2017年3月8日水曜日

北朝鮮は(3):「日本を標的にする」弾道ミサイル 「憲法改正やむなし」ムードへ移行か!

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●ANNニュース


●NNNニュース

  北朝鮮の弾道ミサイルが在日米軍を標的にしていると、軍当局が名言したことは、すくなからず日本に衝撃を与えるだろう。
 つまりそれはそのまま「日本を標的にする」ということになる。
 憲法改正推進勢力には万にも値する応援を得たようなものである。
 これで改憲を否定する雰囲気はしぼんでいくことになってしまう。
 というのは、
 「憲法改正か、北朝鮮の核攻撃を受けるか、どちらを取るか」
という二者択一の場面に日本国民は追い込まれてしまうからである。
 憲法改正やむなし
というムードが日本全体を覆うことは間違いないだろうと思われる。
 憲法改正の最大の支援国家は中国だが、それを一気に加速するのはこの北朝鮮の弾道ミサイルになるかもしれない。
 あとはほっておいても流れが押してくれる。
 改憲勢力にとっては、最上のバックアップをしてくれたと狂喜していることだろう。


時事通信 3/9(木) 23:55配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170309-00000164-jij-kr

北朝鮮、「在日米軍を攻撃目標」と軍明言=弾道ミサイル発射
【ソウル時事】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍報道官は9日、談話を発表し、6日の弾道ミサイル4発同時発射について、米韓合同軍事演習に対抗した訓練だったとした上で
 「有事に在日米軍基地を攻撃目標にして行ったことを隠さない」
と明言した。
 
 7日には朝鮮中央通信が、弾道ミサイル発射が在日米軍を標的とする訓練だったと伝えたが、今回は軍が在日米軍を目標にすると明確にした。 



フジテレビ系(FNN) 3/9(木) 22:56配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170309-00000001-fnn-pol

北ミサイル「日本の極めて近くに落下」

 北朝鮮のミサイルを「現実の脅威」と強調した。
 菅官房長官は、記者会見で、北朝鮮が6日に発射した、4発のミサイルのうちの1発について、「能登半島の北200kmの日本海上に落下したと推定される」と表明した。
 落下した海域が、日本の本土に一番近いかどうかについては、明言を避けたが、「極めて近いことも事実だ」と述べた。
 さらに菅長官は、今回発射されたミサイルは、「スカッドERと推定される」と指摘したうえで、
 「技術的信頼性が向上しているとみられる。
 北朝鮮のミサイルが、現実の脅威になっている」
と強調した。



ロイター  2017年 03月 8日 20:06 JST
http://jp.reuters.com/article/defence-north-korea-japan-idJPKBN16F16P?sp=true

焦点:再び敵基地攻撃能力の保有議論、
北朝鮮のミサイル進展で


●3月8日、北朝鮮の弾道ミサイル開発の進展を受け、政府・与党内で敵基地攻撃能力の保有議論が再び活発化してきた。写真は北朝鮮の軍事パレード、2013年7月平壌で撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)

[東京 8日 ロイター] -
 北朝鮮の弾道ミサイル開発の進展を受け、政府・与党内で敵基地攻撃能力の保有議論が再び活発化してきた。
 これまで幾度となく浮上したテーマだが、費用や技術的な難しさに加え、地域の軍拡競争につながることなどを懸念する米国の支持を得られず、実現してこなかった。
 議論を主導する自民党は、抑止力が高まるとして今年夏前までに政府への提言を再びまとめる考えだ。

<在日米軍基地の攻撃を想定>

 敵基地攻撃能力は、F35のようなステルス戦闘機による空爆や、巡航ミサイルといった打撃力を使い、敵国内のミサイル発射装置などを破壊する能力。
 専守防衛を掲げ、抑制的な防衛力の整備を基本としてきた日本は、たびたび保有論が頭をもたげつつも、この能力を米軍に依存してきた。
 しかし、同盟国の自助努力を訴えるトランプ政権が米国で誕生したことで、能力保有の検討を進めるべきとの声が自民党を中心に再び浮上。
 さらに今年2月と3月に発射された北朝鮮の弾道ミサイルが、議論に拍車をかけている。

