『
ロイター 5/24(水) 14:43配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170524-00000058-reut-bus_all
ムーディーズ格下げは問題を誇張、
改革取り組みは過小評価=中国
[北京 24日 ロイター] -
中国財政省は24日、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが同国の格付けを引き下げたことについて、不適切な手法に基づいており、中国経済の問題を誇張する一方、改革の取り組みを過小評価しているとの見方を示した。
ムーディーズはこの日、中国の格付けを1段階引き下げた。
成長が鈍化し、債務の拡大が続くに伴い、向こう数年で財政面の健全性が低下するとの見通しを示した。
財政省は、中国の政府債務は適正なペースで拡大する見込みで、地方政府の投資会社や国有企業の債務水準の高まりが政府債務を押し上げることはないと指摘した。
』
『
Record china配信日時:2017年5月25日(木) 18時30分
http://www.recordchina.co.jp/b179273-s0-c20.html
ムーディーズによる格下げに中国当局は反発
=「先生が不合格と言っているのに、学生はテストの方法が悪いと批判しているようなもの」―中国ネット
2017年5月25日、中国メディアの財経網は米国の債券格付大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の国債を格下げしたことについて、中国当局が反発したと伝えた。
ムーディーズは24日、中国国債の格付けを「Aa3」から「A1」に1段階引き下げたと発表した。
これに対して中国財政部は、順調な時期に基づいて格付けした不適切な手法だと反論した。
財政部は、ムーディーズが中国の債務規模が急増していることや、関係する改革の効果が見えてこないこと、政府による景気刺激策で無理やり経済成長を維持していると指摘しているが、これは中国経済の危機を誇張したもので、中国政府による構造改革の取り組みを見くびっていると主張した。
これに対し、中国のネットユーザーから
「共産党最大の欠点が、批判には耳を傾けず、称賛ばかり求めることだな」
「つまり格上げして然るべきだということか」
とのコメントが寄せられ、財政部の反応には中国ネットユーザーもあきれ気味のようだ。
また、
「先生が不合格と言っているのに、学生はテストの方法が悪いと批判しているようなもの」との指摘や、
「私は前回ロッテを破壊した愛国者なのですが、今回はどうやってボイコットしたらいいですか?
直接ののしればいいですか?
横断幕でも用意しますか?」
と、何かにつけてボイコットする愛国者の行動をやゆしたコメントもあった。
』
ロイター 2017年 05月 25日 16:12 JST Lisa Jucca
http://jp.reuters.com/article/column-china-downgrade-idJPKBN18L07Z?sp=true
コラム:中国が国債格下げを軽視できない理由
[香港 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
中国は国債の格下げで気を引き締めざるをえなくなる。
ムーディーズが24日、1989年以降で初めて格付けを引き下げことで、
★.中国の格付けは台湾より低くなった。
★.中国国債の外国人保有比率は極めて低く、
国内企業の格付けも個別の論理に基づいて設定されるため、
今回の格下げは多分に象徴的な意味しか持たない。
しかし中国が海外資金を取り込もうとする試みは、出鼻をくじかれるのではないだろうか。
ムーディーズは中国の格付けを1段階下げて「A1」とした。
これで先行して格下げしていたフィッチ・レーティングスとは同じ水準となり、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も今後追随するかもしれない。
ムーディーズは格下げの根拠として、中国の財政健全性が次第に低下していくとみられることを挙げた。
