2017年5月12日金曜日

北朝鮮に追い詰められる中国(2):新型弾道ミサイル発射(2)、核弾頭搭載型?

_

● JNNニュース 2017年5月14日


Wedge 2017年5月11日 岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9494

重要な敷居を超えつつある北朝鮮の核能力

 米ハーバード・ケネディスクールBelfer Center主任研究員で米国家核安全保障局次長もつとめたウィリアム・トビーが、Foreign Policy誌ウェブサイトに4月7日付で掲載された論説で、
★.北の核物質保有量の増大により核脅威の緊急性とその性質は大きく変わっている、
 戦略的忍耐はもはや実効性のあるオプションではない
と五つのリスクを挙げて主張しています。
 要旨、次の通り。

 北朝鮮の核脅威が大幅に増大している。
 2015年に北が保有していた核分裂物質の量では20未満の核兵器しか作れなかった。
 しかし、北は急速に核物質の備蓄量とその生産能力を増大させている。

 昨月IAEA事務局長は寧辺のウラン濃縮工場の規模が二倍に拡大されたとの報告を出した。
 科学・国際安全保障研究所は今のウラン濃縮・プルトニウム生産施設の能力を使えば18カ月の間に4~6個のペースで核兵器を製造することができる、もし秘密の第二の濃縮工場があれば生産能力は更に50%増大する、と予測している。

 核開発が規制されない限り、北は2024年までに100個に近い核兵器を保有することになるだろう。
 これらのことは五つの次元で北の核脅威の性質を変えることになる。

★.第一に、核戦力の展開、ドクトリン、ポスチャーが変わる可能性がある。
 核兵器の保有量が増えれば、北はドクトリンを発展させ、もっと攻撃的なポスチャーを採用し、場合によっては核兵器を常時使用可能な状態に置くことまでしかねない。
 朝鮮半島の核戦争の脅威は大きく高まる。
 北は核能力を隠れ蓑にして、通常戦力による攻撃あるいはテロ攻撃を行ってくる可能性もある。

★.第二に、核分裂物質の保有量の増大は核兵器と運搬システムの進歩を容易にする
 核実験のペースは速まっている。
 昨年は2回核実験をしたが、それまでの核実験は約3年の間隔で行われてきた。
 実験を通じて兵器の小型化、軽量化、強力化が可能となり、ミサイルの射程距離は増大する。

★.第三に、核兵器の移転のリスクが高まる。
 北はこれまでリビアへのミサイル売却やシリアでのプルトニウム生産原子炉の建設などを行ってきた。
 核物質の保有量が小さい段階では核物質や兵器の売却は軍事的にはコストの高いものだったが、保有量が増えればそのような懸念は縮小する。
 さらに、北への制裁は強化されており、価値のある核兵器や核物質を売る誘惑は増えるだろう。

★.第四に、北が核兵器を常時使用可能な状態に置くようなことになれば、偶発発射や無許可発射のリスクが高まる。
 経験を持たない北にとりリスクは一層高いものになる。

★.第五に、核窃盗のリスクが高まる。
 核物質生産が大規模施設で行われるようになると、これらの物質を盗み出す機会は増大する。
 北は世界で最も厳しい警察国家だが、最悪の汚職国家でもある。

 これまで北の核脅威は相対的に小さかった。
 米国と同盟国は強制等種々の政策を試みてきたが、北は、中国の庇護の下、処罰を受けることなく国際法を無視してきた。
 北の核物質保有量の増大により、脅威の緊急性とその性質は変わっている。
 戦略的忍耐は、もはや実効性のあるオプションではない。

出典:William H. Tobey,‘The North Korean Nuclear Threat Is Getting Worse By the Day’(Foreign Policy, April 7, 2017)
http://foreignpolicy.com/2017/04/07/the-north-korean-nuclear-threat-is-getting-worse-by-the-day/

