『
ロイター 2017年 03月 26日 19:08 JST Elisabeth O'Leary
http://jp.reuters.com/article/britain-eu-scotland-economy-idJPKBN16V1DW?sp=true
焦点:スコットランド独立派の「根拠」、
前回投票と何が違うか
[エジンバラ 21日 ロイター] -
スコットランドが英国からの独立をめざす経済的な根拠はかつて石油だったが、現在は資源確保よりも貿易がこの地域の将来的な繁栄を確保するとの主張が高まっている。
それにより英国の欧州連合(EU)離脱によるダメージを回避できるというのだ。
輸出の3分の2が英国内向けであるスコットランドにとって、国際的な貿易大国に変身することは容易ではない。
2014年に実施した住民投票で独立が否決された後、世界的な石油価格の急落によりスコットランド経済が打撃を受けただけに、なおさらだ。
スコットランド自治政府を率いるスコットランド国民党(SNP)は新たな住民投票の実施を目論んでいるが、300年続く英国連邦の解体に反対する人々は、再び住民の分断を招くキャンペーンや不確実性の増大に耐える余裕が現在のスコットランド経済にはないと主張する。
だが企業経営者のニアル・マクリーン氏のような人々は、44年間加盟していた通商ブロックとしてのEU離脱に向け、英国が交渉準備を進めている今、不確実性はいずれにせよ避けられないと言う。
「その不確実性を突き詰めれば、自分がどこにいたいのかを考えざるを得ない」
とマクリーン氏は言う。
「独立によって、EU市場に引き続き自由にアクセスする道が開け、貿易を推進することができる。
ブレグジットはその逆だ」。
独立賛成派グループ「ビジネス・フォー・スコットランド」の諮問委員会メンバーでもある同氏はそう語る。
マクリーン氏が経営するジオロープという企業は、英国及び欧州大陸に土木関連サービスを提供している。
EUは市場としてだけでなく、人材の供給源としても必要だという。
社員200人には他のEU諸国の市民が数多く含まれているが、離脱後の英国で働き続ける権利があるかは依然として不透明だ。
EU離脱を決めた昨年6月の英国民投票によって政治状況は変化した。
英国で最も人口の多いイングランドは、ウェールズとともに、EU離脱を選択。
スコットランドと北アイルランドの住民は残留を望んだ。
スコットランド自治政府首相を務めるSNPのニコラ・スタージョン党首は、ブレグジットによって、英国がかつて提供していた確実性は崩壊したと言う。
多数の意志に反してEUから離脱させられる状況に直面している今、スコットランド住民に新たな選択機会を与えるべきだと彼女は主張する。
英国から独立することによって、スコットランドはブレグジット後もEUに(あるいは少なくとも統一市場に)留まる機会を得ることになる。
英国のメイ首相は、拘束力のある住民投票が行なわれれば承認せざるを得ないだろうが、今は「それをやるべきときではない」と述べている。
だがスタージョン氏は、来年秋から2019年春にかけての時期に住民投票を実施する方向でプレッシャーを高めている。
■<どの市場を重視するか>
SNPは2014年のキャンペーンで、英国の国庫に納められている北海油田からの税収は、独立を果たしたスコットランドに属するべきであり、500万人の住民が豊かになるための緩衝材だと主張した。
だが結局、スコットランド住民の過半数は、最大の貿易相手と通貨ポンドを捨てることに意味を見いだせなかった。
その後、石油価格が1バレル100ドルから半減し、北海油田による税収崩壊とともに、東岸都市アバーディーンを中心として、北海油田事業を支えるスコットランド地域に打撃を与えた。
スコットランド独立派も英国残留派も、どちらも貿易の拡大を望んでいる。
意見が割れるのは、どの市場を重視するかという点だ。
スコットランドの人口は英国全体の8%で、年間の経済生産は1500億ポンドだ。
500億ポンド(620億ドル)相当の財・サービスを英国の他地域に販売している。
スコットランド自治政府のデータによれば、2015年には、スコットランドからの輸出のうち英国内向けが63%を占め、他のEU加盟国向けはわずか16%にすぎなかった。