それはつまり、昨年末で国内総生産(GDP)の「277%」にまで膨らんだ非金融部門の債務(訂正)を政府が抑え込めないという事実の端的な表現だ。
ただ中国では、格下げが投資行動に幅広く影響を及ぼすという世界各地で見られる事態は決して起きない。
一番の理由は、
★.主要新興国では20─30%が一般的な国債の外国人保有比率が、
中国の場合は3%未満であることだ。
国内投資家の大半は、新発債を買ったら満期まで持ち続け、国際的な信用力の評価に一喜一憂しない。
ムーディーズの試算では、中国の国債利払い費用の歳入に対する割合は約6%と、より財政が不安定な諸国でこの割合が20%に上っているのと比べればずっと低い。
だから債務返済能力もかなりしっかりしている。
それでも将来的に痛みをもたらす恐れがある要素が1つある。
中国政府は、本土と香港の債券市場接続計画などを通じて海外の資金を取り込もうとしている。
年内に同計画が始動するのを前に、格下げは投資家心理を冷やすだろう。
中国が資本勘定の対外開放を続けていく中で、外国格付け会社からの政策批判を無視できる時間は残り少なくなっているように見える。
*277%に膨らんだのは企業借り入れのみでなく非金融部門の債務であることを明確にしました(2段落目)。
●背景となるニュース
*ムーディーズは24日、中国の格付けを1989年以降で初めて引き下げた。長期の自国通貨建てと外貨建て債務の格付けは「Aa3」から「A1」に1段階下がり、格付け見通しは安定的になった。これはS&Pやフィッチでは「ダブルAマイナス」から「シングルAプラス」への低下に相当する。
*フィッチは既に中国の格付けを「シングルAプラス」としている。S&Pは「ダブルAマイナス」だが、格付け見通しは「ネガティブ」。
*ムーディーズは声明で、中国の財政健全性が今後数年にわたって低下していくと予想した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
』
『
人民網日本語版配信日時:2017年5月26日(金) 18時30分
http://www.recordchina.co.jp/b179408-s10-c20.html
ムーディーズの中国国債格付け、
引き下げに3つの誤解―中国専門家
世界的な格付け会社の米ムーディーズが24日、
★.中国の国債格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げると同時に、
★.見通しを「ネガティブ」から「安定的」
に変更したことが、瞬く間に議論を引き起こした。
みたところ、ムーディーズの中国国債格付け引き下げには「3つの誤解」があり、
今回の動きから中国が受ける実質的な打撃は、対外債務による資金調達への依存度が高い新興市場ほど大きくはないとみられる。
(文:梅新育・商務部国際貿易経済協力研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
▽:ムーディーズの1つ目の誤解:
中国経済の安定回復の経済活性化政策への依存度を高く見積もりすぎ、その一方で中国の構造調整の取り組みと決意を過小評価していること。
ムーディーズはプレスリリースの中で、
「…中国政府は引き続き政策による(経済の)活性化を進め、これによって経済の力強い成長という目標を維持しようと考えている。
こうした活性化は経済システム全体の債務を増大させる。
経済の力強い成長は政策による活性化への依存度が高いため、債務の増加が中国の信用指標をむしばんでいく」
と断言した。
だが客観的な見方をするウォッチャーによれば、ここ数年の中国における中央政府から地方政府まで各クラス政府が構造調整と革新をめぐって重ねてきた努力をみれば、中国で新興産業がわき起こり成長する様子をみれば、今年1〜4月の市場の一般的な予測を大幅に上回る経済の「通知票」をみれば、ムーディーズのこのような断言のロジックが客観的事実に反したものであることはすぐにわかる。
▽:ムーディーズの2つ目の誤解:
中国政府の債務水準を高く見積もりすぎ、これに基づいて中国の債務の安定性について実際とかけ離れた誤った判断を下していること。