 極めて興味深い、説得力のある見解です。
 筆者は、北の核物質生産能力の増大に伴い、
(1)軍事ポスチャー、
(2)技術進歩、
(3)移転、
(4)偶発、
(5)核窃盗
という五つの次元でリスクが大幅に増大すると主張しています。
 それに伴い北の通常戦力による行動も攻撃的になり得るとの指摘は重要です。
 これに対抗するためには、抑止力を強めるしかありません。
 その他のリスクが高まることも指摘の通りでしょう。

■今の北朝鮮は50年代、60年代の中国と同じ

 北の核能力は重要な敷居を超えつつあります。
 今の北朝鮮は50年代、60年代の中国と同じだとも言えます。
 成長する核兵器国が最も不安定で、危険な存在です。

 筆者は、戦略的忍耐に代わる実効性のあるオプションが何であるかについては述べていません。
 しかし、筆者の議論から敢えて推測すれば、問題がこのような段階に至っている以上、優先順位として現下の脅威のリスクをコントロールすべきだということではないでしょうか。
 引き続き非核化を究極の目標としつつも、それが今できないのであれば、筆者が言う五つのリスクについて何らかのコントロールが必要だということでしょう。
 北朝鮮は、孤立させておくには危険になりすぎました。
 リスク・コントロールのためには話し合いが必要となります。

 4月6~7日に行われた米中首脳会談は、共同声明もなく共同記者会見もありませんでした。
 報道によれば、米中両首脳は北朝鮮問題が極めて深刻な段階に入ったとの認識を共有し、米側は人権問題の重要性を指摘し、トランプは習近平に「中国が我々とともに行動しないのなら、米国は単独で対応する用意がある」との意向を伝え、北朝鮮への制裁強化を求めました。
 ただ、この問題で具体的な項目の合意はなかった、ということです。

 しかし、トランプが述べたことは北朝鮮側にも伝えられたと思われるので、やり取りは有益であったはずです。
 戦術核の韓国再配備や米朝接触の可能性などが話し合われたかどうかは定かではありません。
 米中首脳会談の直後、4月9日ティラーソン国務長官は、米のシリア攻撃の北朝鮮への意味合いについて、「他国への脅威となるなら、対抗措置がとられるだろう」と述べています。
 米国としては、北への圧力を強めるとともに、北側の反応を見ようということでしょう。



時事通信 5/14(日) 6:06配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170514-00000005-jij-kr

北朝鮮、弾道ミサイル発射=30分飛行、
日本海落下か―韓国新政権下で初

 【ソウル時事】韓国軍や日本政府によると、北朝鮮は14日午前5時28分、北西部の平安北道・亀城から弾道ミサイル1発を発射した。

 記者会見した菅義偉官房長官によると、ミサイルは30分間飛行し、日本海に落下したとみられる。
 落下地点は、日本の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
 韓国軍は、弾道ミサイルは約700キロ飛行したと明らかにした。

 韓国で革新系「共に民主党」の文在寅大統領が10日に就任後、北朝鮮の弾道ミサイル発射は初めて。米韓両軍はミサイルの種類などの分析を進めている。

 安倍晋三首相は14日朝、記者団に対し、北朝鮮の弾道ミサイル発射について「断じて容認できない。強く抗議する」と非難。
 「米国や韓国と連携しながら高度な警戒態勢を維持し、国民の安全確保に万全を期していく。
 北朝鮮に対し毅然(きぜん)として対応する」
と述べた。
 日本政府は北朝鮮側に厳重に抗議するとともに、首相官邸で国家安全保障会議を開いた。

 一方、韓国では文大統領が弾道ミサイル発射の報告を受け、国家安全保障会議(NSC)を主宰した。
 文氏は10日、「条件が整えば平壌も訪れる」と述べ、対話路線を重視している。
 北朝鮮はミサイル発射で挑発継続を強調した形だが、韓国の出方を見極める狙いもあるとみられる。

