2017年5月21日日曜日

香港:中国香港橋完成まじか 強まる本土支配の象徴

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ロイター  2017年 05月 21日 10:13 JST
http://jp.reuters.com/article/hong-kong-mainland-china-bridge-idJPKCN18F0KJ?sp=true

アングル:完成迫る中国と香港結ぶ橋、強まる本土支配の象徴か



[珠江口(中国) 19日 ロイター] -
 香港と中国本土の珠江デルタを結ぶ、長さ約30キロの橋が完成に近づくなか、中国の当局者らは、香港との緊張が高まっているこの時期に、この橋が経済統合以上のものをもたらすことを期待している。

 仏パリのエッフェル塔60基分以上の鋼鉄を使って建設されているこの海上橋「港珠澳大橋」が最初に提案されたのは1980年代のことだった。
 英国領だった当時の香港自治政府は、共産主義国である中国との距離が一段と近くなることを恐れ、橋の建設に反対した。

 しかし、1997年に香港が中国に返還されると、香港と、珠江デルタにおける製造業とスプロール現象を融合させる数々のプロジェクトが飛び交い、香港に少なからず不安を与えている。

 橋建設プロジェクトの責任者の1人である中国当局者Wei Dongqing氏は、欧州の元植民地である香港、マカオと、広東省珠海市をつなぐこの橋について、物理的にも心理的にも調和を促進するものとの見方を示した。

 「橋は3つの場所をつなぎ、心理的影響をもたらす」と、完成半ばの6車線の橋の上を行く記者向けのツアーバスのなかで、Wei氏はロイターに語った。
 遠くにはマカオのカジノがかすかに見える。

「われわれは未来に自信がある。夢は統合された市場、統合された国民だ」

 建設開始から8年近くが経過し、最後の試算によると、
 橋と海底トンネルを含むプロジェクトの総建設費は約190億ドル(約2.1兆円)
にまで膨れ上がった。
 橋は無用の長物との批判の声も上がっている。
 完成しても、発展は困難とみられており、交通量も1日あたり約4万台との予想には達しないと見込まれている。

 年内には大半の工事が完了し通行可能になるとみられるが、料金所や税関・出入国管理施設を完備したフル稼働がいつになるのかは「分からない」とWei氏は語った。
 「橋の完成後も、われわれは新たな課題に直面する。
 いかに効率よく運営し、地域全体を実際に利することができるかということだ」

 同プロジェクトの香港側を監督する香港運輸局は、一段の遅れやコスト超過が見込まれるかどうかに関する質問に対し、明確に回答しなかったが、年内の完成には自信を示した。
 香港、マカオ、本土の3者で最終的な調整が行われていると電子メールで答えた。

■<ぼやける境界>

 香港で緊張が高まった時期においても、中国本土と香港の当局者らは、橋の経済的重要性を強調し続けた。
 香港では2014年、中国政府が完全な民主化を認めず、自治の約束を反故にする本土の介入を懸念した、主に学生を中心とした大規模な抗議活動が起きた。
 香港では、本土が包囲網を拡大するなか、この橋によって香港の独立したアイデンティティーが脅かされるとみる人たちもいる。

 「香港と中国の境界をあいまいにしようとするある種のネットワークが見て取れる」
と、民主派の弁護士Kwok Ka-ki氏は話す。
 「これらインフラ計画が全て完成した今後10─15年で、香港は中国の単なる一部になっているだろう。
 明確な境界が分からなくなってしまうのだから」
 また、何十億ドルも投じた本土と香港を結ぶ高速鉄道計画についても、本土の出入国管理施設を香港に設置することを巡り非難の声が上がっている。