ムーディーズは地方政府の資金調達プラットフォーム企業、その他の国有企業といった機関の未償還債務をすべて政府の間接債務や偶発債務に計上し、これに基づいて中国政府の債務規模や見通しについて悲観的な評価を下している。
しかし「中華人民共和国担保法」や「中華人民共和国予算法」といった関連の法律法規を読めば、ムーディーズのこうした分析のロジックそのものが中国の法律法規と食い違っていることがすぐにわかる。
規定によれば、中央政府直属の国有企業でも、地方政府に属する国有企業(資金調達プラットフォーム企業を含む)でも、各企業が借り入れた債務はいずれも政府債務には入らず、政府が引き受ける義務は出資額の範囲を超えない。
すでに1990年代末に、中国政府は広東国際信託投資公司が借り入れた対外債務は国の債務ではなく、中国政府はこの対外債務について償還義務を負わないと宣言している。
中国政府が手を出さず、同公司が破産した時には、130人を超える海外の債権者と国際金融市場全体が、中国の法律では国有企業の債務は中国政府の債務に属さないことが規定されており、中国政府は原則通りにこの法律の規定を実施するという道理をはっきりと理解した。
それから20年近くが経ち、ムーディーズは当時130人を超える海外の債権者が「身を切るようにして」国際金融市場全体に知らしめたこの道理をまだ理解していないだろうか。
▽:ムーディーズの3つ目の誤解:
中国に対する姿勢といわゆる「高格付けの国」(米国や欧州などの西側諸国)に対する姿勢が実際の状況に合わないダブルスタンダードであること。
ムーディーズが上記の過大評価の方法を採ったとしても、中国の債務水準はいわゆる「高格付けの国・地域」でもみられる程度の水準だ。
だがムーディーズは、一連の「高格付けの国・地域」は一人あたり平均所得の水準、金融市場の成熟度、体制のもつ実力がどれも中国より高く、こうした特徴により債務償還能力が高くなり、マイナス事態が発生しても蔓延のリスクは低いと論じたてる。
こうした見方には道理があるようにみえるが、国際金融市場全体を転覆させかねなかったサブプライム問題や米欧の債務危機は一体、何年前のことだろうか。
危機はどこで起こったというのか。
中国だろうか、ムーディーズが「金融市場の成熟度や体制のもつ実力がいずれも中国より高」いとみる一連の「高格付けの国・地域」だろうか。
実際、過去のデータに頼り過ぎて相対的に見通しが不十分になったり、主観的な「体制要因」を重視しすぎたりして、ムーディーズをはじめとする国際的格付け機関が誤った格付けをしたことは一度や二度ではない。
市場参加者はムーディーズがこのたび打ち出した格付けに過剰に反応する必要はない。
まして中国の債務は95%が対内債務であり、中国国民の貯蓄率は引き続き30%前後を保っており、中国には3兆ドル(約335兆2200億円)規模の外貨準備残高と政府が保有するその他の流動性の高い巨額の資産があり、中国の債務がシステムを脅かす債務危機に発展することはないと保証できる。
ムーディーズの格付けの変更から中国が受ける影響は、対外債務への依存度が高い新興市場エコノミーが受ける影響に遠く及ばない。
このようなわけで、市場は無定見に風向きを気にする必要はないといえる。
(提供/人民網日本語版・編集KS)
』
人民網日本語版配信日時:2017年5月26日(金) 18時30分
http://www.recordchina.co.jp/b179408-s10-c20.html
ムーディーズの中国国債格付け、
引き下げに3つの誤解―中国専門家
世界的な格付け会社の米ムーディーズが24日、
★.中国の国債格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げると同時に、
★.見通しを「ネガティブ」から「安定的」
に変更したことが、瞬く間に議論を引き起こした。
みたところ、ムーディーズの中国国債格付け引き下げには「3つの誤解」があり、
今回の動きから中国が受ける実質的な打撃は、対外債務による資金調達への依存度が高い新興市場ほど大きくはないとみられる。