「われわれもそれに同意するが、もしスコットランドの誰もが、欧州との自由貿易が重要だという点に同意するなら、英国の他地域との貿易はその4倍も重要だということを否定するのは文字通り不可能だ」。
スコットランドでメイ首相が率いる保守党を代表するルース・デビッドソンは、今年初め、このように語った。
この見解は、分裂するスコットランドのビジネス社会においても、多くの人々が共有している。
スコットランドの貿易において、石油はもはや支配的な地位にはない。
2015年、石油及び石油化学製品の国際輸出産業としての規模は第3位で、28億ポンドの収益をあげた。
対照的に、スコッチウィスキーを含む食品・飲料の輸出は48億ポンドに達している。
もし再び住民投票を行なう場合、SNPの経済予測では石油生産による税収を計算に入れないことになると同党の経済戦略担当者は語る。
ほとんどの先進諸国と同様に、スコットランドにおいても、はるかに規模が大きいのはサービス部門であり、同地域GDPの75%を占めている。
そのなかには、観光や、エジンバラを中心とする大規模な金融業、そしてジオロープのような企業が含まれている。
SNPは、独立を機にスコットランド企業が隣接する英国市場に背を向ける可能性を否定している。
スコットランド自治政府のキース・ブラウン経済長官は、カナダからの輸出の75%が米国向けであることを例に挙げる。
「独立反対派は、カナダにとって最大の貿易相手国が米国だから、カナダは独立できないとでも言いたいのだろうか」
と同長官は問いかける。
「もちろん、そうではない。
彼らの主張は不合理なナンセンスだ」
■<EUへの窓口>
ブレグジットの長期的影響については、エコノミストのあいだでも意見が分かれているが、オックスフォード大学のサイモン・レンルイス教授(経済政策論)は、2030年までに英国国民の平均所得は10%低下する可能性があると試算している。
「スコットランドが独立によってそうした悪影響を回避できるならば、それは明らかに長期的な経済メリットだ。
しかしそれだけではない。
もしスコットランドが(EU)統一市場に残留できれば、かつてはEUへの玄関口として英国に流入していた外国からの投資が、今度はスコットランドに向かう可能性がある」と同教授は指摘する。
独立したスコットランドが通貨として何を使うのかという問題は依然として不明だ。
2014年の住民投票では、SNPは英ポンドを使い続けることを提案していた。
ただし、これでは暗黙のうちにイングランド銀行に依存することになり、英国当局も否定的だった。
スタージョン首相は、ポンドの使用が独立スコットランドの「出発点」だと発言している。
イングランド銀行のキング元総裁は、ポンドを通貨として使用することが大きな困難を招くとは思わないと述べる一方で、公共財政という別の問題を指摘する。
■<財政赤字>
2014年以前、スコットランド経済は数年にわたり、英国全体のGDPと同じペースで成長してきた。
だが、この年に石油価格が下落して以来、事情が変わった。
2016年の第3・四半期には英国経済が前年同月比で2.2%成長したのに対し、スコットランド経済はわずか0.7%の成長にとどまっている。
2016年3月までの会計年度において、スコットランドの財政赤字は150億ポンドと試算されており、これは年間GDPの約10%に相当する。
EU加盟国は、財政赤字をGDPの3%に抑えるよう求められており、英国の同割合は3.8%となっている。
経済シンクタンク、フレイザー・オブ・アランダー研究所の研究員で、スコットランド議会の顧問を務めるデビッド・アイザー氏は、独立スコットランドは厳しい問題に直面するだろうと語る。
「これだけ大きな赤字をどうやって埋めるのか。
デジタル経済など、現状では課税されていないタイプの経済活動があるのだろうか。
公的支出で大幅削減できる部分があるだろうか」
と彼は問いかける。
スコットランド企業は、EU域内で労働者が移動の自由を維持することに執着している。
高齢化と人口減少の影響を軽減できるからだ。
スコットランドで生活する他のEU加盟国の市民は約18万1000人で、人口の約3.4%に相当する。
3分の1はホテルやレストランで働き、約2万人が約140億ポンドの規模を誇り、多くは周辺地域に立地する食品・飲料部門に雇用されている。