 自民党の今津寛・安全保障調査会長は
 「巡航ミサイルなのか、F35なのかは分からないが、(能力を)持つこと自体が抑止になる。
 それすらないと、北朝鮮から日本は何もしてこないと見られる」
と話す。

 政府・与党関係者が特に衝撃を受けたのが、今月6日に4発のミサイルを日本海へ発射した後、北朝鮮が国営通信を通じ、在日米軍基地への攻撃を想定した訓練だったと明らかにしたこと。
 脅威のレベルが上がったと、関係者は口をそろえる。

 自民党内の議論を主導する小野寺五典・元防衛相は
 「相手の領土からミサイルが飛んできて日本を攻撃するというのは、かつては想定していなかった」
と指摘する。
 「しかし技術が進み、北朝鮮のような何をするか想定できない国が、その技術を持ったとすれば、
 1発撃たれた後に2発目、3発目を撃たせないための能力も必要だ」
と話す。

<「基礎研究は終わっている」>

 日本政府は改良した迎撃ミサイルの配備を急ぐとともに、陸上配備型イージスなど新型迎撃ミサイルの導入の検討を進めている。
 その一方で、敵基地攻撃能力の研究も水面下で続けてきた。
 政府関係者の1人は「基礎研究は終わっている」と話す。

 比較的容易なのは、沖縄県与那国島に島しょ防衛用の地対地ミサイルを配備すること。
 北朝鮮も射程に入れることが可能という。
 米ロッキード・マーチン(LMT.N)製の射程1000キロの空対地ステルスミサイルや、もう少し飛距離が短いノルウェーのコングスベルグ社が開発したジョイント・ストライク・ミサイルをF35に積めば、すぐに能力が整う。

 自民党は今から4年前にも敵基地攻撃能力の保有を政府に提言しているが、今ほど北朝鮮の弾道ミサイルの能力が高まっておらず、政府が正式に採用することはなかった。
 アジアの軍事バランスが崩れることなどを懸念した米国が、難色を示したことも影響した。

 自民党は今国会の会期末までに政府への提言をまとめる。
 2019年度からの次期中期防衛力整備計画に反映させたい考えだが
 「そこまで待って良いのか。可能なものは18年度予算から取り組むべき」(自民党関係者)
との意見も出ている。

 一方で、
 「こちらが攻撃をした後に、相手がどういう反応をしてくるのか。
 基地を1つたたいたら、どんどん撃ち返される恐れもある。
 リスクについても検討する必要がある」(別の自民党関係者)
と、慎重な議論を求める声もある。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)



WoW!Korea 3/11(土) 12:06配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170311-00000009-wow-int

北朝鮮、2020年にICBM実戦配置
…2年以内に発射成功か=VOA予測

 アメリカ本土まで攻撃可能な北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)開発レベルが、2020年なら実戦配置が可能だという観測が出された。

 米・エアロスペース社のミサイル専門家のジョン・シーリング博士は
 「北朝鮮が2020年にはICBMを実戦配置できると見られる」
と、VOA(アメリカの声)が11日に報じた。
 博士は
 「北朝鮮が関連技術を完全に会得しているのか確信できないが、
 発射実験に必要な技術ははっきりと会得している」
と分析した。

 続けて
 「北朝鮮が名実相伴うICBMを実戦配置するために必要な発射実験のプログラムを完了するには少なくとも2年はかかると思う」
と述べた。

 博士は北朝鮮のICBM開発能力を50~60%の技術レベルに到達したと分析。
 「北朝鮮はまだ大気圏再突入の技術や3段階推進体能力は見せられない」
と述べた。
 さらに「北朝鮮が大気圏再突入の技術を会得しようとするならば、今後1~2回の実験が必要だ」とした。

 博士は北朝鮮がICBM開発に成功するなら、米政府の“優先順位”が変わるだろうと予測した。
 また
 「北朝鮮がICBM実験発射に成功したら、
 確かに米大統領の最優先議題を含めるだろうし、
 大統領もある種の措置を取らざるを得ないだろう
と分析した。



Record china配信日時:2017年3月12日(日) 6時0分
http://www.recordchina.co.jp/b171724-s0-c10.html