 北朝鮮は、米韓合同軍事演習が行われていた3~4月、複数回にわたり、弾道ミサイル発射を試みた。
 3月6日には4発同時に発射し、うち3発が日本のEEZ内に落下。
 直近では4月29日、西部の北倉周辺から1発を発射したが、失敗したとみられている。 



ロイター  2017年 05月 14日 14:18 JST
http://jp.reuters.com/article/northkorea-missile-japan-sea-idJPKBN1890W0?sp=true

北朝鮮が弾道ミサイル、高度2000キロ超で新型の可能性

[東京/ワシントン 14日 ロイター] -
 北朝鮮は14日早朝、同国西岸から弾道ミサイル1発を発射した。
  日本政府は高度2000キロ超に達したと推定。 
 およそ30分間という長時間の飛行時間などと合わせ、新型ミサイルの可能性もあるとみて分析を進めている。
 北朝鮮に圧力を強める米トランプ大統領は、各国に制裁強化を呼びかけた。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射は、韓国で文在寅・新大統領が就任して以降初めて。
 中国が重要政策と位置づけるシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議の開催とも重なった。

 米ホワイトハウスはトランプ大統領の声明を発表し、ミサイルが日本よりもロシア領に近くに落下したと指摘。
 その上で、「すべての国がより厳しい制裁を履行するきっかけになった」とした。

 日本政府は北京の外交ルートを通じて北朝鮮に抗議した。
 安倍晋三首相は官邸で記者団に対し、「断じて容認できない」と発言。
 「度重なるミサイル発射はわが国に対する重大な脅威であり、国連の安保理決議に明確に違反する」と述べた。
 岸田文雄外相は韓国の尹炳世外相と、谷内正太郎国家安全保障局長は米マクマスター大統領補佐官とそれぞれ電話で会談した。

 日本政府によると、ミサイルは午前5時28分ごろに北朝鮮西岸から発射され、東北東におよそ30分間、約800キロ飛行した。高さは初めて2000キロを超え、北朝鮮東岸約400キロの日本海上に落下した。
 稲田朋美防衛相は、これまでよりも長い飛行時間や高い高度を踏まえ、「新型の弾道ミサイルだった可能性がある」と語った。

 日本の防衛省は、北朝鮮が意図的に角度をつけて高く発射する「ロフテッド」というを撃ち方をしたとみている。
 北朝鮮が昨年6月にロフテッドで発射した中距離弾ムスダンは、高度1000キロ以上に達し、約400キロ飛行した。

 高度2000キロを超える弾道ミサイルは、日米が現有する迎撃ミサイルSM3だけでなく、両国が共同で改良中の同ミサイルでも撃ち落とせない可能性がある。
 防衛省幹部は「一般論として、高くなるにつれて難しい要素が増えてくるのは間違いない」としたものの、個別の迎撃ミサイルの性能に関わるとして明確な説明は避けた。
 別の幹部は「北朝鮮のミサイル能力が一定の進展をみせているのは事実だ」と語った。

 北朝鮮に圧力を強める米国は、米本土まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の発射を警戒しているが、米太平洋軍は今回のミサイルについて、ICBMの飛び方ではなかったとだけ発表。
 ICBMであったかどうかは明かにしていない。
 ロフテッドではなく、通常の撃ち方をしていれば、飛距離が今回の800キロから大きく伸びた可能性がある。通常発射した場合のムスダンの射程は2500キロ─4000キロとされる。

 韓国の文大統領にとって、今回のミサイル発射は今月10日に就任して以降初。
 文氏は発射を強く非難した。
 大統領府の報道官は「北朝鮮との対話にオープンなことに変わりないが、北朝鮮が態度を変えて初めて可能になる」と語った。

(久保信博、石田仁志、Ju-min Park、Lucia Mutikani)



