに多いにもかかわらず、毒ガス攻撃に対する身もすくむような恐怖の方が、砲爆撃のそれを上回ることが多いのに気づいた。
大戦終結の頃には、基本的なガスマスクと化学防護装備により、多くの兵士は毒ガス攻撃を受けてもほとんどダメージなく生還できるようになっていた。
にもかかわらず、大半の国が化学兵器を禁止するに至ったのは、こうした兵器に対する恐怖だ。
1993年に署名された化学兵器禁止条約の調印国は現在192カ国に達しており、世界で備蓄されていた既存の化学兵器の90%以上が昨年末までに廃棄されたと考えられている。
だがシリア内戦によって、時と場合によっては、さほど深刻な結果を抱え込むことなく、政府が自国民に対して化学兵器を使用することができるということが確認されてしまったようだ。
ここ数週間、ティラーソン国務長官やマティス国防長官を含む米国高官は、「シリアのアサド大統領の排除はもはや優先課題ではない」と示唆していた。
アサド政権は、ほぼ何の報復を受けずに国内反体制派に対する行動を起こせると感じていることを誇示しているかのようだ。(編集部注:米軍は6日、化学兵器の使用に対する対抗措置として、アサド政権下の空軍基地に対するミサイル攻撃を実施した。)
大量破壊兵器に関する国際的なルールと規範を損ない、米国の力と影響の限界を露呈するという意味で、これは警戒すべき兆候だ。
今も政権側と戦っているシリア市民にとっては、さらに抵抗を続けることによる犠牲について残酷な警告を受けたことになる。
化学兵器による反体制派への攻撃は目新しい戦術ではない。
1920年代や30年代には大英帝国が、同じような狙いでイラクの村落に対して毒ガスを使用した。
ムッソリーニ政権下のイタリアもアビシニア(現エチオピア)に対して同じことを行なった。
イラクのサダム・フセインはハラブジャ周辺のクルド人市民に対してサリンガスを使って推定数千名を殺害し、残虐な独裁者というイメージを確定させた。
今回のケースは、多くの点が意図的にボカされて分かりにくくなっている。
恐らく、他国からの反発や報復の可能性をさらに低下させるためだろう。
西側諸国の政府も、独立した監視機関も、シリア空軍による意図的な攻撃を示す証拠があると述べている。
だがアサド政権を支持しているロシアは、政権側による空爆によって反体制派側の武器倉庫から化学物質が流出したとしている。
そうした可能性もゼロではないとはいえ、空爆による着弾箇所が道路や見通しのいい原野だったことを示す画像など、これまで得られた大半の証拠はその逆を示している。
過激派グループはこれまでにも定期的に化学兵器の製造を試みており、特に「イスラム国(IS)」は、イラク第2の都市モスルの支配を維持するために毒ガスを用いている。
だが5日の攻撃には、2013年にダマスカス郊外で発生したアサド政権絡みの化学兵器による攻撃との顕著な類似点が見られる。
このときは市民数百名が殺害されており、一時は、米国がアサド政権との直接的な武力対決に踏み込む契機になるだろうと見られていた。
それ以前から米国のオバマ前大統領をはじめとする西側諸国の指導者は、化学兵器が使用されれば、外部からの介入の引き金となる限度を越えることになると宣言していた。
だがアサド政権側は2013年に入ってから、ごく少数の死者しか出ないような、小規模の化学兵器攻撃を行うことで、この限度を探ってきた。
シリアは2013年に化学兵器禁止条約に調印し、ロシアの仲介による取引の一環として、米国による軍事行動を回避すべく、化学兵器の備蓄をすべて引き渡したものと思われていた。
今やそれは事実ではなかったように見える。
5日の攻撃以前にも、はるかに限定的な規模の化学兵器による一連の攻撃が見られたからだ。
アサド大統領とその背後にあるロシアが、トランプ政権にはいかなる軍事的対応をとる意志もないと考えているのはほぼ確実である。
何しろ、オバマ政権時代のホワイトハウスと同様に、長期的に介入しようという意欲もなければ、そのための戦略も持っていないからだ。
皮肉なことに、化学兵器が政治的な武器としていかに効果的かをシリア政府が示しつつある一方で、国境を越えたイラクでは、戦場において化学兵器の効果がどれほど限定的かをISが悟りつつある。
米国やイラクなどの連合軍や人権監視団体の報告によれば、昨年9月、10月、そして今年の3月にやや原始的な毒ガス攻撃が数回にわたって行なわれたというが、被害者は比較的少数にとどまっているとみられる。