北朝鮮、次はICBM発射?米本土も射程に、
「予測不能」のトランプ政権が相手、危険な賭けにも

 2014年3月11日、米韓合同軍事演習に反発、「在日米軍攻撃の訓練用」として弾道ミサイルを発射した北朝鮮。
 次は米本土を射程に入れる大陸間弾道弾(ICBM)発射の機会をうかがっているとみられる。
 相変わらずの「瀬戸際外交」だが、今回の相手は「予測不能」のトランプ政権。危険な賭けでもある。

 聯合ニュースによると、北朝鮮の朝鮮中央通信は6日に発射した弾道ミサイル4発について、
 「今回の弾道ロケット発射訓練は(朝鮮人民軍)戦略軍火星砲兵部隊の核戦闘部の取り扱い秩序と迅速な作戦遂行能力を判定するために進行された」
と伝えた。
 戦略軍火星砲兵部隊は
 「有事の際に日本駐屯の米帝侵略軍基地を打撃する任務を担っている」
とした。

 北朝鮮がミサイル発射直後に在日米軍が「標的」と明言したのは初めて。
 ミサイルの弾頭部分を意味する「核戦闘部」の取り扱いに言及したのは、発射した弾道ミサイルに核弾頭の搭載が可能なことを誇示したものとみられる。

 韓国軍合同参謀本部によると、発射されたのは「スカッド」改良型で射程距離が約1000キロの「スカッドER」。
 北朝鮮北西部の平安北道・東倉里付近から日本海に向けて4発がほぼ同時に発射され、最高高度は約260キロで約1000キロ飛行した後、4発中3発は日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。
 東倉里付近から発射すれば、は朝鮮半島有事の際、重要な役割を担う米軍岩国基地(山口県岩国市)などが射程内に入る。

 今月1日から始まった米韓合同軍事演習「フォールイーグル」について、北朝鮮は「演習が強行された以上、わが軍は超強硬な対応措置で立ち向かう」と反発。
 その上で、「演習が中止されないかぎり、核武力を中心とする自衛的国防力と先制攻撃能力を強化し続ける。これは決してそら言ではない」として、核・ミサイル開発をさらに推し進める姿勢を強調している。

 北朝鮮によるミサイル発射は今回にとどまらないとみられ、米本土まで届くICBMの発射実験に踏み切る可能性もある。
 金委員長は今年1月1日の「新年の辞」で、「ICBM発射準備が最終段階に達した」と表明しており、慎重にタイミングを計っているとされる。

 6日の発射を受け、安倍晋三首相は7日、米国のトランプ大統領と電話会談。両首脳は北朝鮮の脅威が新たな段階に入ったことを確認した。
 トランプ政権はオバマ政権の北朝鮮が核・ミサイル開発を中止するまで交渉に応じないという「戦略的忍耐」は失敗と判断、北朝鮮政策の見直しに着手している。

 米国のヘイリー国連大使は「全ての選択肢がテーブルの上にある」と明言。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルもトランプ政権内部の対北朝鮮戦略の見直し作業に詳しい関係者の話として「北朝鮮による核兵器の脅威に対応するため、武力行使や政権転覆などの選択肢を検討している」と報じている。



WoW!Korea 3/11(土) 12:06配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170311-00000009-wow-int

北朝鮮、2020年にICBM実戦配置
…2年以内に発射成功か=VOA予測

 アメリカ本土まで攻撃可能な北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)開発レベルが、2020年なら実戦配置が可能だという観測が出された。

 米・エアロスペース社のミサイル専門家のジョン・シーリング博士は「北朝鮮が2020年にはICBMを実戦配置できると見られる」と、VOA(アメリカの声)が11日に報じた。
 博士は
 「北朝鮮が関連技術を完全に会得しているのか確信できないが、
 発射実験に必要な技術ははっきりと会得している」
と分析した。
 続けて
 「北朝鮮が名実相伴うICBMを実戦配置するために必要な発射実験のプログラムを完了するには少なくとも2年はかかると思う」
と述べた。

 博士は北朝鮮のICBM開発能力を50~60%の技術レベルに到達したと分析。
 「北朝鮮はまだ大気圏再突入の技術や3段階推進体能力は見せられない」
と述べた。
 さらに
 「北朝鮮が大気圏再突入の技術を会得しようとするならば、今後1~2回の実験が必要だ」
とした。
 博士は北朝鮮がICBM開発に成功するなら、米政府の“優先順位”が変わるだろうと予測した。
 また
 「北朝鮮がICBM実験発射に成功したら、確かに米大統領の最優先議題を含めるだろうし、大統領もある種の措置を取らざるを得ないだろう」
と分析した。