(文:梅新育・商務部国際貿易経済協力研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
▽:ムーディーズの1つ目の誤解:
中国経済の安定回復の経済活性化政策への依存度を高く見積もりすぎ、その一方で中国の構造調整の取り組みと決意を過小評価していること。
ムーディーズはプレスリリースの中で、
「…中国政府は引き続き政策による(経済の)活性化を進め、これによって経済の力強い成長という目標を維持しようと考えている。
こうした活性化は経済システム全体の債務を増大させる。
経済の力強い成長は政策による活性化への依存度が高いため、債務の増加が中国の信用指標をむしばんでいく」
と断言した。
だが客観的な見方をするウォッチャーによれば、ここ数年の中国における中央政府から地方政府まで各クラス政府が構造調整と革新をめぐって重ねてきた努力をみれば、中国で新興産業がわき起こり成長する様子をみれば、今年1〜4月の市場の一般的な予測を大幅に上回る経済の「通知票」をみれば、ムーディーズのこのような断言のロジックが客観的事実に反したものであることはすぐにわかる。
▽:ムーディーズの2つ目の誤解:
中国政府の債務水準を高く見積もりすぎ、これに基づいて中国の債務の安定性について実際とかけ離れた誤った判断を下していること。
ムーディーズは地方政府の資金調達プラットフォーム企業、その他の国有企業といった機関の未償還債務をすべて政府の間接債務や偶発債務に計上し、これに基づいて中国政府の債務規模や見通しについて悲観的な評価を下している。
しかし「中華人民共和国担保法」や「中華人民共和国予算法」といった関連の法律法規を読めば、ムーディーズのこうした分析のロジックそのものが中国の法律法規と食い違っていることがすぐにわかる。
規定によれば、中央政府直属の国有企業でも、地方政府に属する国有企業(資金調達プラットフォーム企業を含む)でも、各企業が借り入れた債務はいずれも政府債務には入らず、政府が引き受ける義務は出資額の範囲を超えない。
すでに1990年代末に、中国政府は広東国際信託投資公司が借り入れた対外債務は国の債務ではなく、中国政府はこの対外債務について償還義務を負わないと宣言している。
中国政府が手を出さず、同公司が破産した時には、130人を超える海外の債権者と国際金融市場全体が、中国の法律では国有企業の債務は中国政府の債務に属さないことが規定されており、中国政府は原則通りにこの法律の規定を実施するという道理をはっきりと理解した。
それから20年近くが経ち、ムーディーズは当時130人を超える海外の債権者が「身を切るようにして」国際金融市場全体に知らしめたこの道理をまだ理解していないだろうか。
▽:ムーディーズの3つ目の誤解:
中国に対する姿勢といわゆる「高格付けの国」(米国や欧州などの西側諸国)に対する姿勢が実際の状況に合わないダブルスタンダードであること。
ムーディーズが上記の過大評価の方法を採ったとしても、中国の債務水準はいわゆる「高格付けの国・地域」でもみられる程度の水準だ。
だがムーディーズは、一連の「高格付けの国・地域」は一人あたり平均所得の水準、金融市場の成熟度、体制のもつ実力がどれも中国より高く、こうした特徴により債務償還能力が高くなり、マイナス事態が発生しても蔓延のリスクは低いと論じたてる。
こうした見方には道理があるようにみえるが、国際金融市場全体を転覆させかねなかったサブプライム問題や米欧の債務危機は一体、何年前のことだろうか。
危機はどこで起こったというのか。
中国だろうか、ムーディーズが「金融市場の成熟度や体制のもつ実力がいずれも中国より高」いとみる一連の「高格付けの国・地域」だろうか。
実際、過去のデータに頼り過ぎて相対的に見通しが不十分になったり、主観的な「体制要因」を重視しすぎたりして、ムーディーズをはじめとする国際的格付け機関が誤った格付けをしたことは一度や二度ではない。
市場参加者はムーディーズがこのたび打ち出した格付けに過剰に反応する必要はない。