過激派グループによる化学兵器・生物兵器を利用した攻撃への懸念は何十年も言われているが、実際の例はきわめてまれであり、多くは効果をあげていない。
専門家によれば、アルカイダやISはいずれも化学兵器・生物兵器を利用したいと考えているが、どちらも高い優先順位を与えているわけではないという。
これらのグループは最近、テクノロジーという点では対極的な方向に関心を注いでおり、ブリュッセルやパリ、そして3月の英ウェストミンスターでの攻撃に見るように、トラックやナイフ、小火器といった、利用できる限りで最もシンプルな武器を使っている。
だが、これが常に真実であるとは限らない。
日本のカルト宗教であるオウム真理教は、生物兵器を利用する試みに失敗した後、サリンの製造に成功した。
1995年にこれを使って東京の地下鉄への攻撃を行ない、死者13人の他、6000人以上が重軽傷を負った。
専門家らは、さらに効率よくサリンを散布するシステムを完成させていたら、死者数は大幅に増えただろうと指摘する。
しかし一般的には、5日にシリアで起きた事件が示しているのは、化学兵器による攻撃のリスクが最も大きくなるのは、ある国の政府が自国民の一部を見せしめとして使いたいと考える場合だ、ということだ。
これに対して、米国にせよ他の西側諸国にせよ、どのように対処すればいいのか手をこまねいている、というのが厳しい現実なのだ。
(編集部注:このコラムは米軍がアサド政権軍の支配下にある空軍基地をミサイル攻撃した6日以前に執筆されました。)
*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
』
Record china配信日時:2017年4月8日(土) 0時20分
http://www.recordchina.co.jp/b174651-s0-c10.html
習近平主席、トランプ大統領に1日に3度試される―米メディア
2017年4月7日、米華字ニュースサイト多維新聞は、米フロリダ州パームビーチで6日始まったトランプ米大統領と習近平(シー・ジンピン)中国国家主席の首脳会談について、「習氏はトランプ氏に1日に3度試された」と題する記事を掲載した。
今回の訪米で、習氏はトランプ氏に3度試された。
★.まずは米軍によるシリアのアサド政権に対する初攻撃だ。
米海軍は地中海の艦船からシリアの空軍基地に巡航ミサイル「トマホーク」を59発発射した。
習氏の米国到着に合わせて発射命令のタイミングが綿密に練られた。
中国の指導者に指導力を誇示することが目的だったからだ。
北朝鮮問題での中国の対応に対するけん制でもあった。
★.次に習氏を空港で出迎えたティラーソン米国務長官の態度だ。
同長官は習氏到着後の声明で、中国との「新たな大国関係」には触れなかった。
長官は北朝鮮問題で中国が影響力を発揮すること、
経済関係では自国の労働者の権利保護を優先すること、
ネット攻撃や人権問題を回避しないこと
などを強調した。
★.さらに、トランプ氏は会談後
「(習氏とは)長い時間話し合ったが、今のところ何も得られていない。
まったく何も。
しかし、われわれは長期的にみれば友好関係を構築できるだろう」
と語った。
トランプ氏の「心の声」ともいえるだろう。
こうして習氏はトランプ氏に「3度試され」、心理的なプレッシャーをかけられたのだ。
』
『
ロイター 2017年 04月 8日 07:03 JST
http://jp.reuters.com/article/trump-xi-fukada-idJPKBN179318
トランプ氏、中国習主席と「傑出した関係」構築
多くの問題乗り越えられる
[パームビーチ(米フロリダ州) 7日 ロイター] - トランプ米大統領は7日、前日から2日間の日程で始まった中国の習近平国家主席との首脳会談で進展が見られ、米中両国は多くの問題を乗り越えられるとの認識を示した。
トランプ氏は貿易問題や北朝鮮の核開発プログラムなどについて習主席と意見を交換したとし、「米国は中国との関係で目覚しい進展が得られた」と指摘。
「これまでに真の進展が見られたが、これからさらに進展させる。
習主席との間で傑出した関係を築くことができた」
と述べた。
そのうえで「潜在的に非常に悪い問題は解消すると信じている」と語った。
トランプ氏は前週、米国は貿易赤字や雇用の喪失をもはや容認しないとし、習主席との会談は「非常に困難なものになる」と述べていたが、会談2日目となったこの日は論調に変化が見られた。