ロイター 2017年 03月 12日 07:49 JST
http://jp.reuters.com/article/column-north-korea-idJPKBN16I0EQ?sp=true

コラム:北朝鮮の金正恩氏、隠れ見える「冷徹な計算」

[8日 ロイター] -
 北朝鮮の指導者、金正恩朝鮮労働党委員長は、異母兄の正男氏暗殺容疑や一連のミサイル発射実験を活発化することで、米国のみならず、主要同盟国である中国の忍耐を試しているように見える。

 これは、地域を史上最悪の戦闘に陥らせるかもしれない、いちかばちかの大ばくちだ。
 正恩氏の行動の裏には、冷酷な固有の論理がある。
 だが同氏が計画を抱いているのに対し、それを止める明確な戦略を誰かが描いているとの兆候はない。

 中国外務省は7日、米国と北朝鮮が不必要で危険な対立に突き進んでいると警告。
 核実験やミサイル発射実験に対する国際社会からの非難に耳を傾けるよう北朝鮮に求めた。
 しかしながら、正恩氏が米国や中国、他のいかなる国からの助言や脅しに聞く耳をもつ可能性はほとんどないように思える。
 同氏の望みは至って単純だ。
 彼自身と彼が率いる政権の存続を確実にすることだ。
 つまりそれは、自身の役割に取って代わろうとする可能性のある者を抹殺し、部外者が自身を倒そうとするのを阻止するために十分な抑止力となる核兵器を保有することを意味している。

 北朝鮮国内における権力固めは、外国への攻撃能力構築と同じくらい重要である

 2011年12月に父親の金正日総書記が死去したとき、政権を引き継いだ当時20代後半の正恩氏が、年上の重鎮たちを支配できるのかと、多くの外国の専門家は訝しんだ。
 韓国のシンクタンクは昨年12月、正恩氏が指導者となってから、300人以上が粛清されたと推計している。
 そのなかには幹部140人と同氏の叔父1人が含まれる。
 2月13日にマレーシアのクアラルンプール国際空港で異母兄の正男氏が死亡したことで、正恩氏は権力をいっそう強固なものにしただろう。
 正男氏は脅威と見られてはいなかったが、もし正恩氏がこの殺害に関与していたとすれば、北朝鮮が誇示した海外での影響力と、リスクを恐れない姿勢は、同国の指導部内から共鳴を得るだろう。

 中国による金融・軍事支援は北朝鮮の体制存続にとって長い間、不可欠な存在だった。
 中国当局は正恩氏の父親や他の北朝鮮幹部らと緊密な関係を維持していた。
 正男氏は長い間、中国で暮らし、同国の情報当局に保護されていたとみられているが、その理由の1つに、叔父の張成沢氏とのつながりがある。
 北朝鮮で最も重要な影の実力者の1人とされていた張氏は、正恩氏が指導者となってまもなく処刑された。
 正男氏殺害から5日後、そして国際制裁に違反して北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を強行してから6日後に、中国は北朝鮮からの石炭輸入を停止すると発表。
 この措置は本質的に北朝鮮の数少ない外貨獲得手段の1つを封じるものであり、中国が近年最も公然と北朝鮮に対して見せた不満表明の1つである。

 北朝鮮が6日実施した弾道ミサイル4発の発射実験は、中国の全国人民代表大会(全人代)開催中に行われ、中国政府を一段といら立たせただろう。
 今回の行動も、正恩氏がいかなる外圧にも屈しないことの表れである。
 また、北朝鮮の兵器開発を阻止しようとする米国の企てがほとんど成功していないことも示している。

 偶然かもしれないが、前週末にニューヨーク・タイムズ紙は、北朝鮮の核開発プログラムを阻止しようとする米国の対策が必ずしも効果的ではないと報じている。
 一部の北朝鮮ロケットは原因不明の失敗に陥っているが、専門家によると米国が、発射に成功したミサイル発射装置からも、科学者が有益なデータを取得できないようにしていた可能性があるという。
 とはいえ、北朝鮮の技術は進歩し続けている。

