2017年3月20日月曜日

中国(30):環境汚染に目をつぶり世界の経済大国となった中国、自然環境悪化はどこまでゆくのか

_


レコードチャイナ 2017年3月6日(月) 15時10分 内藤 康行
http://www.recordchina.co.jp/a171195.html

政策を無視し環境を汚染し続ける中国人、一体何のためか?



 先日出張で北京に行った。公道は相変わらずの渋滞、スモッグもすごく喉がいがらっぽく感じた
 市内への移動中、大気汚染を起因とする疾病障害はすでに1000万人に達し、うち死亡者は年間20万人以上という民間環境観測センターの報告を思い出した。
 政府の公式な発表はない。

 大気汚染の2大主因として、
★.1つに石炭焚きの火力発電所や工業生産の燃焼装置から排出される煤塵(ばいじん)が考えられ、
★.次に自動車の排ガス
が主因と言われている。
 この中で、筆者が注目したのは自動車の排ガス汚染だ。

 公道を走る車両を見ていると、排ガス規制や罰金もお構いなく、我関せずの「廃車寸前」、或いは「すでに廃車同然」の車両が縦横無尽に走っている。
 ちなみに中国の自動車保有台数は2016年時点で7000万台に上り、
 廃車台数は270万台だった。
 廃車台数は2020年に900万台に達するとの予測があるが、実際の廃車すべき車両はこの程度の台数ではないだろう。
 生活がかかっているためそう簡単に「愛車」を手放す訳がないのからだ。

 2015年、中国政府は環境汚染対策の一環として半ば強制的な、
 「水質汚染対策行動計画」(通称「水十条」)
 「大気汚染対策行動計画」(通称「気十条」)
を矢継ぎ早に公布し、地方政府に実行責任を課すとした。
 昨年には、
 「土壌汚染対策行動計画」(通称「土十条」)
も公布され、即日施行した。

 国が環境汚染対策を施行したが、廃車すべき車両が車検を不法にスルーし堂々と現役で活躍し、大気汚染を深刻化させている。
 国の「大気汚染対策行動計画」はどこ吹く風状態だ。
 これも全ては食べるためなのである。

 廃車解体工場に訪れた。
 そこでは、国産車、外車、トラクター、パトカー、バイク、クレーン車など、さまざまな車両が広大な敷地に山積みとなっており、再利用可能な部品の仕分けをしている。
 このうち有効活用率が高く、販売価格もいい部品は、やはり外車と関係者は言う。
 再生できない、あるいは買い手がつかない部品はそのまま野積みされたままだ。
 風雨に晒され、汚染物質や有害物質は地中へと流れ込んでいる。

 廃車処理で、特に環境に敏感なのはオイルタンク内やエンジン内部にある廃油だが、解体場では廃油はそのまま地面に排出され地面は油だらけだ。
 この廃油は土壌汚染だけでは済まず、地下に浸透し地下水をも汚染する。
 中国の飲用水資源は地表水と地下水に依存する。
 全国にある1330カ所の飲用水源中、4分の3を地表水に、4分の1を地下水に依存している。
 廃油には重金属などの危険物質が含まれており、人体に深刻な影響を与える。

 廃車解体1つにスポットを当てても、中国が抱える三大汚染対策対象である「大気汚染」「水質汚染」「土壌汚染」の縮図が見える。

 環境汚染に目をつぶり世界の経済大国となった中国は、この大きな代償をどう捉えているのか。
 国策と住民感覚の乖離(かいり)は大きく、環境修復や環境保護への道は改善ではなくさらに険しさを増していると感じる。

■筆者プロフィール:内藤 康行
1950年横浜生まれ。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般とそれに関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。



レコードチャイナ 配信日時:2017年3月20日(月) 6時10分 内藤 康行
http://www.recordchina.co.jp/b172552-s130-c30.html

<コラム>日本は水道水を直飲みできるのに
…憂うつな中国の「飲用水の安全」問題

 今回の中国全国人民代表大会で発表された「2016年政府工作報告」の中で、水汚染処理整備政策を一段と進めるとし重視度を高めた。
 都市の汚水処理施設(日本の下水浄化センターに相当)の建設と改造を全面的に促進し、加えて農業分野の面源(汚染物質の発生源が特定しにくい場所。
 農地や市街地、森林など)汚染と流域水環境の総合整備強化も急ぐと言う。さらに工業汚染源処理や環境保護の監視査察力も強めるらしい。