ただトランプ氏は経済問題で双方がどのように歩み寄ったかなど詳細には触れず、習主席も概ね前向きなトーンを維持しつつ一般的な発言にとどまった。
習主席は
「われわれは理解を深めるとともに、手始めとしての仕事の仲や友情、信頼を築くことができた」とした上で、
「安定した形で友好関係を発展させていけると確信している。
世界の平和と安定に向け、われわれは歴史的な責任を果たしていく」
と述べた。
これに対し、トランプ氏は「100%賛成だ」と応じた。
こうしたなか、ロス商務長官は、米国の輸出促進と対中貿易赤字縮小に向けた通商交渉のための100日計画に関して両首脳が合意したと表明。
「問題の範囲や規模を考えると(計画は)野心的かもしれないが、協議ペースでの非常に大きな転換だ」
と述べた。
また中国側がマネーサプライやインフレへの影響から貿易黒字の削減に関心を示した、と明らかにした。
この他、ティラーソン国務長官は、
北朝鮮問題で両国が協力を強化することや、
米中協議の新たな枠組みに関して両首脳が一致した
と述べた。
』
『
TBS系(JNN) 4/8(土) 1:48配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170408-00000002-jnn-int
米中首脳本格協議、北朝鮮をどうする?
アメリカ軍によるシリアへのミサイル攻撃は、アメリカと中国の両首脳が夕食会を終えた直後に行われました。
首脳会談が開かれているフロリダ州から、記者の報告です。
習近平国家主席がシリア攻撃について、どのように知らされたかというのは明らかになっていませんが、中国にとっても衝撃的なタイミングだったことは間違いありません。
2日目の会談は、トランプ大統領の別荘で日本時間の7日午後11時半から始まっているものとみられます。
今回のシリア空爆で北朝鮮への“軍事攻撃も辞さない”とするトランプ大統領の言葉が、ただの脅しではないという明確なメッセージとして金正恩(キム・ジョンウン)党委員長に伝わっているはずです。
ただ、それで歯止めがかかるどころか、「シリアは核を持っていないからやられたのだ」と、逆に北朝鮮が開発を急ぐ可能性もあります。
朝鮮半島で戦争が起きるという事態は容認できない習主席としては、この日の会談でトランプ大統領に対し、北朝鮮に対する軍事的圧力は効果がない、むしろ逆効果だと強く主張するとみられます。
今の中国には政治的な影響力はないものの、中国企業の北朝鮮との取引や、中国の銀行にある隠し口座の摘発、さらには人道的な理由から続けている石油の輸出を制限するなど、経済的に北朝鮮を締めつける手は残っているはずです。
前日の夕食会では、トランプ大統領と非常にいい関係を築けたとしている習近平主席ですが、今後は圧力強化を求めてくるアメリカと北朝鮮が暴発する可能性との間で、極めて難しい選択を迫られることになりそうです。
』
『
新潮社 フォーサイト 4/8(土) 6:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170408-00542179-fsight-int
【速報】米軍「シリア」ミサイル攻撃に込められた「トランプ大統領の怒り」
それはまさに電撃的な爆撃だった。
4月7日(日本時間)、東地中海を遊弋する米海軍の駆逐艦2隻が、巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射。
シリア政府軍の反政府勢力に対する空爆の根拠地である、シリア西部のシャイラット空軍基地の滑走路や格納庫、燃料タンク、防空システムを破壊した。
トランプ米大統領は会見で、アサド・シリア大統領が
「罪のない市民に恐るべき化学兵器攻撃を行った」
とし、今回の攻撃は
「米国の国家安全保障上の利益を守り、化学兵器の拡散と使用を防止するため」
行ったものだ、と説明した。
シリアが、サリンなど化学兵器を使用した空爆を北部で行ったのは4月4日。
国連安全保障理事会は緊急理事会を開き、シリアの化学兵器使用に対する非難決議について協議していたが、シリアの同盟国ロシアの反対で膠着状態だった。
そんな中での、電光石火の攻撃である。
背景や狙いはいったい何なのか。元海上自衛隊呉地方総監(元海将)で金沢工業大学虎ノ門大学院教授の伊藤俊幸氏に聞いた。