まして中国の債務は95%が対内債務であり、中国国民の貯蓄率は引き続き30%前後を保っており、中国には3兆ドル(約335兆2200億円)規模の外貨準備残高と政府が保有するその他の流動性の高い巨額の資産があり、中国の債務がシステムを脅かす債務危機に発展することはないと保証できる。
ムーディーズの格付けの変更から中国が受ける影響は、対外債務への依存度が高い新興市場エコノミーが受ける影響に遠く及ばない。
このようなわけで、市場は無定見に風向きを気にする必要はないといえる。
(提供/人民網日本語版・編集KS)
』
『
サーチナニュース 2017-05-27 11:12
http://news.searchina.net/id/1636581?page=1
日本企業の大規模撤退は起きないが、
投資を呼び込む努力をすべき=中国報道
日本経済界の訪中団が2016年9月、中国側に対して中国から撤退する際の手続きを簡素化するよう求めた。
中国国内ではこの要請が「日本企業が中国から相次いで撤退する前触れではないか」と一時懸念が高まったが、こうした懸念は
★.潜在的に中国が日本企業を含めた外資撤退を恐れていることの表れだ
と言えるだろう。
中国メディアの財界網は26日、
「日本企業の中国からの大規模撤退はあり得るのか」
と疑問を投げかける一方、
★.中国は日本との協業が必要であり、投資環境を整備し、各種手続きの簡素化を通じて
「日本からの投資を呼び込む必要がある」
と論じる記事を掲載した。
記事は、中国では日本企業が撤退を発表するたびに大きな社会的注目を集めてきたと伝えつつ、中国経済が緩やかながらも安定した経済成長を目指す「新常態」の時代を迎え、歴史問題や領土をめぐる対立が顕在化すると同時に日本企業の対中投資は減少傾向にあると指摘した。
また、中国から撤退する日本企業の数が増加傾向にあるのも事実だとしながらも、中国から撤退している日本企業は主に「労働集約型」の製造業であると指摘。
こうした撤退の背後には中国における人件費の上昇や円安の進行といった要因があるとし、
「一部で日本企業の撤退があるのは事実だが、
これが大規模な撤退に発展する可能性は極めて低い」
と指摘した。
なぜなら、一部の日本企業が撤退すると同時に、別の新しい日本企業が中国に進出しているためであり、資本集約型の製造業や第3次産業の日本企業の撤退はあまり見られないためだと主張。
中国で事業を展開する日本企業の経営の現代化に伴い、利益を伸ばす企業も増えていると伝えた。
また記事は、「全体的に見れば、日本企業の大規模な徹底は起き得ない」としつつ、中国経済にとって日本企業は必要不可欠であり、中国はむしろ投資環境を改善し、日本企業の投資をさらに呼び込むための努力をすべきであると伝えている。
』
『
投信1 5/31(水) 21:30配信 投信1編集部
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170531-00003366-toushin-bus_all
中国の格下げ、
懸念される経済の「3つの減速」とは?
米格付け会社ムーディーズは5月24日、中国の格付けを“Aa3”から“A1”へ1段階引き下げました。
ただ、当初は下落した株式市場もすぐに持ち直し、人民元もほぼ横ばいを維持するなど、マーケットの反応はいたって冷静でした。
格下げに動じなかったことが好意的に受け止められた一方で、警鐘として受け止めるべきとの声もあり、見方は分かれています。
そこで今回は、格下げにまつわる中国経済の現況を整理し、中長期的な視点から今後を展望したいと思います。
■中国の債務比率、日本のバブル期超えに警戒感
格下げの主な理由は成長率の低下と債務比率の上昇です。
ただ、成長鈍化と過剰債務問題は広く認識されており、ムーディーズが中国の格付け見通しを“ネガティブ”としたのは1年以上前の昨年3月のことです。
したがって、材料としての新鮮味がなかったことも冷静な対応につながったと言えるでしょう。
中国の成長鈍化を数字で確認すると、
★.GDP成長率は2010年の10.6%から単調な低下が続いており、
国際通貨基金(IMF)は2017年を6.6%、2018年を6.2%、
そして2022年には5.7%へ低下すると予想