ロイター 2017年 05月 15日 08:43 JST
http://jp.reuters.com/article/dprk-kcna-idJPKCN18A13G

北朝鮮のミサイル発射、
大型核弾頭搭載実験が目的=KCNA

[ソウル 15日 ロイター] -
 北朝鮮は15日、金正恩朝鮮労働党委員長による監督の下、14日に中長距離ミサイルの試験発射を実施し、成功したと発表した。
 ミサイル発射は「大型核弾頭」搭載能力を確認することが目的だったとした。

 国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、金委員長は米国に対し、本土が北朝鮮の「攻撃の射程内」にあることを忘れてはならないと警告した。

 KCNAによれば、周辺国の安全保障に影響しないよう、発射は最も高い角度で行われ、飛行距離は787キロメートル、高度は2111.5キロメートルに達した。

KCNAによると
 「大型核弾頭の搭載が可能な新たに開発された弾道ロケットの戦術および技術的な仕様を検証するための試験発射だ」
と報じた。

 北朝鮮は、大型核弾頭の搭載が可能で米国本土に到達できる大陸間弾道ミサイルを開発しているとみられている。

 米太平洋軍は、発射されたミサイルは「大陸間弾道ミサイルと一致していない」と指摘した。


日本テレビ系(NNN) 5/15(月) 10:55配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20170515-00000017-nnn-int

北メディア「火星12型の発射実験に成功」



 北朝鮮の国営メディアは14日の弾道ミサイルの発射について、新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射実験で、実験は成功し、金正恩委員長が現地で視察したと伝えた。

 15日付の朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は、ミサイルの発射の様子と、金委員長が笑顔で視察する写真を掲載。
 14日の弾道ミサイルの発射について、新しく開発した中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射実験と伝えた。
 「火星12型」は高度2100キロ以上まで達し、約800キロ先の目標水域に正確に着弾。
 新しいエンジンの性能などが確認され、実験は成功したとしている。

 実験前日から現場を視察していた金委員長は、「実験の大成功は何にも比べられない偉大な勝利」とし、研究者らを抱きしめたという。

 また、記事では、「火星12型」は大型の核弾頭を搭載できると主張していて、金委員長はアメリカに対し、
 「むやみに手出しをするなら史上最大の災難を免れない。
 アメリカ本土と太平洋の作戦地域が我々の攻撃圏内に入っている」
と威嚇した。



TBS系(JNN) 5/15(月) 16:53配信
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170515-00000034-jnn-int

北朝鮮 “新型”ミサイル動画を公開



 北朝鮮の国営メディアは15日、新型ミサイルの発射実験の動画を公開しました。

 北朝鮮の朝鮮中央テレビは日本時間午後3時半すぎから、14日行われた新型の中長距離戦略弾道ミサイル『火星12型』の発射実験の動画を公開しました。複数のカメラを使って、ミサイルが発射され、上空へ飛んでいく様子を伝えています。

 15日朝、北朝鮮の労働新聞に載っていたもの以外の写真を含むもので、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長が、ミサイルが格納庫から発射台に立てられるところまで間近で立ち会った様子なども紹介されています。

 14日、日本時間午前5時28分に行われたという発射実験は、
 「周辺諸国の安全を考慮して最大高角発射システムで行われ」
 「最大高度2111.5キロまで上昇し、距離787キロの公海上の目標水域に達した」
などと伝えています。



ニューズウイーク 2017年5月15日(月)11時55分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/post-7592.php

習近平の顔に泥!
――北朝鮮ミサイル、どの国への挑戦なのか?