■「専門家」マティス、マクマスター両氏の存在
2013年、シリアがダマスカスでサリンなどの化学兵器を使用したのではないかと疑惑があり、イギリスが国連安保理に、化学兵器使用を根拠とした対シリア武力制裁容認決議案を提出したことがあった。
これは中国とロシアの反対で合意に至らなかったが、
当時のオバマ大統領は軍事介入を決意し、米上院外交委員会も、地上軍を投入しないなどの条件付きで軍事行動を承認した。
つまりこの段階で米軍は、シリア攻撃「計画」を作成していたことになる。
ところがオバマ大統領は、ロシアの斡旋によるシリアの化学兵器廃棄案に合意し、この時は軍事作戦を行わなかったのである。
この時作られた作戦計画は廃棄されず、そのまま存在していた。
トランプ大統領が限定攻撃というオプションについて指示したとき、中東の専門家でもあるマティス国防長官やマクマスター国家安全保障担当補佐官は、すぐにこの計画を取り出し、修正を加えて大統領に提出したはずだ。
だからこそのスピード攻撃であり、またこの2名が主導して今回の作戦を遂行したと考えることができる。
■「誤ったメッセージ」が原因か
以前フォーサイトで、トランプ大統領は何よりもまず、イスラム国(IS)打倒を第1に考えているということを述べた(2017年2月21日「トランプ外交『最優先』は『IS打倒』:『対中国』にあらず」)。
改めて簡単に説明すると、トランプ大統領はその就任にあたり、「イスラム国などのテロ集団を打倒することは我々の最優先事項」であり、そのためには「古い敵を友」として共に戦う、と宣言した、というものだ。
この場合の「古い敵」とは旧ソ連、つまりロシアである。
つまりトランプ政権は、ロシアとの関係を改善させ、共同でイスラム国打倒に力を尽くそう、と言っていたわけだ。
これまでシリア国内では、アメリカは反アサド勢力を支援し、ロシアはアサド政権支援、と対立構造にあった。
ところが先のトランプ宣言では、アメリカはロシアと共同歩調をとる=アサド政権を敵視しない、と読み取ることもできる。
そしてアサド政権はその通りに受け取った。
だから反政府勢力に対し、無慈悲な化学兵器攻撃を行ったのだ。
自らの外交政策が、アサド政権に誤ったメッセージを送ってしまった――トランプ大統領のそんな悔恨の思いは、4月5日の
「(アサド政権は)いくつもの一線を越えた。
シリアとアサド大統領に対する考え方が変わった」
という言葉に端的に表れている。
特に多くの子供が犠牲になったことに対し、大統領の怒りはヒートアップしたのだろう。
迅速な行動の背景には、このようなことがあったと思われる。
■「中国」「北朝鮮」へのブラフ
今回の軍事行動は、北朝鮮の後ろ盾である習近平・中国国家主席との米中首脳会談の最中に決断され、実行された。
トランプ大統領は世界に「やるときはいつでもやる」姿勢を見せつけた形だが、これが中国や北朝鮮も視野に入れたものなのかどうかは、今のところ推測の域を出ない。
確かに、核ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して、米政権内で軍事オプションが検討され始めているのは事実である。
米中首脳会談の最中というタイミングが選ばれたことについても、さらに考える必要がある。
もしも、今回のミサイル攻撃が中国や北朝鮮へのブラフの意味も込めたものだとすれば、なかなかしたたかな外交だということもできようが、そこまでの意図は込められていなかったかもしれない。
ただ結果的には、「やるときにはやる」アメリカの姿勢を強調することになったのではないかと思われる。
』
『
デイリー新潮 4/8(土) 5:59配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170408-00519596-shincho-kr
“死の白鳥”も飛んだ
――トランプVS金正恩に迫る正面衝突
中国の王毅外相は米国と北朝鮮を指してこう宣うた。
「両国は互いに加速しながら譲らない2台の列車のようだが、正面衝突の準備はできているのか」
大手紙国際部記者は言う。
「まさにその通りですよ。
3月1日から米韓軍事演習が過去最大規模で始まりましたが、米軍は原子力空母は投入する、原子力潜水艦は展開させる、攻撃型無人機は配備する、と北朝鮮への圧力を強める一方。
片や北朝鮮は6日、日本海に向けて4発のミサイルを同時発射。