 返還時に約束された「1国2制度」の下で保たれている香港の自治性を揺るがすとの指摘も聞こえる。
 「多くの香港市民が統合を嫌がるとは思わないが、私たちはそれが民主的に行われることを望んでいる」
と、高速鉄道計画への反対デモを主導し、現在は議員となったエディ・チュウ氏は言う。
 「過去10─15年に行われたあらゆる抗議デモの背景にある核となる考えは民主主義だ。経済発展や都市計画の方向性を市民がコントロールできるかどうかは、民主化運動の延長線上にある」

 だが、グレーのつなぎ服に安全ヘルメットをかぶった前述のWei氏は橋による統合を「1橋3制度」だとして称賛する。

「橋は新しい象徴となりつつある」

(James Pomfret記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)



マカオ新聞 5/25(木) 20:56配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170525-00010004-macau-cn

香港世論調査、日本人の好感度上昇…16ヶ国・地域中4位
=韓国は11位、最下位は中国本土

 香港大学が香港市民を対象に今月実施した香港を含む世界16ヶ国・地域を対象とした好感度調査で、日本人に対する好感度が前回調査(2016年11月実施)から7ポイント上昇の53%となり、4位に入った。

 この調査における
★.好感度の定義は、好感を持つと回答した人の割合から、反感を持つと回答した人の割合を引き算したもの。
 調査対象となった16ヶ国・地域の好感度順位は下記の通り。(国・地域/好感度/前回調査との差)

1位 台湾/61%/+5pt
2位 カナダ/58%/+9pt
3位 シンガポール/53%/-1pt
4位 日本/53%/+7pt

5位 マカオ/48%/0
5位 オーストラリア/48%/+3pt
7位 英国/47%/+5pt
8位 ドイツ/45%/+6pt
9位 タイ/41%/+7pt

10位 マレーシア/35%/+12pt
11位 韓国/33%/-6pt
12位 香港/28%/0
13位 フランス/27%/+8pt
13位 米国/27%/0

15位 ロシア/20%/+26pt

16位 中国本土/1%/-7pt

 なお、同時に実施された同じ16ヶ国・地域の政府を対象とした好感度調査では、日本の好感度は前回調査からは8ポイント改善したものの-13%となり、1ランク上昇の14位にとどまった。

 政府を対象とした好感度調査のトップはカナダの52%、最下位はいずれも-16%の米国とロシア。
 韓国は前回から34ポイントの大幅下落となる-7%で11位、中国本土は2ポイント下落の-8%で12位。

 上の表で「16位 中国本土/1%」とあるが、この「1%」というのはどういうこと。
 台湾の「61%」からロシアの「20%」までいろいろだが、最下位中国で突然「1%」になるのはどういうこと?


Record china配信日時:2017年6月24日(土) 21時10分
http://www.recordchina.co.jp/b182081-s0-c10.html

香港返還20周年、
中国の締め付け強まり揺らぐ「一国二制度」、
住民の対中感情悪化、
本土との亀裂も深まる

 2017年6月23日、香港が1997年に英国から中国に返還されて7月1日で20年の節目を迎える。
 返還時には社会主義の中国とは異なる「一国二制度」が認められたはずだが、中国政府の締め付けが強まり、制度は揺らいでいる。
 これに伴い、香港住民の対中感情は悪化し、本土との亀裂も深まっている。

 英国の植民地だった香港が返還された際、中国政府は引き続き50年間は特別行政区として資本主義を採用し、社会主義の中国と異なる「一国二制度」を維持することを約束。
 外交と国防を除き、香港には「高度な自治」が保障された。
 香港の憲法に当たる基本法には、中国本土では制約される言論・報道・出版の自由、集会やデモの自由、信仰の自由などが明記されている。

 「一国二制度」に暗雲が立ち込めたのは、2017年の行政長官(香港のトップ)選挙をめぐり14年8月、中国政府が自由な立候補を阻む措置を決定したのがきっかけ。
 これに反発し、民主化を求める学生らが中心部に座り込む「雨傘運動」が繰り広げられた。