 一帯一路国際サミットに招待を受けて参加している北朝鮮が、なぜその初日にミサイル発射などをしたのか?
 習近平は思い切り顔に泥を塗られた形だ。
 サミット後に北朝鮮に見切りをつけるのか?
 そうすべきだ。

■習近平、最大の判断ミス
(以下、敬称を全て省略する。)

 5月14日から北京で開催されている一帯一路(陸と海の新シルクロード)国際サミットに北朝鮮代表を参加させることによって、中国は北朝鮮を改革開放の道へといざない、何としても対話の道を選びたかった。
 というより、
 「中国は北朝鮮に対話の道を選ばせることに成功した」ということを、世界に見せたかった
ものと推測する。

 中国は今般の一帯一路国際サミットを中華人民共和国誕生以来、最大の事業と位置付けてきた。
 中央テレビ局CCTVは毎日そのように呼び掛け、連日「一帯一路特集」を報道してきた。
 トランプがTPP撤退を宣言して以来、中国こそがグローバル経済のトップリーダーと自らを位置づけ、これで「中華民族の偉大なる復興」が達成され、「中国の夢」が叶うと意気込んできたのである。
 そのために自信過剰になっていたのかもしれない。

 4月中に核実験をしようとした北朝鮮に、「もし実行したら国境線を封鎖する」とまで脅して核実験を思いとどまらせた。
 トランプも、「条件が整えば、会ってもいい」というニュアンスの発言をしていた。
 韓国には親北の文在寅政権が誕生する見込みも確信へと変わっていった。
 条件がすべてそろったと判断した中国は、北朝鮮をグローバル経済のトップを走る(と中国が位置づけている)一帯一路国際サミットに招待。
 北朝鮮もそれに応えた。

 しかし残念ながら、金正恩という人間は、習近平の期待に応えるような人物ではなかったことが、これで十分に判明しただろう。
 こともあろうに、習近平が待ちに待った「晴れの舞台」のその日に合わせて、ミサイルを発射したのだから。
 これ以上の恥はないだろうというほどの、最高レベルの恥のかかせ方を、金正恩は心得ていたことになる。
 習近平の政治人生、最大の判断ミスではなかっただろうか。
 いや、驕りであったかもしれない。

■対話路線を自ら潰す

 しかし、それにしても、これだけの好条件は、金正恩にとってもないほどの、すべての条件が揃い、それを選びさえすれば、北朝鮮にも道は開かれている、おそらく「唯一にして最後のチャンス」だったはずだ。

 そのチャンスを、なぜ金正恩は捨てたのか?
 いま、何か、「思い知らせてやりたい」とすれば、誰が対象だったのだろう?
 これまでのミサイル発射に関しては、それぞれ北朝鮮が抗議を示したいであろう相手あるいは現象を見つけ出すことができた。

 しかし今回は全く見当たらない。
 そのことから逆に、金正恩という人物がいかなる考えというか、心理状態を有した人物であるかを分析することができる。
 彼はただ、「自分は譲歩したわけではないからね」という強がりを、いよいよ譲歩を実行するしかない状況に来て見せただけではないのだろうか?

 そしてついでに対話のテーブルで北朝鮮にとっての条件を有利に持っていこうとした。
 つまり、核・ミサイル開発を加速させて、テーブルに着いたときには相手が北朝鮮を「核保有国」と認めざるを得ないところにまで漕ぎ着けようという魂胆だ。
 しかしこのタイミングで実行したということは、これによって対話路線は無くなったと北朝鮮は思い知るべきだろう。

■中国に残る手段は

 習近平の判断の甘さというか、登りつめた驕りというか、あまりに一帯一路国際サミットに意気込んでいたが故の判断ミスと位置付けるしかないだろう。
 今般のサミット参加は、中国が北朝鮮に与えた最後のチャンスになるだろうと考えたい。
 習近平の怒りたるや、尋常ではないにちがいない。

 サミット閉幕後に爆発するかもしれないが、もしここで北朝鮮に見切りをつけなかったとしたら、中国の国際社会における立場はなくなる。
 29ヵ国の首脳や日米を含む130ヵ国の代表団を集めて開催した責任上、習近平はこのケリを付けなければならない。
 残されている手段は国境封鎖、断油、そして中朝軍事同盟の破棄だ。

