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朝日新聞デジタル 2017年3月22日13時53分
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN16T0DW.html
護衛艦「かが」就役、海自のヘリ空母4隻体制に
空母のような外観の海上自衛隊の護衛艦「かが」が22日、就役した。
多数のヘリコプターを搭載できる日本の艦艇は4隻体制となり、海自のすべての護衛隊群に1隻ずつ配備されることになる。
中国軍の海洋進出が活発になる中、自衛隊は対潜水艦戦や島しょ防衛の能力を引き上げる。
「かが」は、全長248メートルの海自最大の護衛艦「いずも」の2番艦。
「いずも」と同様、9機のヘリコプターを作戦に投入できる。
★.主任務は潜水艦の捜索で、水中に垂らして音を拾うソナーを備えたヘリコプターを7機、
★.多目的のヘリコプター2機
を搭載する。
空母のような広い甲板を持つ海自の護衛艦は、「おおすみ」、「ひゅうが」、「いずも」に続いて4隻目。
広島県の呉基地が母港の「かが」が就役したことで、全国に4つある海自の護衛隊群に1隻ずつ配備する体制が整う。
就役の式典に出席した小林鷹之防衛政務官は、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発と中国の海洋進出に触れ、
「わが国自身の防衛力を強化し、自らの果たし得る役割の拡大を図らなければらない。
そのためにも、『かが』の存在はきわめて重要だ」
と語った。
「かが」は対潜のほかにも、艦隊の司令塔、水陸両用部隊の輸送、災害時救援などの役割が想定されている。
海自を代表する護衛艦として、東南アジア諸国を中心に他国への寄港も見込まれる。
海自は同型艦の「いずも」を今年5月から3カ月間、南シナ海とインド洋に派遣する。
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サーチナニュース 2017-03-30 09:42
http://news.searchina.net/id/1632485?page=1
ヘリ搭載護衛艦「かが」、
日本の海上作戦能力が向上と警戒感=中国
海上自衛隊にとって最大となるヘリコプター搭載護衛艦「かが」が22日、就役した。
潜水艦を探知することを任務とする哨戒ヘリコプターを中心に14機以上のヘリを搭載でき、性能が向上しているために探知が難しくなりつつある中国の潜水艦を念頭に置いた護衛艦だ。
「かが」就役は海洋進出を積極化する中国にとっては一定の脅威となるが、中国メディアの安徽日報は27日付で、「かが」の就役によって日本の海上作戦能力はレベルアップすることになると警戒感を示す記事を掲載した。
記事は、かがの仕様について説明したうえで、
「最新鋭のSH-60K哨戒ヘリを艦載できるうえ、
かが自身の対潜水艦能力および電子戦能力は非常に強力」
と警戒感を示し、また日本国内でもかがは主に探知が難しくなりつつある中国の潜水艦の探知に投入されると報じられていることを紹介した。
また専門家の見解として、かがに改造を加えれば「F-35B」などの垂直離着陸が可能な最新型戦闘機を艦載できると伝えたうえで、
「かががF-35Bをもし本当に艦載するようになれば、海上自衛隊の攻撃能力、防空能力、制海能力は著しく向上する」
と分析した。
さらに、かがの就役によって日本のヘリコプター搭載護衛艦は計4隻になったと伝え、1隻あるいは2隻のヘリ空母を常に出動命令を待つ状態にしておくことが可能になったと指摘。
これにより日本の海上作戦能力はレベルアップすると論じた。
現代の戦争では対潜水艦能力の低い艦艇は潜水艦から攻撃を受けるリスクが高くなるため、戦力にならないとされる。
逆に対潜水艦能力が強力であることは、それだけ戦力として強力であることを示すが、かがの対潜水艦能力が強力であると指摘する記事の主張からは、ヘリコプター搭載護衛艦としての「かが」の中国海軍に対する影響力と警戒感が伝わってくる。
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ロイター 2017年 06月 23日 19:38 JST
http://jp.reuters.com/article/angle-izumo-idJPKBN19E0Z5?sp=true
アングル:海自の護衛艦いずも、九段線に接近
レーダーに機影
●6月23日、日本を出港して1カ月半がたった6月中旬、南シナ海に長期派遣中の海上自衛隊のヘリコプター空母「いずも」(左)が、航海の様子を報道陣に公開した。写真は護衛艦「さざなみ」(右)への給油の様子。(2017年 ロイター/Nobuhiro Kubo)
[護衛艦いずも艦上(南シナ海) 23日 ロイター] -