 中国では近年、「浄化」、「健康」、「持続可能な水環境の維持」への関心が高まる中、特に「国民の飲用水安全保障」が最大の関心事となっている。

 2013―2015年『中国環境状况公報』(環境保護部発行)に、毎年各流域水系と飲用水源地の突発的な汚染事故事案が記載されている。
 昨年、全国1333カ所の飲用水水源地の水質状况を検査した結果、98カ所(7.35%)で水質基準値の超過が確認され、「水の安全」は深刻な状況にある事を示している。

 実は中国にも1996年に公布した『生活飲用水衛生監督管理法』というものがあり、これを基に『生活飲用水衛生基準』が2007年7月1日に施行さている。
 一昨年4月に国務院が公布した『水質汚染対策行動計画』には、2020年には全国の水環境質量を段階的に改善し、深刻な汚染環境を大幅に減少させ、飲用水の安全保障レベルを引き上げるとしている。

 「掛け声」が多いのが中国政府だが、この様な飲用水汚染問題をどの様に解決しようとしているのか?
 現在中国政府や環境保護関係機関が自主知財権と新興産業として取り込もうとしている技術が「膜技術」を使った高度処理である。
★.「膜技術」の出現は水処理技術の「革命」と言われ、
 膜表面の微孔を通し水中の有害物等を除去する。
 現在市場では絶対多数の浄水製品に膜処理技術が使われている。
 割安でそこそこの品質の中国製膜製品が急成長しており、
 外国製品がやや押され気味なのは、「国産化政策」による国産製品の優先使用が背景にあるのかも知れない。

★.この膜処理技術を使っても中国の水道水直飲みは可能ではない。
 日本人は直飲みをすると必ずお腹を壊す。
 中国の水道水質は硬水であまり飲用には適さないため、中国国民もよくわかっていて決して直飲みはせず、沸かしてから飲んでいる。
 通常はペットボトル詰めや業務用ガロン詰めを飲用しているのが現実だ。

 ちなみに、世界で水道水を直飲みできる国はたった15カ国だ。
 (平成16年版「日本の水資源(概要版)」)の国土交通省の発表によると、
 フィンランド、
 スウェーデン(ストックホルム)、
 アイスランド、
 アイルランド、
 ドイツ、
 オーストリア、
 日本、
 クロアチア、
 スロベニア、
 アラブ首長国連邦、
 南アフリカ、
 モザンビーク、
 レソト、
 オーストラリア(シドニー)
 ニュージーランド
の15カ国だが、「直飲みは避けるべき」との注意書きが付いている。
 中国の水道水直飲みへの道のりはまだまだ遠い!



Record china配信日時:2017年4月10日(月) 12時50分
http://www.recordchina.co.jp/b174717-s0-c30.html

欧米ビジネスマンに中国の大気汚染への不安拡大、
長期滞在避ける動き―独メディア

 2017年4月9日、欧米のビジネスマンの間に中国での長期滞在を避ける動きが出ている。
 中国で数カ月、あるいは数年にわたってビジネスをするというのは、すでに現実的ではなくなっているという。
 中国紙・参考消息(電子版)が伝えた。

 ドイチェ・ヴェレによると、ドイツの企業経営者にとって、中国支社の責任を担う人材を確保するのは年々難しくなっているという。
 43歳のあるビジネスマンは、家族で中国に移り住み、ドイツの上場企業の成都支社で3年間管理職を務めてきたが、2016年末に帰国。
 中国での生活は気に入っていたが、大気汚染や医療サービスの条件から、やむを得ず決めたという。

 中国へ行って働くのを避けたり、海外から来たビジネスマンが帰国したり、契約を継続しないといったケースが増えている背景には、大気汚染や食品安全性などの問題が影響している。
 とりわけ子どもがいる世帯でその傾向が強い。
 また、中国の学校で外国語を教えるネイティブ教員が不足するなど、公共性の高い職でも人材不足は深刻だという。

 大気汚染や食品安全性以外にも、報酬が減少していることも影響している。
 民間企業が中国に派遣する人材に支払う給与は明らかに減っているが、中国では物価上昇につれ生活費も上がっている。

 そのため、中国の現地責任者を中国人が務めるようになり、本国からは出張の形で中国を訪れるというスタイルを取るケースが増えている。










_