 翌15年10月から12月には、中国共産党批判や指導者のスキャンダルなど本土で販売できない書籍を扱ってきた「銅鑼湾書店」親会社の出版社の株主ら5人が中国当局に連行されるなどして相次いで失跡。
 「言論の自由」が脅かされたとして、香港社会に大きな衝撃を与えた。

 昨年9月の議会選挙(定数70)では「雨傘運動」後に台頭した香港独立を視野に入れる「本土派」議員2人が当選したが、香港政府は就任宣誓時に中国を侮蔑する発言などをしたとして、議員資格取り消しの司法審査を高等法院(高裁)に請求。
 2人は最終的に議員資格を取り消された。

 香港メディアによると、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の張徳江委員長は5月末、北京で開催された「香港基本法実施20周年座談会」で講演。
 「中央と香港特区の関係は授権する側と授権される側の関係で、分権関係ではない。
 いかなる状況下でも高度な自治を盾に中央の権力に対抗することは認めない」
と指摘した。
 その上で民主派の動きを
 「香港に対する国家の主権回復を認めず、香港を国家から分離し独立か半独立の政治実体にする企て」
と批判した。

 これに対し、香港住民の中国に対する不信感は高まる一方。
 香港大学が住民を対象に5月に実施した香港を含む世界16カ国・地域の好感度調査によると、1位台湾、2位カナダ、3位シンガポール、4位日本などの順で、中国は最下位だった。
 「いい印象を持っている」との回答は1%にすぎなかった。 

 7月1日には中国の習近平国家主席が出席する返還20周年記念式典や盛大な花火大会などのイベントが予定されている。
 習主席の訪問に合わせ、民主派などは10万人規模の抗議デモも計画しているという。



人民網日本語版配信日時:2017年6月25日(日) 15時40分
http://www.recordchina.co.jp/b182115-s10-c30.html

香港−北京がわずか10時間、
広深港高速鉄道香港区間が来年開業予定―中国

 2016年に発表された「中長期鉄道網計画」によると、中国は鉄道建設をいっそう推進し、沿岸や北京・上海などの「八縦」路線と陸橋・河川沿いなどの「八横」路線をメインとし、都市間鉄道を追加とする高速鉄道ネットワークを建設する方針だ。
 2020年までに、全国鉄道網は全長15万キロメートルに達する見通しで、うち高速鉄道は3万キロメートル、大都市の8割以上をカバーする。
 全長26キロメートルの広深港高速鉄道香港区間は、「八縦」路線の一つで、北京-広州-深セン-香港高速鉄道の重要な構成要素となる。
 人民網が伝えた。

 香港特区政府路政署鉄道開拓処の陳派明・処長はメディア取材に対し、広深港(広州-深セン-香港)高速鉄道は、内陸-香港間の移動時間を大幅に短縮し、以下の「4つの促進」を実現すると強調した。

1)香港、珠江デルタ地域の都市、それ以外の地域の都市の連携を促進する

2)観光・商業貿易・起業・サービスその他各業界における香港地区と内陸の交流を促進する

3)香港地区と内陸都市の融合を促進する

4)香港地区と内陸の長期的発展を促進し、国家の南部大陣営としての香港地区の戦略的地位を強化する

○開通後、香港-北京の所要時間はわずか10時間に 

 香港高速鉄道は、香港特区政府が出資し、香港鉄路有限公司(港鉄公司)がプロジェクト設計・敷設・テスト・試運転を請け負っている。
 敷設工事は2010年1月にスタートし、2017年3月の時点で全体の90%が完成している。
 陳処長は、「2018年第3四半期までの開業を目標としている」と話した。

 港鉄公司プロジェクト発展担当マネージャーの林衛華氏は、
 「高速鉄道は、西九龍駅を出発後北に向かい、わずか14分で福田駅に、23分で深セン北駅に、そして48分で広州南駅に到着する。
 そのまま北に走り、北京には約10時間で到着する見込みだ。
 現在は、香港地区から広州に行くのに、最低2時間はかかる。
 高速鉄道の開通により、所要時間が大幅に短縮される」
と説明した。