 第三次世界大戦に発展しない範囲内で、これまで見せつけてきたカードを、実際に切る以外にないところに、今度は中国が追い詰められた。

 もう、「緩衝地帯だ」などと、言っている場合ではない。
 隣国に米軍が来ても仕方がないと覚悟を決めて、見切りをつけるべきだ。



毎日新聞社 2017年5月14日 23時08分
http://www.excite.co.jp/News/world_g/20170514/Mainichi_20170515k0000m030128000c.html

<北朝鮮ミサイル>最長飛距離、
グアム射程圏か


●北朝鮮の弾道ミサイルの軌道イメージ

 北朝鮮が14日に発射した弾道ミサイルについて、日本政府は「ミサイル能力の一定の進展を見せたもの」(防衛省幹部)として警戒を強めている。
 特に初めて2000キロ以上の高度まで飛ばしたことに注目し、軌道やミサイルの特性を分析。
 弾道ミサイル防衛(BMD)の新しいシステム導入の議論にも影響を及ぼしそうだ。

 防衛省は今回のミサイルについて、飛行時間は30分程度で、高度2000キロ超、飛距離約800キロと発表した。
 高度が1000キロを超え、飛距離は約400キロだった昨年6月の中距離弾道ミサイル「ムスダン」のケースと比べ、高度と距離はそれぞれが2倍程度だったと推測されている。

 北朝鮮は今回、通常よりも高い高度に打ち上げる「ロフテッド軌道」を狙ったものとみられる。
 最も遠くを狙った場合の飛距離について防衛省は「分析の焦点の一つ」だとして明らかにしていない。
 米国の科学者組織「憂慮する科学者同盟」はウェブサイトで独自の分析結果を公表。
 今回のミサイルの射程は、米国領グアム(北朝鮮からの距離約3400キロ)を圏内に含む「約4500キロ」とした。

 海上自衛隊の元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は飛行時間が約30分だったことに注目する。
 「米ソ冷戦時代の大陸間弾道ミサイル(ICBM)は射程1万キロで、飛行時間が30分だった。
 一般論で考えれば今回のミサイルはICBMと同じ程度の能力を持っていると考えてもおかしくはない。
 6000キロ程度飛ぶ可能性が否定できない」
と指摘する。…

 ロフテッド軌道で打ち上げられた弾道ミサイルの弾頭は高速で落下し、より迎撃が困難になる。
 日米両政府は、ロフテッド軌道への対応がより確実となる迎撃ミサイル、海上配備型SM3の改良型(ブロック2A)を早期に導入したい考え。
 さらに、現在はイージス艦に搭載しているSM3と同じシステムを陸上に配備する「イージス・アショア」などの新システムを導入するかの検討も加速する考えだ。



産経新聞 2017.5.16 01:28
http://www.sankei.com/world/news/170516/wor1705160003-n1.html

新型、アラスカも射程? 
北が豪語する技術レベルとは 
弾頭小型化は疑問符

 北朝鮮が15日、発射の「成功」を公表した新型中長距離弾道ミサイル「火星12」は、通常の角度で打ち上げれば射程が4千~6千キロ超に達し、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)に匹敵するとの見方がある。
 北朝鮮のミサイル技術はどこまで進展したのか。

 「米国は(北)朝鮮の弾道ロケット(ミサイル)が脅威になるか、はっきり目の当たりにすればよい」。
 14日早朝の発射に立ち会った金正恩朝鮮労働党委員長は、こう豪語したという。

 実際、北朝鮮の発表通りなら際立つ進展を示す。軍事アナリストの小都元氏は「30分間飛行するのは特筆すべきことだ」と指摘する。
(1):長時間の燃焼に耐えるエンジンを製造する
(2):多くの燃料を積むタンクを搭載する
(3):燃料効率を高める
-必要があるからだ。