しています。
一方、ムーディーズは中国の潜在成長率は今後5年で5%程度まで低下すると見ていますが、中国政府による景気対策により、実際の成長率の鈍化はより緩やかになるとしています。
また、中国は2015年までに人口ボーナス期から人口オーナス期に転換しており、成長の鈍化は人口動態の変化が影響しています。
総人口に占める生産年齢人口(15-64歳)比率の上昇局面は人口ボーナス期、低下局面は人口オーナス期と呼ばれ、ボーナス期は人口要因が成長を加速、オーナス期は抑制するとされています。
★.国際決済銀行(BIS)によると、2016年6月末時点での中国の民間債務の対GDP比率は209.4%、うち企業部門が167.6%、家計部門は41.8%となっています。
★.日本の民間債務の対GDP比率のピークは1989年の208%ですので、
中国の債務比率は既に日本のバブル期を越えており、債務の拡大も限界に近づいているようです。
★.日本では1990年前半に人口動態がボーナス期からオーナス期へと転換しており、
この時期とバブル崩壊が一致していることも中国の過剰債務に対する警戒感を強めている模様です。
■.3つの減速を懸念
1-3月期の中国GDP成長率は前年同期比+6.9%と好調ですが、成長鈍化の兆しが伺えることから、成長鈍化は避けられない見通しです。
特に警戒が必要と思われるのが、自動車販売、住宅価格、インフラ投資の行方です。
❖1. 自動車販売が減税終了で急減速
中国の4月の自動車販売台数は前年同月比-2.2%と、1年8カ月ぶりに前年水準を下回りました(ただし、旧正月の影響で振れの激しい1月と2月を除く)。
1-4月期の累計も前年同期比+4.6%と、2016年の+19.6%から急ブレーキがかかっています。
販売支援のための減税が終了し、今年1月からは小型車の購入税がそれまでの5%から7.5%に引き上げられました。
来年は通常の10%に戻る予定で、予定通りなら年末にかけては駆け込み需要が期待できますが、通年では小幅な伸びにとどまる見通しです。
さらに、2018年の年初には反動減が予想されます。
❖2. 住宅価格は早ければ年内に前年割れも
4月の中国住宅価格は前年同月比+9.9%と高い伸びを維持していますが、昨年12月以降は緩やかに伸び率が低下しています。
また、1-4月の住宅販売金額は前年同期比+16.1%と昨年同期の+36.2%から伸び率が大きく鈍化しています。
中国政府は住宅価格高騰による国民の不満に応え、住宅価格の抑制に取り組んでいます。
秋の党大会を見据えて、住宅価格の伸びは趨勢的な鈍化が続き、年末には前年割れとなる可能性もありそうです。
❖3. インフラ投資も鈍化へ、影の銀行への規制も影響か
中国の成長を支えているのはインフラ投資で、1-4月期は前年同期比で18.2%増加していますが、インフラ投資の高い伸びの背景には地方政府の資金繰り改善があります。
中国では従来、地方政府による地方債の発行は原則禁止でした。
ただ、高い成長を維持したい地方政府がシャドーバンキング(影の銀行、投資ファンド)を利用して資金調達を拡大し、非効率な投資の温床として問題視されたことから、2015年以降、地方債の発行が認められています。
シャドーバンキングは短期で高金利でしたので、長期で低金利の地方債へと借り換えることで地方政府の資金繰りが改善し、インフラ投資の拡大に寄与してきました。
しかし、地方債への借り換えが年内で一巡することから、来年以降のインフラ投資の拡大に歯止めがかかるのではないかと懸念されています。
また、シャドーバンキングへの規制が強化されていることもネガティブな影響として警戒されています。
■試練が訪れるのは来年?
企業が抱える過剰債務は金融機関の過剰融資の裏返しです。
中国政府は短期金利を引き上げて過熱を冷ます構えを見せていますので、ブレーキが効き過ぎて成長が鈍化する可能性もありそうです。
こうした中で、減税の終了、住宅価格の抑制、規制の強化により自動車販売、住宅投資、インフラ投資が来年を目途にそろって失速する恐れがあり、
中国経済は2018年に試練を迎えることになるのかもしれません。
』