○ランドマークとなる鉄道駅 地下空間を存分に活用 

 広深港高速鉄道で香港地区に設けられる駅は、西九龍駅だけだ。
 林マネージャーは、「西九龍駅の専有面積は、サッカー場15個分に相当する11ヘクタールに達し、建築総面積は約38万平方メートルの地下駅となる」と紹介した。
 陳処長は、「西九龍駅の設計上の特徴として、地下空間を可能な限り利用している点が挙げられる」と指摘、以下の通り続けた。
 「駅は地下4階構造で、ガラス製のカーテンウォールが備え付けられ、自然光を可能な限り採り入れ、環境に優しい設計となる。
 また、駅付近にある道路は、駅舎の建設と同時に地中に埋設される。
 道路埋設工事によってより多くの地上空間が生まれ、市民の憩いの場として提供される」。
 林マネージャーは、「西九龍駅を基点として半径5キロメートルの圏内をイメージした場合、駅が円の中心となり、商業・ショッピング・ホテル・居住エリアが周辺に位置し、高速鉄道利用客の重要な出発・到着地となる。西九龍駅が西九龍エリアの交通中枢となり、乗客を中心とした鉄道駅を建設することを目標としている。
 駅舎は西九龍のランドマークとなり、質の高い緑に囲まれた憩いの場所を提供し、西九龍文化エリアとの同時発展を目指す」と話した。

(提供/人民網日本語版・編集KM)
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 ロイター 2017年 06月 27日 18:12 JST
http://jp.reuters.com/article/hongkong-anniversary-identity-idJPKBN19I09D?sp=true

アングル:返還20年、中国への「愛国心」薄い香港の若者

[香港 26日 ロイター] -
 香港の学生活動家Chau Ho-oiさんは、このアジア有数の金融ハブが中国に返還された20年前に生まれた。
 彼女はかつて、中国本土を誇りに感じたことがあったと振り返る。
 2008年、11歳だった彼女は両親と並び、誇らしい気持ちで北京五輪をテレビで見た。
 そして、中国の選手団が、どの国よりも多い48個の金メダルを獲得するのを見て「心から興奮」したという。
 「中国は素晴らしいと思った」とChauさん。
 「もしその時に、自分は中国人かどうか聞かれたら、はい、と答えただろう」

 だが9年経った今、かつて英国領だった香港の「返還後の第一世代」は、加速度的に中国本土に背を向けつつある。
 「今は、自分が中国人だとは言いたくない」と、2014年の民主化デモで拘束された経験があるChauさんは言う。
 「とてもネガティブな気持ちになる。
 100回聞かれても、同じ回答をするだろう」

 香港大が20日公表した調査によると、18歳─29歳の若者120人のうち、自分が「広義の中国人」だと認めた割合は、わずか3.1%だった。
 半年ごとに行われているこの調査が開始した20年前は、この割合は31%だった。
 ロイターがChauさんを含む1997年生まれの香港の若者10人に行ったインタビューでは、中国本土から移住した1人を含め、全員がまず「香港人」と自認し、この街に忠誠心を持っていると答えた。

 香港は、19世紀に段階的に英国植民地となった。
 中国返還に際しては、「一国二制度」の仕組みが採用され、少なくとも50年間は、香港は独立司法や表現の自由を含めた広範な自治を認められることになった。
 取材に応じた20歳の若者たちは、北京の共産党指導者が香港の自由を締め付けにかかっていることを示唆する一連の疑わしい策略を目にして、態度が硬化したと語った。
 2012年、当時15歳の学生黄之鋒(ジョシュア・ ウォン)氏が、義務教育のカリキュラム内容が、中国への愛国心を育成する「洗脳教育だ」として反発し、数万人規模のデモを行った。
 行政側は、カリキュラムの撤回に追い込まれた。