 今回、「ロフテッド軌道」と呼ぶ垂直に近い角度で発射したが、30~45度の通常角度で発射した場合、「4千~5千キロの射程を有する」と小都氏は分析する。
 韓国の専門家の間では、米アラスカ州も射程に入る5千~6千キロ超に達するとの見方もある。
 射程5500キロを超す弾道ミサイルはICBMに分類される。

 新型ミサイルについて、北朝鮮は「大型重量の核弾頭が搭載可能だ」とした。
 韓国の世宗研究所の鄭成長統一戦略研究室長は
 「(事実なら)米本土への脅威が格段に増す」
と警告する。
 ただ、大型重量への言及は、ICBMに必要な弾頭の小型化に成功していない裏返しとも読める。

 発表では、大気圏再突入時の弾頭部の性能も「実証された」と主張した。
 6千度以上の高熱に耐え、狙ったタイミングで起爆させる技術は核ミサイルの完成に必須とされる。
 この技術の獲得について、韓国国防省は15日の会見で「可能性は低い」との見方を示した。

 北朝鮮は昨年、中距離の「ムスダン」を8回試射したが、そのうち7回が失敗とみられている。
 小都氏は「3回成功すれば、設計がうまくいっているといえる」との目安を示す。
 開発成功の判断は今後にかかっているといえそうだ。



中央日報日本語版 5/16(火) 11:35配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170516-00000021-cnippou-kr

米本土まで打撃
…北朝鮮が年内にICBM実験の可能性

 北朝鮮が米国本土を核弾頭で攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発にさらに近付いた。
 北朝鮮の朝鮮中央通信は15日、前日に発射した弾道ミサイルと関連し、「大型核弾頭装着が可能な新型中長距離弾道ミサイル(IRBM)火星12型が高度2111.5キロメートルまで上がり787キロメートル飛行後公海上の目標を正確に打撃した」と主張した。

 射程距離を減らし高度を高める形で高角発射した火星12型は正常に発射する場合の最大射程距離は4000~5000キロメートルと推定される。
 射程距離3000~4000キロメートル前後のムスダンミサイル(火星10型)と5500キロメートル以上のICBMの中間段階で米アラスカまで到達可能だ。

 韓国軍当局も北朝鮮の新型ミサイル発射を成功的だとひとまず評価した。
 軍は特に北朝鮮が「実際の飛行環境条件で信頼性を再確認した」と報道した「新型液体エンジン」に注目している。
 科学技術政策研究院のイ・チュングン研究委員は
 「北朝鮮のICBM開発で最大の障害はエンジンだった。
 火星12型の発射でICBM用エンジンを事実上確保したとみられる」
と話した。
 実際に北朝鮮は3~4月の試験発射時はエンジン安定性の欠陥などで4回失敗した。
 イ委員は
 「このエンジンを3~4基まとめれば推進力は米本土打撃だけでなく、3万6000キロメートル以上の高度に静止衛星を投入できるほど
と分析した。
 韓国航空大学航空宇宙機械工学部のチャン・ヨングン教授は
 「北朝鮮が年内に米本土も打撃可能なICBM発射実験を試みる可能性もある」
と予想した。

 火星12型に使われたエンジンは3月18日に平安北道東倉里(ピョンアンブクド・トンチャンリ)で地上噴出実験に成功した「大出力発動機(高出力エンジン)」とみられる。
 推進力80トンフォース(80トンの重量を押し上げる推進力)ほどの主エンジンに補助エンジン4基をまとめた形態だ。
 情報関係者は「北朝鮮が1990年代に海外から持ち込んだ設計図をアップグレードしたもの」と話した。