在日米軍基地攻撃を担う“火星砲兵部隊”が“核弾頭をフル装備し本拠地を焦土化する覚悟を固めた”と嘯きました。
その上、19日には新型ロケットエンジンの燃焼実験に成功したと発表、22日にもミサイル発射実験を行ったのです」
同日、米軍がグアムのアンダーセン基地から飛び立たせたのは戦略爆撃機B1B。
核爆弾を24発搭載可能な通称“死の白鳥”だ――。
「これでもかという米国の軍事力の誇示にも北朝鮮は“先制攻撃でいかなる策動も踏みつぶす”と応酬。
チキンレースの領域が徐々に狭まっているのです」(同)
コリア・レポート編集長の辺真一氏も不安を洩らす。
「朝鮮半島でこれほどの危機的状況は近年、類を見ません。
4月15日には故金日成国家主席の誕生日を迎えます。
また北は何かやってくるでしょうし、その時米国は座視できるのか」
外交ジャーナリストの手嶋龍一氏も言う。
「注目すべきは、従来和戦を巡る大統領の決断を、軍事作戦を含めてNSC(国家安全保障会議)が支えてきましたが、今度は軍事作戦の策定・実施は国防総省が担うようになったこと。
外交や情報など各機関の調整はNSCの役割ですが、こと軍事作戦は国防総省が立案、トランプ大統領が承認すれば実施されるようになったのです」
かてて加えて、支持率が37%にまで下がったトランプ氏。
軍事行動による支持率上昇の誘惑に抗えるのか――それも不安材料だ。
「週刊新潮」2017年4月6日号 掲載
』
『
毎日新聞 4/7(金) 22:05配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170407-00000127-mai-int
<米、シリア攻撃>北朝鮮に強烈な警告
中国への威圧狙い
米国のシリア攻撃はトランプ大統領が自身の別荘に習近平・中国国家主席を招いた夕食会の終了直後だった。
会談の主要議題は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応。
シリアのように「一線」を越えれば同様の攻撃があり得ると北朝鮮に警告する
と同時に、そうならないよう中国に北朝鮮への圧力強化を促す狙いもあった
とみられる。
「中国の代表団を乗せた車列がマララーゴ(トランプ氏の別荘)から出て行った」。
米中首脳会談を取材するホワイトハウスの代表取材団のメモが夕食会の終了を伝えたのは6日午後8時半過ぎ(米現地時間)。
直後の8時40分、東地中海の米駆逐艦2隻から「トマホーク」が発射された。
トランプ氏がシリア攻撃を発表した会見場の脇で夕食会の後片付けが続いていた。
「大統領は必要なときには断固たる行動をとるということを明らかに示した」
ティラーソン米国務長官は6日、シリア攻撃の意義をこう強調した。
トランプ氏はこれまで、中国が北朝鮮への圧力強化に動かなければ「米国単独での行動もあり得る」と述べてきた。
トランプ氏は米中首脳会談に向かう大統領専用機の中で「中国は(圧力を)強化すると思う」と語っている。
このタイミングでシリア攻撃に踏み切ったことは、北朝鮮と中国への強烈なメッセージとなった。
その「決意を支持」した日本政府。
菅義偉官房長官は7日の記者会見で
「核兵器や化学兵器を含む大量破壊兵器の拡散と使用の脅威はシリアだけの問題ではない。
北朝鮮など東アジアでも起こり得る」
と北朝鮮を名指しで批判した。
米国の決意はいつでも北朝鮮にも向けられるとの警告だ。
「オバマ政権とは明確に違うという姿勢を打ち出した。
トランプ大統領はやるときはやると」
政府高官はオバマ米政権時代に北朝鮮の核・ミサイル開発が進んだことを念頭に今回の攻撃を評価した。
日本政府は「北朝鮮は当然恐れているだろう」(外務省幹部)とみるが、それでも北朝鮮が新たな核実験やミサイル発射を行った場合、米国が軍事手段をとらなければ「核を持っていたから攻撃されなかった」と考えるかもしれない。
その行き着く先は北朝鮮の核保有国化か、米朝戦争か。政府は「チキンレースになると怖い」(防衛省幹部)と懸念し、中国の出方を注視している。
』
『
Record china配信日時:2017年4月8日(土) 15時10分
http://www.recordchina.co.jp/b174679-s0-c10.html
<米中首脳会談>「北朝鮮核放棄」で協力強化、
安全保障など「4分野対話メカニズム」を新設
―友好演出も課題先送り