 2年後の反政府デモ「雨傘運動」では、ウォン氏を先頭に、香港行政長官選挙の民主化を中国政府に要求。
 79日続いた路上での抗議活動の末、最終的にこの要求は無視された。
 複数の香港の書店主が2015年に中国本土の工作員に拉致され、香港独立を支持する若手政治家2人の議員資格が2016年に取り消されたことで、「一国二制度」への信頼がさらに揺らいだ。

 学生のキャンディ・ロウさんは、香港がさらなる管理下に置かれることになるのではと懸念する。
 「中国では、大衆の監視が広がっている。
 もし香港が悪くなるなら、そういう風になるのかも知れない」
と、彼女は言う。
 「それは、目に見えない恐怖だ」

■<愛国心>

 香港では、自決権や、さらには独立まで求める若者が増えており、中国政府は警戒している。
 中国共産党序列3位で、香港問題を管轄する張徳江氏は先月、「愛国者」型にはまるよう、「香港の若者に、国家と法律の教育を強化し、若い時から国について正しい考えを育てる必要がある」と述べた。
 次期香港行政長官の林鄭月娥(キャリー・ラム)氏は、中国の新華社に対し、「自分は中国人」という意識の養成を保育園レベルから進めると述べた。
 新華社によると、返還20周年記念式典の一環で、12万人以上の香港の若者が、中国関連の交換プログラムに参加する。
 うちいくつかは、香港行政府がスポンサーとなっている。

 だがこうした愛国心の押しつけは、より大きな反発を招く可能性がある。
 「なぜ中国政府は、香港の人に中国を愛せと強要すればするほど、大きな反対を招くだけだということが分からないのだろうか」
と、学生のジョジョ・ウォンさん(20)は言う。
 政治に関心がないと言うフェリックス・ウーさんのような、より穏健な学生さえ、中国の漢民族である前に、香港人だという意識を持っている。
 「中国はかなり大きな市場で、香港はこの市場に統合する必要があるだろう。
 だが政治的には、50年間は何も変わらないと約束した。
 その約束に少し逆行しているように思える」
とウーさんは言う。

 ビジネスを専攻し、公務員志望のルドウィック・チャンさんは、自分は第1に香港人だと考えるが、そのアイデンティティーは、中国人であることと矛盾しないと考える。
 「2つの異なる文化は、共存できる。
 香港と中国は統一されるべきだと繰り返すのではなく、双方が、お互いを理解するよう努めるべきだ」
とチャンさんは語る。

 香港で学ぶ中国本土出身の学生の中には、明るい見方をする人もいる。
 「20年は、始まりでしかない」と香港に来て3年になるビジネス専攻の学生ヨシ・ユエさんは述べた。
 「(中国への)帰属意識はゆっくり育つだろう。
 政治ではなく、文化から来るものだ」

(Venus Wu記者、Tyrone Siu記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)



ロイター  2017年 06月 28日 15:33 JST  Quentin Webb
http://jp.reuters.com/article/hong-kong-economics-breakingviews-idJPKBN19J06M?sp=true

コラム:中国返還20年、香港に再び求められる「進化」

[香港 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 香港は、新たな道を進まなければならない。
 この香気あふれる港町は長年、世界の貿易や金融など多くの面で、中国の窓口となってきた。
 英国から中国に返還されて20年が経ち、こうした伝統的な仲介的役割のいくつかは、恐らく永久的に衰えつつある。
 経済を再び活気づけるには、今ある強みを生かしつつ、いくつかの目立った問題を解決することが必要だ。

 多くの分野で、中国が以前ほど香港を必要としていないことは間違いない。
 この特別行政区は2003年、世界で最も忙しいコンテナ港だった。
 だが2015年までには、上海や、シンガポール、深セン、寧波舟山などの各港に、抜かれてしまった。
 貿易と物流が総生産(GDP)に占める割合は、ピークとなった2005年の28・5%から、2015年には22.3%まで低下した。