 同紙によると、米当局は、北朝鮮の核施設に対して直接軍事攻撃したり、北朝鮮のミサイルが発射される前に無力化したりするなど、一連の新しい戦術を検討している。
 米国や他国によるそのような戦術がうまくいくかどうかは全く分からない。
 北朝鮮と同国が雇ったロシア人科学者たちは単に、米国やロシアや中国が1950年代あるいはその直後に完成させた技術を模倣しようとしているにすぎない。
 このためサイバー攻撃は効果が薄い可能性がある。

 米国の歴代政権は、中国が北朝鮮の核プログラムを減速させ、世界と打ち解けるよう、同国を説得できると期待してきた。
 中国当局も、北朝鮮を制御できると、とりわけ日本や韓国といった地域の主要国や米国を繰り返し安心させようとしてきた。
 しかし正恩氏が指導者になってからは、そうした気休めはますます説得力がなくなってきている。
 確実な核兵器プログラムは正恩氏の関心の的かもしれないが、中国にとってはもろ刃の剣である。
 北朝鮮が兵器開発を進めるほど、周辺国は米ミサイル防衛システムの配備をいっそう求めるようになるだろう。
 それこそまさに、地域内の敵を威嚇するため独自に弾道ミサイルの近代化を行う中国が絶対に避けたいことだ。

 最悪の場合、北朝鮮で起きていることが、日本や韓国を独自の核兵器開発へと走らせる可能性もある。
 中国は厄介な立場に置かれていることを自覚しており、正恩氏も恐らくそれを分かっている。
 言うまでもなく、石炭輸入禁止以上の措置を取ることで、北朝鮮に対する経済的圧力を強化する可能性もある。
 しかし中国が避けたいのは、北朝鮮の崩壊だ。
 中国は韓国と北朝鮮の統一を望んでおらず、特に自国の国境付近に米軍基地が配備されるような結果は避けたいと考えている。
 また、北朝鮮の経済崩壊によって難民が自国に流入してくるといった事態に対処する羽目に陥ることも望んでいない。

 正恩氏の戦略の中心には、誰も自分に向かってこようとはしないだろうとの考えがある。
 自分の立場を確実なものとするには、できるだけ早く兵器プログラムを推し進め、誰かの気が変わる前に北朝鮮を難攻不落にしなければならない。
 そう考えるのも、もっともなことである。
 イラクのフセイン元大統領やリビアの元最高指導者カダフィ大佐のように自国の兵器プログラムを放棄した独裁者は、自身の決断に高い代償を支払ったのだから。

 しかし、それはまた世界がより危険になることを意味する。
 混み合う空港で異母兄の殺害を命じる男ならば(韓国の情報当局が正しければ)、より多くの人々を死滅させることが自身の存続を保証すると思えば、あるいはもう失うものは何もないと感じれば、ためらうことは何もないだろう。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



BBC News 2017年3月13日
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9114

【解説】北朝鮮のミサイル開発計画 歴史と現状



 北朝鮮は現在、さまざまな性能のミサイルを合わせて1000発以上保有していると考えられる。
 北朝鮮のミサイル開発は1960~70年代の近距離ロケット砲から、80~90年代には短・中距離弾道ミサイルへと進んだ。
 現在はさらに射程の長いミサイルの研究、開発を進めているとみられる。
 最近では、欧米諸国の標的を攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発中だと公言している。

■短距離ミサイル

 北朝鮮による近代的なミサイルの開発は、旧ソ連製の「スカッド」から始まった。
 1976年に初めて、エジプトから入手したとされる。
 1984年には、このスカッドを基に国産の短距離ミサイル「火星(ファソン)」を製造していた。
 北朝鮮は現在、韓国を射程に収める短距離ミサイルを何種類も保有しているとみられる。
 北朝鮮と韓国の関係は危うく、両国は今も国際法上の戦争状態にある。
 米ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)によると、
★.「火星5」(スカッドB)と「火星6」(スカッドC)はそれぞれ300キロと500キロの射程を持つ。
 これらのミサイルは通常弾頭だけでなく、生物・化学弾頭や核弾頭を塔載できるとも考えられている。
 どちらもすでに実験を経て配備済みだ。
 火星6はイランにも輸出された。