2017年4月7日、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、米フロリダでの2日間にわたる初の会談を終えた。
(1)相互尊重を基礎に違いをコントロールし、協力分野を拡大する
(2)北朝鮮の核計画が深刻な段階に入ったとの認識を共有、核放棄に向けた協力を強化する
(3)米国の対中貿易赤字の是正に向け、100日計画を策定する
(4)外交・安全保障、経済など4分野の対話メカニズムを新設する
―などで合意した。
会談でトランプ氏は
「習主席と良好な関係を構築し、米中関係をさらに発展させたい。
我々は多くの問題を解決することができる」
と表明。
習氏も
「米中関係は前進させるべき千の理由があり、壊していい理由は一つもない。
友好関係を安定的に発展させていきたい」
と応じた。
新華社通信によると、トランプ氏は習氏による年内の公式訪中の招請を受け入れた。
ロイター通信によるとトランプ氏は
「初会談で米中2国間の関係は前進した。習氏との関係は傑出している」
と語った。
習氏は貿易・投資やインフラ整備、エネルギー分野で協力を強化する考えも表明した。
新設する対話メカニズムは
(1)外交・安全保障
(2)経済全般
(3)法執行とサイバーセキュリティー
(4)社会・文化交流
―の4分野を設ける。
両国間の懸案を年に1回閣僚レベルで協議する「米中戦略・経済対話」の現行の枠組みを発展改組する。
会談でトランプ氏は南シナ海、東シナ海での「国際規範順守の重要性」を指摘。
習氏は南シナ海問題などの懸案は「敏感な問題を適切に処理しなければならない」と述べたという。
友好促進を謳い、協調を演出したが、課題の多くが先送りされたと言えそうだ。
』
『
ニューズウイーク 2017年4月10日(月)06時00分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7363.php
米中首脳会談の結果を、中国はどう受け止めたか?
中国は米中首脳会談の成果を大きく強調したが、共同記者会見もないという異常事態。
会談直前の北朝鮮のミサイル発射と会談中の米国によるシリア攻撃により顔に泥を塗られながら、習近平が笑顔を保った訳とは?
■顔に泥を塗られながら、笑顔を保った習近平
米中首脳会談の開催を目前にした北朝鮮は、4月5日、またもやミサイルを発射した。
トランプ氏が大統領選中に「ハンバーガーでも食べながら金正恩(キム・ジョンウン)と話をしてもいい」という主旨のことを言ったものだから、北朝鮮はトランプ氏が大統領に当選した昨年の11月8日から今年2月12日まで、ミサイル発射を控えていた。
ひょっとしたらアメリカの次期大統領が自分と会ってくれるかもしれないと期待していたからだろう。
北朝鮮には「アメリカに振り向いてほしい」という強い願望がある。
金正恩のあまりのならず者ぶりに今では見えなくなっているが(そして感覚的に受け入れにくいが)、1953年に休戦協定で終わった朝鮮戦争を停戦協定(平和条約締結)に持って行ってほしいというのが、もともとの始まりではあった。
53年7月に南北軍事境界線の板門店で休戦協定に署名したのは北朝鮮とアメリカだ。
だからアメリカに振り向いてほしい。
停戦になれば、在韓米軍の必然性が消える。
「ならず者国家」は、たしかに今ではもうそれだけではなくなっている。
核保有国として認めろという姿勢を崩していない。
しかしアメリカ政治に詳しい早稲田大学の中林美恵子氏によれば、アメリカ政界(の一部)では
「いっそのこと北朝鮮とは平和条約を結んだ方がいいのではないか」
という声が、いま出始めているとのこと。
―――
だが、その声はまだ小さいのだろう。
2月12日に北朝鮮がミサイル発射の抑制を破ったのは、2月3日に米韓の間でTHAADの年内配備で意見が一致したからであり、2月10日に開催された日米首脳会談で北朝鮮に対して核・ミサイル開発の放棄を要求することを意思表明したからだろう。
この時点で、「トランプは自分とハンバーガーを食べることはない」と判断したにちがいない。
だから安倍首相が訪米してトランプ大統領と首脳会談を行った最終段階でミサイル発射を再開している。
となれば、4月5日の北朝鮮によるミサイル発射は、米中首脳会談を牽制するために行なったものと考えるのが普通だろう。
しかし中国の外交部報道官は、「このたびの北朝鮮のミサイル発射と米中首脳会談は関係がない」と言ってのけた。