 香港の名門商社、利豊(0494.HK)は、かつては多国籍小売業と中国工場の仲立ちをして好調な業績を上げ、2011年の時価総額は250億ドル(約2兆8000億円)に達していた。
 現在は30億ドルほどの価値しかない。

 事実上の「国営」航空会社キャセイ・パシフィック航空(0293.HK)も、中国本土の空港からの国外直行便が増設され、旅行者が香港を素通りできるようになったことで、苦戦している。
 中国本土からの買い物好きの旅行客は、香港のショッピングセンターをパスして、パリのシャンゼリゼ通りやニューヨークの五番街に直行する傾向を強めている。

 より広範には、中国の台頭により財をなした香港人もいる一方で、全体の成長は緩慢になっている。
 昨年の成長率はわずか2%だった。
 香港には、中国本土と同じような成長を遂げることは難しい。
 すでに発展した経済だからだ。

 だが、最大のライバルのシンガポールは、この20年でより早く成長しており、香港は気を引き締めざるを得ない。
 新たなテクノロジーの開発拠点となっている近隣の中国深セン市と比べても、逆転傾向が見え始めた。
 かつて漁村だった深センは、商業用ドローン大手のDJIなどの新興企業や、富豪を生み出している。
 バーンスタインのアナリストは、2018年にも深セン経済が香港を追い越す可能性があると見ている。

■<ほどほどの熟練度>

 香港が直面する試練はむしろ高まっている。
 自由市場の信奉者は、香港における厳しい汚職取り締まりや、低い税金、限定的な政府管理などのビジネス環境を長年称賛してきた。
 だが、少数寡占に対する当局の無関心により、少数の富豪が不動産や公共設備、小売りを牛耳って富を蓄えるなど、格差が拡大した。
 不動産価格は急騰し、人々の反発を招いた。
 消費を控えて貯蓄に回し、リスクを避けるようになった。
 競争監視機関は、最近設置されたばかりだ。

 生産性や、言語スキル、そして創造力といった根本的な弱点もある。
 コンファレンス・ボードによると、1時間あたりのGDPの比較で、香港の労働者は米国労働者の75%を生産するが、シンガポールの労働者は92%生産できる。

 英語教育グループのEFは、英語の「ほどほどの熟練度」ランキングで、香港をブルガリアや韓国の下に置いた。
 英国の元植民地としては残念な結果であり、多国籍企業から見れば減点となる。
 世界知的所有権機関(WIPO)と米コーネル大学などがまとめた技術革新力国別ランキングで、香港は16位だった。

 こうした弱点のいくつかを改善すれば、香港経済の後押しになるだろう。
 行政は、公共住宅や土地の供給を増やし、教育予算を引き上げるべきだろう。
 競争が加速すれば、企業の研究開発予算も増額され、生産性と創造性が高まるだろう。

 低コスト貨物の港湾取扱高や、金払いの良い中国本土の観光客は、今後戻ってこない可能性が高い。
 従って、香港が現段階で、文化産業や医薬品、教育、環境サービスなどの付加価値の高い産業を優先することは、理にかなっている。

■<留め金>

 もちろん、香港には他の強みも残っている。
 金融とプロフェッショナル・サービスという2つの主要分野で、香港には高い専門性がある。
 中国政府が、両分野にとって不可欠な基礎となる「法の支配」を阻害しなければ、香港は、まだ新しいチャンスを発見し、モノにすることができるだろう。

 アセット・マネジメント分野は、最近の好例だ。
 国際通貨基金(IMF)によると、この分野は過去7年で3倍の規模に拡大した。
 香港の金融関係者やエンジニア、法律家は今後、中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の恩恵を受けることが出来るだろう。
 また香港は、本土の海洋産業に特化した金融サービスを提供することができるだろう。

 中国政府もまた、香港に大きなビジネス機会を提供している。
 香港のオフショア人民元市場などの仕組みや、香港株式市場を上海や深センの市場と結びつけるスキームがそれだ。