■準中距離ミサイル

 北朝鮮はさらに1980年代末、新たな準中距離ミサイルの開発に乗り出した。
 射程約1000キロの「ノドン」だ。
 スカッド・ミサイルをベースにした設計だが1.5倍の大きさがあり、より強力なエンジンを持つ。
 英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は2016年4月時点の分析で、
★.ノドンが韓国全土と日本の大半を射程に収めている
と断定した。
 またIISSによれば、2010年10月に公開された改良型ノドンは、射程を1600キロまで伸ばした可能性がある。
 これは沖縄県の米軍基地に届く距離だ。
 ノドンの発射実験は2006年、2009年、2014年と2016年に実施されたとみられる。

■中距離ミサイル

 北朝鮮は数年前から中距離ミサイル「ムスダン」の開発を進め、2016年も数回にわたって発射実験を行った。
 ムスダンの推定射程は非常に幅広い説があり、
 イスラエル情報当局が2500キロ、
 米ミサイル防衛局は約3200キロ
としているが、
 一部情報筋は最大4000キロ
との見方を示す。

 ムスダンは「ノドンB」「テポドンX」とも呼ばれる。
 射程を短く想定した場合でも、韓国全土や日本への攻撃に使用できる。
 長く見積もれば米領グアムの米軍基地が射程に入る。
 最大積載量は不明だが、1.0~1.25トンと推定される。

★.北朝鮮はまた、2016年8月に「地対地中長距離弾道ミサイル」の「北極星」を潜水艦から試射したと発表。
 さらに今年2月、地上から「北極星2型」を発射した。
 2型には固体燃料を使い、配備と発射を迅速化したと主張した。
 射程の詳細はまだ明らかになっていない。

■多段式ミサイル

 北朝鮮で「白頭山1」と呼ばれる「テポドン1」は、同国初の多段式ミサイルだった。
 1998年に人工衛星の打ち上げと称する発射実験が行われた。
 独立系シンクタンク、米科学者連盟(FAS)によれば、1段目にノドン、2段目には火星6が使われたとみられる。
 これに続く「テポドン2」(白頭山2)も同じ2~3段式の弾道ミサイルだが、大幅な改良が加えられている。
 この10年間で数回、発射実験が行われた。

★.テポドン2の射程は5000キロから1万5000キロの間と推定される。
 CNSは最大6000キロとの見方を示す。

 北朝鮮は宇宙用に改良したテポドン2を「銀河」と名付け、「運搬ロケット」という呼び方をしている。
 2016年2月には、銀河を使った人工衛星の打ち上げに成功した。
 宇宙ロケットとミサイルは軌道がわずかに異なり、ロケットは目的に合わせて改良されている可能性もある。
 しかし構造やエンジン、燃料などの基本的な技術に違いはない。

 テポドン2の発射が成功し、その射程が推定される最大の距離まで達したとすれば、オーストラリアや米国の一部をはじめとする国々が射程に入ることになる。

■大陸間弾道ミサイル

 北朝鮮は現在、同国最大の射程を持つ移動発射式ミサイルの開発を進めているとされる。
 このミサイルは専門家の間で「KN-08」または「火星13」と呼ばれている。
 開発の動きを示す兆候のひとつとして、2016年9月には新型ロケットエンジンの燃焼実験が実施された。
 これは弾道ミサイル用のエンジンではないかと指摘されている。
 米国防総省は、北朝鮮が少なくとも6発のKN-08を保有しているとみる。
 KN-08は米本土の多くの地域まで届く可能性がある。
 北朝鮮はさらにKN-14と呼ばれる改良型も開発したとされるが、どちらのミサイルもこれまでに発射実験は公開していない。

 だが金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は今年1月、大陸間弾道ミサイルの開発が「最終段階」にあると宣言した。
 その直後には、発射実験が間近に迫っていることを示す兆候もみられた。
 北朝鮮がこれに先立ち、核弾頭を小型化したと主張していたことも考えると、長距離核兵器の開発が近いかもしれないという可能性はますます高まっている。
 ただ専門家らは証拠がないとの理由から、その可能性に疑問を投げ掛けている。

●ミサイルの射程
短距離 1000キロ以下
準中距離 1000~3000キロ
中距離 3000~5500キロ
大陸間 5500キロ以上

出典・米国科学者連盟(FAS)
(英語記事 North Korea's missile programme)