当然、中国としては、トランプ大統領から「もし中国が協力しなければ、アメリカ単独で行動してもいい」と言われ、北朝鮮からも泥を塗られたとなれば、訪米する習近平国家主席の威信に傷がつくから、関係性を否定したいだろう。
―――
それだけでも十分な痛手を負っているのに、今度はアメリカ時間の6日夕方、習近平国家主席夫妻がトランプ大統領夫妻の招きを受けて華麗なる晩餐会をフロリダの高級別荘で披露しているというのに、そのさなかにアメリカがシリアに向けてミサイルを59発も発射していたのだから、習近平国家主席の驚きは尋常ではなかったにちがいない。
夕食後にシリア攻撃情報を知った習近平一行は、そそくさと宿泊先に引き上げたと言われている。
アメリカの電撃的なシリア攻撃は、トランプ大統領の
「何なら北朝鮮に対してアメ
「本当に実行されるかもしれない」
という現実味を帯び、習近平国家主席には相当のプレッシャーになったにちがいない。
もっとも、トランプ大統領はオバマ前大統領とは違うんだということをアメリカ国民に知らせたいという意図から、唐突とも言える
今度はトランプ大統領によって習近平国家主席は顔に泥を塗られた形だ。
―――
習近平はその場でトランプ大統領に対して
かのようなリップサービスまでしているが、心は裏腹だっただろう。
宿泊先では、その逆のことが討議されたにちがいない。
その証拠に、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVは、習近平国家主席の偉業を讃えると同時に、米中首脳会談とは全く関係ない形でアメリカのシリア攻撃を伝え、特にロシアやシリア側の抗議声明に重きを置いて繰り返し報道し始めた。
シリアのアサド大統領が
「シリア政府は絶対に化学兵器を使っていない」
と抗議している声明を何度も報道したし、中でも
「果たして、シリアのアサド政権側が化学兵器を使ったのだろうか」
「その十分な検証もなしに、アメリカがシリアを攻撃したのは拙速だ」
「これはシリアに対する侵略行為だ」
「アメリカのこのミサイルで一般市民や子供が大勢死亡している」
「この攻撃はISテロ組織を勇気づけ喜ばせただけだ」
というシリアやロシアの抗議声明や評論家の意見に重きを置いて報道した。
―――
それでも翌日、トランプ大統領と二度目の会談に入った習近平国家主席は、笑顔を絶やすことがなかった。
なぜか――?
それは、今年の秋に党大会があるからだ。
3月は全人代(全国人民代表大会)があったし、
5月には一帯一路の初めてのサミットに没頭しなければならない。
6月に入れば夏の北戴河の集まりにおける次期党大会の人事配置に着手し始める。
したがって、訪米時期としては4月しかなかった。
もちろん日本やイギリス、ドイツあるいはカナダなどの首脳がトランプ大統領との首脳会談をつぎつぎとこなしている中、中国がそう遅れととったのでは「威信」にかかわる。
それも訪米を急いだ理由の一つだ。
その割に、トランプ大統領を前にした習近平国家主席の表情は、おもねるように委縮し、いつもの、あの「威張り過ぎた」表情や「満面の笑みサービス」は消え、始終「ともかく泥を塗られても屈辱に耐え、一見、柔和な笑みを絶やさず、トランプ大統領と対等に渡り合っていますよ」という「映像用のポーズ」だけは保つことに全力を注いでいるように映った。
中国共産党中央委員会の習近平総書記としては、何としても、米中首脳会談を輝かしいものとしなければならなかったのである。
■米中首脳会談は「大成功!」と中国国内報道
米中首脳会談に関する中国国内における報道は、きらびやかさに満ち、ただひたすら中国の外交勝利を讃えるものに貫かれている。
まず初日の晩餐会に関しては習近平国家主席夫妻とトランプ大統領夫妻が、「いかに互いを尊重して円満な雰囲気の中で行なわれたか」を讃えた。
たとえば中国共産党の管轄下にある中央テレビ局CCTV-1のニュースやCCTV13(最初に15秒間ほどの宣伝がある)をご覧いただきたい。
そこでは概ね、以下のような説明をしている。
――習近平は
「トランプ大統領と非常に有意義な会談をおこない、中米関係に関して重要なコンセンサスを持つに至った。
われわれは相互尊重と互利互恵の基礎の上に立って、貿易投資や外交安全、サイバー・セキュリティ、人文交流など広範な領域において協力を遂行していくことを確認し合った」
と語り、一方、トランプは