英国、フランス、オランダ出身のドライバー約450人が働く輸送物流企業を経営するトム・バリー氏は、
「自由貿易と労働者が移動する自由がなくなれば、私の事業にとっては損失だ」
と言う。
彼はスコットランドの独立を支持するが、ポンドを使い続けることを望んでいる。
バリー氏は、英国政府との間で貿易障壁の発生を回避する協定を結ぶことができると信じていると語り、ユーロを使用するアイルランド共和国と英領北アイルランドの国境開放を例に挙げる。
「アイルランドでは、通貨は2つだが、国は1つで、国境はない。
私はよくアイルランドを訪れるが、あの島では生活に悪影響は生じていない」
(翻訳:エァクレーレン)
』
『
産経新聞 3/30(木) 7:55配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170330-00000081-san-cn
EU離脱通告 中国「千載一遇の好機」
英と蜜月演出、日米を牽制
●中国の対英貿易統計(写真:産経新聞)
【上海=河崎真澄】
中国が欧州連合(EU)離脱を29日に通告した英国を取り込む戦術を着々と進めている。
習近平指導部が狙っている新シルクロード経済圏構想「一帯一路」で、外交面でも経済面でも「英中連携」が有益と考えているからだ。
同時に日米への牽制(けんせい)にもなると踏んでいる。
「中国にとっては千載一遇のチャンスだ」。
匿名を条件に取材に応じた中国の複数の関係者は、英国のEU離脱に関し口をそろえてこう話す。解説を集約するとポイントは3点ある。
■「一帯一路」構想
まず「一帯一路」と、これを資金面から支える中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)で英国の重要性や存在感がいやます点。
「英国はEU依存度を減らす分、対中関係拡大に動かざるを得ない。
(1840~42年の)アヘン戦争の時代から中国での権益を虎視眈々(たんたん)と狙ってきた英国の発想は今でも変わらないが、中国はこれを逆手に取る」
と政治学者は話す。
中国を起点に、欧州まで陸路と海路でインフラ建設による経済利益を共有する構想は、地図上で英国が終点。
英国からみれば起点と終点が逆転する構図だ。
その経路にはマレーシアやインド、オーストラリアや南アフリカなど歴史的に英国とかかわりの深い国々が数多い。
「英国が残した法体系がいまも使われている」(政治学者)ため、インフラ建設の許認可をめぐる法的な対応や金融面などでの英国との協力が中国にとっても有利だと映る。
中国はAIIB構想が動き始めた3年前から英国に働きかけ、西側先進国で初めて参加表明させた。
日米が重要な決定権をもつ既存の国際金融機関の体制に、「EUの束縛がなくなると英中の連携が有効な対抗勢力になる」との読みがある。
北京で5月に開かれる「一帯一路」サミットや、6月末のAIIB年次総会は、中国が目指す“英中蜜月”を演出する重要な舞台回しになりそうだ。
■人民元の国際化
次に、ロンドンの金融センター「シティー」の果たす役割だ。
英国のさらなる対中接近で、
「習指導部がめざす人民元の国際化の拠点は当然、ニューヨークではなくロンドンとなり、上海に加え(旧英植民地の)香港が連動して英中金融協力が飛躍的に伸びる」
とエコノミストは強く訴えた。
「一帯一路」やAIIBの動き拡大と相まって、インフラ投資や貿易などの代金がロンドンで人民元建てで決済され、人民元建ての債券などの発行もシティーが香港と並ぶ一大オフショア(本土外)金融拠点になりそうだ。
■武器輸出解禁も
最後は、1989年の天安門事件に対する経済制裁として、
「EUが続ける中国への武器輸出禁止措置への風穴に英国がなる」(政治学者)
ことへの期待。
英国からの武器や軍事技術の輸入が可能になると中国側は踏んでいる。
武器輸出解禁の交渉は難航も予想されるが、
「EUの束縛さえなくなれば、英国には対中輸出したい軍事技術が数多くあるはずだ」
とにらむ。
札束をチラつかせて英国をなびかせた中国。
EU離脱を契機に英中関係を深化させて日米を牽制して、ユーラシア大陸から東南アジア、南太平洋、インド洋からアフリカ、英国まで地球を半周する経済的、外交的な戦略を潜ませている。
』
この記事、粗雑だ!
納得点がまるでない。
ただ、こんなこともあるだろうといった憶測をならべただけ。