 香港もまた、新興企業や金融テクノロジー、起業などの「流行」と無縁ではない。
 だが、いかに強い後押しがあっても(そして当局はこれまでのところ、妨害する動きを見せていないが)、香港以外の場所を本拠地とする消費者向けテクノロジーの企業群と競争することはなさそうだ。
 中国の電子商取引大手アリババ(BABA.N)や、米フェイスブックFB.Nのような、巨大国内市場を持たないからだ。
 また、深センの様な製造業の基盤にも欠く。

 だが香港の起業家は、他の企業に最先端テクノロジーを提供することで、繁栄することができるだろう。

 香港は、自らの歴史にヒントを得ることもできる。
 香港は、かつて製造業の主要拠点だった経済を、自ら作り直して今の姿になったのだ。
 今ひとたび、進化が求められている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


Record china配信日時:2017年6月29日(木) 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/b182552-s0-c30.html

香港返還20年、貧富の格差は拡大の一途、
いまだ見つからない解決策―米華字メディア

 2017年6月25日、香港が英国から中国に返還されて間もなく20周年を迎える。
 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は6月29日から7月1日に香港を訪問し、記念式典に出席する。
 米華字メディア・多維新聞が伝えた。

 珠江デルタと香港・マカオからなる「粤港澳大湾区戦略」や、国を挙げての経済圏構想「一帯一路」が推進される一方で、香港では貧富の格差が拡大の一途をたどっている。

 労働者の権利が保障されていないことが社会的格差拡大の一因になっている。
 返還以前から、香港の労働環境の悪さや長時間労働は問題になっていたが、それでも相応の手当が支払われたり、雇い主が食事に誘ったりなどの待遇もあった。
 しかし、金融資本がすべてを握るようになると、長時間労働は当たり前となり、底辺からの声は完全に無視されるようになった。

 労働時間は長いのに、交通費も家賃も高く、将来の希望も持てない。
 若者はなんとか生きる場所を見つけようとするが、何も見いだせない状況にある。
 また、経済的基盤の弱い高齢層でも、貧民街のような場所で苦しい生活を強いられる人は少なくないという。

 親中派の林鄭月娥(キャリー・ラム)氏が新たな香港行政長官に当選したが、現在の香港には多くの勢力が乱立し、社会的亀裂は深まる一方となっており、格差拡大の解決策はいまだ見いだせないままとなっている。

 元香港立法会議員で、労働組合・香港工聯会の副理事長を務めている陳婉嫺(チャン・ユエンハン)氏は、「習近平氏が香港で私に会うなら、底辺の人々の現実を見せてあげたい」と話している。


人民網日本語版配信日時:2017年7月8日(土) 14時0分
http://www.recordchina.co.jp/b183765-s10-c30.html

「世界最長の橋」の海底トンネルが貫通、年末にも開通へ―中国

 海底トンネルが7日、貫通したことをうけて、港珠澳大橋主体全線が貫通した。
 年末に開通の条件を満たせば、香港から珠海、マカオへの車での移動時間が3時間半から30分に短縮される。

 多くの海を跨ぐ橋と異なり、港珠澳大橋は橋・島・トンネル一体型となっている。
 主体となる部分のプロジェクトは全長22.9キロの橋、6.7キロの海底トンネルからなり、トンネル両端には東西2つの人工島がある。
 主体橋は昨年9月に貫通。
 海底トンネルの工事も急ピッチで進められていた。

 竣工後の港珠澳大橋は、世界最長の海を跨ぐ橋になる。
 同プロジェクトの論証に参加した中山大学の鄭天祥教授は
 「開通後、大湾区都市群内のすべての都市間を1時間内で移動でき、通勤効率が大幅に向上する。
 経済要素のより効率的な流動と集約配置を促進する」
と述べた。

(提供/人民網日本語版・編集YF)