「習主席の指導のもと、中国が際立った発展を遂げたことを、世界中の人が尊敬し注目している。
習近平主席とは初めて会談したが、さまざまな意見を交換することができて、実にすばらしい話し合いを持つことができ、友情深い関係を築くことができた」
と述べた。
このように、やたら「晩餐会は実に友好的に雰囲気に溢れていた」と褒めそやした。
CCTV13にあるトランプ大統領の5歳の外孫(イヴァンカさんの娘)が『茉莉花』(モア・リー・ホワ)という歌を中国語で歌った場面は、新華社が特に報道したため、他の多くのメディアが転載した。
たとえば「鳳凰網」や「捜狐」などがある。
この歌は中国人民解放軍専属の歌手だった彭麗媛夫人が歌ったことでも有名で、習近平国家主席がまだ浙江省の書記をしていた2005年の春節の宴で歌った映像も残っている(「春節の宴」は日本の「紅白歌合戦」に相当するようなCCTVの恒例行事)。
イヴァンカさんは自分の子供たちに中国語を覚えさせ、今年のワシントンにある中国大使館で春節の催しが開かれたときには、子供たちを連れて中国大使館に行ったこともある。
彭麗媛夫人はそのことを最大限に利用して、「夫人外交」を展開した。
習近平国家主席のこのたびの外訪は、フィンランド訪問を含めて専門のウェブサイト >「出訪Visit」(新華網)などが作成され、大々的に「外交勝利」を謳っている。
■中国にとって「勝利」ではなかった
――共同記者会見もなく
二日目(現地時間7日)の実務的会談や二人だけの散歩に関しては、多くのメディアが「新華網」の写真などを転載している。
たとえば「中華網」などがあり、動画ではCCTV13(広告が二つあった後に画面が出てくる)で観ることができる。
いずれも「習近平・トランプ」の緊密さと中国の「外交勝利」を讃えるものばかりだ。
しかし共同記者会見さえなかった首脳会談が、「勝利」だとは、とても思えない。
結果は?
結果的に米中間で、おおむね以下のような方向性が確認されたようだ。
●貿易に関しては100日間かけて両国間で協議解決する。
●北朝鮮に関しては米中とも北の暴走を食い止めることでは一致しているが、方法論に関しては平行線。
中国はあくまでも米朝が対話のテーブルに着くことを要求し、アメリカは(シリア同様)、いざとなったら軍事攻撃をとることを選択肢の一つとする。
同時に北と関係を持っている中国企業を個別に叩いていく。
これに対して習近平側は、明確な回答を避けている(後者に関しては、黙認したとも受け取れる)。
では、今後中国はどうするのか?
これに関しては、筆者の推測だが、中国はいま、以下のような可能性を考えているのではないだろうか。
★.アメリカがシリアを攻撃したことにより、北朝鮮がさらに核・ミサイル開発を加速させる危険性がある。
★.アメリカがシリアに力を注がなければならなくなった分、北朝鮮には、それほど大きな力を注げなくなる可能性がある。
だから、ひょっとしたら逆に北への武力攻撃は抑制するかもしれない。
★.アメリカはロシアを完全に敵に回したので、北への攻撃がしにくくなる。
全面戦争になる可能性が高まるから、決断を延期するかもしれない。
★.あるいは逆に5月9日になると、韓国に親中・親北朝鮮・反米の政権が誕生する可能性があるので、その前に北への武力攻撃を断行するかもしれない。
事実アメリカは8日、韓国に核兵器を配備するかもしれないと発表した。
となれば朝鮮半島における戦争が現実味を帯びてくる。
★.いずれにしても中国へのプレッシャーは高まり、中国としても北への圧力を強化するしかない。
中国への圧力という意味では、シリア攻撃と首脳会談は一定の効果を発揮した。
日本は?
まだまだあるが、長くなり過ぎた。
少なくとも日本としては日米韓の同盟が強化できるよう、日韓関係を修復しなければならないだろう。
しかし韓国は自国の安全よりも慰安婦問題を重視し、それによって選挙民の心をつかもうとしている。
この(愚かな)現状を、日本は打破できるのか。
そして武力攻撃が始まったら(始まらなくともその可能性はあるが)、北が最初に狙うのは在日米軍基地であることを肝に銘じなければならないだろう。
アメリカによる北への武力攻撃は、ひとごとではない。
いかにして日本国民を守るか、真剣勝負が目前に迫っている。
』
【2017年 大きな予感:世界はどう変わるか】
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