日本を出港して1カ月半がたった6月中旬、南シナ海に長期派遣中の海上自衛隊のヘリコプター空母「いずも」が、航海の様子を報道陣に公開した。
いずもはシンガポールから東南アジア諸国の士官10人を乗せ、ヘリによる哨戒や訓練をしながら南沙諸島の方角へ航行。
中国が九段線と呼ぶ付近に差し掛かったところで、レーダーが同国軍のものらしき機影をとらえる場面があった。
■<軍艦を派遣する意味>
「レーダー探知」──。
いずも艦内のスピーカーから、くぐもった声が短く流れた。
周囲を飛ぶ航空機を、レーダーが捕捉したことを知らせるアナウンスだ。
国籍や飛来の目的は不明だが、いずもが航行していたのが九段線付近であったことから、中国軍機の可能性があった。
中国は南シナ海の地図上に、九段線と呼ばれる破線を引き、その内側は自国の管轄権が及ぶと主張している。
南沙諸島や西沙諸島で岩礁を埋め立て、空港を建設するなどして軍事拠点化を進めている。
これに対し、米軍は人工島の周囲12カイリ(22キロ)以内に軍艦を派遣して中国の領海ではないとけん制する「航行の自由作戦」(FON)を実施してきた。
日本の自衛隊も、FONには参加しないまでも、徐々に南シナ海への関与を強めている。
全長248メートルと海自で最も大きく、最も目立つ護衛艦いずもを長期間派遣しているのはその一環だ。
軍艦はその国の領土の延長とみなされる。
いずもを南シナ海に派遣すれば、そこに日本の国が出現したことになる。
いずもが所属する第一護衛隊群(神奈川県横須賀市)の伍賀祥裕群司令は、艦内で取材に応じ、「プレゼンス(存在)を示すために動いているばかりではない」としつつも、「結果としてそう映ることはあると思う」と語った。
「レーダー・ロスト(喪失)」。
いずも艦内に再びアナウンスが流れた。
レーダーに映った機影は、圏外に外れた。
■<南シナ海で哨戒活動>
いずもが日本を出港したのは5月初め。
同月中旬にシンガポールで国際観閲式に参加後、フィリピンへ寄港してドゥテルテ大統領を艦上に招待した。
さらに米空母ロナルド・レーガンとの共同訓練をこなし、シンガポールへ戻って6月19日から23日まで報道陣と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の士官を乗せた。
海と空がまだ、暗闇に包まれている20日午前7時。遠くの空がときおり稲光で照らされる中、いずもの甲板からSH-60ヘリコプター3機が飛び立った。
ヘリコプターの任務は、船の進路や周囲に異常がないかどうかを確認すること。
いずものヘリコプターは1日に何度もこうした発着艦を繰り返す。
米軍は自衛隊が南シナ海で哨戒活動を行うことに期待を寄せるが、日本は東シナ海にも対応しなくてはならないとして、遠く南シナ海で定期的に哨戒する計画はないとしてきた。
いずもの甲斐義博艦長も「パイロットの技量維持などの訓練もある」と述べ、全てが哨戒のための飛行ではないと説明する。
しかし、長期航海中のいずもが何度もこの海域でヘリコプターを飛ばすことは、結果としてその役割を果たすことにつながる。
■<同乗したASEAN士官>
今回のいずもの長期航海には、護衛艦「さざなみ」が同行した。
2隻は波が穏やかな南シナ海上を、ときに近づき、ときに離れ、陣形を組み替えながら航行している。
大型タンクを備えるいずもから、ホースを伸ばしてさざなみに給油をすることもある。
洋上を航行しながら給油をするには、2隻が速度と針路を合わせて並走しなくてはならない。
両艦の間隔はわずか40メートル。
方位が1度でもずれれば衝突の恐れがある。
21日午後、燃料が少なくなったさざなみに対し、いずもは150キロリットル、ドラム缶750本分の軽油を2時間かけて給油した。
報道陣とASEAN士官が同乗中、いずもは捜索・救難や射撃、旗を使った通信の訓練も行った。
10人の士官は訓練を見学したほか、海洋法などの講義を受けた。
日本側の狙いは、中国が南シナ海への進出を強める中、この海域で起きている情勢の認識や、国際法の順守の重要性をASEAN各国と共有すること。
タイ海軍のカシカン・テチャティラワ中尉は報道陣の取材に、個人的な意見とした上で「法の下では各国が平等でなければならない。大国の発言が大きく、小国の発言が小さくあってはならない」と語った。
いずもは21日から22日にかけ、シンガポールの北東約500キロの海域に到達した。
そのまま進めば中国の人工島がある南沙諸島に近づくが、そこで折り返した。
日本は九段線の存在を認めてはいないが、その線をかすめた形だ。
ロシア軍との共同訓練のため、バルト海へ向かう中国軍の艦艇とすれ違う可能性もあったものの、遭遇することはなかった。
いずもとさざなみはこの後、インド洋へ向かう。
チェンマイに寄港し、7月10日から17日まで、米国、インドとの共同訓練「マラバール」に参加する。
(久保信博 編集:田巻一彦)
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