 北朝鮮はこの日ミサイルの大気圏再突入技術も確保したと主張した。
 金正恩(キム・ジョンウン)委員長は発射現場で「米本土と太平洋作戦地帯がわれわれの打撃圏内にある」と話したと朝鮮中央通信は伝えた。
 千英宇(チョン・ヨンウ)前青瓦台(チョンワデ、大統領府)外交安保首席秘書官は、
 北朝鮮は核・ミサイル技術の確保を最優先と考えており、
 対北朝鮮対話か圧迫かは副次的な問題。
 技術的進展に向け準備ができているならば右往左往せず挑発を続けるだろう」
と予想する。

 ニッキー・ヘイリー駐国連米国大使は
 「北朝鮮のミサイル発射はトランプ大統領と向かい合う方式ではない。
 トランプ大統領は絶対に(こうした状況で金正恩委員長と)会わないからだ」
と話した。



Record china配信日時:2017年5月16日(火) 17時30分
http://www.recordchina.co.jp/b178331-s0-c10.html

日米韓による北朝鮮発射ミサイルの情報分析、
日本が“1人勝ち”=「やっぱり日本には追い付けない」
「韓国は情報を国民に公開しない」―韓国ネット

 2017年5月15日、韓国・世界日報は、14日早朝に北朝鮮の弾道ミサイルが発射された直後、日本が発表した推定の発射時刻、最高高度、飛行距離などが北朝鮮の発表とほぼ一致していたとし、米韓の発表と比較して「日本の一人勝ち」と評価した。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、菅義偉官房長官は14日午前6時30分ごろ臨時の記者会見を開き
★.「本日午前5時28分ごろ、北朝鮮西岸より1発の弾道ミサイルが発射され、
  30分程度飛行し、日本海に落下したとみられる。

 現時点において、落下したのはわが国の排他的経済水域(EEZ)内ではないと推定される。
 引き続き確認中だが、現時点において付近を航行する航空機や船舶への被害報告などの情報は確認されていない」
と、第1報を伝えた。

 その後、同日午前には、稲田朋美防衛相が、
★.北朝鮮が発射した弾道ミサイルの高度が2000キロを超え、
 飛距離は800キロ、
 飛行時間は30分程度、
 さらに新型の弾道ミサイルだった可能性
を明らかにした。

 ミサイル発射から1夜明けた15日、北朝鮮の朝鮮中央通信は「新型の地対地中長距離弾道ロケット『火星12』の試験発射に成功した」とし、
 「ロケットは高度2111.5キロに達し、787キロ先の公海上に設定された目標水域に正確に着弾した」
と伝えており、日本による分析がほぼ正しかったことが分かった。

 一方、韓国合同参謀本部は15日、ミサイル発射について「分析中」と繰り返し、最高高度は公開せず、飛行距離は700キロとだけ明らかにしていた。
 また、発射時刻は午前5時27分としたが、北朝鮮発表とは1分の違いがあった。

 また米国は、発射時刻を午前5時30分と発表しており、北朝鮮の発表とは違いがある。
 米国メディアが米軍当局者の言葉として、今回のミサイルが液体燃料や移動式発射台を使う1段式のミサイルで、米政府当局者の間で「KN−17」と呼ばれているミサイルであると報道したことにも疑問が残る。
 米軍側は「KN−17」を対艦弾道ミサイル(ASBM)とみているが、北朝鮮は「地対地ロケット」として発表しているからだ。

 この報道を受け、韓国のネットユーザーからは
 「確かに、合同参謀本部はいつも『分析中』と言っている」
 「国防部はいったい何をしているのだ?」
 「韓国政府は情報を持っていても国民に公開しない。
 日本のニュースの方が客観的かつ事実に近い場合が多い」
など、自国関連部署への批判の声が多く寄せられた。

 また、
 「日本は発射の兆候を事前に把握していたぞ(13日早朝、飛行場に移動式発射台が配備されたことを日本メディアが報道)」
 「やっぱり日本には追い付けない」
 「日本に比べて韓国は国力が劣ることを認めねばならない」
 「日本が進んでいるのは確かだ」
など、日本に関連した意見もあった。